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更新日 2023-02-02 | 作成日 2021-01-13

12月の特集

経営について

今回は売上UPへの取り組みをチェックしましょう

チェック1:今年の売上はどうでしたか?まず、チェックしてみましょう

①売上目標に対してどうか。(良かった・良くなかった)

②昨年の売上と比べてどうか。(良かった・良くなかった)

③同業他社と比べてどうか。(良かった・良くなかった)

④社長の感覚としてはどうか。(良かった・良くなかった)

⑤売上全体の中で、主力の商品・サービスの売上はどうか。(良かった・良くなかった)

⑥売上全体の中で、新しい商品・サービスの売上はどうか。(良かった・良くなかった)


チェック2:自社の商品・サービスの現状はどうでしたか?チェックしてみましょう

①自社の主力商品・サービスが陳腐化している、ライフサイクルの衰退期に入っている。
 (はい・いいえ)

②海外製品などライバル製品との競争、原材料のコストアップなどで、利益率が悪化している
 (はい・いいえ)

③新しい技術等の登場によって、自社の技術・ノウハウなどの優位性や特徴が弱くなっている。
 (はい・いいえ)

④固定客が減少し、新規顧客も増えていない。(はい・いいえ)

⑤自社の商品・サービスへのリピーター、固定客づくりができていない。(はい・いいえ)

⑥コストダウン等が品質やサービスの低下を招き、クレーム等が増えている。(はい・いいえ)

⑦納期、メンテナンス、接客応対など品質以外の面での対応が他社と比較して弱い。
(はい・いいえ)

⑧市場や顧客の変化に自社の商品・サービスが対応できていないと感じる。(はい・いいえ)

⑨新しい商品・サービスが開発できていない。(はい・いいえ)

⑩これまでとは異なる顧客層や市場、海外進出など、新たな販路の開拓ができていない。
 (はい・いいえ)

チェック3:今年、売上を上げるための努力をしたかどうかをチェックしてみましょう

①商品・サービスのリニューアルや機能強化をはかった。(はい・いいえ)

②市場開拓やターゲットを絞るなどで、新たな顧客層にアピールした。(はい・いいえ) 

③インターネットなど新たな販売方法に取り組んだ。(はい・いいえ)

④短納期化、クレーム処理、メンテナンスなどの対応を強化し、顧客満足を高めることで、自社のファンを増やしている。(はい・いいえ)

⑤自社の商品・サービスの特徴を顧客目線でわかりやすく伝えている。(はい・いいえ)

⑥社長自身が顧客訪問し、顧客のニーズや不満などを肌で感じとっている。(はい・いいえ)

⑦売れなくなった商品、顧客ニーズに合わなくなった商品をやめて、新たな商品・サービスに資金や人材を投入している。(はい・いいえ)

参考例その1
ネット販売で個人顧客を開拓しました。メッキ加工業ですが、ネットに出しても売上はサッパリでした。1年経つか否かで、ぼちぼち個人から受注が入り始めました。今までは業者のみでしたが、発想を変え個人へ急カーブしたところ売上が増えました。

参考例その2
機械部品メーカーですが御多分に洩れず、中国産に押されていましたが、注文の取り方に工夫をこらし、部品1つでも受注し、品質についても更に上質のものを提供することにより、売上増に繋げました。





税務について

時期なので年末調整の必要書類のチェックをしてみましょう

まず、扶養控除等申告書の記入の仕方で、よく間違いやすい個所として何点か挙げます。

イ、控除対象配偶者や扶養親族の所得の見積額欄は年収額でなく所得額を記入してください。例えば、配偶者のパート収入額が103万円なら所得は38万となり、この38万円を記入するのです。

ロ、よくあるケースで、妻とか子供のアルバイト代が違っている場合が多い。後でしっかり当局から違っていますよと是正される場合があります。気をつけましょう。

ハ、70才以上の父母・祖父母(昭和16年1月1日以前に生まれた人)と同居している時は「同居老親等」になり、額が大きくなります。「同居老親等」の個所に○印をつけてください。尚、病気入院しているが退院後同居する時は、これに該当しますので、念のため。

ニ、では、老人ホームの場合となりますと、同居ではないので老人控除対象配偶者又は老人扶養親族欄の「その他」に○をしてください。

ホ、老人控除対象配偶者も70才以上であれば金額が大きくなります。

ヘ、本年中に亡くなった扶養親族は、亡くなった現在で判断しますので、本年は適用となります。

ト、特定扶養親族の対象者も以外と洩れるところです。16才以上23才未満が対象です。

チ、障害者控除の内容が以外と記入されていない場合があります。本人あるいは扶養している人が対象です。内容は、障害の状態、障害者手帳の種類、交付年月日、障害の等級などです。

リ、夫(妻)と死別、離婚し、その後も婚姻していない人、夫(妻)の生死不明の場合、一定の条件の下、寡婦(寡夫)控除があります。

「保険料控除申告書」記入の際の注意事項として

イ、生命保険、地震保険、社会保険、それぞれに控除証明書等をこの申告書に添付してもらいます。コピーは不可です。

ロ、一般の生命保険(死亡、介護、医療)、個人年金保険は各々5万円までの控除額となっています。

必要書類:生命保険料控除証明書

尚、この証明書は仮に中味が○○年金保険となっていても、この証明書の上の方に「一般」とか「個人年金」と記入されていますので、それで判断してください。この書の12月末までに支払う金額を記入する事もお忘れなく。それと、親族が契約したものでも本人が負担していれば、控除の対象となります。

ハ、地震保険料控除は、地震保険が付いている火災保険の場合、支払った保険料のうち地震保険料部分は5万円を限度として控除できます。

必要書類:地震保険料控除証明書

年末調整事務チェックリストを掲載しますので、参考にしてください。



労務について

今回は個人事業者について話しをしましょう

個人事業者の決算月は12月です。決算実務として

★まず、実地たな卸を行なう事です。自分の倉庫にある分だけでなく、他所に預けてある分とか移動中のもの、委託販売の分も本来は12月末でカウントですが、どうしても出来ない場合はカウントした日から売上仕入を遡って、数字出しをしてください。

―表にしますと―
□12月の業務終了時点の商品等の実地たな卸を行い、たな卸表などの原始記録を保管しているか。

□取引先等へ預けている商品・原材料や輸送中の商品、委託販売商品などの在庫も確認しているか。

□12月に売上返品された商品なども、たな卸資産に計上しているか。

□引取運賃や購入手数料など、付随費用も取得価額に含めているか。

○現金、預金等の残高も確認してください。特に、個人ですと現金の残高までは…という人もいるかと思いますが、やはり12月末の現金残と帳簿残は合わせてください。取引実態を適切に表現し、経営に役立つ経理であるためにも。

○売掛債権や仕入債務の確認をしてください。特に請求書の締め日以降末日までの債権、債務の数字出しをお忘れなく。

―表にしますと―
□売掛金、受取手形、買掛金、支払手形の残高を確認しているか。

□請求書の締め日から12月末日までの売上・仕入れについての売掛金、買掛金等の計上漏れはないか。

□仕入先から顧客への直送品について、売上、売掛金の計上漏れはないか。

□返品や値引などの計上漏れはないか。

○借入金と債務等の確認もお願いします。銀行からの借入金については、借入金返済明細書で必ず残高確認をしてください。残高証明書があれば尚可です。経費の分も締め後末日までの分の数字出しをお忘れなく…。



11月の特集

経営について

今回は何故正しい記帳が必要かについてお話しをしましょう

 記帳は税金申告のためにするのではありません。自分の経営が単に「感」に頼るのではなく「数値」に置き換える事によって、自分の会社が現在どうなっているか?はたまたこの数値を基にして、今後の会社の進むべき方向を教えてくれるのです。例えば以下の事に心当りはありませんか?
●現在、どれだけ利益があるかがわからない。
●現金、預金、借入金などの資産・負債がいくらあるかがわからない。
●頭の中で描いていた業績と実際の数値がかけ離れている。
●数か月まとめて記帳するため、取引の漏れや間違いが多い。
●金融機関からの評価が低いようだ。

 一般論ですが、中小企業の中には記帳よりもまず営業だ。数字を上げなければ会社は一歩も前に進めない。経理は金を生まないから後回しだと考えてらっしゃる社長様が中には見受けられます。確かにそうでしょうが、数字を上げてもいつ回収になるのか、そしてそれは現金か、振込か、手形か、と言われる管理業務が次に控えています。これが全く出来ていないと会社は全くザルになってしまい、やはり会社が立ち行かなくなります。この辺のところをカバーするのが正に「経理」「記帳」なのです。

 これが出来ていけば、いわゆる会社の実績が解りこれを対比する形で予算も組めるようになるのです。これの積み重ねがより正確な実態とそれを踏まえ、経営的に次なる一手が打てるのです。
  また強いて言うと、金融機関に高い評価を受けるきっかけとなり、資金手当も十分に出来るというものです。


税務について

今回はパート社員の税金と扶養家族の範囲についてお話しをしましょう

 パートとして働く主婦にとって、また悩ましい時期が近づいてまいりました。即ち税金の事です。皆様、御承知の通り給料収入が103万までですと所得税はかかりません。仕組みは103万ですと、給与所得控除額65万なので差し引き所得が38万となり、これで配偶者控除の条件を満たす(所得額38万以下)事になり、所得税がかからなくなるのです。



 しかし、住民税はまた別世界でパートの給与収入が100万円以下であれば、所得割分の住民税はかかりません。但し、市区町村によっては100万以下でもかかる所はあります。さて住民税はと言うと、所得割と均等割とから構成され、均等割は所得の有無にかかわらず、徴収されます。ちなみに中味は、道府県民税1,000円、市町村民税は3,000円となっています。

 最後に、社会保険ですがパートの給料年収が130万以上ですと、社会保険の扶養家族からはずされる事になります。そうなると、また別途その本人は国民健康保険と国民年金に加入しなければならなくなります。

パートの収入と税金、社会保険の扶養家族の関係



(注1)市町村によっては住民税(均等割)が課税されます。
(注2)所定労働時間によっては、収入に関係なく社会保険に加入しなければなりません。

 別途、パート社員への説明ポイントを下記に示します。
□①本人に税金がかかる年収のラインと、今年の年収見込額を伝えたか。
□②本人の年収によって、ご主人が配偶者控除を受けるか、配偶者特別控除を受けるかが決まることを伝えたか。
□③扶養家族の枠内におさめるために、出勤方法や収入についてパート社員と調整をしたか。
□④ご主人が勤務先に提出する「扶養控除等(異動)申告書」において、自分や子供を扶養家族にしている場合、パート本人の扶養控除等申告書では、「扶養家族無し」と記載されているか。



労務について

今回はちょっと恐い話しをしましょう

 まず、労基署の調査ですが、主に2種類有ります。
 1つは、いわゆる労働者からの訴えに基づき実施する申告監督です。例えば、残業代が払われていないとか、不当に解雇された等です。

