12月の特集
経営について
今回は、中小企業の経営承継にからみ、相続における「遺留分」について
お話しをしましょう。
・まず「遺留分」とは何でしょう。それは、相続人が一定の相続財産を確保できる権利の事を言います。これは残された相続人の生活の安定や、相続人間の公平を期するため、最低限の相続の権利を確保するためです。
・遺留分の権利は、配偶者、子、父母のみで、兄弟姉妹は権利者となれません。又、該当者が相続放棄した時は認められません。相続財産に対する割合は、父母などが相続財産の1/3、配偶者・子がその1/2となっています。
・相続財産分けが、もし遺留分より少なければ、遺留分以上に財産取得した相続人に返還請求ができます。これは遺言書に記入されていても、遺留分を侵害された相続人は返還請求ができます。これを遺留分減殺請求権と称し、侵害を知った日から1年以内、知らなくても相続開始後10年以内に行使しなければなりません。
・事業承継に当って、従来の遺留分制度に問題がありました。即ち後継者が事業承継するに必要な自社株式が相続できない場合がありました。他の相続人の遺留分を侵害する事があるからです。よって円滑に事業承継できない場合が多々生じる事になりました。
・又、後継者が被相続人の生前中に経営努力をし、株価を上げたとしても価値上昇分は他の相続人に株取得に伴ない、取得する事になり、後継者としてはおもしろくない場面が生じます。
・そこで、民法に特例を設け遺留分権利者全員の合意を条件に、生前贈与された株式等を遺留分算定基礎財産から除外する事ができるようになりました。尚、この評価は遺留分権利者全員の合意時の評価額で、遺留分算定価格とする事が認められています。
法務について
今回は商標についてお話しをしましょう。
・「商標」とは、事業者が自分の商品・サービスを他人からのものと区別するために付ける名称やマークの事を指します。
経済的効果として
イ、商品・サービスの出所を表示する機能
ロ、品質保証する機能
ハ、広告機能 が挙げられます
ここで、自分の商標を模倣されては、経済的損失は図りしれないものがあるので、登録する事によって商標権として保護されます
・登録は特許庁で行います。登録されると独占的に使用でき、侵害された場合は、損害賠償も請求できます。
・又、一旦登録されますと、類似商標の使用も禁止できます。そして、登録は解りやすく言うと、早いもの勝ちで先に登録してしまえば、いくら前から使っていたと主張しても、自分の商標は使えなくなる可能性があります。
・商標権の存続期間は登録から10年間です。
・もっとも、登録した商標が3年間使用しなければ、他人がこの登録を取消す事ができます。
念のため。
・では、登録手続きは?といいますと、特許庁に出願して審査を受ける必要があります。その方法はホームページを通じてインターネットでできます。もちろん既に商標登録されていれば、拒絶されますが、そうでなければ登録できますので、念のため類似がないかどうか調べておくとよいでしょう。
費用は ・出願料 3,400円+(区分数×8,600円)
・登録料 37,600円×区分数 です
・では、仮に他社の商標を侵害したらどういう事になるかというと、他社からクレームがついたら、即対応するのではなく、まず商標の登録番号とその指定商品を確認し、類似かどうか、又、正当な商標権者かなどを確認します。いずれにせよ、独断で判断せず、必ず弁理士に相談してから対応するようにしましょう。
・いずれにせよ、トラブルを未然に防ぐためにも、早めに商標登録する事をすすめます。
税務について
今回は現物給与のお話しをしましょう
・金銭による支給のみならず、会社の製品・商品の値引販売、食事の支給、通勤定期券、社宅、寮の貸与等などをして経済的利益を与える場合があります。これを現物給与といいます。即ち、現物給与も金銭による給与と同然に、非課税を除いて、所得税の源泉徴収をしなければならなくなっています。
現物給与がないかチェックしてみましょう。
・20年度分として、個人の確定申告の際、電子申告税額控除として最高5,000円まで差し引けます。今年が最後の年になっていますので、お忘れのないようにしてください。
尚、電子申告の際は、電子証明書が必要となりますので、市区町村の窓口に行って住基カードを用意してくださるようにしてください。
