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更新日 2023-02-02 | 作成日 2021-01-13

12月の特集

経営について

今回は利益と資金との関係を見ていきましょう

○ 売上があり、帳簿上利益が出ていても、実際は現金がなく借金や仕入の代金が払えない場合があります。これは売上=現金となれば、上記の件の支払いは問題ないが、信用取引で後から入金となる事があるため、このような現象が起きます。要は利益と資金とは一致しません。

表にしますと



○ 例えば売上があっても資金が不足する例として
(設例1)A社の当月の営業結果から、損益計算書、資金繰り表は次のようになります。
●売上  1,000万円 代金翌月入金
●仕入   600万円 代金翌月払い
●経費   300万円 代金当月払い




○ 従って売上を増やすだけでなく、資金回収もしっかりやるとの意識を持って、ビジネスをしなければなりません。

例として
(設例2)翌月、A社は売上1,950万円(うち売価1,000万円を950万円に値引き)で翌月入金とし、仕入についても値引きなしの1,200万円で翌月払いとしました(先月の営業結果は設例1のとおり)。
●売上 1,950万円 翌月入金
(今月は先月分の入金が1,000万円ある)
●仕入 1,200万円 翌月払い
(今月は他に先月分の支払いが600万円ある)
●経費  300万円 代金当月払い



結局、常に資金回収を念頭に置いて、売上を観ている必要があります。

税務について

年末調整でよくある間違いを見ていきましょう

○ 年末調整の対象となる人は、次の要件に該当する人です。

① 「扶養控除等(異動)申告書」を提出している

② 本年中に支払うことが確定した給与総額が2,000万円以下(非課税の給与は除く)である

③ 災害等にあったことにより給与等に対する源泉所得税の徴収猶予や還付を受けていない

④ 1年を通じて勤務している、あるいは年の途中で就職し、年末まで勤務している
※中途入社の場合は、前に勤務していた会社の源泉徴収票が必要です。

○ 控除対象配偶者、扶養親族などは、本人に記入してもらってください。会社の担当者が、本人に成り代わって記入し、後で聞き違い、書き間違いで思わぬ損害を当の納税者に与える事になり、無駄な税金を払う事になります。扶養親族の異動、生年月日、本人の個人情報(例:寡婦等)には気をつけましょう。

○ 細かな事ですが、以外とミスが多いのが、給料収入と給与所得を誤解している事です。

○ 子供のアルバイト代が把握できていない。

○ 本年中に亡くなった方を、控除対象からはずしている→誤り

○ 70歳以上の同居老親の対象者が漏れている。もったいないです。

○ 特定扶養親族の対象者洩れがある。これはちょっと気をつければ防げる。

○ 老人ホームに入居している親を同居老親にしている→誤り

○ 障害者控除の「左記の内容」欄が漏れている。

○ 寡婦・寡夫控除漏れがある。

○ 保険料控除申告書に必要な控除証明書を添付してください(コピーは不可)

○ 保険の種類が存外間違っている。

○ 生命保険料の控除証明書によく目を通しておいてください。「一般」「個人年金」

○ 長期損害保険料の経過措置による控除を忘れている


―年末調整チェックリストー
① 年末調整の対象となる人、ならない人の選別はすませたか

② 扶養控除等申告書、保険料控除証明書などの提出期日を決めて、社員に早めに配布したか

③ 各種控除申告書等の記載方法や、控除に必要な添付書類の入手方法について、社員に十分説明したか

④ 確定申告が必要な場合の各種の控除について社員に説明したか
・ 災害や盗難で被害を受けたときの雑損控除や、災害減免法による所得税の減免
・ 多額の医療費を払ったときの医療費控除
・ 平成21年中に住宅を新築・購入し居住したときの住宅ローン控除など

⑤ 配偶者など扶養親族に所得がある場合、今年1年間の所得金額を社員に確認してもらったか

⑥ 社員から提出された書類等の記入漏れや、添付書類の不備がないかよく確認したか

会計について

今回は個人事業者の必要経費について話しをしましょう

○ 個人では、所得を大きく10種類に分けます。この分け方如何によって、結果的に税額が大きく変わってきます。身近な所得として事業所得があります。これは農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、医師、弁護士等事業によって得られる所得を言います。

○ 個人事業者の収入(総収入金額)は、商売による売上や商売に伴って得た収入が該当します。

「収入(総収入金額)になるもの」
① 事業による売上

② 商品を自家消費や贈与したときのその商品価格

③ 従業員への貸付金の利子

④ 仕入割引やリベート

⑤ 空箱や作業くずなどの売却代金

⑥ たな卸資産の損失による保険金や損害賠償金

⑦ 金銭以外の物や権利などによる収入

⑧ 買掛金の債務免除益

⑨ 雇用調整助成金、定年引上げ等奨励金 など

○ 個人事業者は、自分の店の商品を自分や家族のために使ったりあげたりした場合も売上に計上しなければなりません。金額は販売価格の70%相当分か仕入価格のいずれか大きい金額となります

○ 必要経費になるもの、ならないものがある事は承知と思います。支払えば何でも費用となるとは限りません

ー例示を示しますとー
業務上の経費(必要経費になるもの)

① 売上原価(販売した商品の仕入代金)

② 給与、賃金(福利厚生費を含む)

③ 事業用資金の借入金の利子

④ 交際費(個人的なものを除く)

⑤ 広告宣伝費

⑥ 貸倒引当金

⑦ 事業税

⑧ その他、業務に必要な費用 など

家事費(必要経費にならないもの)

① 自分や家族の生活費

② 家族で食事に行った費用

③ 医療費

④ 娯楽のための費用 など

○ 家事関連費の件ですが、建物を店と自宅とで併用であったり、車両を事業と私用で使用したりと混在している場合があります。これを実状に応じ必要経費に対応する分もあるわけですので、合理的な按分基準で区分けをする必要があります。

ー家事関連費と按分方法とはー



按分方法が詳細であれば、それに越した事はないですが、いずれにせよ出来る限り証拠資料はちゃんと保管してください。

○ 最後に家族に支払う家賃や給料についての注意事項
原則、家族労働は必要経費となりませんが、青色専従者届け出をだす事でOKとなります。但し、届け出を出したとしても適切、妥当な金額である事は言うまでもありません。尚、専従者給与を採用しましたら配偶者控除、扶養控除は使えませんので念のため

―青色専従者給与の要件―

・15歳以上の親族であること

・1年のうち、6か月超の期間、専らその事業に従事していること

11月の特集

経営について

今回は、売掛金の回収漏れを如何に防ぐかについて話をしましょう

○ 昨今の不況は予想に反し、誠に厳しいものがあります。特に中小企業は資金繰りに窮しています。その中で、まずは売掛の回収をいかに図るかが鍵となってきます。

○ 回収なくして売上なしとは良く云われる言葉ですが、企業にとってこれは生命線です。売り上げを如何に上げても回収がなければ企業は立ち行きません。回収がままならない企業は金融機関も相手にしません。

因みに滞留債権の多い会社として、



○ では、売掛金管理の基本は、イ、集金だと集金日には必ず行く、ロ、振込なら常に口座を確認することです。遅延があれば直ちに取引先に連絡し、その理由を質し即対応することです。回収には厳しいとの姿勢を見せる必要有り。この事が、支払の優先順位を上げさせる要因となります。回収担当者に任せ切りにせず、具体的に遅延理由、対策、回収予定を報告させるようにしてください。任せっ切りはいけません。結果は、未回収です。
回収遅れの原因として、以下のことがあります。



○ 滞留売掛金の管理は、どうするかですが、中小企業では何もしていない場合が多く見られます。まず、経理担当者が、「売掛金の年齢調べ」をし、実態を把握し、直ちに社長、営業担当者に事の子細を説明し、速やかに行動すべきです。この年齢調べは、要はいつ発生したかを知る事によって損失を最小限にしようということです。また、これにより、取引の仕方も工夫し、例えば取引額を減らすとか、現金のみにするとかをする事です。業種によって異なりますが、6か月以上回収されないのは、まず無理と思ってください。残念ですが。こうなると、先方よりも当方のほうに問題ありと。即ち、売掛金管理体制に不備があると。いずれにせよ、最終的には法的手段に訴えることになりますが、慎重を要します。



税務について

災害にあった時の税務上の措置について、お話をしましょう

○ 昨今の気象異常は尋常ではありません。突然に集中豪雨となったり、急に寒くなったり、暑くなったりと、人智を超えた気候となっています。そんな中、会社が災害に遭い、工場や商品が被害を受けることもしばしばです。何か国がこの件に関し面倒を見てくれるのでしょうか。

通常はダメですが、

災害を受けた建物、機械、商品などは評価損を計上できます。
そして、災害を受けた固定資産の修繕費用も経費にできます。もちろんそうでないとやはり困りますので。

具体的には、



○ 個人が災害に遭った場合はどうでしょう
同様の事が生じた場合、確定申告をする事によって、所得税を減らせます。この場合、イ、所得税の雑損控除か、ロ、災害減免法による税の軽減いずれか有利なほうを選択できます。
違いは、



○ 災害による申告・納税期限の延長や納税猶予があります。当たり前ですが。





○ 消費税についても災害によりたな卸資産や業務用資産に多額の出費がなされる場合、簡易課税だとこの出費分が加味されませんが、特例によって本則で計算は可能です。また逆の場合で、災害により事務能力低下により本則での計算が不可の場合は、申請により、簡易課税を受けることができます。

○ 固定資産税の減免制度も同様にありますので、災害に遭った時は市区町村へ問い合わせしてください。

会計について

社内旅行、忘年会、お歳暮は交際費?