 もう1つは労基署の業務計画に基づき定期的に監督するものです。調査の流れですが、労基署からの呼び出し通知が来るところから始まります。

 例えばの例ですが、退職した社員が残業代を貰っていないと訴えたとしましょう。労基署は以下の書類を持って来署するように会社に伝えます。

● 来署依頼通知書
● 印鑑
● 社員Tの雇用契約書
● 賃金台帳
● 出勤簿、タイムカード
● 就業規則
● その他、参考になるもの

 上記資料に基づき、もし残業代が法律通りに支払われていないとすれば、下記のような是正勧告書を貰う事になります。

■「是正勧告書」の内容(一部抜粋)
● 法違反条項:労働基準法第37条
● 違反事項:T氏の平成×年7月~平成▲年6月までの時間外労働に対し、2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払っていないこと。
● 是正期日:平成▲年9月10日

「是正勧告書」とは…
 労働基準法などの違反行為には、①法違反条項、②違反内容、③是正期日(期限)が記載された書面が監督官より交付されます。
 また、法令違反には当たらないが、改善すべき点がある場合には、「指導票」が交付されます。

 会社は、是正勧告書に基づき是正し、是正報告書を監督署に提出して終了となります。これら一連の事に関しては、粛々と誠実に行なう事が肝要です


10月の特集

経営について

今回は、設備投資の優遇措置の活用についてお話しをしましょう

 事業に前向きな中小企業向けの制度として、設備投資を支援する税制上の特例があります。中小企業投資促進税制と中小企業等基盤強化税制がそうです。この制度は、設備投資してもすぐには売上が増えるわけでもなく、逆に資金繰りに窮する場合が多いので、少しでも税金の面で面倒を見ようという制度です。即ち、普通の減価償却プラス特例に多く償却してなるべく課税所得を減らすようにしたりとか、直接税額を減少してくれたりするものです。

 詳細は下に比較表を図示してあります。大きく特徴を言えば事業年度中に、取得・使用し新品の資産でなければならない事です。



※税額控除は、中小企業者のうち、資本金が3,000万円以下(中小企業等基盤強化税制での卸売業・小売業・サービス業は1億円以下)の法人・個人に適用が限定されます。

イ、例えば機械・装置の例ですと、自社で業務用に使用する分であり、機械メーカーが販売用に所有していたり、レンタル会社が貸付用で所有している分は対象外です。

ロ、ソフトウエアの例では、業務用に使用するワープロ、表計算、経理、給与ソフトや、イラスト、画 像、CADなどのソフトが該当します。

ハ、器具・備品ですと、コピー機能等複合的機能を有するデジタル複合機が該当します。

ニ、普通貨物自動車ですと、実際にその自動車を貨物運送用に使っている。普通自動車である。車両総重量が3.5t以上である。との3つの要件を全てクリアしたものが対象です。

 では、特別償却はどういうものかですが、資産の取得価額の30%が追加償却できるものです。
 税額控除はというと、取得価額の7%を当事業年度の法人税額から控除します(但し、法人税の20%が限度)。

表を観ていただくと解りやすいです。
特別償却と税額控除 
●特別償却


●税額控除


※使用開始初年度に、取得価額の7%まで控除できなかったときは、
 翌事業年度に限り繰り越しが可能です。

○さて、特別償却と税額控除のどちらが有利かですが、要は特別償却といっても償却できる金額そのものが変わるわけではなく、早めに多くするだけの事であります。また、税額控除も納税額の金額自体を減らすだけであり、いずれにせよどちらが有利かどうかは会社の事業計画、資金繰り、決算対策上等と多義に渡って検討する必要があるので、各企業別に観ていった方がよろしかろうと思います。
○尚、中小企業者等については、事業年度でトータル上限300万円でありますが、1つの取得価額が30万未満であれば取得時に損金処理は可能です。


会計について

今回は資金の流れについてお話しをしましょう

 まず、帳簿上の利益金額がそのまま現金であると言う事はありません。なぜならば売上、即現金入金、仕入・経費、即出金であれば売上-(仕入+経費)=利益金額が現金金額と合致しますが、通常の取引ではそういう事は稀にしかありません。即ち、通常は掛売・掛仕入があり、これは現金の入出金を伴わないので利益金額=現金金額とはなりません。

 従って、表のように把えて資金の増減といわゆる損益の流れがマッチさせて、初めて損益と資金収支の流れが解かるのです。

□本業による資金の出入り        □本業以外の資金の出入り
・売上代金の入金(+)         ・借入れによる入金(+)
・仕入代金の支払い(-)        ・借入金の返済(-)
・原材料費の支払い(-)        ・固定資産の売却収入(+)
・外注費の支払い(-)         ・固定資産の購入代金の支払い(-)
・人件費の支払い(-)         ・税金の支払い(-)     等々
・経費の支払い(-) 等々
   ↓↓                    ↓↓
本業での資金の出入り    ±    本業以外での資金の出入り = 最終的に増えた
                                 (減った)資金

 では、どういう状態であれば、損益も資金収支も良好と言えるのでしょうか
【経常収入】
●売上代金の入金
【経常支出】
●仕入代金の支払い
●原材料費の支払い
●外注費の支払い
●人件費の支払い
●家賃など経費の支払い

【経常収支】…本業によって得た資金
経常収支 = 経常収入 - 経常支出

 お解りのように、このように区分けして表に基づいて計算して「経常収支」がプラスに
なって初めて資金的にも損益的にも良好と言えるのです。これがマイナスになると借入れ
をしたり、他の資金手当をしなければならなくなります。

 ここで、資金の流れをチェックする表を用意しました。個別にチェックをしてみてください。存外、チェックをする事によって改善点が見えてきます。

【ここをチェック】
□①売掛金残高を得意先別に確認しているか?
□②不良債権の有無を確認しているか?
□③取引先との取引条件の変更はないか?
□④回収が遅れがちの得意先はないか?
□⑤売上が落ち込んでいる商品、主力商品の動向を把握しているか?
□⑥買掛金残高を仕入先別に確認しているか?
□⑦不要・不急の仕入れをしていないか?
□⑧仕入先との取引条件が自社にとって厳しい条件になっていないか?
□⑨不良在庫が増えていないか?
□⑩仕入原価・コストが値上がりしていないか?


税務について

今回は建物、備品などの売却・リース処理の消費税についてお話しをしましょう

 以外と失念してしまう事ですが、固定資産の売却にも消費税がかかります。例えば、販売目的でない事業用資産等を売却した際にも消費税は課せられます。

★売却時に消費税がかかる…建物、機械設備、器具備品、車両、ソフトウエアなど
(課税売上となる) 
★売却時に消費税がかからない…土地、借地権、有価証券
(非課税売上となる)

 では、この際の消費税計算はどうかと言いますと、固定資産の売却損益にではなく売却収入そのものに消費税が課せられていますので、要注意です。



 例えば、機械装置(帳簿価額400万円)を315万円(税込)で売却したとすると、消費税処理はどうなるか仕訳してみると



 土地・建物の一括売却の時はどうなるかと言いますと、建物のみ消費税を介在させ、土地は消費税なしとします。

 では、固定資産をリースした時はどうなるかと言いますと、中小企業ですと従前通りの処理の賃貸借取引もOKなので、毎月リース料発生時に仮払消費税を計上します。多くの企業がこれを採用しています。あるいは、リース初年度にリース料の総額に対する消費税額を計算し、一括控除する事も可です。

≪分割控除の場合≫
・毎月のリース料支払時



≪一括控除の場合≫
・リース資産の取得時
リース料総額126万円のうち消費税は6万円(126万円×5/105)を一括計上します



・毎月のリース料支払時



一括控除ですと、まとめて仮払消費税額が使えるので良いようですが、その後の管理がちょっと面倒にはなります。従って、分割控除を採用している企業が多いようです。



☆所長のひとり言コーナー☆

税務調査に当って…

やはり、何も悪さをしていなくても調査とは嫌なもので緊張を強いられます。何でもない事の質問でも、調査官がするとすごく重みがあるのはやはり、税金と直結しているからかもしれませんね。脱税と節税とは大変な違いがある事を承知してください。 



9月の特集

経営について

今回は資金繰り改善のヒントについてお話しをしましょう

 景気低迷は相変わらずで、資金繰りも相変わらず悪いが、逆に問題点を浮き上がらせる好機と把える必要があります。

 例えば製造業であれば、外注にしないで内製にした方がコスト減になるとか、在庫も必要以上のものがないか、仕入単価、外注単価等もマンネリ化していないかどうか吟味の要有りです。営業は仕事を取ってくればよいとの感覚ですが、赤字の仕事は取らないとの姿勢が大事であり、かつ回収条件の悪い仕事は取ってこない事が大事です。

 これをする事によって売上は減少するが、利益率、資金繰りは良くなるはずです。

【改善ポイント】

①外注先、仕入先に実勢価格に合わせた値下げ交渉を行い、値下げできない場合には
 支払サイトを延ばしてもらう。

②原則は自社製造として、急な受注の場合のみ外注に依頼することにして、外部への支払いを減らす。

③営業担当者には、赤字にしてまで受注しないことを確認する。
(その結果、受注が減ってもその責任は社長にあると明言する)

④大口受注でも、手形支払や回収サイトが長期になる場合は受注を見合わせる。

⑤継続受注が見込め、売掛金回収が早期にできる受注先には、通常より粗利率が低くても
 優先的に受注する。

⑥受注規模に合わせて、工場、倉庫を集約し、余った土地を賃貸にして、賃貸料収入を得るようにする。

 改めて在庫に触りますが、過剰在庫は金が寝るだけでなく、新たな在庫コストがかかる事を肝に命ずるべきです。これが大きく資金繰りを悪くする原因になっています。早急なる改善が必要です。

【改善ポイント】

①販売データ・在庫管理を徹底して、売れ筋商品を中心とした適量在庫を心掛け、
 総在庫量の大幅な削減をはかる。

②社長が定期的に倉庫等に出向いて、商品をチェックし、新商品の登場で陳腐化、
 流行遅れになりそうな商品は、早めにバーゲン等によって処分するようにする。

③年に1、2回しか売れないような商品は、取り寄せ対応として在庫をなくする。 

★さて、資金繰り改善チェックをしてみましょう!

□①売掛金管理を徹底し、滞留や回収漏れを減らしているか?
□②手形による売掛金回収をやめ、代わりに、利息相当分の売上割引を行うなど、
 現金による早期回収をはかっているか?
□③販売データ・在庫管理を徹底し、商品の売れ筋等を把握し、適量の在庫を持つように努め、
 陳腐化、流行遅れ等の在庫は、バーゲン等で早期に処分をはかっているか?
□④工場、倉庫などを集約し、余剰となった土地、施設を売却しての資金化や、
 家賃削減に努めているか?
□⑤社屋、店舗、工場、機械・設備等は購入せず、賃貸やリースとすることを検討しているか?
□⑥設備投資資金は長期借入金で賄う(短期借入で行わない)ように努めているか?
□⑦原価管理に基づいた価格設定を行い、赤字や薄利の商品や受注の見直し
(赤字の仕事を受けないなど)を行っているか?
□⑧資金を流出させるような行き過ぎた節税策(例えば、不要不急の資産・備品等の購入)
 をやめて資金確保に努めているか?
□⑨作業工程の見直しや現場の意識改革を行い材料ロスの削減や歩留まり率の改善に努めているか?
□⑩原材料価格、外注費、賃貸料などの諸費用を見直し、値下げ交渉を行っているか?