11月の特集
経営について
今回は中小企業経営継承円滑化法についてお話しましょう。
○ この法律は、今年10月1日から施行されました
この法律は、世代の代わる際の相続税の過重な負担や、他の相続人への遺留分制度の制約(要は、各相続人が法律で最低保障される取り分の事)により、財産が分散し、特に中小企業では円滑に事業承継が出来ない事があります。後継者のいない事により、毎年7万社程が消えうせているとの事であり、これでは日本経済の足腰が弱り、強いては日本経済の衰退に結がるので、これを止めるべく、この法律を作ったわけです。
○ この法律の対象となる企業とは、一定期間継続して事業をしている一定の非上場会社です。原則的には中小企業基本法上の中小企業です。
表1:中小企業基本法が定義する中小企業
*「従業員数」とは常時使用する従業員の数
○ この法律の3つのポイント
① 遺留分に関する民法の特例
② 金融支援制度の創設
③ 相続税の納税猶予の特例
ポイント①
この特例は21年3月1日施行です。利用できるのは3年以上継続して事業を行っている中小企業です。即ち贈与株式等を遺留分算定基礎財産から除外できる制度です。先代社長生前中に経済産業大臣の確認を受けた後継者が、遺留分権利者全員の合意を取りつけ家庭裁判所の許可をもらい、先代から後継者へ贈与された自社株式その他一定の財産を遺留分算定基礎財産から除外することができます。
この遺留分算定に際し、贈与株式の価格を合意時の評価額で予め固定できるようにしてあります。
ポイント②
上記の認定を受けた中小企業者ならびに代表者は相続に伴なう資金調達の支援を受ける事ができます。株式とか事業用資産等の買取資金や一定期間の運転資金の融資の保証が受けられます。いわゆる中小企業信用保険法、日本政策金融公庫法の特例が適用になるという事です。
ポイント③
相続によって取得した自社株式の課税価格の80%が納税猶予となります。これから国会で審議されますが、遡及して20年10月1日から適用となる予定です。
表2:相続税の納税猶予制度の適用要件等
会計について
今回は売掛金の回収漏れを減らす7つの習慣についてお話をしましょう。
習慣1.必ず注文書を発行してもらう
注文した、しない、納品違い等、トラブルが多いので必ず注文書を
発行してもらいましょう。それによって回収遅れも防ぎます
習慣2.納品時には納品書を発行し受領書をもらいます
習慣3.請求書は誤りのないよう確実に発行します
習慣4.入金状況を常にチェックし、こまめに連絡します
常に入金状況を把握し、決められた日に入金がなければ直ちに相手先へ確認し、
確実に回収するぞとの姿勢を見せる必要があります
習慣5.定期的に残高確認書を送付します
定期的に残高確認をする事により、こちら側の管理体制の確認をします
習慣6.集金日には必ず訪問してください
集金の際は事前に連絡を入れ、それでも集金できなかった場合は、翌日に連絡を入れ、
再訪問の日時の約束をします
習慣7.全社一丸で回収にあたる
営業担当者は、仕事を取ってきて、それで仕事は終わりではなく、
回収をして初めて完了となります
最後に、社長自身が回収するぞとの強い意思を持つ事が大事です。
税務について
今回は年末調整についてお話をしましょう。
○ 年末調整の対象になる人と、それ以外の人をまず区分します
【年末調整の対象者】
・ 扶養控除等(異動)申告書を提出している
・ 本年中に支払うことが確定した給与総額が2,000万円以下(非課税の給与は除く)
・ 災害等に遭った場合で給与等に対する源泉所得税の徴収猶予または還付を受けていない
・ 1年を通じて勤務している、または年の中途で就職し、年末まで勤務している
※ 途中入社の場合、前に勤務していた会社の源泉徴収票が必要。
○ 必要書類は早めに提出日を決めてください
「控除証明書」とともに保険料控除申告書の早期提出を促してください。
未だ「扶養控除等申告書」が提出されていなければ早急なる手配をしてください
○ 特に配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除については各社員の家族の所得金額の
確認をする必要があります。
配偶者の所得については、後日、税務署から配偶者控除の際の所得オーバーがよく指摘