○ さて、夏も終わり、季節は秋そして冬へとまっしぐらに突き進んでいますが、いよいよ行楽のシーズンとなり飲み食いの機会が増えます。企業では、社員旅行も不景気なので控えているところが多いとは思いますが、士気向上、社員への慰労で実施するところもあります。次の条件を満たせば損金OKです。



○ 今時豪華な(基準が難しいですが)ホテルでという事はないですが、過分(?)な場合は、交際費か給与になる可能性大です。やれやれ。資料保存は大事です。



○ 気をつけなければならない事として、社員旅行に行けない社員に、旅行費用分を支給したり、旅行券を支給したりしますと、給与となる可能性があります。今時、こんな事をする企業もないとは思いますが。

○ 旅行先で、一部の社員だけ会社負担でゴルフコンペをやると給与となります。また、役員のみ対象の旅行も給与となります。更に、成績優秀社員を表彰旅行に招待すればこれも給与あるいは賞与となります。気をつけたい事柄です。

○ もっとも、永年勤続者表彰記念旅行、観劇は以下の条件をクリアしていれば損金OKです。



○ 忘年会時の注意事項
慰労名目で、役員、幹部社員だけの忘年会は交際費。
社内での忘年会後、一部の社員での会社持ち2次会も交際費。
一部の部署だけでの忘年会で、1人当たり5,000円以下の飲食費や、自社内での役職員だけを対象にしたものは、これも交際費あるいは給与。
もっとも、忘年会でのビンゴゲームの賞品の費用は、社会通念上であれば福利厚生費OK。

○ お歳暮、贈答品は意外に勘違いが多いが、これは例え5,000円以下でも飲食でないので、交際費。また、ハムや缶ビールなども交際費。但し、名入りカレンダーなどは、宣伝効果があれば広告宣伝費です。意外と色々と、細々と決められています。実際の場面ではよほど注意していないと誤ってしまうケースです。

最後に、



となりました。

10月の特集

経営について

今回は黒字企業の社長の特徴について説明をしましょう

○ 要は黒字化には、商品力、販売力、企画力等が問われますが、その前に黒字会社の社長の特徴として以下の特徴がみられます。

○ また、更に黒字企業の社長は朝早く出社するのが大きな特徴として挙げられます。これは、社員に模範を示すと同時に社内をきゅんと絞めて企業を1つの目標に向かって進めていく心理的効果があります。また、何と言っても社長が健康で元気のある証拠となります。

○ 社長の出勤の遅い弊害として、例えば客からのクレームが社長の耳に入るのが遅くなり、それだけ対応が遅れ、結果社長の働きぶりも緩慢になり業績も下がってくるというものです。

○ 亦、社長の公私混同は、社長の、企業の説えていることが、十分に社員に通じず、逆に企業の全体の空気に乱を生じ、社員はそれだけやる気をなくし、結果的に業績が下がることになります。

○ 黒字企業の社長は、現在の混迷な時代だからこそ進むべき明確な目標を達成すべく企業の経営計画を立て、羅針盤をしかと用意し、企業を一つの活気ある組織体に仕上げていきます。

法務について

今回は、ハンコを押す意味を知りましょう

○ 我が国は、ハンコ社会です。ついうっかり、例えば、手形用紙に面倒だからとハンコだけを押しておいたため、後で金額を誤って記載し、その金額で落ちてしまったという事が生じてしまうことがあります。気をつけたいですね。

○ では、企業で使うハンコはどのようなものがあるのでしょうか。以下に記載します。



○ よく契約書に認め印を押す場合があります。これでも法的には全く問題ありません。認め印だからと言って、ま、いいかと適当にはいきません。気をつけましょう。では、認め印と実印の違いはなんでしょうか。実印は本人が確実に押印したことが公的に証明される事です。認め印は証明力としては弱いですが、証明できれば効力は同じです。

○ 現場で、「署名」ないしは、「署名押印」との言葉をよく目にします。法的効力としてはどうなのでしょうか?結果として、法的効力は同じとされていますが、記名だけで押印がない場合は署名と同等の効力は認めていないので注意してください。いずれにせよ「署名押印」であれば証拠力は一層増します。
注)尚、署名は文書に自分の名前を手書きすること。
記名は、ゴム印、印刷、他人が代書など署名以外の方法で氏名を記載すること。

○ 適切なハンコの押す場所はどこでしょう。
これも意外と知っているようで知らない人が多くいます。
表を見てください。③が正解です。法律上の制限はありませんので、念のため。



○ ハンコの管理について
要は、企業の実印と銀行印は社長が管理すべきです。尚、チェックリストを記載しますのでチェックしてみてください。






税務について

今回は、修繕費についてお話をしましょう

○ これは、常に悩ましい問題を抱えており、当局、納税者、そして職業会計人、3者共々少々頭の痛い問題です。

○ 通常修繕費というのは、その固定資産の維持管理と原状回復をするために行うのであり、これは通常必要なものと捉えているのです。しかし現実の問題として、維持修繕して原状回復することが、その資産の耐用年数を延ばしたり、その資産そのものの価値を高める領域に入るものがあれば、これはどうなのでしょうかとの疑問は直ちに湧いてきます。ただ、その境目は、判然としないのが、現実なのではないでしょうか。

○ そこで、税の世界では具体例を出して、いわゆる修繕費として損金にできるものと、費用ではなく資産としてみる例を表示しています。

修繕費の例



資本的支出の例(資産)



○ 例示でも、全てを把握出来ませんので、税の世界では俗にいう形式基準を設けフローチャートとして表示しています。




○ 尚、災害の場合は特別な事象でしょうから具体例を出しています。

○ 実務上、気をつける事として、請求書等、文書に書かれている文字で判断するのではなく、実態はどうなのかという事に焦点を合わせてください。どうしても、文章化されているものに目が行き、実態を見落としがちなので要注意です。当然税務調査も想定しなければなりませんので、使用前、使用後ではないですが、修理前、後と視覚に訴えるべく写真を撮ったり、修理内容のわかる資料の保存が急務です。逆に先手必勝ではないですが、事前に内容を吟味し、検討しておく事が肝要かと思います。


9月の特集

経営について

今回は社長と会社との金銭の貸し借りの手続きについてお話ししましょう

◎ 中小企業は日々資金繰りに窮しており、突如会社にお金がない場合、社長個人から用立てる場合がしばしばあります。もちろん会社と個人は別物でお金の貸し借りは自分の会社であっても金銭消費貸借契約書を作成しなければならない事は大半の社長は承知していると思います。ですが、しばしば生じるのでいちいち作成していられないのが本音かと思います。しかしながら、課税当局は全て善意に見ないことが立場上の勤めとなっています。即ち、資金繰りの困難のためでしょうが、そうでない場合もあり、行政を司る立場としては全て「ま、いーやいーや」とは出来ないわけです。

◎ 従って、課税当局と無用なトラブルを避けるため、取締役会の承認を得て、表1のような内容で契約書を結んでください。特に金利の問題では、社長が会社から受け取る利息については表2の事を注意し、逆の場合(社長が会社に支払う利息)は表3の事に注意してください。

表1

表2


表3


◎ ただ社長の自宅が自然災害で被害にあった分や病気等で会社から資金の用足しをした場合は仮に無利息でも問題はありません。

◎ また、長期に渡って社長が会社からお金を仮払いのままにしている場合は課税当局は強い関心を示し、場合によっては貸付金や給与とし、税金に搦めてきますので、速やかなる経理処理が大切です。

税務について

今回は印紙税のうっかりミスについてお話しをしましょう

◎ 収入印紙はついうっかりミスで貼り忘れたり、金額が違ったりと意外と納税者を煩わすものです。しかし、そのつけは大きく、貼り忘れがあるとペナルティが本税の2倍で、結局3倍となります。やれやれです。
◎ では、課税となる文書は何かですが、形式は問わず、文書の中味で判断します。非・課税の文書例は以下の通りです。


◎ 金額の判定はどうするかですが、消費税込みの金額での表示ならそれが、税抜きの金額での表示で消費税が明らかになっていれば税抜きの金額が対象となります。

◎ 貼り忘れや金額不足に気づき、その時点で納税すれば1.1倍の税金で済みます。

◎ 印紙税は消印して初めて納付となるので、必ず消印してください。

◎ 契約書に収入印紙がなくても契約書自体は有効です。印紙の貼れない電子文書は印紙税は不要です。

◎ 貼り間違った時は税務署に持っていき「印紙税過誤納確認申請書」を提出し、貼り間違い文書、代表者印、通帳も持参してください。

◎ クレジットカードでの支払いの領収書は収入印紙が不要です。

◎ デビットカードでの支払いの領収書は金額が3万円以上であれば印紙税がかかります。

◎ 収入印紙を購入した時の消費税は郵便局では非課税で、金券ショップでは課税となります。いずれにせよ業務時にはさほど緊迫感はないですが、調査の時にどっきりする場合がありますので、普段も気を付けておきましょう。

法務について

今回は連帯保証の話しをしましょう

◎ 中小企業が金融機関から借入れをする場合、経営者は必ずと言っていい程、連帯保証をさせられるケースがあります。また、取引上連帯保証を頼まれる場合もあります。スムーズに返済をしている場合は何もありません。