 尚、不良在庫処分は税務トラブルになる事が多いので、以下の証拠を残す必要があります。

社内で廃棄を決裁した際の議事録等の書面を作成しておく
廃棄業者に引き取りを依頼した場合には、証拠書類として業者の受領書をもらう
破損等の状態がわかるように日付入りの写真を残す           等々

労務について

今回は通勤手当、旅費交通費について点検をしてみましょう

 不況に伴う維持・管理コストの削減から今、企業では交通費・通勤手当の見直しがさかんに行われております。特に中小企業の社長・経営幹部を対象にした「コスト削減と働くモチベーションに関する意識調査」によれば、交際費削減の62.6%とダントツに多く、次に交通費削減54.3%となっています。通勤手当等、現在の経済状況に合致した規定になっているか。また実際、従業員等から上がってくる通勤ルートが本当に正しいのかどうか、吟味される必要があります。

★ここに、通勤手当のチェックリストがありますので、見直しをしてみてください!

□①鉄道、バス等の公共交通機関を利用する社員の通勤手当は、最も交通費が安い経路で
 申請されているか?
□②自動車通勤の場合、合理的な最短経路を申請しているか?
□③実際に利用している通勤経路と申請している通勤経路が異なっていないか?
□④社員の引越し、鉄道料金等の改定、新路線や新道路の開通等に伴う通勤経路や
 費用の変更をそのつど社員に申請させ、適正に管理しているか?

 日当の件ですが、役員の場合3,000円~5,000円が、その他社員は2,000円~3,000円が目安となっています。これは、出張の際に払われるものですが、その出張の中味も必要性の有無をしっかり吟味する必要があります。

 交通系ICカードも例えばSuica、ICOCAですが、交通費以外の利用も出来ますので、交通費以外の経費が混在しないよう改めて「旅費交通費精算書」を提出させる必要はあります。

 ここで改めて、旅費規定集を現状に合致すべく今、見直しをする調度良い時期かと思います。

★旅費交通費のチェックリストを参考にしてみてください!

□①営業時の交通費が、通勤経路と重複する区間については、交通費を支給しないことにしているか?
□②タクシーを利用した場合は、旅費交通費精算書等に同乗者や事由等を記載させているか?
□③出張申請書に、出張の目的、交通手段、費用等を記載させ、その必要性を検討したうえで
 許可しているか?
□④宿泊費は、上限を定めて実費精算とし、領収書の提出を求めているか?
□⑤新幹線・航空機等を利用する場合、安価なチケット使用を認めており、実費精算として
 領収書を提出させているか?
□⑥出張旅費、交通費の精算は、すみやかに行われており、申請期日は守られているか?

 尚、通勤手当は税務では1か月10万円まで非課税ですが、社会保険では通勤手当を含めて保険料を計算するので、注意が必要です。

税務について

間違いやすい通勤手当、旅費交通費の処理についてお話しをしましょう

 通勤手当は非課税規定があります

■通勤手当の非課税限度額


 ここで注意しなければならない事として、車・自転車の場合、片道2km未満は全額課税となっています。エッ?!と言う感じですが…。それと給与明細で通勤手当分として、別表記していなければ、全額給与で課税されるのと、通勤距離に関係なく一律に一定額を支給する場合、非課税限度額を超えれば課税です。それと、徒歩通勤者には通勤手当は出せません。

 残業で深夜まで仕事をし、社員にタクシー代を使わせた場合は旅費交通費になるとして、得意先の接待が深夜まで及んだので、その社員が帰りに使うタクシー代は交際費になる。というのも、税の世界ならではの扱いです。ちょっと違和感は感じます。

 グリーン車の扱いも、旅費規程にグリーン車使用を明記してあれば、旅費交通費だが、社長、役員等が通勤でグリーン車を使うと、非課税限度額の範囲内でも、この分は給与となります。

 尚、当局は交通費の中に私的部分が入ってないかと見ますので、もちろん領収書等明細が必要です。


≪別途≫ 路線価についてお話しをしましょう

 相続税・贈与税の基準となる土地価格ですが、相続税では土地の価格は時価となっています。時価と言っても、解ったようで解らないので、国税庁は道路付けに面したところから土地1㎡当りいくらと計算する方法を路線価と称します。毎年1月1日時点で算定し、7月に公表します。

 土地の価格は中々解りにくく、どれが時価としてふさわしい金額か判然としないところがありますが、現在のところ表のようになっています。

■路線価以外の土地価格
実勢価格
実際の取引で付けられた価格(時価)。



 平成22年の路線価は、不況を反映し、大都市を中心に大幅ダウンし、全国平均でも昨年比8%ダウンです。このような状況下、自社の不動産を見直しするのも、一計かと思います。次世代への財産移転もタイミングとしては良いのかもしれません。

※詳細は会計事務所におたずねください。

8月の特集

金融について

今回は、中小企業に対する返済猶予の現状と対策についてお話しをしましょう

 リーマンショック後の世界同時不況の余波は日本の中小企業を直撃し、資金繰り、雇用に深刻な影響を与えています。そんな中、2008年10月に創設された「緊急保証制度」はよく利用され、今年3月末現在で103万件、総額19兆円を超えています。

 図表1を見てもらえば解りますが、中小企業の82.8%が当面の運転資金に役立ったと回答しています。

図表1 緊急保証制度利用の最大メリット



出典:「2010年版中小企業白書」、中小企業庁「経済危機下における企業の取引実態調査」(2009年11月)

 その後、更に金融機関への返済に苦しむ中小企業が増えたため、種々の貸出し条件の緩和が考えられました。また、2009年12月からは金融機関の返済猶予を促す「中小企業金融円滑化法」が施行され、今年の前半、半年から1年以内の返済猶予が既に実行されており、今年3月末現在で約35万件、金額で約11兆円弱となっています。       

 政府の緊急保証制度の返済負担軽減の意味がありますが、・売却可能な資産・削減可能な経費・新商品の開発計画・販路拡大の見込み等、1年以内に経営改善計画等を提出する事になっています。しかし、実際は金融機関と中小企業間では計画書の中味で、かなりズレは生じています。

中小企業における経営計画策定の取組実態と金融機関が求める水準とのズレ



出典:「2010年版中小企業白書」、中小企業庁「経済危機下における企業の取引実態調査」(2009年11月)、
中小企業庁委託「中小企業の資金調達に関する調査」(2009年11月、みずほ総合研究所(株)
(注)複数回答であるため、合計は必ずしも100にならない。

会計について

今回は損益分岐点売上高の見方と活かし方についてお話しをしましょう

 要はこの「損益分岐点売上高」とは、損益がトントン、つまりプラスマイナス0のところを示しています。「損益分岐点売上高」を超えれば利益、下回れば赤字となります。

 ここで、実際の売上高が損益分岐点売上高より下回っていた場合の改善ポイントは、以下の3つとなります。列挙するに

イ・限界利益率を高める(変動費率を下げる)
ロ・固定費を減らす
ハ・売上を増やす

 イについて述べるに、次のような理由が記述されています。

  <限界利益率が下がった原因の例>

 ●販売数を増やすために、値引きが増えている。
 ●低価格競争に陥っている。
 ●外注量が増えている。
 ●不良品やロスが増えている。
 ●原材料の値上がりや使用量の増加がある。

 ロの固定費ですが、固定費が増加している理由が記述されています。

  <固定費増加の原因の例>

 ●減産によって不要となったり、休止している設備等の維持・管理費がかかっている。
 ●作業効率の悪さから人件費等が増えている。
 ●交際費、交通費、広告費などが必要以上に増えている。
 ●前年や予算と比べて増加している経費がある。

 ハの売上高を増やす事は、今日困難を極めています。しかし、この損益分岐点分析に出ている損益トントン以上にいかないと、会社が存続しなくなってしまうという現実に直面する事になります。従って、より具体的な行動計画書を作成する必要があります。


税務について

今回は外注費なのか給与なのかの区別をいたしましょう

 会社が個人の外注先に支払う外注費は、消費税の課税仕入れになり、社会保険料もなくなるので、給与所得者を外注者に切り替えるケースが増えています。

 しかし、例えば税務調査の時、取引の中味からしてどうも外注費的要素がないと判断されますと①消費税の仕入れ税額控除を否認される②給与の源泉徴収漏れを指摘されます。

≪外注先かどうかの判断ポイント表≫

●外注先が、発注元以外の他社の仕事を請け負っている(あるいは、外注先が発注元以外の仕事を請け負う場合に、発注元の承諾を必要としない)。
●外注先が自己の判断と責任で業務を行っている(発注元が、外注先に対して仕事の内容や進め方への具体的な指示や指揮命令を行っていない)。
●仕事に必要な材料や道具は外注先が自分で用意する(発注元が支給していない)。
●外注先から請求書が発行されている。
●報酬は外注先が自ら計算している(時給、日給、月給等の時間を単位として計算されているような場合は、給与と判断されるおそれがある)。
●発注元の従業員同様の昇給や賞与がない(外注先では昇給・賞与はあり得ない)。など

 下請業者への仕事についてケース別に種々あるので、一概に言えないが下請業者に守らせる事柄を列挙してみました。

●請負契約書(業務委託契約書)を作成し、契約書には、業務内容を明らかにしておく。
●外注先が自ら請負金額を計算し、請求書を発行してもらう。
●請求書にもとづいて支払いを行い、領収書を受け取る(収入印紙を忘れない)。

 実例として電気工事業者が職人に支払った外注費が給与とされてしまった件です。

 調査では表3のような理由で給与とされてしまいました

●YはX社以外から仕事を請け負っていなかった
●外注費の金額が、1日当たりの基本給にYが業務に従事した日数を乗じて算定されていた。
●作業に使用する道具や材料をすべてX社が用意していた。
●電気配線工事の時間が、午前8時から午後5時までと決まっていた。

 従って、雇用から請負へと変更する時は十分な注意が必要です。
イ、まず本人の同意が必要です。
ロ、業務実態が給与の時代と変化なしとなれば当然、税務上は認められません。要は税務のためだけに、本来あるべき取引形態を変更させてはいけないという事です。


7月の特集

経営について

今回は、俗に言う公私混同についてお話しをしましょう

 中小企業の経営者は、自らの創意工夫と熱意で事業を立ち上げ今日の地位を築かれてきた事と思います。だからと言うわけではありませんが、最初の頃はそれこそ成功をめざして味噌も糞も一緒で支払いもしてきたわけです。どこから私的でどこから会社の事なのか正直、境目は難しいと思います。

 しかし、だからと言って明らかに私的なものまで会社の経費にしていいと言う訳にはいきません。やはり会社は公的な器です。俗に言う公私混同をしていますと、その考え、発想は当然会社の従業員、取引先、金融機関にマイナスの信号を発する事になります。