されていますので要注意です
○ 改めて、保険料控除申告書の添付資料に洩れがありますので、要注意です。
具体的に生命保険料、地震保険料、国民年金保険料の支払証明書で現物が必要です
○ 以下のものは、年末調整の対象外です
イ. 災害の損害による雑損控除
ロ. 災害減免法による所得税の減免
ハ. 多額の医療費控除
ニ. 住宅ローン控除
ホ. 自宅の増改築、バリアフリー化、省エネ改修の場合のローン控除
ヘ. 一定の耐震改修費用の減税
ト. ふるさと納税
等です。
10月の特集
経営について
今回は中小企業の経営継承についてお話しましょう。
1.中小企業では、後継者は未だ2割程度しか決まっていないのが現状のようですが、いざ後継 者を決めるとなると、親族、会社の役員、従業員、取引先などの了解を得なければならず、 又後継者がいても教育しなければならない等、かなり時間を要する事柄です。従って、2以 下の事に注目して下さい。
2.まず、会社の現状を把握する必要があります。
イ.従業員の年齢・能力、企業風土
ロ.商品、製品、技術、設備等の状況、土地の評価
ハ.キャッシュ・フロー、資金残高
ニ.情報収集力、共有化の状況
3.企業のリスクを把握する
イ.金融機関や役員からの借入状況
ロ.退職金等隠れ債務の額
ハ.保険の加入状況
4.経営者の現状把握
イ.自社株の保有状況の評価
ロ.土地の評価
5.後継者の状況把握
イ.本人の意思の確認
ロ.価値観、意欲、人柄
6.相続発生時に予想される問題点を把握しているか
イ.法定相続人の資産・負債、人間関係
ロ.遺産分割のシミュレーションで争続にならないよう事前検討しているか
労務について
今回は高齢者についてのお話をしましょう。
18年4月施行の改正高年齢者雇用安定法によって、65歳までの雇用確保が義務づけられました。
1.高齢者が働きやすく、その能力が十分に発揮できるよう、職場作りを始めて下さい。
2.業務を3分類するに→
ブラック:専門家でないとできない仕事
グレー :少しでも改善すれば、だれにでも使える仕事
ホワイト:だれにでも出来る仕事
この3分類した資料を基本にして、人の採用、配置を行ってください。
3.チーム編成で両世代間の強みを生みだす事も考えられます。即ち、高齢者は高い実務能力を 生かし、若い人は力仕事をしたりし、相互補完作用を駆使する事も可能です。
税務について
今回は株券の電子化とパートの給与についてのお話をしましょう。
1.2009年1月を境に上場会社の株券が電子化され、同時に「株券」自体は無効となっ てしまいます。
2.株券の名義人を確認してください。
もし、他人名義なら、急いで名義書換をしてください。
3.名義書換は発行会社が委託している株主名簿管理人に問い合わせをしてください。
4.自分名義なら電子化後、自分名義で発行会社が開設する特別口座に電子で保存されます ので、株主の権利は失いません。
5.次にパートの給与に関する留意点は所得税の場合、給与収入103万が非課税ライン で、住民税は100万が非課税ラインです。尚、妻がパートで働いている場合、夫は配 偶者控除か配偶者特別控除のどちらかが適用になりますので、お忘れのないようにしてくだ さい。
9月の特集
経営について
今回は原価高騰に如何に対応すればよいか種々検討してみましょう
1. 打開策その1
まず、先手必勝ではないが、経費節減に努める事かと思います。
その上で、値上げ可能であれば、値上げ交渉のために役員、
社員共々顧客先へ出向く事です。
打開策その2
材料相場等の情報を早期に収集し、同時に社内での経費節減に努力す
ると共に、コスト吸収できない分については、速やかに値上げ交渉を
する。
打開策その3
例えば灯油販売の業社ですが、灯油値上げを機会に飲食業で廃出される
廃油を原料にして、バイオ燃料の製造を始める等、新分野の開拓をする。
打開策その4
経費節減以外に、商品の陳列方法を変え値上げの印象を押える。
即ち顧客の目のつきやすい場所の商品価格は据え置くようにする。
打開策その5
その他 加盟している組合で共同購入して材料費を下げるとか、
新規に設備投資をし、最新技術による付加価値の高い商品を売り出すのも一案です。
会計について
今回は資金繰りについて話をしましょう
資金繰りが悪くならない工夫をしていますか?