◎ しかし、そうでない場合は大事(おおごと)になります。通常の保証人ですと、借りた人が弁済不能になった時のみお金を貸した人に責任をとれば良いのですが、連帯保証人の場合はそうはいきません。いきなり債務の弁済を求められても拒否はできません。直接借りた人と同じ状況となります。

◎ ケースその1
父親が生前兄弟の連帯保証人となっており、その状態のままで相続を迎えました。この連帯保証人の責任はマイナス財産として法定相続人に相続されます。では対策はというと大きく三つあります。

1つ目は、プラス財産の範疇で収まる少額のものは、そのまま相続する事です。

2つ目は、マイナス財産の方がプラス財産よりも多い場合は相続開始を知ってから3ヶ月以内に相続放棄を裁判所に申し出る事です。

3つ目は、被相続人がなくなってから3ケ月以内に全員の合意のもとで限定承認をするという手もあります。限定承認とは、被相続人の債務がどの程度あるか不明で、プラス財産が残る可能性もある場合等に、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐことです。

◎ ケースその2
取締役A氏は会社が金融機関から資金を借り入れる際、連帯保証人となり、その後、会社を辞めることになりました。会社の取締役を辞めても連帯保証は続くと思ってください。解消したいのであれば、会社を辞めた時点で、金融機関に申し入れ、連帯保証契約の合意解約をもらう必要があります。では、仮に父親の死亡後数年経って突然に相続人にかつての父親の連帯保証の弁済が来た時はどうでしょう。原則的には債務を負わされます。ただ例外的に相続放棄が認められる場合がありますので、即弁護士に相談してください。

◎ このように、連帯保証は大変に恐ろしいものです。連帯保証人になった時は自分(連帯保証人)が借金を負ったと同じ覚悟が必要である事は自明の理です。

8月の特集

経営について

今回は在庫についてお話しをしましょう

◎ 在庫とは「販売を目的として保有・製造中の財貨または用役」のことを言い、これなくしては企業活動は成り立たず、これが企業の富の源泉となっています。

◎ 企業行動として、通常は品切れを防ぐため多めに在庫を保持しようとします。しかし、景気変動により結果的に過剰となる場合があります。

◎ 過剰在庫とは、必要以上に在庫があるという事ですが、これは、お金が眠っている状態で、資金繰り悪化の一因となります。また在庫保管場所のコストもばかになりませんし、長期滞留により、品質の劣化を呼び、他社での新商品登場で商品価値を更に落とすことにもなります。

◎ ではどうすれば良いのでしょうか。適正在庫期間なるものを設定し、これ以上は在庫を持たないようにする事も一案です。計算式は以下の通りです。

ただ、ディスプレイ用の商品や、在庫として長期保存しなければならないものもあるので、一概にはいかない分もありますが、要は適時、在庫の中味を把握する必要があります。

◎ 従って、1年に1回とは言わず、定期的に実地たな卸をし、実情把握をする事が必要となります。即ち、過剰在庫か不良在庫か、売れ筋商品が適正にあるか、破棄すべき在庫があるか、はたまた預け在庫があるか、移動中のものがあるか等を速やかに知る事であります。しかし実際は、思うようにいかず、全て「だんご」になっているのが実状です。まずは、会社にとっての優先順位をつけていく事が肝要だと思います。(例:保管場所、保管の仕方、担当者はりつけ等)

◎ では、明らかに不良在庫となったものはどうすれば良いか検討しましょう。
イ.返品が可能かどうか仕入先と交渉
ロ.再加工は出来ないか
ハ.思い切って安くして売れないか    等です。

<適正在庫のチェックリスト>

法務について

今回は中小企業の研究開発、教育訓練を応援する税額控除制度についてお話しをしましょう

まず、人材投資促進税制についてです

◎ 中小企業にとってもっとも重要なものは人材です。これにかける費用の一定割合を税額控除できる制度です。

◎ では実際にはどれくらい税額控除されるのでしょうか。
当期の労務費に占める教育訓練費の割合に応じて教育訓練費の総額の8~12%が税額控除となります(当期の法人税額の20%が限度です)。
平成19年以前までは、過去3年間で増加した分のみの訓練費しか対象になっていませんでしたが、20年度からは単年度で教育訓練費がある一定の金額以上(0.15%)に達していれば利用できるようになりました。

◎ 対象となる研修費用は以下の表にまとめてあります。



◎ では、正社員のみならずパートはどうなのでしょう。契約社員、パート、アルバイトでもOKです。但し役員、個人事業主、使用人兼務役員、入社内定者は除外です。

◎ 法人住民税も、結果的に法人割分は税額控除後で計算しますので、やはり安くなります。
次に研究開発促進税制についてです

◎ 製品の製造、技術の改良、考案あるいは発明にかかる費用が対象です。
       原材料費:研究のための材料費、部品代
       人件費:研究に携わる従業員の給料や賞与
       経費:研究設備の減価償却費、水道光熱費
       外注費:外部へ試験研究を委託した費用


<企業の創意工夫や研究開発等によるイノベーションに関する実態調査>

◎ ではどのくらい控除できるのでしょうか。
試験研究費の総額の12%と、これとは別に計算した2つの特例(②、③)のいずれかを選択します。

<試験研究費の税額控除制度>

実際の問題として、中小企業の場合は通常の製造工程作業分と試験研究工程分とが「ごっちゃ」になるケースがありますので要注意です。

労務について

今回は雇用維持のためにやるべき事あるいはやれる事についてお話しをしましょう

◎ 昨今の景気急降下は予想以上のものであり、特に財務体質の軟弱な中小企業では売上高の急減は即存続の危機に直面してしまいます。そのような時往々にして経費節減のために従業員の解雇が頭の中に浮かんできます。しかしこれは、従業員の士気の低下、さらなる業績悪化とますます自分の首を絞めることになるので、実際は、残業カット、次に採用抑制、賃金調整そして最後に解雇が多いようです。

◎ 生き残り策その1として
残業削減について
本当に必要な残業か?ムリ、ムラ、ムダの結果として残業があるのか、業務内容の吟味をする必要があります。いわゆる業務の効率化を中心に据えて業務内容を見直す事です。

◎ 生き残り策その2として
一時休業は、会社の都合で自宅待機や教育訓練との形を取り、一定期間業務停止をする事です。例えば週休2日を3日にするなどです。

◎ 生き残り策その3として
一時的に休ませるとしても、売上減の状況下、休業手当を支給しなければならないので、会社としては相も変わらず資金流出には違いはありません。そこで、「中小企業緊急雇用安定助成金」などの助成金を申請する方法もあります。これは従業員の解雇という手段を取らずに雇用を維持した場合に、休業手当又は賃金の4/5まで助成されるものです。

◎ 解雇とは、経営者が一方的に従業員との間の労働契約を破棄する事を意味します。これは従業員にとっては死活問題なので、客観的合理的な理由がなければ解雇は出来ません。経営不振を理由にしての整理解雇が出来る条件を以下の表に挙げていますので参考にしてください。

また、チェックリスト表も設けましたのでご覧ください。

<雇用維持のための検討事項チェックリスト>

お役立ち本の紹介コーナーです。

最後に今回の御勧め本は『「マネージメント・パワー」で強くなる社長の経営力』(万来舎)です。社長の考え方一つで、儲かる会社にもなるし、その逆も有りとの事です。社長自身、マーケティング、商品、人材、成長性、財務、経営管理、危機管理のそれぞれの局面に対し、生き残りをかけて、真摯に吟味しているかの詳細が書かれています。特に経営者は一読の価値があります。

7月の特集

経営について

経済危機対策についてお話しをしましょう

◎中小企業の資金繰り支援策
イ.緊急保証制度(信用保証協会)の拡充
  規模拡大 20兆円→30兆円
  据置期間の延長 1年以内→2年以内
  無担保で8,000万円を超える保証も相談可

ロ.セーフティネット貸付の金利引下げ(日本政策金融公庫と商工中金)
  規模拡大 10兆円→17兆円
  無担保・無保証人融資の金利引下げ
  関連企業倒産による経営困難な中小企業への金利引下げ

ハ.雇用促進資金の金利を0.4%引下げ
  日本政策金融公庫による金利引下げや対象企業の拡充

ニ.マル経融資の融資限度枠を1,500万円に引上げ、返済期間も拡大
  限度額 1,000万円→1,500万円
  貸付期間 運転資金 5年→7年
  設備資金 7年→10年

ホ.倒産防止共済の一時貸付金の金利を0.5%引下げ
  金利 1.5%→0.5%
  適用期間 平成22年3月31日まで中小企業基盤整備機構が受け付けたものが対象

◎中小企業の雇用維持のための助成金
 景気変動により生産減少、事業縮小がやむを得ない時、従業員を解雇せず、休業により雇用を維持
 した場合の中小企業緊急雇用安定助成金の助成率を8割から9割へと上乗せします。

◎派遣労働者1人につき45万円の助成金を支給
 有期契約労働者と派遣労働者の雇用維持のために、残業の大幅な削減を行った事業者には助成金
 が出ます。
   有期契約労働者1人につき 30万円(年間)
   受け入れている派遣労働者1人につき 45万円(年間)