 では、具体的にはどういう事を指すのか?!以下に表示してみますと

① 趣味のゴルフ費用や遊興費を毎回、交際費などで処理している。
② 個人用の高級車を会社名義で購入している。
③ 休日の家族での食事代まで飲食費にしている。
④ 会社名義のクレジットカードを自分と家族の私的な支払いに使っている。
⑤ 家族旅行の費用を出張費にしている。
⑥ 社長の息子の結婚披露宴の費用を交際費にしている。
⑦ 社長の奥さんが「このくらい会社で払えないの!」といって、家電製品などの領収書を
  経理に回している。
⑧ 一人暮らしをはじめる社長の子供のために、社宅としてマンションを購入(賃貸)している。
⑨ 役員社宅が豪華すぎるうえ、家賃が低額である。
⑩ 勤務実態がほとんどない家族に高額の役員報酬を支給している。
⑪ 必要以上に自分や親族へ会社の資金を貸し付けている。
⑫ 同族関係者が経営する会社との取引で、条件や価格で特段の優遇をしている。
⑬ 会社の営業活動に必要のない、売上や利益にまったく貢献しない、主として社長の趣味的な
  ものを会社の資産として購入している。
⑭ 社員を自宅の引っ越しや家事などの私的な用事に使っている。

 マイナスの信号の意味するところは、従業員のモチベーションの低下、社内不正の誘発を招きます。社長が、公私混同しているので、俺たちもいいんだと思い込んでしまい
ます。なぜなら、社長のこの行為はだれも制止できないので、歯止めがかからなくなる事を意味します。結果→業績悪化→倒産に至ります。


 経営計画もあり、真剣に経営に取り組んでいるのであれば、取引先、金融機関も協力をしてくれるでしょう。しかし、資金繰りが苦しいと言いながら個人支出が多ければ、金融機関の見る目は厳しくなります。例えば、以下の点を厳しくみます。

① 営業規模に比べ、社長の使う経費が多くないか。
② 経営に関係のないような資産等が多くないか。
③ 社員を私物化して、私的に利用していないか。
④ 社長が見栄を張るタイプだったり、家族が派手好きでないか。

 税務調査でも会社経費にしていた個人的支出が否認され、給与になると…。

● 所得税の源泉徴収漏れになる。
● 役員(社長)への給与とされた場合、そのほとんどが定期同額給与にならないため、
  費用(損金)として認められなくなる。
● 消費税では、給与(人件費)は不課税になるため、給与とされた支出にかかった消費税分は、
  仕入れ税額控除ができなくなり、消費税が増える。
● 延滞税・加算税等が上乗せされる。

税務について

今回は誤りやすい消費税の実態についてお話しをしましょう

 消費税の仕組みについては、未だピンと来てない人もいると思いますが、要は会社や個人事業者が日本国内で、商品・製品を売買したり、サービスを提供したり、経費を支払ったり、事業用設備を売買したり、権利やノウハウの貸し借り、輸入をする時に課せられる税金の事です。これら消費税の対象となる取引を課税取引といいます。逆に、費税のかからない取引を、非課税取引、不課税取引、免税取引と言います。

非課税取引とは何を指すのか

社会政策的配慮から法令でもって「非課税」としている取引の事を言います。

■課税取引・非課税取引・不課税取引・免税取引の体系として

 また、主な非課税取引の例として

● 土地の譲渡と貸付、住宅の貸付(家賃)
● 有価証券の譲渡
● 貸付金、預貯金の利子、信用保証料
● カード会社に支払うクレジットカードの手数料
● 切手、印紙、証紙の譲渡(金券ショップでの購入を除く)
● 出産費用、埋葬料と火葬料 
● 法令に基づく国、地方公共団体等の手数料
● 社会保険診察等          などがあります


不課税取引とは何を指すのか
 元々消費税とは別世界のものを指します。例えば、国外で行われる取引、寄付や贈与など対価のない取引が該当します。従って、不課税取引は、全く消費税の計算の中には入ってきません。

 例として主な不課税取引の例

● 給与・賞与の支払い、出向社員の給与負担金
● 冠婚葬祭事の祝い金、見舞金、ご祝儀、香典
● 資産の無償での貸付
● 損害賠償金、交通事故の示談金
● 贈与(自家消費などは除く)や寄付金
● 税金の支払い
● 株式配当
● 受取保険金             など


免税取引とは何を指すのか
 これは、本来は課税取引なのだが、税率を0%にして消費税を免税にしているのです。輸出類似取引がこれに該当します。

 課税、非課税、不課税かなど実際の区分の仕方でしばしば例に出くわすケースとして

① 出張の日当、交通費、宿泊費などは国内か海外かで異となる



② 冠婚葬祭の費用は金銭支出か物品購入かで異なる
● 祝い金、見舞金、香典など……不課税取引
● 花束、花輪、果物等の贈答……課税取引

③ 接待ゴルフの費用には不課税のものも含まれている
● ゴルフのプレー代金…………課税
● ゴルフ場利用税………………不課税
● キャディー等へのチップ……不課税
● ゴルフコンペの賞品購入……課税

④ ガソリンと軽油では消費税の処理が違う
 ガソリン代は課税仕入だが、軽油は軽油引取税部分については不課税取引となります。

 尚、明細書に軽油代と軽油引取税と明確に区分されていれば、軽油代のみ課税となり、区分されていなければ全額課税仕入れとなります。

 尚、税務上気をつける事として

・非課税取引
非課税取引にかかった消費税を仕入れ税額控除することができない。
また、課税事業者の判定の売上高の計算に含めることができない。

・免税取引
免税取引(輸出等の売上)のための仕入れにかかった消費税を仕入れ税額控除することができる。
また、免税点制度や簡易課税制度の適用上限の判定には、課税売上高の計算に含めます

・不課税取引
消費税とは関係のない取引であるため、消費税額の計算に影響しない。

労務について

今回は公的助成金を積極的に利用して事業を活性化させましょう

 助成金の中には、中小企業緊急雇用安定助成金というものがあります。

「中小企業緊急雇用安定助成金」とは?

 中小企業緊急雇用安定助成金とは、景気の変動により、事業活動の縮小を余儀なくされた中小事業主が、雇用する労働者に休業・教育訓練・出向を実施した場合に、休業手当・賃金の5分の4を助成するものです。休業・教育訓練の場合、手続きは、訓練等の開始前までにその計画書を事前に届け出た後、1か月ごとに支給申請をします。

※ここで言う教育訓練とは、技能向上、経営哲学、マーケティング手法、品質向上やQCサークルのスキルアップ、語学、新分野進出に関する業務内容、モチベーションの向上、コミュニケーション能力開発などが対象となります。

 尚、助成金等の不正受給は、御法度である事は申すまでもありません。

6月の特集

経営について

今回は社内の意思疎通の事について話しをしましょう

 当り前の事ですが、あいさつはとても大事です。あいさつが出来ればコミュニケーションの入口まで来ている事になるので、社内の意思疎通も十分に出来る素地があると考えてもいいでしょう。逆に意思疎通が悪いとミス、クレームの連発です。

 では現状ではどうかといいますと、コミュニケーション不足が2/3程度となっており、組織活性化のためのコミュニケーション不足は約9割と大半の人がコミュニケーションの重要性に気づいています。

参考資料:社団法人日本経営研究会「ビジネスコミュニケーション白書2010」

 では意思疎通度をチェックしてみましょう

 ―意思疎通度チェックリスト―

□1.出社時、退社時の挨拶や来訪者への「いらっしゃいませ」等の挨拶を半数以上の社
   員がしていない。
□2.他の社員の出勤、外出等の状況がわからずに、慌てることがよくある。
□3.部門間、社員間の連携や連絡が悪く、それに起因するミスがよくある。
□4.留守中の伝言等が伝わっておらず、お客様からクレームを受けることがよくある。
□5.お客様からの問い合わせがあっても、担当社員がいないとまったくわからないことが多い。
□6.商品・サービスのお客様への説明内容が、社員によってバラバラなことがある。
□7.違う部署で同じような仕事をしていて二度手間と思われることがある。
□8.何か問題があると、他の部署や他の社員のせいにする社員が多い。

 上記の表1でコミュニケーション不足が判明したら、まずあいさつの完全履行をしてみましょう。

 具体的には

イ.明るく元気に、聞こえる声で
ロ.いつでも、誰にでも
ハ.先にあいさつをする
ニ.全員が気持よくあいさつをできるまで続ける事

 職場での意思疎通を良くする方法として表に出ていますように、共同作業をやらせるなどをしますと、効果はあります。

 ―意思疎通を良くする工夫―

1.毎朝、社員全員で職場内の清掃や整理整頓を行う。
2.共同できる作業を全員で行う。
3.社内改善の共同テーマで会議を行い、全員参加でアイデアを出し合う。
4.クロスオーバー会議を行う(一つのテーマについて、社内全員をいくつかのグルー
プに分けて話し合い、提案をまとめて、全社員の前で発表する)。
5.朝礼において、自分の自慢などを当番制で発表してもらう   等々

会計について

今回は決算書から自社の収益性や生産性をみてみましょう

 売上の目標をいかに達成するか、企業にとっては重要ですがそれと同時に「いくらの元手でどれだけお金が増えたか」にも強い関心がそそがれます。要はヒト、モノを活かしてどれだけ収益性、生産性をあげたかをみる事です。

 いわゆる「収益性」や「生産性」を示す指標として、総資本経常利益率なるものがあります。これは、どれだけの資本(負債+純資産のこと)を抽入して、どれだけの経常利益が獲得出来たかを示す指標です。この数値が高いほど収益性が良いとなります。最近は、銀行も関心を持っています。尚みに、この指標のチェック表を御覧になってください

  ―総資本経常利益率が低くなる要因をチェック―

□滞留売掛金が増えていないか?
□手形の回収サイトが伸びていないか?
□手形割引料が増えていないか?
□借入金増加により、支払利息が増えていないか?
□不要不急となった資産・設備
(ゴルフ会員権、有価証券、老朽化した機械、遊休地)はないか?
□貸付金・仮払金・立替金が増えていないか?
□販売数量、販売単価が下がってきていないか?
□仕入原価・仕入コストが上がっていないか?
(製造業であれば、材料費、外注費などの製造コストが上がっていないか?)
□販売費及び一般管理費
(水道光熱費、広告宣伝費、通信交通費、接待交際費などの諸経費)が増えていないか?    など

 もう一つ重要な指標があります。それは、従業員1人当りが生み出す限界利益(要は粗のもうけです)の事です。もちろん多ければ多い程、越した事はありません。いわゆるこれは、生産性というものです

 さて、上の件とからめて労働の分配率というものがあります。これは従業員に配分する割合が多ければ多い程、従業員は喜ぶがいわゆる生産性は悪くなるという二律背反の問題を抱えています。要はバランスを取る事になります。尚みに、生産性の数値が悪化する一般的な要因をチェックしてみるため表を用意します

 ―生産性の数値が悪化する一般的な要因をチェック―

□人件費が世間相場より高すぎないか?
□福利厚生費が高すぎないか?
□社員のモチベーションが下がっていないか?
□人員が多すぎないか?
□設備等が過剰になっていないか?
□設備が老朽化し、生産効率が下がっていないか?