1. 売上代金の回収期間が長かったりして、入金がないにもかかわらず、その期間に仕入代金 の支払いをするような事はしてないかどうかチェックしていますか?
2. 在庫ですが、元々売るために購入をしているのだが、適切な在庫管理をしていないため、 売れ残りの在庫が発生していないかチェックしていますか?
3. 金融機関への返済財源についても、返済財源としては当期純利益に減価償却費を加えたも のが財源となるが、それ以上に返済をしていないかチェックしていますか?
4. 設備投資の際、借入金に依存するとしても、短期にて返済となると資金繰りが悪化しま す。毎月の返済額が、3に記された範囲におさまるよう、返済期間を検討していますか?
5. 何よりも、赤字だと資金繰りが悪化します。売上を上げる努力を会社的に取り組んでいま すか?
例えば、生産性の向上、売れ筋商品は何かの吟味、固定費のコストは上昇していないか、 金利負担はどうか等です。
税務について
今回は事業承継について話をしましょう
1.中小企業の事業承継は、後継者難、相続税の負担、遺産分割をめぐる同族内の争い、
人材不足等困難さに直通しています。国で「中小企業経営承継円滑化法」なる法律
が創設されました。
2.この法律の主旨は、一定の要件を満たす後続者は税の優遇措置が受けられるという事です。
イ.生前贈与株式等を遺留分の対象から除外できる。
ロ.生前贈与株式等の評価額を予め固定できる。
ハ.金融支援措置があります。
ニ.後継者の自社株にかかる相続税の80%が納税猶予となる。
ホ.納税猶予を受けた相続税が免除される場合ですが、事業承継相続人が納税猶予となった
株を死亡の時まで保有した場合等、一定の要件を満たした場合です。
ヘ.これらが打ち切りとなる場合は、相続税の申告期限から5年間、事業を継続していない と認められた場合は、全額打ち切りです。
ト.では5年経過したらどうかですが、その株を売却した時点で、譲渡割合に応じ、
納税猶予税額を納付しなければならなくなります。
8月の特集
経営について
今回は、売上値引についてお話をしましょう
1. 企業活動の全ては売上に集約されます。当り前ですが売上がなければ、
仕入も経費も借入の返済も税金も全て払えません。売上は成長の源です。
これは販売単価×販売数量=売上となっています。売上を増やすには、
単価か数量のどちらかを増やすしか方法はありません。ここで値引を生じ
させてしまうと、支払いの全てに影響します。恐ろしい事が起きます。
2. では、売上値引攻勢に対しどう対応したらよいのか、他の方法、例えば
サービス向上でこの攻勢に対応するとかの方法もあります。
3. 要は安易に値引をするなと言う事です
ポイントとして値引は如何に事業に影響するか
・何となく値引していないか。値引しないと本当に売れないのか
・他の方法(例えばサービス向上など)で値引を止めるとか
・値引ルールは決めてあるか等です
人事労務について
今回は残業時間についてお話をしましょう
1. まず残業は種々の問題を含んでいます。サービス残業の問題、心身過労に
よる、作業能率の低下、コストの上昇、心身不安による精神病の誘発等が生じます。
2. では、残業時間を管理する方法として、
イ、 残業を事前届出制か許可制にする
上司への事前届け出にし、許可制にする。
ロ、 残業時間の上限を設ける
定時で終らすよう指導する。但し強制力を伴うと、結果的にサービス残業
となるきらいがあるので上限は目標設定とする。
ハ、 ノー残業デーを設ける
絶対に残業はしないぞとの意思表示のため、週一か、一定の曜日をノー残業デー
にするのも一案です。
3. チェックポイントとして
イ、 仕事に無理、ムラ、ムダがないか?
ロ、 段取り7・仕事3でやっているか?
ハ、 業務の流れにムダはないか?
ニ、 意識的に残業をなくそうとの気はあるか?
ホ、 能率、効率を尊ぶ職場か?
ヘ、 会議の要領はよいか?
ト、 就労内で、個人的用事をしていないか?
税務について
今回は交際費のお話をしましょう
1 1人5,000円以下の飲食代は全て交際費にならないと思い込んでいませんか?!