◎税制による支援
イ.交際費への損金不算入制度について
  資本金1億円以下の法人の定額控除限度額 400万円→600万円

ロ.贈与税の非課税枠を500万円に拡大
  20歳以上の者が直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた時は、500万円まで贈与税の
  非課税枠が使えます。暦年課税、相続時精算課税制度と合わせて適用する事が可能です。

※適用対象となる住宅の取得等の範囲は、現行の住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例と同様

法務について

今回は倒産についてお話しをしましょう

◎景気が最近めったにお目にかかった事がない程冷え込んできています。得意先の倒産も考えられる
 状況になってきました。その時の対応をケースごとに考えていきましょう。

◎得意先が倒産したとの情報が入った場合
イ.まず相手先の商業登記簿謄本を取り寄せ、本社所在地、資本金、代表取締役、その他の取締役等
  の確定をしましょう。次に不動産の登記簿謄本を取り寄せ、不動産に関する情報をキャッチ
  しましょう。
  次に、会社の代表者、責任ある人と会い、その人物を見極めて下さい。最後にその会社の
  経営状況、他の債権者の動向を把み、債権回収の状況判断をしてください。

ロ.ここで気をつける点は、相手の人物の見極めをしっかりとすることです。出来れば、
  そういう会社とはお付き合いをしなければよいのですが、そうはいかないケースが多いので、
  取引後のフォローも大切です。

◎会社でなく個人が倒産した場合
 まず身分を証明するもの(例 運転免許証、パスポート)や住民票を取り寄せ、本人の所在を
 明らかにします。そして出来れば、その他担保として取れる資産の有無を確認してください。
 難しいですが。

◎得意先が破産申し立てをした場合
 このケースは破産管財人に任せるしかありません。管財人は資産を換価処分し、支払うものを
 支払い、残ったものから管財人の報酬、破産会社の延滞税分を支払います。その残りを債権者同士
 で分け合う事になります。小規模破産は、残余分はまず残らないと見てよいでしょう。
 尚税務署は債権回収不能と認めるので、売掛金の損金算入は可です。但し、管財人ないしは
 裁判所から「破産債権届出書」が来ますので、必ずそれに記入し、管財人に提出する事を
 忘れないでください。

◎得意先がまだ破産申し立てをしていない場合
 まずは速やかに支払をするよう請求する事です。面談も電話もとにかく速やかに行ってください。
 いずれにせよ、こちらで何もしないとどんどん支払順位が遅れ、結局支払ってくれない事も起き
 得ます。従って、請求書送付だけでなく、直接面談し経営状況、支払計画等を聞き、速やかに
 支払うよう相手に促す事です。弁護士からの督促は支払順位が上がる良い方法ではあります。

◎相手が支払いを約束したが即金でない場合
 この場合、まず「債務弁済契約書等の契約書」を締結することになりますが、これで万全では
 ありません。金銭債権の不履行があった場合に備えて「強制執行認諾文言付公正証書」を作成
 すべきです。これはかなり効果的です。
 また、物の引渡しの際の即決和解も方法としてあります。これは簡易裁判所を利用する
 「訴え提起前の和解」の事です。これはかなり効果的です。弁護士をたてなければなりませんが、
 不履行のときは直ちに強制執行の手続きが取れます。

労務について

業績悪化を理由に労働条件を見直す時の注意(就業規則、労働協約もない場合)についてお話ししましょう

イ.業績悪化でいきなり賃金を下げたりすると不利益変更と言いトラブルのもととなります。
  必ず事前に労働者と相談し、業績悪化による賃金(給料含む)引下げの代わりに他の労働条件を
  有利にする等慎重な対応が必要です。いずれにせよ、中小零細企業では全てに余裕がないので、
  労働者が納得いくまでよく相談をしてください。

ロ.就業規則の作成・変更による不利益変更の方法
  中小零細企業では、就業規則によって労働条件の不利益変更を行う際には十分に注意
  してください。
  就業規則不利益変更の8つのステップ(就業規則がない場合も同様の手順)

① 現在の労働条件のうち何を変更しようとしているのか、変更によって何が解決されるのか
  ということを明確にする。

② 変更内容について、労基法等の法定要件をクリアしているか確認する。

③ 社員全体と特定層(例えば55歳以上の社員等)に及ぼす不利益の程度を比較し、
  なぜそうなるかの合理的な説明が可能かどうか検証する。

④ 不利益変更を補うための労働時間の短縮・その他福利厚生案等の代償措置や調整期間を設け、
  徐々に賃金を引き下げる等の経過措置を講じることを検討する。

⑤ 社員過半数代表者等との変更内容についての説明・交渉を十分に行う。

⑥ 不利益を被る社員の意見にも耳を傾け、個別に配慮が可能であれば、調整する。

⑦ 非組合員・管理職の他、パート、アルバイトといった非正規社員も含め、会社の経営事情・変更
  される労働条件の説明を決算・経理資料などを元に行う。

⑧ ①から⑦を誠実に行ったとしても過半数以上が反対している制度変更の実行は難しい
  ということを念頭におき、制度変更の内容を抜本的に変更し妥協点を探る。


お役立ち本の紹介コーナーです。

今回の金融恐慌の仕掛人は誰かが分かる本をおすすめしましょう。
成程そうだったのかと思わずにはいられない内容であり、今日の経済不況も合点のいく記述です。
詳細な内容は読んでからのお楽しみです。

『資本主義崩壊の首謀者たち』広瀬隆著、集英社新書


6月の特集

経営について

今回は決算を黒字化するにはどうしたらよいかをお話しをしましょう

◎20年3月期の法人の決算の赤字割合は約7割に達しています。今後更に悪くなる事は間違いありませんが、このまま手をこまねいているわけにはいきません。「2期連続赤字」「債務超過」ですと、金融機関は「要注意先」から「要管理債権」となり、一括返済を迫ってくる場合があります。こうなってはおしまいです。

◎では、業績をアップさせるにはどうしたらいいのでしょうか。
まずは身近な事から始めるとすれば、現場に行ってみる事です。そして現場に行けば経営者ならではの気付きがあり、問題点、顧客ニーズに直接触れることができます。そこから赤字脱出の糸口が見つかると思います。

参考例

その1 内装工事業を営んでいるケースですが、お客の工務店の現場監督からしばしば仕様変更や追加が入り、いわゆる段取りの悪さ、手間暇の多さで結果的にコストアップとなっていました。改善策として、仕様変更等については、直接、社長決裁とし、現場の負担をなるべく軽くする事によりコストダウンを図りました。

その2 魚の卸売業を営む会社ですが、魚をさばく時にまだ売れる部分まで捨てていた事を現場にて発見し、直ちに改め、この部分も商品化した事により売上増に繋がりました。

◎黒字化に向けての現場のチェックポイント

税務について

今回は事業承継者の税負担を大幅に軽減する相続税、贈与税の納税猶予制度についてお話しをしましょう

◎次世代に事業を引き継ぐ際の障壁として、いわゆる自社株に対し、重い税金(相続税)がありました。これを何とかしなければ、日本の経済の裾野を支えている中小企業が致命的打撃を受け、日本経済が沈没しかねません。

◎そこで国は、21年度税制改正で先代の経営者が後継者(親族)に自社株等を相続や贈与した場合、その納税を猶予する制度を創りました。この猶予された税金は、一定の条件を満たす事により、最終的には免税となるようにしました。

◎まず、後継者への生前での一括贈与がやりやすくなりました。これは株式等(一定の部分のみ)にかかる贈与税の納税を猶予し、先代の相続発生時までその株式を持っているなど、一定の条件の下、猶予した贈与税が免除となるものです。かなり良いものですが、いくつかの厳しい条件が付与されていますので要注意です。

(注意)
・一括贈与であること(後継者の既保有分と合わせて議決権株式の3分の2に達するまでの部分)
・先代は役員を退任
・後継者は20歳以上で役員就任3年以上
・贈与税額の計算は暦年課税
(基礎控除後で、例えば1,000万円超の部分は最高税率の50%になります)

◎猶予中の贈与税は先代の経営者(贈与者)が亡くなった時に免除となります。先代の相続時、その贈与された株式等は、一旦相続時に贈与時の価格で組み込まれますが、相続税の納税猶予の特例の適用を受ける事で相続税の軽減を図れます。この内容は、後継者が先代から自社株を相続した時、経営者として経営していく事を条件にその株式(一定の部分に限る)の80%に対応する相続税が納税猶予となります。

◎更に猶予された相続税は一定の条件の下で保有しその後経営者が亡くなった時、あるいは次世代の後継者に生前一括贈与した時は免除となります。先代経営者(一代目)→後継者(二代目)→次世代後継者(三代目)へと次々に株式等につき税の特典(納税猶予、免除等)が受けられます。中小企業者にとってはこれはビッグニュースです。

◎さて、納税猶予を受ける為には、まず中小企業基本法上の「中小企業者」でなければならず、また経済産業大臣の認定を受ける事の他に、先代経営者、後継者にも一定の条件があります。相続税、贈与税共々ほぼ同じ条件ですが、贈与税の方がより厳しくなっています。

●経営者(被相続人・贈与者)の主な要件
・会社の代表者であったこと
・経営者本人とその同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、かつ、後継者を除いた同族内で筆頭株主であること

●後継者(相続人・受贈者)
・先代経営者(被相続人・贈与者)の親族
・会社の代表者
・株式取得後、後継者本人とその同族関係者で、発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、かつ同族内筆頭株主であること