 要は、労働分配率が低く、1人当りの人件費が高ければこれを最良とします。

労務について

今回は最近の労務トラブル事例に学びましょう

 事例として、レストランで優秀で勤務時間もいとわず、よく働いてくれるコックさんのケースを話しますと、残業代も払わずに長時間勤務をしてくれていました。

 3年経過したところ突然退職となり後日、超過勤務分を明記してあるタイムカードが送られてきて、勤務中の残業代2,100万円を支払えと言ってきました。
 さて、会社側はそれに対する何の資料も保存もしていませんでした。結局すったもんだした結果、和解で1,400万円近い金を支払って結末を向かえました。
 教訓として、まず雇用契約書、賃金台帳、出勤簿などの労働関係資料を有する事です。

 個別に見るに

イ.雇用契約書を必ず作る。まず、雇用内容を書面に落し込んでください。
ロ.賃金台帳を給与支給のつど作成の事。
ハ.出勤簿等で就労時間をしかと把握する事です。特に月給制の場合は、時間外の時間を一目で
 みれば、解るようにしてください。
ニ.就業規則を見直す。残業においての明確なルール作りをしてください。


5月の特集

税務について

今回は、住宅取得等資金の贈与の非課税措置の拡大についてお話しをしましょう

● この件については、平成21年6月の改正で20歳以上の人が直系尊属(実父母、実祖父母、実曾祖父母)から住宅資金の贈与を受けた時には、贈与税が500万円まで非課税だったのが、22年度は1,500万円(23年中は1,000万円)までとなり、大幅拡大となりました。但し、贈与を受けた人は年間の合計所得が2,000万円以内との条件がつきました。

■住宅取得等資金の贈与の非課税措置


● 暦年課税と相続時精算課税との併用は可能ですが、解りにくいのでまず表をみてください

①暦年課税との併用の場合


②相続時精算課税との併用の場合


①の場合は表をみてもらうと解ると思いますが、例の基礎控除110万円が併用して使えます。そして、相続発生時に非課税枠を組み込む必要はありませんが、110万円分は死亡時3年前の分は取り込む必要があります。

②の場合は特別控除分は相続発生時にて、贈与時の価格で組み込む必要があります。

● では、また改めて説明すると、誰からの贈与が対象になるかと言うと、20歳以上の人が、直系尊属(実父母、実祖父母、実曾祖父母)から受けた贈与は、期間内であれば複数の父母や祖父母から受けてもOKですが、合計は1,500万円(23年中は1,000万円)が上限です。

● 贈与を受けた年の翌年3月15日までの入居、又は確実に入居が見込まれる事が条件となります。

● もちろん、非課税とは言っても、申告はしなければなりません。

会計について

今回は、資金のお話しをしましょう

● 企業は、儲けをださなければ組織として存在できません。では、儲けと言ってもどんなものなのでしょうか。まずは、俗に言う売上を上げなければなりません。そしてその次に、それがお金を伴わなければなりません。要は、仕事を見つけそれをこなし、そして最後に入金となって初めて仕事として完結するわけです。

● 流動比率ですが、要は1年以内にお金になるものと同じ期間で返済しなければならない比率の事で、1年以内にお金になる方が多ければ、資金に余裕があるなと観るのです。この比率は150%超が望ましいと言われています。例えば流動資産150に対し流動負債100という見合です。ちなみに、流動資産には現預金、受取手形、売掛金、たな卸資産等があり、流動負債には支払手形、買掛金、短期借入金等があります。

● 更に、流動比率自体が150%超でも、以下のケースの時は要注意です。

―流動比率が高くても安全性に問題があるケース―

■売掛金の回収が遅いか、不良債権がある
■在庫が過剰か、不良在庫が多い
■買掛金の支払サイトが短すぎる

―流動比率が低くても安全性に問題がないケース―

■売上の大半が現金売上
■売掛金の回収サイトが短い
■在庫の回転率が早い
■買掛金の支払サイトが長い
 ◎ちなみに、安全性とは短期的な資金繰りの状況を表現する言葉です。

● いわゆる資金ショートをしそうかどうかを調べるには、どうしたらよいかですが、経常収支比率を見て、これが100%を下回ると危険ラインに突入です。100%以上超えていれば、借入の返済、設備投資、資金の蓄積等はOKです。

表にしますと


● 借入金への依存度はどの程度であれば良いかですが、自己資本比率は最低30%超はありたい。本来なら、50%程度でしょうが、資本金の多寡で地方税の税額に影響するので、無闇に増やす事は出来ませんが、常に債務超過になる事を避ける努力は必要でしょう。

●最後に、設備投資をする場合の資金調達方法に狂いはないかどうかを調べるには、固定長期適合率が100%以下であれば、まず資金的には無理はなかろうと考えられます。要はどういう事かと言いますと、何せ設備投資は長く使用し、ある意味企業の根幹をなす投資なので、長く使用する分の資金調達は長い期間の返済でまかなうという発想にし、決して短期資金で調達してはいけないという事です。そうすれば、資金の返済にも無理が生じず、資金的に余裕が出るというものです。

表にしますと



経営について

今回は自社の現状を知るためのSWOT分析についてお話しをしましょう

● SWOT分析とは、自社の経営環境を強みと弱みの内部環境と機会と脅威の外部環境とに分けて整理する手法です。

■SWOT分析の基本


● 外部環境(機会と脅威)とは、企業努力ではどうする事も出来ない、経済、業界の動向、市場のトレンド、技術革新、顧客ニーズ、法令改正などです。これらが、自社にとってプラスなのかマイナスなのかの見極めをする事です。

 ―機会の例―
〇エコ・環境対策関連商品の市場拡大
〇同業者の倒産による市場拡大
〇高額・高品質商品の需要の高まり
〇健康志向の高まりで健康関連市場が拡大
〇高速料金土日1,000円による観光客増加   など


―脅威の例―
〇原材料費の高騰
〇規制緩和によって他業種からの参入が急増
〇官公庁からの発注が減少
〇低価格競争がさらに激化
〇親会社の経営不振によるリストラ・コストダウン
〇ライバル社や大手企業の進出
〇自社商圏の経済の地盤沈下   など

● 一方、内部環境(強みと弱み)とは、企業努力の生かせる分野で、例えば技術力、人材、ブランド力、生産性、品質などが該当します。これらが、自社に働きかける事により、弱みになったり、強みになったりします。

 ―強みの例―
〇大手が苦手とする小ロットの注文に強い
〇古くからの優良顧客が多い
〇顧客に商品名が知れ渡っている
〇早くから投資をしていたのでIT技術のインフラがある
〇エコ型新商品の開発に成功
〇ISOを取得している
〇新技術による経営革新を県に申請し、承認されている
〇金融機関からの借入金が比較的少ない
〇社長の顔が広く、情報キャッチが早い
〇短期・中長期経営計画を立て予実管理ができている   など

 ―弱みの例―
〇償却間近の老巧設備が多い
〇カタログ販売が中心で営業力が弱い
〇主力商品の需要が低下傾向にあり、それに変わる目玉商品がない
〇独自技術が少なく、他社依存が多い
〇IT環境はあるが、使いこなす人材がいない
〇経営に計画性がない(経営計画を立てていない)
〇毎月の業績数値がすぐに分からない
〇いつも資金繰りに追われている
〇社内のコミュニケーション不足に起因する顧客クレームが多い
〇中高年社員が多く。平均年齢も高い  など

● この分析は、まず外部環境の脅威、次に機会の分析、そして内部環境の弱み、最後に強みとの順番で検討をします。ここで大事な事は、この強弱は絶対的なものでなく、あくまで相対的であるという事です。これは、社長と従業員とでも違います。例えば、飲食店では社長は「味」が強みと思っていても、従業員が「立地の良さ」ではないかと思う、この違いです。従って、物事を絶対的に把えるのではなく、あくまで自社にとってどうなのかとの相対的見地から、物を観るようにする事が非常に大事となります。これによって、自社を客観的に観、従業員の意見、仕入先、得意先、金融機関、顧客等の声も集約して、改めて自社の強み、弱みを認識する事が出来、これから経営の改善計画や経営革新が初めて動き出すのであります。


4月の特集

経営について

今回は会社の資産・負債を見てみましょう

○昨今、話題となっているJALの話しを出すまでもなく、経営改善をせまられている会社が多く存在します。会社の真の資産・負債が明確になっていなければ、先には一歩も進めません。決算書はいわゆる取得原価主義で作成され、必ずしも会社の実態(資産がどの程度換価価値があるのか、債務「例えばリース債務とか」は決算書に表現されている以外にないのかどうか)を調べてから、経営改善へと進みます。これを表現したものが実態バランスシートと言います。

○例えば売掛債権の不良分についてですが、税務では細かな決め事があり、そうたやすく貸倒損失を認めない(課税所得算定上)が、再建・改善計画では税務と離れ、実回収可能債権かどうかでみますので、以下の状況であれば0評価となります。

 ・回収が遅延している債権
 ・得意先から減額を要請されている債権
 ・休業・店舗を閉鎖した得意先の債権
 ・経営者が行方不明となっている債権

○棚卸資産はまず帳簿上と実地たな卸とを突合し、売れる価値で評価をします。自社商品・製品でも換価価値にし、仕掛品はもちろん0評価です。原材料も、仕入先の引取価格で評価します。

○土地・建物は時価で評価するとしても、経営再建計画では本当に売れる値段で評価します。

○機械装置・車両ですが、中古市場のあるものは値段がつきますが、自社専用分は他での転用が無理なので0と評価します。

○有価証券等は相場の立つものは、その値段で評価し、そうでないものは0となります。

○貸付金・仮払金・立替金は、同族会社の場合、大抵は社長個人がらみが多いので、評価は0とみます。

○リース債務は存外見落しがちで、これは会社が解散・精算終了しても未払分があれば残ります。

こうやってみると、以外に資産は少なく、負債は多いものです。この数字をベースにして経営計画を考えてみましょう。

労務について

今回は改正労働基準法への中小企業の対応を考えてみましょう

○平成22年4月1日から、長時間労働の是正を中心にして、労働基準法が改正されます。

特に中小企業に関係するものとして

 イ.一定時間を越える残業に対し、割増賃金率が25%超えるよう努める事
 ロ.年次有給休暇を日数ではなく、時間単位で取得できるようにする

今回の改正の「ねらい」は長い残業時間をいくらかでも少なくさせるためです。

○労働基準法では、労働時間が1日8時間、1週40時間と定められておりますが、現実は実現不可能で、残業、日曜出勤もしなければ経営が成り立たない会社もあります。そんな時は、36協定を結んで労働基準監督署に提出する事です。

○では、繁忙期や急な受注にはどう対応すればよいかですが、この36協定に追加項目として、「特別条項付36協定」を結んで、限度時間を超える労働をさせる事が出来ます。もちろんこの場合は、割増賃金率は25%を超える事になります。