これはあくまで社外の人との飲食で社内の役員、従業員又は親族は該当しません
ので念のため
2.1人当り5,000円以下の飲食代の計算は?!
飲食代計÷飲食参加者で5,000円/1人当り以下は交際費とならないことなので、
少しでもオーバーすれば、全額、交際費となります。少々厳しい気もしますが。
3.では連続して2次会とかスナックへ行った場合は?!
これは別々に計算してよい事になっています。
4.ゴルフ、旅行等に伴う飲食代は
ゴルフ等催事に伴う飲食代は、たとえ5,000円以下/1人当りでも 交際費となります。
飲食代だけ別には出来ません。
5. 会議に伴う飲食代は
会議としての実態があり、それに伴う昼食代、弁当代は交際費とはなりません。
6. 役員・社員だけの社内飲食代は
社内の懇親会、忘年会等、役員、社員だけの飲食は大半の社員が参加しているのであり
社会通念上であればOK。但し、特定の役員やその家族のみであれば交際費とは
なりません。
実際はこの辺の境目は難しいところではありますが。
7月の特集
経営について
今月は在庫について話しをしましょう―以外と大事です
在庫とは
商品→販売目的で他社から仕入れて、加工しないでそのまま販売するもの
製品→販売目的で自社で製造するもの
仕掛品→製造途中で完成前のもの
原材料→製品製造のためのもので、外部から仕入れ、まだ製造工程で加工されないもの
経営上在庫の存在がもたらすもの
在庫は売れてなんぼのものなので、売れ残った場合は、種々のデメリットを生じます。
イ、 在庫は云わばお金が寝ているようなものなので、その分のお金は他に転用できない
事を意味します。
ロ、 もし借りた資金で在庫を持っているとすると在庫があるだけで、余分に金利が
かかっている事となり、又、在庫の置くスペース代もかかります。
長く在庫する事により商品価値が下がる場合もあり、どのくらいの期間置いて
おくかが重要な問題となります。いわゆる適正在庫期間を意識する必要があります。
いわゆるたな卸資産回転期間を計算してみる
イ、 いわゆる滞留在庫とならないよう常に「たな卸資産回転期間」を定期的に
チェックする必要があります。
すなわち仕入れてから販売するまでの期間を言うのであり、この数値が低い方が
良しとされます。
たな卸資産回転期間(日数)=たな卸資産÷年間純売上高×365日
改めて在庫管理のチェックポイントとして
イ、 在庫は逆に利益を生みだすのではなく、ブラックボックス化し、経営の重荷に
なる事を承知しましょう。
ロ、 常に適正在庫はいくらかを意識していましょう。
ハ、 経営の無理、ムラ、無駄が在庫に表れます。常に整理整頓し、良品在庫数、
不良在庫数を把握しましょう。
ニ、 最低でも3ケ月に1回は実棚をしましょう。
ホ、 社長自らが、在庫の良、不良を常に把握しましょう。
会計について
資金調達は、ねばり強く交渉しましょう
格付けが低い企業の資金調達方法について
中小企業の中にはサブプライムローンの影響で景気が減退したことで
更に格付けが下がっているところがでていると思います。
さて、具体的に資金調達方法として
1、 財務内容の改善
これが一番難しいですが、とにかく売上げ利益を増やす
ことに全力投球し、財務体質強化を図る。
2、 定性的分析項目に訴える
要は販売力、技術力、経営力、経営改善努力、含み益等決算書
に表れない分を金融機関にアピールする。
3、 キャッシュフローを明確にする
要は借入金の返済計画書を具体的に明確に金融機関に伝える。
4、 その他の担保を入れる
売掛金、受取手形、在庫等流動資産を担保に入れる。又内部統制が
しっかりしていて金融機関の信用度が高ければ、例えば3期連続
赤字だったら優先的に返済するという財務制限条項の約束も取り
付ける事もできるでしょう。
5、 最後に直接金融の利用
銀行から直接借りず、増資や社債発行、中小企業での50人未満
の人からお金を集める「私募債」という手もあります。
あまり一般的ではありませんが。
資本的貸出制度とは
中小企業金融公庫から新たな融資制度として20年4月から
期間15年の期限一括返済の資本的貸出制度が登場します。
これは「挑戦支援資本強化特例制度(資本的貸出制度)」という
超長期の貸出制度。業績が悪ければ金利は下がり、好調であれば
金利が上がるという無担保無保証の貸出です。この画期的制は、
民間の金融機関とで借入交渉する際にも、この方法を考慮に入れる
事は可能と思います。方法は種々ありますので、ねばり強く交渉
する事が必要でしょう。
税務について
イ、「中小企業技術基盤強化税制」とは中小企業者等が行う試験研究に対して、
この費用の総額に一定の控除率が税額控除となるものです。
さて、試験研究の中味は?