●対象となる株式
相続または遺贈、贈与で取得した株式と後継者がすでに保有している株式とを合わせて議決権株式の3分の2に達するまでの部分になります。(納税猶予の限度を超える部分については納税しなければなりません)

●経済産業大臣の認定
全国8か所にある経済産業局にあらかじめ「経営承継に関する計画的な取り組み」に関する書類を提出し、「確認書」を受領し、納税猶予を受ける前までに、「認定」を申請します。

※贈与税の納税猶予制度は、平成21年4月1日以降の贈与にかかる贈与税について適用されます。
※相続税の納税猶予制度は、平成20年10月1日以降の相続等にかかる相続税について遡及して適用されます。平成20年10月1日から平成21年3月31日までの間に亡くなられた方にかかる相続税については一定の要件を満たす場合に、その申告期限が延長されます。

税務について

今日は消費税についてお話しをしましょう

◎消費税は、取引が課税となるか、非課税となるか、はたまた不課税(対象外)となるかで税額が全く変わってしまいます。その意味で大変に怖い税金であり、事実誤りも大変に多いです。

◎例その1 
下請業者に支払った外注費ですが、これは非常にトラブルが多く、状況によって給与となりますと、源泉税漏れ、仮払消費税の否認と、後で多額の納税が押し寄せてきます。要は外注費か給与か、言い換えれば請負契約か雇用契約かという事ですが、以下の事柄の下で総合的に判断します。

・下請業者(受注先)に当社以外にも発注元がある
・当社の指揮監督を受けていない
・当社から材料、用具を提供していない(提供を受けているときはその対価を支払っている)
・下請業者が請負金額を計算している
・下請業者で使用人を雇っている
これは目安ですが、最低限次の事はかなり重要です。

・請負契約書(業務委託契約書)を作成する
・請求書を発行してもらう
・領収書を受け取る(収入印紙を忘れない)

◎例その2
営業用自動車をローンで購入した場合に気をつけなければならない事として、取引の中に課税と非課税になるものがある事です。

【課税取引となるもの】
・車両本体、付属品
・各種費用(検査登録代行費用、車庫証明代行費用、下取車査定料、資金管理料金など)

【非課税取引となるもの】
・自賠責保険の保険料
・自動車諸税(自動車税、自動車取得税、自動車重量税)
・法定費用(検査登録、車庫証明、下取車登録)

尚、車両購入時にリサイクル料を支払いますが、これは預託金として資産計上し、廃車時に費用化し、課税仕入とします。但しこの料金の中の資金管理料金は、支払時費用処理化で課税仕入となります。

◎例その3
クレジット会社へ支払う手数料は非課税となります。これはうっかりミスが多く、課税にしているケースが多いので要注意です。

◎例その4
親会社から子会社へ出向された社員の親会社へ支払う給与負担金は、給与と内実変わらないので、課税仕入とはなりません。また経営指導料と称しても、実態は変わらないので同じく課税仕入とはなりませんのでご注意の程を。但し人材派遣会社から受け入れた場合は、課税仕入となります。

◎例その5
工作機械をリースした場合、原則売買取引とみなし、リース総額をベースにして、リース初年度で全額課税仕入としますが、中小企業では売買取引にせず、賃貸借処理をし、毎月のリース料ごとに消費税を計算しています。この方が簡便なので、実務では多く使われています。これもOKです。

◎例その6
国や自治体に支払う行政手数料は以下の通りとなっています。

【非課税取引となるもの】
・登記料、特許料
・住民票、戸籍謄本等の取得手数料

【課税取引となるもの】
・公共施設の貸付けの対価や利用料
・水道施設利用権
・自治体に支払うゴミ処理料金

今回からスタートします、お役立ち本の紹介コーナーです。

『保険の神様が教える最強営業メソッド』著者トニーゴードン、アチーブメント出版㈱をお勧めします。

本の題名はおどろおどろしいですが、中味はいたってシンプルで、当たり前の事を当たり前にすればいいだけなのですが、これが凡人(?!)では出来なく、通常であればめげてしまうところをそれこそ執念(?!)で頑張るという類いです。なにせ、生命保険の勧誘(王?)ですので、お客に何回拒否されても、動じず、更に創意工夫をしてアタックするそのノウハウについて書かれている本です。「成せばなる、ならぬは人の為さぬなりけり」を地でいく本です。一読をお勧めします。

5月の特集

労務について

大不況下での雇用維持のための体質改善とワークシェアリングについてお話しをしましょう

◎大不況だからといって、特に中小企業は好況時には人が集まらないので、整理解雇をするのではなく皆で仕事を分かち合って、この大不況を乗り越えようとの発想です。これを実行する前にまず自社を見直してみましょう。以下のチェックリストを見てください。

◎ワークシェアリングの形態として3通りあります。

①労働時間の減少:労働時間そのものを減らす
②休日の増加:有給とは別の日を休日にする
③ジョブシェアリング:1人当たりの仕事量を減らす

◎ワークシェアリングを実行する際の留意点として

①従業員の協力が是非必要
②どの業種、職種でも可能とは限らない
③この制度が一時的か恒久的か
④職種ごとに職務を明確化する
⑤フルタイムとパートタイムを差別しない
⑥時間別の賃金を検討する

◎但しこの制度の最大のデメリットとして、高付加価値を生み出す従業員の時間をも削る事になり、結果的に給料も下がってしまうので士気の低下は避けられません。

◎また一時休業などで対応する中小企業もあります。これに対応した支援策として「中小企業緊急雇用安定助成金」(昨年12月創設)があります。その内容は、急激な資源価格の高騰や景気の変動などの経済上の理由による企業収益の悪化から、生産量が減少し、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業事業主が、その雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練、出向させた場合に、その手当や賃金等の一部を助成するものです。

※対象となる中小企業事業主

◎これは休業手当の4/5が助成されるものであり次の条件を満たしている経営者が対象となります。

①最近3ヶ月の売上高、生産量等がその直前3ヶ月または前年同期に比し減少している事。
②前期決算等で経常利益が赤字となっている事。(但し①にて生産量が5%以上減少している時は不要です。)

※1人1日当たり雇用保険基本手当日額の最高額が限度

◎尚、手続きは、休業、教育訓練、出向開始前までに、計画書を事前に届けた後、一定期間ごとに支給申請します。まずはハローワークで聞いて下さい。

税務について

法人税が戻ってくる?!

◎平成21年2月決算から、欠損金が出た場合、既に納付済みの法人税額を戻すことができる制度です。対象となる法人は青色申告所を提出する以下の法人です。

・資本金が1億円以下の普通法人
・公益法人等
・協同組合等
・人格のない社団等

◎注意すべき事項として
①還付所得事業年度から欠損事業年度について連続して青色申告書を提出している事。
②還付請求時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を添付する事。
③この制度は法人事業税には適用しないので、事業税の所得計算時には法人税の繰越還付はなかったものとして欠損金を繰越して計算する事。

◎この還付の方法でなく従前の「欠損金の繰越控除制度」ももちろんあります。尚、繰戻還付後の残額について、繰越控除制度を適用する事も可能ですので、念のため。

経営について

今回は、不況時の逆転発想についてお話しをしましょう

◎今日は昨日の続き、明日も今日の続きでは先が見えません。発想を変えて新たな顧客を見つけましょう。

◎例えその1:刻み海苔ばさみをシュレッダーばさみに用途変更したところ、たちまち売れ出した。調理用ばさみだったのですが、さっぱり売れず、ではという事で個人情報漏洩を防ぐためのシュレッダーばさみとしたところ、ばか売れしました。

◎例えその2:やはり個人情報の漏洩を防ぐためですが、アルファベット文字を組み合わせたスタンプを文字の上に「ポン」と押すだけで、判読不能にしてしまう商品がやはりばか売れしました。いわゆる「文字で文字を消す」という発想です。

◎例えその3:お菓子をミニサイズ化してついで買いをさせるという方法です。OLを中心に昼時お弁当のついでにちょこっと甘いものが欲しい時に、チョコレートが通常サイズの4分の1や手の平サイズで、しかも安い価格で売られており、やはりばか売れしています。反対にマクドナルドでは男性層をターゲットにしたビックサイズのメガマックがばか売れし、販売4日間で332万食となりました。ビックリ仰天です。

◎例えその4:親父のワンカップ大関からお洒落な日本酒へ変身することで売り上げ倍増となりました。日本酒に炭酸ガスを入れ、飲み口がよいように若干甘くした事が受け、売り上げ上昇中です。

◎例えその5:トランプは西洋のギャンブル用具との印象が強かったのですが、それを一掃すべく子ども向けトランプを作ったり、トランプをゲーム用に改造したりして、家庭の玩具化した事によりやはりばか売れしました。

◎例えその6:オロナインは、軟膏を使わない若年層に向けて液体タイプにしたところ、やはり売り上げが伸びました。

◎例えその7:PC用モデムカードを販売している会社がありましたが、さっぱり売れませんでした。どのメーカーのPCに対応するのか動作確認した情報をパッケージに記載したところ、一気上昇の売り上げとなりました。

◎商品戦略見直しのポイントを10列挙しました。参考にしてください。



労務について

大不況下での雇用維持のための体質改善とワークシェアリングについてお話しをしましょう

◎大不況だからといって、特に中小企業は好況時には人が集まらないので、整理解雇をするのではなく皆で仕事を分かち合って、この大不況を乗り越えようとの発想です。これを実行する前にまず自社を見直してみましょう。以下のチェックリストを見てください。