○では、「特別条項付36協定」とは、ですが

 イ.限度時間を超えて働かせ、一定期間ごとに割増賃金率を定める事
 ロ.上記イの率を25%以上に努める事
 ハ.そもそも超過勤務をなるべく短くするよう努める事

○時間単位で有給休暇を取得できるように今回からなりました。これも、少しでも未消化分をなくそうという発想です。

○労働基準法の今後の動向ですが、中小企業は残業時の割増賃金について、現在努力目標となっていますが、今後は強制力が高まるのは必常です。

※36協定とは
 経営者が、従業員に法定時間外労働や休日労働をしてもらうためには、「一定の期間について延長できる時間、または労働させることができる休日」について、従業員の過半数の代表者等の同意を得て、「時間外労働及び休日労働に関する協定」を締結し、労働基準監督署長に届け出なければなりません。この協定は労働基準法第36条に基づくことから、「36(サブロク)協定」と呼ばれます。

税務について

今回は、源泉所得税の徴収漏れに気をつけましょう

○まず、源泉税徴収制度とは徴税効果を上げるため取る側の発想で、支払いの生じる最初の時点で、まず税金の徴収漏れがないようにしようとの主旨から、始まった制度です。従って、漏れがあると厳しい取り立てがあります。1日でも遅れると、不納付加算税や延滞税が課税されます。

○まず、給与ですが正社員分は誤りが少ないのですが、アルバイト、契約社員、外国人労働者などが、誤って徴収したりしています。税額表があって、給与支払期間に応じて「月額表」「日額表」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の3種類があります。月額、日額は、給与の支払形態によって甲、乙、丙(日額表のみ)欄を使います。

○アルバイト・パート・契約社員でも税務上は正社員と同じです。アルバイト等は扶養控除等申告書が提出されていれば、税額表の月額表か日額表の甲欄を使って計算します。アルバイトも2か月以内なら、日額表の丙欄を使います。ただし、2か月を超えると月額表または日額表の甲か乙欄を使います。

 以上を整理すると



○源泉税が不要なケースは
 イ.日給が9,300円未満の日雇いや短期(2か月以内)のアルバイト等
 ロ.扶養控除等申告書を提出していて月給、または日給が一定額未満(月給88,000円未 
   満、日給だと2,900円未満)の場合

○外国人労働者も源泉徴収は必要です



※居住者とは、国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上住んでいる場所を有している人をいいます。

 尚、日本と租税条約を結んでいる国(アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・中国・
韓国他)は源泉の取り方が違います。

○源泉対象は何も現金支給だけとは限りません。食事や社宅・寮などの貸与も源泉の対象になる場合があります。

○外注費が給与とみなされる場合があるので要注意です。外注費か給与かの判定は、請負契約か雇用契約かに尽きます。請負である事を主張するには次のような書類が最低限必要です。

 ●請負契約書(業務委託契約書)
 ●外注先が発行した請求書
 ●外注代金の領収書

○源泉徴収漏れした税額が会社負担になる場合があります。本来、本人から徴収しなければならない場合、本人が既に退社していて、連絡がとれなければその不足徴収分は会社負担となります。

―お勧め本―

 題名は、「岩崎弥太郎と三菱四代」という単行本です。値段は819円です。著者名は河合敦。とにかくおもしろく、思わず感動し、ぼろぼろに泣けてくる本です。御一読を薦めます



3月の特集

金融について

今回は中小企業金融円滑化法についてお話しをしましょう

○この法律は中小企業が借入れをし、月々の返済を待ってくれるというものではありません。あくまで、金融機関と今後の返済計画、経営改善計画を吟味した上で、貸付条件の変更等を求めるものです。状況により変更条件に応じられない場合は、いきなり門前払いをするのではなく、次なる改善へとつながる指導をしなければならないとされています。

○要は、貸付条件を変えるにしても経営計画を新たに作成し、①資産の売却等によって財務内容を健全化する②経費、役員報酬の削減③新商品開発や販路拡大による売上アップ④会社の技術力・販売力・成長性の改善可能等、前向き提案、計画書があるのを前提とします。

○また、これが絵に書いたもちにならないよう追跡・調査をされますので、そうなると安易な事では、貸付条件の変更には応じてもらえないという事です。従って、銀行のためではなく、本気になって改善をする事が大事です。

会計について

今回は決算についての確認事項についてお話しをしましょう

Check1:
決算期末日の帳簿残と実残(金種表)とを合わせましょう
差額は現金過不足a/cないしは、最悪、役員に対する賞与ないしは貸付金となります。

Check2:
預金と借入金の残高証明書を手の入れる
預金利息が漏れる場合があるので注意しましょう。後、預金に対する源泉にも
注意。借入金については借入先別の残高と利率について確認しましょう。

Check3:
実地棚卸をしましょう。
預け在庫、輸送中、未着品、期末戻り品には注意しましょう。実地棚卸の際の棚卸表は保存してください。期末棚卸ができない場合は期末に近い日に棚卸し、それに増減を入れて精度を高めましょう。製造業や建設業では仕掛品に注意しましょう。決算日で工事中のものとか、未完成は仕掛品です。後、在庫処分は写真で証拠残しをしてください。

Check4:
売上、仕入について、特に締後末日までの分が漏れるケースが多いので、注意しましょう。
売上値引き、返品の確定しているものは、必ず期末までに値引きや返品の伝票を切り取引先に通知しましょう。

Check5:
売掛金・買掛金・未払金等の残高確認。取引先の名称、住所等に注意しましょう。
いわゆる、債権、債務を確定しましょう。特に貸倒引当金に注意。

Check6:
固定資産の現物と台帳とを確認しましょう。
経理上、費用として処理できる場合もあるので要注意。

Check7:
有価証券の現物とあたって確認しましょう。
上場株式は証券会社からの取引残高報告書で確認しましょう。

Check8:
仮払金、仮受金等の精算・返済できるものがないかどうか確認しましょう。
中味を精査し、適切な科目にしてください。

Check9:
預り源泉所得税、預り社会保険料については再度確認し未納がないようにしましょう。

Check10:
貸倒れや回収見込みのない債権の有無を確認しましょう。
特に宛先不明で戻ってきた請求書送付の封筒、債権者集会の通知書や議事録、不渡手形の現物は保存しましょう。

決算確認事項チェックリスト

□ ①決算期末日の現金残高を金種別に把握する
□ ②預金と借入金の残高証明書を入手する
□ ③決算期末日に実地たな卸を行う
□ ④売上、仕入を確定させる
□ ⑤売掛金・買掛金・未払金等の残高を確認する
□ ⑥固定資産の現物を確認する
□ ⑦有価証券等の残高を確認する
□ ⑧仮払金、仮受金等に精算・返済できるものがないかを確認する
□ ⑨預り金について、源泉所得税、社会保険料等の各項目ごとに残高を確認する
□ ⑩貸倒れや回収の見込みがない債権がないかを確認する

労務について

今回は入退社時の社会保険の事務手続についてお話しをしましょう

○入社時の各種保険の資格取得や被扶養者の手続きが必要です

-表にすると-
□提出書類:雇用保険被保険者資格取得届
□添付書類:前職の雇用保険被保険者証、会社の雇用保険適用事業所台帳
□提出期限:資格取得日の属する月の翌月10日まで
□提 出 先:会社を管轄するハローワーク(公共職業安定所)

○入社時の健康保険・厚生年金保険の手続きは、被扶養者の有無によって変わります。
必ず収入要件を確認してください


-表にすると-


                             となります

①被扶養者がいない場合
□提出書類:健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
□添付書類:年金手帳
□提出期限:資格取得日から5日以内
□提 出 先:会社を管轄する年金事務所(健康保険組合、厚生年金基金)

②被扶養者がいる場合
□提出書類:上記①の提出書類に加えて健康保険被扶養者(異動)届
【被扶養者が配偶者の場合】国民年金第3号被保険者関係届書

□添付書類:【被扶養者が配偶者の場合】本人と配偶者の年金手帳
       【被扶養者が配偶者以外の場合】在学証明書、住民税の非課税証明書等

○退社についての事務手続きについて雇用保険の場合
□提出書類:雇用保険被保険者資格喪失届、
      雇用保険被保険者離職証明書
□添付書類:賃金台帳、出勤簿
□提出期限:最終の出勤日の翌日から10日以内
□提 出 先:会社を管轄するハローワーク

○退社時の健康保険・厚生年金保険の手続
□提出書類:健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届
□添付書類:健康保険被保険者証
□提出期限:資格喪失日から5日以内
□提 出 先:会社を管轄する年金事務所
      (健康保険組合、厚生年金基金)
※健康保険・厚生年金保険の資格喪失日は、退職日の翌日になりますので、注意して記載しましょう。

○では個別のQ&Aでいきます
イ.年金手帳が確認できない時は?
資格取得届の基礎年金番号欄は空白にし、「年金手帳再交付申請書」を添付して手続きすれば再発行となります。

ロ.外国人を採用する場合は?
外国人でも日本人と同様に各種保険について被保険者として該当するのであれば加入の必要があります。雇用保険については、該当しなくても外国人労働者の氏名・在留資格等をハローワークに届け出る必要があります。

ハ.パート・アルバイトは社会保険に加入の義務有り!?
働いている実態で加入の有無を検討します

―パート・アルバイトの社会保険加入の目安―
(雇用保険)
下記の①、②のいずれにも該当する場合は、雇用保険の被保険者になります。
 ①6か月以上の雇用見込みがあること
 ②1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であること
(健康保険・厚生年金保険)
1日または1週間の勤務時間や1か月の勤務日数が、その会社の正社員のおおむね3/4以上の人は加入しなければなりません。

ニ.会社を退社した後も、健康保険を続けたい…
「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を退職者本人の住所地を管轄する全国健康保険協会に提出する事で、一定の要件がありますが、最高で2年間加入できます。

ホ.入社後に保険証がないが、すぐ病院にかかりたい…
急を要する場合は「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」を年金事務所に提出し、「健康保険被保険者資格証明書」を交付してもらえば、受診できます。




22年度税制改正の要点

平成22年度 税制改正の要点

主な改正ポイントを列挙しますと

1.中小法人の軽減税率引下げの件

今回は棚上げとし、23年以降検討となりました。尚、21年4月1日~23年3月31日までの間に終了する各事業年度の所得金額のうち、年800万円以下に対する軽減税率は18%に引き下げられています

2.一人オーナー会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度の件

廃止となり、22年4月1日以後終了する事業年度から適用となります。
いわゆる、「二重控除」の問題は個人事業主との課税の公平の見地から、引き続き23年度で検討する事になっています

3.中小企業の少額減価償却資産の特例延長の件

30万円未満で年間合計額300万円限度の全額損金算入制度は、24年3月31日まで2年延長となりました

少額減価償却資産の取得価格と償却方法

4.中小企業の交際費の損金算入の特例延長の件

定額控除限度額600万円の90%相当額までは損金算入が可能です。同24年3月31日まで2年延長となりました

中小企業の交際費の損金算入特例
損金算入割合

5.中小企業の設備投資の件

中小企業投資促進税制が、2年延長となりました。これは、中小企業者等が一定の設備投資やIT投資等を行った場合、税額控除7%か特別償却30%かのいずれかを選択できるものです。これに仮想化ソフトウエア等が追加されます