製品の製造に係る試験研究
技術の改良、考案又は発明に係る分
では対象となる費用は
原材料費
人件費(専ら試験研究に係るもののみ)
経 費(同上、このための機械等の減価償却費を含む)
外部委託費
繰延資産となっている試験研究費の償却費等
ロ、 教育訓練費とは―今回は以前に比し、比較的利用しやすくなりました。
自社で行う場合
外部講師等を招へいする費用
教科書等の教材購入費又は開発費
外部施設、設備器具等の賃借費用
外部に研修内容等の作成を委託する費用
他社で行う場合
外部委託で教育訓練等を行わせる費用
外部で行う教育訓練等への参加費
具体的には、労務費に占める教育訓練費の割合が0.15%以上である場合、
教育訓練費の総額に12%(教育訓練費割合が0.25%未満の場合は、
次の算式による特別税額控除割合)を乗じた金額の特別税額控除ができます。
ハ、 30万円未満の減価償却資産は―利用価値があります。
同様に平成22年3月31日まで2年間延長となりました。
これは1個の取得価額が30万未満であれば、全額損金算入に
なるというものです。但し年間の取得価額が上限300万円
未満となっていますので注意してください。
他にもありますが、代表的改正分を列挙しました。
6月の特集
経営のアドバイス
━とにかく何かやってみる━
1.昨今原材料・素材価格の上昇は、企業の8割以上が実感しています。
この上昇分を販売価格へと転嫁できている企業は6%足らずで大半は企業で
負担しているのが現状です。
2.この現状への対応の仕方として、7割強の企業が経費節減、次に売値への転嫁、
最後に仕入先の変更となっていますが、これ以上の原材料上昇には、経費節減方法に
限界が見えてきます。
3.経費節減方法として
イ.不要不急の資産売却
ロ.交際費、広告費の見直し
ハ.予算実績対比で、前年を上回っている経費削減
二.削減可能な経費を見直し
ホ.全社的に経費のムダを排除
へ.商品の発送コストを見直し
4.仕入価格の見直しについて
イ.他の仕入先や市況と比較し、仕入値の定期的チェック
ロ.仕入の使用量の削減に努める
ハ.仕入単価について改めて交渉
二.仕入先等の見直し
ホ.外注単価の見直し
へ.不良品、ロスの削減を検討
5.その他
イ.商品の価格見直し
ロ.売値の再検討
ハ.不採算事業部門の見直し
等があります
税務のアドバイス
━ここまで税金を取るの?!━
今回は社員表彰の税務ポイントについて説明します。
イ.永年勤続者へ商品券を支給した場合、金券は現金と同等との扱いをするので
給与所得に加算です。厳しいですね!
ロ.では、記念品の支給の場合は?
この場合も使用者から支給された金銭で購入した事になるので、やはり給与所得に
加算となりますが、その品物が市場での換金性がなく、選択性も乏しく、金額が
多額でないものは課税されません。
ハ.成績優秀者に対する海外旅行はどうでしょうか?
これもズバリ給与所得になります。やはり成績優秀者との事で限られており、
個別にあの社員へ、この社員へとなっており、この分は勤務の対価性有りとの
判断です。そこまで厳密にとも思いますが…。
二.発明報償金等への支給は?