◎ワークシェアリングの形態として3通りあります。

①労働時間の減少:労働時間そのものを減らす
②休日の増加:有給とは別の日を休日にする
③ジョブシェアリング:1人当たりの仕事量を減らす

◎ワークシェアリングを実行する際の留意点として

①従業員の協力が是非必要
②どの業種、職種でも可能とは限らない
③この制度が一時的か恒久的か
④職種ごとに職務を明確化する
⑤フルタイムとパートタイムを差別しない
⑥時間別の賃金を検討する

◎但しこの制度の最大のデメリットとして、高付加価値を生み出す従業員の時間をも削る事になり、結果的に給料も下がってしまうので士気の低下は避けられません。

◎また一時休業などで対応する中小企業もあります。これに対応した支援策として「中小企業緊急雇用安定助成金」(昨年12月創設)があります。その内容は、急激な資源価格の高騰や景気の変動などの経済上の理由による企業収益の悪化から、生産量が減少し、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業事業主が、その雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練、出向させた場合に、その手当や賃金等の一部を助成するものです。

※対象となる中小企業事業主

◎これは休業手当の4/5が助成されるものであり次の条件を満たしている経営者が対象となります。

①最近3ヶ月の売上高、生産量等がその直前3ヶ月または前年同期に比し減少している事。
②前期決算等で経常利益が赤字となっている事。(但し①にて生産量が5%以上減少している時は不要です。)

※1人1日当たり雇用保険基本手当日額の最高額が限度

◎尚、手続きは、休業、教育訓練、出向開始前までに、計画書を事前に届けた後、一定期間ごとに支給申請します。まずはハローワークで聞いて下さい。

税務について

法人税が戻ってくる?!

◎平成21年2月決算から、欠損金が出た場合、既に納付済みの法人税額を戻すことができる制度です。対象となる法人は青色申告所を提出する以下の法人です。

・資本金が1億円以下の普通法人
・公益法人等
・協同組合等
・人格のない社団等

◎注意すべき事項として
①還付所得事業年度から欠損事業年度について連続して青色申告書を提出している事。
②還付請求時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を添付する事。
③この制度は法人事業税には適用しないので、事業税の所得計算時には法人税の繰越還付はなかったものとして欠損金を繰越して計算する事。

◎この還付の方法でなく従前の「欠損金の繰越控除制度」ももちろんあります。尚、繰戻還付後の残額について、繰越控除制度を適用する事も可能ですので、念のため。

経営について

今回は、不況時の逆転発想についてお話しをしましょう

◎今日は昨日の続き、明日も今日の続きでは先が見えません。発想を変えて新たな顧客を見つけましょう。

◎例えその1:刻み海苔ばさみをシュレッダーばさみに用途変更したところ、たちまち売れ出した。調理用ばさみだったのですが、さっぱり売れず、ではという事で個人情報漏洩を防ぐためのシュレッダーばさみとしたところ、ばか売れしました。

◎例えその2:やはり個人情報の漏洩を防ぐためですが、アルファベット文字を組み合わせたスタンプを文字の上に「ポン」と押すだけで、判読不能にしてしまう商品がやはりばか売れしました。いわゆる「文字で文字を消す」という発想です。

◎例えその3:お菓子をミニサイズ化してついで買いをさせるという方法です。OLを中心に昼時お弁当のついでにちょこっと甘いものが欲しい時に、チョコレートが通常サイズの4分の1や手の平サイズで、しかも安い価格で売られており、やはりばか売れしています。反対にマクドナルドでは男性層をターゲットにしたビックサイズのメガマックがばか売れし、販売4日間で332万食となりました。ビックリ仰天です。

◎例えその4:親父のワンカップ大関からお洒落な日本酒へ変身することで売り上げ倍増となりました。日本酒に炭酸ガスを入れ、飲み口がよいように若干甘くした事が受け、売り上げ上昇中です。

◎例えその5:トランプは西洋のギャンブル用具との印象が強かったのですが、それを一掃すべく子ども向けトランプを作ったり、トランプをゲーム用に改造したりして、家庭の玩具化した事によりやはりばか売れしました。

◎例えその6:オロナインは、軟膏を使わない若年層に向けて液体タイプにしたところ、やはり売り上げが伸びました。

◎例えその7:PC用モデムカードを販売している会社がありましたが、さっぱり売れませんでした。どのメーカーのPCに対応するのか動作確認した情報をパッケージに記載したところ、一気上昇の売り上げとなりました。

◎商品戦略見直しのポイントを10列挙しました。参考にしてください。



4月の特集

金融について

今回は不況期の緊急銀行交渉術についてお話しをしましょう

◎昨今の不況で売上が激減したので、銀行に返済条件を緩和してほしいと申し出ても金融機関は応じてくれずかえって不良債権とみなされ、貸し剥がしもされかねない場合があります。

◎そんな事に備え、金融庁は「金融検査マニュアル別冊」を改定し、上記のようなケースでも、一定の条件を満たせば不良債権にしなくてよいとのお達しをしました。

◎即ち、経営健全化をするまでの期間を原則5年としました。また、経営の改善計画書がなくても改善の見通しがつけばOKとする、そして計画そのものが遅れていても、原因を分析し改善が見通せるならば、不良債権としないとしました。

◎では金融庁の「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」の強制力はどの程度のものなのでしょうか?!この別冊は、二期連続赤字の企業、債務超過の企業、経営改善計画が進んでいない企業、貸出条件緩和を行った企業等であっても、決算書上では分からない長所があれば不良債権とみなさないよう指導していますが、金融機関には強制力がありません。しかし、やはりこれに合わせて処理していくようになるでしょう。但しこげついた場合にどうするのかの問題はあります。

◎従って、金融機関としては別冊に合わせるとして、計画書もいらないとなれば、こげつかせないためにも日々の経営の状況を把握し、常に具体性があり、かつ説得力のある経営者からの説明を求める事になると思います。

経営について

今回は社会保険料の滞納についてお話しをしましょう

◎事業所として社会保険の加入は義務となっており、未加入、脱退はご法度になっています。また事業所が赤字でも支払わなければならず分納も出来ません。そして負担はというと、年収400万円の社員1人につき52万円(約13%)の計算になります。

◎もし滞納となると、法的には次のような手段がとられます。
まず社会事務所から督促状がきます
        ↓
これで払わないと滞納処理になります
        ↓
そして納付期限の翌日から14.6%の延滞金が課せられます
        ↓
最後に最悪の場合、口座や財産の差し押さえが行われます

◎そこで社会保険料の削減方法ですが、
一例として:イ 標準報酬月額算定時期(4月~6月)を避けて昇給月を7月とする
ロ 社会保険に加入しなくても良い短期パートを活用する
ハ 役員給与を下げて標準報酬月額を下げる
ニ 定年、再雇用により労働時間、給与を縮小する

◎削減の別の方法ですが、例えば本来は給料であるにもかかわらず請負契約にし、社会保険からはずしてしまった場合、調査で実態が明らかになった時、その反動(給与である事の源泉洩れ、社保加入洩れによる追徴金、従業員からの損害賠償等)はあまりにも大きいです。従って合法的削減を図るしかないでしょう。

労務について

今回はもし社員が裁判員として選ばれたらどういう事になるかについてお話しをしましょう

◎そもそも裁判員制度とは、裁判官と一緒に被告人を有罪、無罪、そして有罪の場合はその量刑を決める制度です。

◎この裁判のことを裁判員裁判と称しますが、対象とする罪(つみ)は死刑または無期懲役、もしくは禁固に当たる罪か、故意の犯罪により被害者を死亡させた罪です。

◎裁判の日数は3日ないしは5日以上必要とする場合があり、それなりの制約はあります。

◎裁判員の選ばれ方ですが、選挙人名簿から裁判員名簿が作成され、相手に通知し、選任手続きがされ、裁判の当日は公平な裁判をすべき確認が裁判所でなされます。

◎社員が選ばれたとき企業が注意すべき点として、裁判員の活動を妨害してはならない事、裁判員になった事によって降格、減給はまかりならない事です。

◎裁判員のための休暇を有給とするか無給とするかは労使間で決めておくことが望ましいです。従ってこれに合わせ就業規則を改定しておく必要がありそうです。法的には無給にしても問題はないので、実務上は無給が多かろうと思います。尚、この件に関して会社側の一方的処置は後日トラブルの元になります。


税制改正特集号

21年度の税制改正についてポイントをお伝えします

第1番目:企業関係

1.中小法人等の軽減税率(所得金額が800万円以下の方に対して)が現在22%ですが、これが18%に変更となります。平成21年4月1日から同23年3月31日までの間で終了する事業年度です。
尚、「中小法人等」とは事業年度終了時で資本金額などが1億円以下の法人や、資本もしくは出資を必要としない法人です。

2.欠損金の繰戻し還付制度が復活しました。
即ち、中小法人等で、平成21年2月1日以降に終了する事業年度で生じた欠損金額は、欠損金の繰戻しによる還付ができるようになりました。例えば、21年3月で赤字だとした場合、前期の年間所得からその赤字を引いて、前期の法人税の計算をし直し、その結果、法人税の一部が戻るというものです。