6.グループ法人税制の件

対象法人は、連結納税制度を採用している法人以外の100%支配関係のグループ法人のすべてが対象となります。これは要注意です

要点を述べますと

イ.100%グループ内の法人(注)間の資産の譲渡取引等の損益の繰延や受取配当の全額
 益金不算入(負債利子控除の不要)など

(注)100%グループ内の法人:完全支配関係(原則として、発行済株式の全部を直接又は間接に保有する関係)のある法人をいいます。 

ロ.親会社の資本金が5億円以上の法人の100%子会社については、以下の制度が不適用
 (イ)軽減税率
 (ロ)特定同族会社の特別税率の不適用
 (ハ)貸倒引当金の法定繰入率
 (二)交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
 (ホ)欠損金の繰戻しによる還付制度 

ハ.100%グループ内の法人間の寄附金について、支出法人では全額損金不算入、受領法人では全額益金不算入

ニ.連結子法人の欠損金の持込制限の緩和など連結納税制度の見直しなどとなり、原則22年10月1日以後ですが、一部は22年4月1日以後開始する事業年度から適用となります

7.租税特別措置の縮減・廃止等の件

―廃止されるものー
身近かなものとして、優良賃貸住宅の割増償却制度における中心市街地優良賃貸住宅に係る措置が、適用期限到来で廃止となります

―延長・拡充等されるものー
○試験研究費の増加額に対する税額控除又は、平均売上金額の10%を超える試験研究費に対する税額控除のいずれか選択の制度が2年延長

○使途秘匿金の支出の2年延長

○中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻し還付の不適用が2年延長

○中小企業倒産防止共済法の改正により掛金の上限の引上げ、共済金の貸付限度額の引上げが行われます

8.扶養控除の見直しがなされました

扶養控除の見直し

9.少額上場株式等の配当所得などを非課税にする件

24年から実施される上場株式等に係る税率20%の本則税率化に伴い、次の非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等が非課税とされます

非課税措置の概要

(イ)金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座において管理されている上場株式等(以下「非課税口座内上場株式等」という)に係る配当等で、その非課税口座の開設日に属する年の1月1日から10年内に支払いを受けるべきもの(その金融商品取引業者等がその配当等の支払事務の取扱いをするものに限る)については、所得税及び個人住民税は課されません。

(ロ)非課税口座の開設日の属する年の1月1日から10年内にその非課税口座に係る非課税口座内上場株式等の金融商品取引業者等への売委託等による譲渡をした場合には、その譲渡による譲渡所得等については、所得税及び個人住民税が課されません。また、非課税口座内上場株式等の譲渡による損失金額は、所得税及び個人住民税に関する法令の規定の適用上、ないものとみなされます。
尚、非課税口座とは、金融商品取引業者に24年から26年までの各年において設定された上場株式等の振替記載等に係る1人につき1年1口座で新たに取得した上場株式等(非課税口座設定時からの取得対価の合計額が100万以内のものをいう)が対象となってきます

10.生命保険料控除の改組の件

次のイからハまでで、合計適用限度額が12万円となりました。

イ.平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る控除

(イ)平成24年1月1日以後に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「新契約」という)のうち介護(費用)保障又は医療(費用)保障を内容とする主契約又は特約に係る支払保険料等について、一般生命保険料控除と別枠で、適用限度額4万円の所得控除(介護医療保険料控除)が設けられます。

(ロ)新契約に係る一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の適用限度額は、それぞれ4万円とされます。

(ハ)上記(イ)及び(ロ)の各保険料控除の控除額の計算は次のとおりとされます。




ロ.平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る控除

平成23年12月31日以前に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「旧契約」という)については、従前の一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除(それぞれ適用限度額5万円)が適用されます。

ハ.新契約と旧契約の双方について保険料控除の適用を受ける場合の控除の計算

それぞれ次に掲げる金額の合計額(上限4万円)となります。

(イ)新契約の支払保険料等については、上記イ(ハ)により計算した金額

(ロ)旧契約の支払保険料等については、従前の計算式により計算した金額

11.租税特別措置の廃止・縮減・延長等の件

縮減について
特定居住用財産の買換え、交換の長期譲渡所得の特例につき譲渡資産の譲渡収入が2億円以下となり、2年延長です。

延長・拡充について
・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限が2年延長です。
・特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等が2年延長です。
・所得税の寄附金控除の適用下限額が2,000円以下となりました。これは、22年分以降適用です。

12.住宅取得等資金の贈与の非課税措置拡充の件

○直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母)から贈与を受けた場合の非課税措置が講じられました。

イ.非課税限度額(従前500万円)が次のように引き上げられます。
  平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた人* → 1,500万円
  平成23年中に住宅取得等資金の贈与を受けた人  → 1,000万円
   *平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた人は、改正前の制度(非課税限度額
    500万円)と選択して適用できます。
   *なお暦年贈与の基礎控除(110万円)は従前どおり使えます。

ロ.適用対象者
  贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の人に限定されます。
   *なお従前の500万円非課税措置については所得制限はありません。

ハ.適用
  平成22年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用され、その適用期限は平成23年12月31日(従前は平成22年12月31日)までです

贈与制度の概要

13.小規模宅地等の相続税の課税価格の計算特例の見直しの件

イ.相続人等が相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しない宅地等の適用が廃止さ
れます(従前200㎡まで50%減額)。

ロ.一の宅地等について共同相続があった場合には、住居しない人にも適用されていましたが、取得した人ごとに適用要件が判定されます。

ハ.一棟の建物の敷地として使用していた宅地等のうちに特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部分ごとに按分して軽減割合が計算されます。

ニ.特定居住用宅地等は、主として居住用に使用されていた一の宅地等に限られることが明確化されます。

これらは、平成22年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する小規模宅地等に係る相税から適用となります。

2月の特集

経営について

今回は帳簿の重要性を歴史から垣間見てみましょう

○ 帳簿は、14世紀にイタリアの豪商メディチ家から始まったと言われています。15世紀に入りイタリアの幾何学者ルカ・パチオリが、帳簿の仕組みを作りました。これが、複式簿記の原点と言われています。

商売繁盛の条件として3つ掲げ3番目に記帳の重要性を述べています。

① 十分な資金力を持つこと
② 会計業務に携わる者は、誠実さ・廉潔性を持つとともに、熟達した技能を持つこと
③ すべての取引を秩序正しく適切に記帳処理すること

時は変わって17世紀、ルイ14世の統治下のフランスは、今の日本のように大不況の真っ直中、企業の倒産は続出しておりました。何とか、倒産防止を図るべく、国家的規模で商人への記帳と決算書作成を義務づけました。この義務は恐ろしく厳密で、倒産時に会計帳簿を裁判所に提出できない者は死刑にするという事でした。その結果、経済も立ち直ったとの事です。帳簿はそれほど大切だという事をお伝えしたいのです。

○ さて我が国を見ても、戦国時代の覇者のうちの1人である豊臣秀吉も、会計帳簿の重要性に早くも着目しておりました。いわゆる戦は力を振り回すだけでなく、商人的センスで経済を動かす事によって勝ち戦をしていました。いわゆる兵糧攻めなどが典型的手法でしょう。要は占領しようとする土地周辺の米、食料を全て買い占め、食料が敵の手に渡らないようにして、力を振り回す体力、地域経済を一時的にマヒさせ、敵の戦力を奪う方法でした。これなども、経済に明るくなければ出来ない事です。そこで、具体的には会計帳簿が生きてくるのです。

○ 同じく同時期薩摩藩も、秀吉が天下の最初の頃、秀吉に楯突いたため領土を大幅に減らされましたが、石田三成の助言で富は土地からではなく、商売、貿易に精を出し江戸時代に入ってからは沖縄、中国貿易で莫大な富を築き、それが後に倒幕資金として使われ、最終的に明治維新の原動力にまでなったのです。

○ 帳簿とは、国をも動かす源にもなる力を秘めたものである事を皆様に承知してもらおうと、長々と歴史を述べました。要は経理的数値を使って実績と計画とを対比比較させることにより、将来への布石をもする事が出来るし、経済への立て直しも出来るのです。


法務について

今回は売掛金回収の法的手段についてお話しをしましょう

○ 昨今は、ある意味一番発生している事案ではないでしょうか。経営者は、この件で日夜頭を痛めています。滞留の債権の回収には、請求書再送付、TEL、訪問は当然の事としてしなければなりません。でも、回収できない事がしばしばです。次のステップは、内容証明です。これは、○月○日にこんな内容の郵便物を出したという事を第3者に知らしめるものです。それでも回収できない場合があります。内容証明は精神的プレッシャーにはなりますが、法的拘束力はありません。残念ですが。

○ 尚みに、売掛金の時効は2年です。2年が過ぎそうであれば、先方に債務の確認をしてもらうと確認日より新たな時効期間がスタートします。

○ さて、法的レベルになった時の最初の方法として「即決和解」があります。債権者と債務者は簡易裁判所の裁判官の前で合意した旨の和解調書を作成する事です。即効性がありますが、裁判所に行かなければならないし、債務者も出頭しなければならないので抵抗もあります。また、1~2カ月の時間がかかる等のデメリットもあります。

○ 次のレベルとして民事調停があります。調停委員の仲裁のもとで、両者の話し合いで解決を目指すものです。これは、裁判と違うので強制力はありませんので、先方が調停に出てこなければ始まりません。調停が成立すれば、守らなければ強制執行も可です。

○ また、公正証書による契約書ですと、合意内容が当事者間の書面よりも、証拠力が高まり「強制執行認諾文言」を入れておけば、裁判をしなくても強制執行が出来ます。これですと、裁判所に出頭しなくてもよいので、債務者の理解は得られます。

○ 支払督促というのもありまして、裁判所から債務者に支払いするよう命令を出してもらう制度です。相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申立てる事になります。

○ 最後に少額訴訟ですが、60万円以下の売買代金請求や貸金請求などの金銭の支払いを求める場合です。上記方法では解決のつかない時に使え、和解による解決方法もあります。メリットとして勝訴すれば、強制執行も可能であるが、相手に財産がなければ回収できません。


会計について

今回は変動損益計算書についてお話しをしましょう

○通常の損益計算書は、売上に対してかかる原価はいくらか、その原価を差し引いた後の数字に対し販管費(維持費)がいくらかかり、それを差し引き後に営業外損益を加味して、経常損益を算出するというものです。これはこれで意味を持っていますが、違う見方として売上に連動する経費(変動費)を販管費に入っている分も含めて、抽出し、限界利益(いわゆる荒利)を算出し、そこから固定費を差し引くという計算書があります。これが、いわゆる変動損益計算書といいます。 


変動費 売上高の増減に応じて変動する費用
商品の仕入原価、材料費、外注費などの製造原価にかかわる変動費のほか、荷造包装費、配達費など販売にかかわる変動費がある。

固定費 売上高の増減にかかわらず固定的に発生する費用
役員報酬、管理職の人件費、減価償却費、賃貸料、保険料などがある。

●限界利益 いわゆる粗利。売上高から変動費を差し引いた利益
生産や販売が増加しても固定費は増加しないため、限界利益の増加分がそのまま経常利益 の増加分になる。

限界利益率 売上高に対する限界利益の割合

変動費比率 売上高に対する変動費の割合

○ では、この計算書で何が解るかといいますと、売上対変動費と対(つい)で考えますので、限界利益率がほぼ確定され、どれだけ売上げればどれだけ限界利益額が算出されるか一目で解るので、維持費(固定費)がどれだけまかなわれるか、一目で解る事になり、比較的事業計画が立てやすくなるという事です。