最近は、社員への発明報償金の多寡について裁判ざたにまでなっていますが、
税務の世界はどうなっているかと申しますと、特許とか、実用新案登録を受ける
とかのものまでいってないとの条件ですが、工夫とかアイデア等がその人の通常の
業務内であれば→給与所得、それ以外であれば一時所得となります。
もっとも工夫等の実施後の状況により、継続的に支給される場合は雑所得です。
総務のアドバイス
━以外に落とし穴、気がつかない?!━
マイカー通勤や業務で車を使う際の責任
1.例えば社有車で事故を起こした場合、個人と会社に問われる責任として
イ.刑事上の責任
刑法 「業務上過失致死傷罪」、交通違反
ロ.・行政上の責任
個人:免許取消
会社:社有車使用制限・運送事業者免許取消
ハ.民事上の責任
損害賠償責任
会社:民法上の使用者責任に及ぶ
2.例えば事故を起こした場合
イ.マイカーで業務中に事故を起こした場合
→会社は使用者責任
ロ.マイカー通勤中に事故を起こした場合
→会社は監視・監督責任
ハ.マイカーで社員がレジャー中に起こした場合
→会社の運行支配下にありとされた場合有り
3.マイカー使用の管理ポイント
イ.マイカー通勤の実態を把握しているか?
ロ.マイカー通勤の管理規定を整備しているか?
ハ.駐車場を確保して適正に管理しているか?
二.マイカーを業務に使用する場合の決め事をしてあるか?
例えば、マイカーを業務使用した際のガソリンの費用負担割合とか
4.マイカー通勤の許可基準
イ.交通事故は起きるものとの前提で、許可基準を設ける事
例えば、充分な補償額の任意保険に入っているかどうか等
5月の特集
今月の経営ポイント
ー決算書が読めれば売上げが増える?!ー
- 自分の会社の財務状態を知るために、まず決算書をよく見てください。
- 次に、現場のデータを重視してください。例えば、飲食業ですと「客数」のデータを集計することであり、これはお店に来た客数を知る事です。即ち、新規客と既存客とに分け、要はお店にとって、売上に結がる客をどう把握するかになります。
- そのためには、一人当たりの客単価(平均売上高)を把握する事です。
- 現場データから、売れ筋商品のピックアップをしてください。
- 時間別のデータも人員配置や商品仕入の適正化を図る意味で大事です。
- 損益トントンになる売上高を見極めましょう。これが売上目標額となります。
今月の総務ポイント
ー株主総会を開催しないと、会社の決め事は全て法的に無効?!ー
- 株主総会を開催しましょう。会社法上で決められているので、決算報告や剰余金の分配等を株主総会で審議することによって初めて法的に有効となります。
- 仮に株主総会を開かないで、株主総会で決めるべき事を決めないとしたらどうなるかと言いますと、その決め事は法的に無効となります。
- 株主総会は、原則決算月の申告期限内(2ヵ月以内)に開催する事になっています。この総会で計算書類の承認を受ける事になります。
- 開催場所は、どこでも開催できます。
- 株主総会招集は、非公開会社であれば総会開催日の1週間前までに招集通知をすればよいことになっています。通知方法は書面ではなく、口頭や電話でもOKですが、後日トラブルの恐れがあるので、要注意です。
- 総会終了後、議事録を作成しなければなりません。保存は10年になっています。
- 計算書類は、公告の要有りです。
方法は、
イ、官報に掲載する方法
ロ、日刊紙に掲載する方法
ハ、電子公告
今月の税務ポイント
ー消費税を知らないと損ばかりする?!ー
- 消費税の誤りやすい例として、軽油引取税・ゴルフ場利用税・温泉の入湯税は消費税が課税されないので、交際費等の科目にする時は、不課税としてください。以外と誤りが多いです。
- 又、クレジット会社へ支払う手数料も小売店などで、消費者がクレジットカードで代金を払うケースがあります。その際、店はこの代金の債権をクレジット会社に譲渡します。この譲渡は、非課税とされます。従って、それに伴う実質回収手数料は非課税売上に係る金融費用として非課税とされます。
- 自動車購入時の自動車リサイクル料金は、法人税では支払時に預託金として資産計上し、廃棄時 点で費用化する事となります。ついうっかりミスが出るところです。
因みにリサイクル料金の中味は、
イ、シュレッダーダスト料金
ロ、エアーバック類料金
ハ、フロン類料金
ニ、情報管理料金
ホ、資金管理料金
となっています。
尚、支払時資産計上分はイ〜二までの分で、ホは支払時費用処理で課税仕入となります。