3.役員給与の事前届出が簡便になりました。
対象となる役員の給与及び他の役員の給与の記載が不要となりました。

4.棚卸資産の評価方法の見直しがされました。
選択できる方法のうち後入先出法及び単純平均法がなくなりました。

5.優良賃貸住宅の割増償却制度の割増率の見直しがなされました。
割増率がUPし、適用期間が2年延長となりました。

6.試験研究費の特別税額控除制度の範囲が拡大しました。
特別試験研究費の範囲に、産業技術力強化法の一部改正に伴い、同法に規定する試験研究独立行政法人と共同で行う事件研究に係る費用及び同法人に委託する試験研究に係る費用がプラスされました。

7.土地等を先行取得した場合の課税の特例が創設されました。
事業者は平成21年1月1日から同22年12月31日までの間に、国内の土地等を取得して、その取得日を含む事業年度の確定申告書提出期限までに、この特例を受ける届出書を提出している場合は、この取得日を含む事業年度終了日後10年以内にこの事業者が所有する他の土地等の譲渡益の80%相当額として圧縮記帳ができます。

8.取得した土地等の長期譲渡所得からの1000万円特別控除が創設されました。
平成21年1月1日から同22年12月31日までの間に取得した国内にある土地等で、その年1月1日において所有期間5年超のものを売却した場合は、この長期譲渡所得金額から1000万円が控除されます。個人も同様です。

9.租税特別措置が縮小、廃止、延長されました。
縮小:事業革新設備の特別償却制度
廃止:電子計算機買戻損失準備金制度
延長:以下の表を参照

第2番目:個人所得関係

1.住宅ローン控除が充実しました。
住宅ローン減税はひとまず平成20年で終りましたが、5年間延長され10年間で最高500万円控除できる事になりました。即ち、平成21年から平成25年までの間に居住した場合の控除期間、住宅借入金の年末残高の限度額及び控除率は以下の通りです。

また「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に規定する家屋で、一定のものの新築又は建築後使用されたことのない認定長期優良住宅を平成21年から同25年までの間に取得し、居住した場合は以下の表の通りとなります。

また、取得した居住用家屋に、止むを得ない事由により住まなくなった後、再び居住した場合、一定の要件を満たせば、この住宅ローン控除は受けられます。尚、この措置は平成21年1月1日以後に自己の居住用とする場合に適用になります。また、増改築した場合も通常の住宅ローン控除と同じ条件で同様の扱いを受けます。

2.長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除は、通常の住宅ローン控除との選択となります。

3.既存住宅に省エネ改修工事などをした場合の所得税額の特別控除が創設となりました。
既存の居住家屋に一定の省エネ改修工事ないしは、一定のバリアフリー改修工事をした場合、平成21年4月1日から同22年12月31日まで、居住を条件にその改修工事費用と改修工事に係る標準的な工事費用相当額のいずれか少ない金額の10%相当額が所得税額から差し引けます。住宅ローンとの併用はできませんので念のため。

4.特定の増改築等に係る住宅借入金がある場合の所得税額からの特別控除の特例は5年間延長されました。また、既存住宅への耐震改修をした場合の同じく所得税額からの特別控除も同様に5年間延長されました。

5.上場株式等の配当所得及び譲渡所得等に対する税率が国税7%(住民税と合わせると10%)と見直されました。平成21年1月1日から同23年12月31日までがその対象となる期間です。
上場株式等の配当の源泉税額も同様に見直され、平成21年1月1日から同22年12月31日までの間に支払われる配当について国税7%(住民税と合わせると10%)と1年延長となりました。
同様に内国法人あるいは外国法人等に対して支払われる上場株式等の配当に係る分も国税7%(住民税と合わせ10%)となり平成23年12月31日まで延長されました。
源泉徴収選択口座の源泉徴収税率の特例も同様に延長され、平成21年1月1日から同22年12月31日までの間のこの口座における源泉徴収税率も国税7%(住民税と合わせると10%)で1年延長となりました。

6.電子申告する際、○イ上場株式配当等の支払通知書、○ロオープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書、○ハ配当等とみなされる金額の支払通知書の3点の資料は提出不要となりました。

7.電子申告の税額控除は、最高税額控除額5000円までとなっております。尚、2年間となりました。

第3番目:相続・贈与関係

1.非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度について
いわゆる2代目が先代所有の株を相続により取得した場合、その2代目が商売を続ける限り、支払うべき相続税は相続により取得した議決権株式(既に所有していた分も含め2/3に達する分まで)に対して課税価格の80%相当分を納税猶予しようというものです。尚、平成20年10月1日以降の相続から適用です。

2.非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度について
一定の後継者が、経済産業大臣の認定を受けた非上場会社を経営していた親族から贈与により保有株式などの全部(既に所有していた分も含め2/3を限度とする)を取得し会社を経営していく場合は、その株式に対する贈与税は全額納税猶予となります。
尚、贈与者の死亡時はいったん相続財産に贈与時の時価で取り込み、相続税を計算します。その際、経済産業大臣の確認をもらった場合は同様に相続税の納税猶予の措置がとられます。適用は平成21年4月1日以降です。

第4番目:個人地方税

・個人の地方税に住宅ローン特別控除が創設されます。
平成21年以降から住宅ローン控除の適用になる人は、住宅ローン控除税額が所得税で引ききらない場合は、これからは自動的に個人住民税も最高97,500円を限度として引いてくれます。従って、今まで別途住民税の申告をしていた市区町村への申告はもう不要となります。同時に、平成11年から18年までの住宅ローン控除適用者も市区町村への申告は不要となります。


3月の特集

経営について

今回は資金に窮したときの公的融資制度についてお話しをしましょう

◎中小企業への資金繰り対策として日本政策金融公庫(国民生活事業)のセーフティネット貸付があります。

◎急激な売上減、利益減に対応する経営環境変化対応資金の融資がまずあります。
対象者は売上が前年比で5%以上減少し、今後も減少見込みである事、回収が悪化している事。

◎次に取引先が倒産してしまった時は、取引企業倒産対応資金融資があります。

◎金融機関の融資姿勢に変化があり、資金繰りが悪化している時、金融環境変化対応資金があります。

又、既存の保証付借入金を借り換えて、月々の返済を減らす事もできます。信用保証協会の資金繰り円滑化借換保証制度を利用するのもよいでしょう。

◎原材料価格高騰対応等緊急保証制度のように、比較的借りやすいものなので、つい多めに借りてしまう事があります。あくまでも当り前ですが返せる資金を借りるようにしてください。逆に借りすぎて経営を危うくしないようにしてください。

税務について

今回は経営悪化に伴い役員給与を下げざるを得ない時の注意点をお話ししましょう

◎損金にできる役員給与の定期同額給与とは、毎月支給時期に支給額が事業年度を通し、定額である事が条件です。では、業績悪化の場合、事業年度の途中で下げた場合はどうなるでしょう。

◎経営状態が著しく悪化し止むを得ない時はOKです。

◎では具体的にはどうなのでしょう。次に当てはまる場合ならOKです。
イ.財務諸表の数値が相当程度悪化した。
ロ.倒産の危機に瀕している。
ハ.経営悪化により、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、下げざるを得なくなった。



◎イ.の例として、取引銀行との間で、借入金返済延長や条件緩和をするため、役員給与を下げざるを得ない時。尚この時は銀行へ提出した事業計画書や資金繰り業を保存しておくとよいでしょう。

◎ロ.の例として、業績悪化による資金繰りの悪化で、取引先からの信用を得るために経営改善計画書を作成する時。この場合は計画書を取引先に見せ、またその資料を保存しておくとよいでしょう。

◎ハ.の例として、株主に対し、業績、財務状況の悪化に対し、経営上の責任を取るため減額する時。尚、同族会社の場合は、客観的な格たるものがないと、厳しい対応をせまられます。

◎逆に認められないケースとしては、資金繰り悪化と云えども、利益調整のみの目的や、単に業績目標値に達しないからといった理由の場合です。具体的に、認められない時の損金不算入額は、仮に毎月100万の報酬額を途中で70万に下げた場合、元々70万が正しい額と見なされ、100万円-70万円の30万×月数分が全て損金不算入額となります。

税務の続きをいきましょう

◎20年度税制改正で気をつける事は、機械、装置、設備などの耐用年数が変わり、390に分かれていた法定耐用年数区分が55に集約された事です。

◎デスクやパソコン等の購入の際1つが30万未満なら全額損金OK!但し1事業年度で300万円が限度であることもお忘れなく。

◎尚、減価償却資産の取得価格が20万円未満であれば3年間で費用処理をします。

◎コピー機について
20年4月1日から所有権移転外ファイナンス・リースも売買があったものとみなされます。経理処理は、借手側は資産計上後、リース期間定額法で処理します。一方貸手側はいわゆる延払基準による処理が認められます。

◎最後に社員研修についてお話しをしましょう。
以前は、研修費用が増加した場合のみでしたが、今回は増減に関係なく教育訓練費総額の一定割合を税額控除する事が出来るようになりました。

2月の特集

経営について

今回は、経営継承についてお話しましょう。
 

◎ 経営を承継してほしい人がいたとしても、相続は親の意思に関係なく子供のために、一定の割合を留保する遺留分制度があります。これにより、後継者に事業資産をゆずろうとしても、他の子供達から、遺留分減殺請求をされる場合があり、スムーズに承継ができない場合があります。その遺留分を制限する事によって、スムーズに承継される経営承継円滑化法が20年10月からスタートしました。
 