○ このように、この変動損益計算書を、商品別や店舗別で区分けしていくと、存外見えてないものが見えてき、儲かっていると思える商品や部門が以外と違っていたりする事もあります。まずは、勘に頼らず数字に落し込んでいく習慣を身につけましょう。


今月のおすすめ本

「金持ち父さんの新提言 お金がお金を生むしくみの作り方」 青春出版社ロバート・キヨサキ著

とても刺激的題名です。この本を読めば、すぐ明日から金持ちになる事は決してありません。が、この本を読めばあ~そうか、こんな発想でこんな事を意識して日々努力しなければならないんだなと言う事が解るだけで、お金持ちに一歩近づける(?!)のかなという思いはします。まずは読んでのお楽しみです。物事に前向きな人にお薦めです。



1月の特集

経営について

今回は売上をUPするにはどうしたら良いかをお話しましょう

◎ 営業の人達は、売上の数字を上げるために必死な思いをしていると思います。但し従来の延長線では、多くを望めません。

尚みに、

-これまでの販売活動を振り返ってみます-

● 行きやすい顧客のところばかりに営業訪問していなかったか
● 顧客ターゲットを明確にせずに、やみくもな販促活動をしていなかったか
● 商品・製品に使われている技術や素材の良さばかり強調していなかったか
● 納期・クレーム対応、販売後のメンテナンス等が悪く、顧客離れが起きていないか
● 同業他社にない当社の良さを顧客にアピールできたか
● しばらく取引のない顧客をそのままにしていないか

◎ では具体的に売上をUPする方法は何かと言いますと、既存の方法に少しアレンジしてみてください

-売上UPのヒントとして-

● 指名買い、リピーターを増やすような工夫はできないか(DM、キャンペーンなど)
● 固定客づくりのための定期情報発信、固定客ならではの特典やインセンティブ作りはできないか
● 他の地域、他の年齢層など新たな顧客層を増やす活動はできないか
● 周辺分野の商品を売れないか
● 商品のセールスポイントをもっとわかりやすく伝えられないか
● 納期、クレーム対応、メンテナンス、商品説明、接客応対などの面で顧客満足度を向上できないか
● 他社と共同製品開発や営業ルート開発ができないか
● 機能強化やターゲットを絞ることで価格を維持、あるいはアップできないか
● 顧客のターゲットを変えることで商品に新しい価格を見いだせないか

◎ セールスポイントとしては、既存の商品をちょっと視点を変えてアピールする事も一案です。例えば、靴メーカーで素材の良さ・機能をアピールしていましたが、ビジネスマン用に雨にも営業できる靴と名打ったところ、売上が3倍になったとの例もあります。

◎ 顧客ターゲットを絞り込むのも一案です。例えば、首都圏ホテルは軒並み売上減に見舞われていますが、これもちょっと視点を変えて、ホテルの窓から新幹線がみえるとの「売り」で鉄道ファン層の呼び込みに成功した例があります。

◎ 既存の商品に関し、一知恵出して売上増を図るのも一案です。例えば、山梨にある某和菓子メーカーですが、いわゆる型くずれとか包装がうまくいってないとかで、商品にならない分をアウトレット品として通常の商品の1/2以下で提供したところ存外人気が出ているとの事です。要するに、ちょっと視点を変える事により、結果的に売上増につながり、廃棄費用もなくなった典型的な例です。


税務について

平成21年分の所得税の確定申告はお早めにしましょう

◎ 毎年の事ですが、また個人の確定申告のシーズンがまいります。通常(サラリーマン)の人はいわゆる年末調整で終了ですが、医療費や住宅ローンのある人は、確定申告となります。尚、確定申告の必要な人は以下の通りです

① 個人事業者
② 給与が2,000万円を超えている人
③ 2か所以上から給与をもらっている人
④ 同族会社の役員で、その会社から給与のほかに貸付金の利子や工場・店舗等の賃貸料などを受けている人
⑤ 土地、建物、ゴルフ会員権等を売却した人
⑥ 医療費控除、雑損控除や災害減免法の適用を受ける人
⑦ 住宅を取得し、ローン控除を受ける人
⑧ バリアフリー化、耐震改修を行った人 など

◎ 医療費控除ですが、自分や自分の家族にかかった今年(平成21年度中)支払分の医療費が対象となります。

以外とミスが多いのが、自己負担の医療費が10万円に達していないので、適用にならないと思い込んでいる人も少なからずいます。


医療費控除額の求め方は以下の通りです



(注1)
健康保険から高額療養費、家族療養費等の返金があったり、生命保険等からの入院給付金があったときには、その金額を差し引きます

(注2)
総所得金額が200万円未満であれば、総所得金額の5%になります

対象となる医療費の例

① 医師、歯科医師に支払った医療費
② 治療や療養に必要な医薬品の購入費
③ 急病やけがなどで病院に運ばれた際の費用
④ 治療のためのあん摩・マッサージ・指圧・針灸などの費用
⑤ 保健師や看護師、付添婦などに支払った療養上の世話を受けるための費用
⑥ 助産師による分べんの介助料
⑦ 介護保険制度の下で提供された一定のサービスの自己負担額
⑧ 入院や通院のため通常必要な交通費
⑨ 入院の部屋代や食事代、治療に必要な医療用器具等の費用
⑩ 6か月以上寝たきりの場合のおむつ代(医師の証明書が必要)など


対象にならない医療費の例

① 美容のための整形手術や歯列矯正の費用
※発育段階にある子供の成長を阻害しないために行う不正咬合の歯列矯正の費用は、医療費控除の対象になります。
② 健康増進や病気予防のための医薬品の購入費用
③ 健康診断・人間ドックなどの費用(重大な病気が発見され、引き続き治療を受けた場合は、対象になります)
④ 親族に支払う療養上の世話の費用
⑤ 寝間着、寝具類の費用や、医師などに支払った謝礼金など


インフルエンザ予防接種のための費用は医療費控除できる?できない?

インフルエンザの予防接種は、あくまでも予防であって病気の治療ではないため、新型、従来型にかかわらず、医療費控除の対象になりません。ただし、インフルエンザに感染したことによる医療機関での診察、タミフルなどの治療用の医薬品の費用は医療費控除の対象になります。(平成21年4月1日現在法令等)

※新型や従来型のインフルエンザの予防接種については、各地方自治体などが補助や助成制度を設けている場合があります。

◎ 医療費控除はあくまでも支払ベースなので、例えば、治療を受けたのが21年度でも支払いが22年度ならば、この分は今年(21年度)は使えず来年となります。また、サラリーマンで5年前に医療費が30万円以上かかっていたにもかかわらず、申告をしていなかったときこの5年間に確定申告をしていなければ5年前の分を確定申告できます。この分を今年の医療費に入れる事は出来ません。

尚、確定申告に必要な書類の例として列挙します

準備ができた書類には「○」を入れます。不要なものは横線で消し込みます。

●自分で用意するもの
 ①前年分(平成20年分)の確定申告書の控 □
 ②地代・家賃等の収入台帳 □

●税務署から送られてくるもの
 ③確定申告書用紙 □
 ④青色申告決算書・収支内訳書 □
 ⑤財産および債務の明細書 □
   (各種所得金額の合計額が2,000万円超の場合)

●支払先等から入手する(もしくは送付される)もの
  ⑥不動産の使用料等の支払調書 □
  ⑦源泉徴収票 □
  ⑧配当支払調書 □
  ⑨医療費の領収書 □
  ⑩国民健康保険料、国民年金保険料の支払証明書 □
  ⑪小規模企業共済等掛金控除証明書 □
  ⑫生命保険料控除証明書 □
  ⑬地震保険料控除証明書 □
   (または長期損害保険料の控除証明書)
  ⑭寄附金(ふるさと納税を含む)の領収書 □
  ⑮配偶者等の勤め先の源泉徴収票 □
  ⑯住宅をローンで取得した場合 □
  ・住民票の写し
  ・登記簿謄本
  ・売買契約書
  ・建築確認申請書
  ・住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書(金融機関より入手)など

◎ もちろん電子申告が出来まして、19年度、20年度電子申告税額控除を使用していなければ21年、22年のいずれかの年に電子申告をする事によってこの税額控除が使えます。

会計について

今回は資金繰りについてお話しをしましょう

◎ 資金繰りに頭を痛めない中小企業の社長さんはいません。お金は天下の回りものとは申せ、どの社長さんもどうも自分のところには回ってこないと一様に思っております。さて、資金に対し日頃如何なる考えをしなければならないか、以下に列挙しました。

 ●今使える資金はどのくらいあるのか
 ●近い将来いくら支払わなければならないのか
 ●いつ、いくらの入金があるか
 ●資金が不足するとしたら、いつ、いくら不足するのか

◎ まず資金繰りを悪化させる要因は何かですが、要はお金の入りと出が合わなくなる時に、資金がショートするわけです。こうなると商買どころではなくなり、金策にかけずり回る事になります。いざという時の資金手当てを常に心がけなければなりません。

◎ わかりやすい目安として、預貯金が最低でも月商の1~2ヶ月分は必要です。実際は正直これでも厳しいですが。では、緊急時の資金繰りはというと、まずどれだけ不足しそうかを速やかに検討し、会社の現状分析をし、実行可能な対策をとる事です。
 イ 固定費の削減
 ロ 滞留売掛金の早期回収
 ハ 在庫商品のセール販売
 ニ 遊休資産の売却など

更に早急なる資金手当として
 ・緊急経済対策融資保証などの活用
 ・倒産防止共済の活用
 ・小規模企業共済からの借入れ
 ・社長からの借入れなど

◎ 個別に観ていくに売掛金の回収に問題はないかです。厳しい状況であるとしても先方に意思表示は必要です。 

◎ 支払の件で取引先との力関係でいつのまにか支払サイトが短期化していないか。また、在庫が過剰となっていないか。不要不急の設備投資はないか。事業に関係ない貸付金や有価証券がないかも吟味の必要があります。

◎ 販管費等に関して言えば、人員、人員配置、また外注していたものを社内業務にした事により、逆にコスト増となったり等、費用対効果の吟味をする事です。もちろん社長の公私混合は論外です。

※資金繰り危険度をチェックします

以下の項目をチェックしてみましょう。チェックマークが多いほど危険度は高いといえます。

● 手元現金・預金が月商の1~2か月分ない □
● 滞留している売掛金が多い □
● 売掛金の回収状況が悪化してきている □
● 大口得意先の入金が約定通りになっていない □
● 大口得意先の倒産時への緊急対応(セーフティ共済など)の準備がない □
● 過剰な在庫を抱えている □
● 仕入原価圧縮のために支払サイトを短期化している □
● 不要な設備が多い □
● 事業に関係のない貸付金や有価証券がある □
● 社長・役員の公私混同による過大な支出がある □
● 役員報酬・賞与、役員数、社員数が多い □
● 毎月の借入金返済額が、収益でまかなえていない □
● 設備資金の借入れを短期で借入れてしまっている □
● 子会社などの関連会社に不要な出資や取引が多い □