◎ そこで社長の後継者への誤解が多々あり、これをみてみる必要があります。
誤解その1
俗に言う子は親の気持ち知らずで、親の思いと子の思いは、子が成長すればする程、ずれてくるものです。しかし、親は子に対する認識は変っておらず、このずれが紛争の火種となります。
 
誤解その2
親の経営に対する考えは、「後継者もわかっているはず」が、誤解のその2です。話さなければ、意見交換しなければ、そして後継者の考えも組み入れていかなければうまくいきません。
 
誤解その3
親は後継者に自分の会社の株を大半(議決権の過半数か議決権の2/3)を集中させる事に他の相続人は同意していると勝手に思い込んでいる事が誤解のその3です。親は後継者に株の大半がいくとしても、同時に会社の借財を負うのである事をしっかりと伝え、そして他の相続人には換金性のある預貯金を渡し、総合的にはバランスがあるように事前にしておかないといけません。準備していても、もめる時はもめるので、これは必ず意識してやる事です。
 
誤解その4
誤解その3がクリアしているので、もう大丈夫と誤解しているのがその4です。入れ物を作っても魂入れずとなります。それは経営する力(経営のソフト力)です。経営のやり方は親の代と異なり、後継者なりのやり方があります。しかし世代を超えて脈打つものとして「健全な経営理念」をしっかりと次世代へ伝える事です。これがとても大事な事です。
 
次は資金繰りの話をしましょう
◎ 金融不安による経済の落ち込みに対し、20年10月31日から緊急保証制度(原材料価格高騰対応等緊急保証制度)がスタートしています。これは、売上減少、原材料の高騰で経営の悪化している中小企業に対し、民間金融機関からの融資に対し、2億8,000   万円まで100%信用保証しようというものです。又、日本政策金融公庫ではセーフティネット貸付を拡大し、中小企業の全業種に対し、4億8,000万円まで利用可能としました。
 
◎ 予約保証制度の創設がされ、将来の貸出しに備え、予め保証枠(限度額2,000万円)を確保できるようになりました。
 
◎ 金融検査マニュアルの見直し
要は貸出し条件がゆるくなり、簡単に借りられるようになりました。
 
◎ 経営セーフティ共済の件について
得意先が急に倒産し、急遽資金繰ができなくなった時に備え最高3,200万円まで、無担保、無利子、無保証で借入れができる制度です。これは、国が運営する制度で現在30万社が加入し、貸付累計25万2,000件に達しています。いざという時のものです。
 
 

 

税務について

今回は税法上の役員の範囲です。

 
◎ 会社が従業員に支払う給与はもちろん費用ですが、役員への給与は一定の場合を除き損金不算入となります。従って実態は役員だが、従業員ということにして、費用にしている場合があります。ここのところを当局は見つけ出そうとします。
 
◎ ではまず、税法上の役員とは、役員の肩書きがなくても事実上会社の経営に参画している場合は役員とみます。まず、形からですが会長、相談役、顧問などの肩書きでも経営上の重要な決定事項(例:銀行との交渉、売上、仕入価格の決定、主要な取引先の選定や変更、重要な契約に関する決定、新事業の展開、撤退等)に参画していれば、もう事実上の役員です。これをみなし役員といいます。
 
◎ 取締役営業部長などの肩書きの場合は?!
役員の資格もありながら、営業部長との従業員の業務も兼ねている場合があります。このような人を使用人兼務役員と称します。しかし、取締役営業担当というのがあり、似て非なるものがあります。これは、営業担当の取締役との意味であり、従業員としての職制は含んでいません。従って完璧な役員です。
 
● ここで「使用人兼務役員」になれない者とは!
 
① 代表取締役、代表執行役、代表理事、清算人
② 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
③ 合名会社、合資会社、合同会社の業務執行社員
④ 委員会設置会社の取締役、会計参与、監査役、監事
⑤ 上記①~④までの役員に該当しない同族会社の役員のうち、一定の要件を満たす役員
 
◎ では、執行役員というものがありますが、これは何?!
これは通常、委員会設置会社での業務執行を行う役員ですが、これは登記上で存在する言葉ではなく、取締役会の決定で業務執行するので、経営にもタッチしているとは言えず、税務上の役員とはみていません。但し、実際に経営にタッチしている事実があれば、この時はみなし役員となります。
 
 
 

1月の特集

経営について

今回は、元気な企業のキーワードをお伝えしましょう。

経済産業省が、今年モノ作り中小企業300社から元気のよい会社の内容は以下の通りです。
イ. 売上が毎年増加している
ロ. 高度な技術力を持ちシェアが高い
ハ. 他社の参入を防ぐニッチ市場に特化している
ニ. 意匠やデザイン力で市場開拓
ホ. 地域密着型で現地調達、現地還元との発想

この中で、特に注目すべき点は、情報収集と人材確保に最重点を置いています。

ここで人材の話ですが、中小企業は最初から有能なる社員にめぐまれているわけではないので、まず、1番目に社員教育、2番目に業務の機械化、3番目に業務のマニュアル化に大きなウエイトを置いています。

会計について

今回は、原始記録保存の重要性を説明しましょう。

・企業が営業活動をすれば、最初に発生する納品書、請求書、領収書、請負契約書等種々の書類が作成されますが、これは第三者に取引を証明するとても重要なものです。税務調査の時は必ずチェックされますので、是非とも保存には最深の注意を払ってください。又、最近はPC上の内部資料も同時にチェックされますのでお忘れなく!

・具体的に売上について
受注→商品引渡し(サービス提供)→代金回収のシステムはどの業種も変わりません。この流れで生ずる資料は完全保存をしてください。

・売上原価について
発注→受入→支払 との流れは全ての業種で同じです。ここで、税務調査は架空経費の発見に最大限の注意を払います。特に外注先名簿は必ず見られますので、しっかりと保存してください。
 発注には:主に発注伝票、契約書、注文請書等
 受入には:納品書、検収報告書等
 支払には:請求書、領収書等

・たな卸資産について
商品等、売り物を入出荷するごとに受払台帳に記入し、常に実在庫との確認をしてください。実地棚卸をする時は現場にて作成した、手書きメモ等が重要な証拠資料になりますので保管してください。廃棄処分した物は後日、調査でもめますので必ず、写真、産廃業者作成の資料を保存してください。
◎ 証拠資料の類として(実地たな卸のメモ帳、受払台帳、処理業者の処分明細書等)

・人件費について
まず架空のものがないかと当局は見ますので、社会保険、労働保険に加入すべき従業員は必ず加入するように、出勤簿の管理が重要です。もちろん履歴書を保管しておくのは当然です。又、外注か給料かでもめる事が多いので外注の場合、請負契約に基づく契約書の完備を、そして、その中には必ず責任の所在とか、業務内容、管理監督の方法等の明記が必要となります。外注費であれば、消費税が計算され、給料だと源泉が発生する等、税務で大きな違いとして出ますので、要注意です。

・役員給与について
役員は、従業員と違い会社と委任契約となりますので、その性格上、役員給与は総会議事録が必要となります。期中での増減は原則出来ないと考えておいた方が、税務トラブルは生じにくいと思います。もちろん出来なくはないが、証拠資料の完備が促されます。

・修繕費について
修繕費が資産の取得価格の追加か、あるいは単に費用かで当局ともめます。費用となる場合の証拠資料(修繕についての見積書等、詳細のわかるもの)の完備が促されます。

・交際費について
他の隣接費用科目(会議費、福利厚生費、売上割り戻し)との区分は正直、中々判然としないところがあるので、所内規定を作り、それに基づいて経理処理をするのも一案です。要は当局に説明の出来る資料を完備する事です。


税務について

20年度の申告はここがポイント。

・今回の申告期限は2/16~3/16までです。確定申告をしなければならない人は
イ. 個人事業者
ロ. 給料収入が2,000万円以上の人
ハ. 2か所以上から給料をもらっている人
ニ. 同族会社の役員でその会社からの給与のみならず、利子、家賃のある人
ホ. 土地、建物、ゴルフ会員権の売却をした人
ヘ. 医療費、住宅ローン控除、雑損控除、災害減免法の適用を受ける人です

・個人事業者として特に注意すべき事
イ. 事業収入として、売上、リベート、付属収入、たな卸資産の損失による保険金や損害賠償金、債務免除益等です

・必要経費については
売上を挙げるに必要な経費、事業税(所得税は×です)金利(事業分)損害保険料(事業分)等です。
 又、家族に支払う家賃は経費にならないが、固定資産税、減価償却費はOK。家族への給料は届け出の範囲内でOK。(但し、適正金額による事はもちろんです)

・節税対策について
特に個人事業者の特典として、倒産防止共済掛金(年間最大96万円)が必要経費に、所得控除として小規模共済掛金(年間最大84万円)があります。これらは原則、積立性でかつ結果的に課税所得を減少させる事ができるので有効です。条件がありますので、お問い合わせいただければお答えします。
尚、一番堅実な節税等は必要経費となるものを、洩らさず積み上げる事です。

・必要書類について
◎ 支払先から手に入るもの
家賃の支払調書、源泉徴収票、配当支払調書、医療費の領収書、生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、国民健康保険料、国民年金保険料の支払証明書、住宅を取得した時は、住民票、登記簿謄本、売買契約書、金融機関より借入金の年末残高証明書等です