12月の特集
消費税についてお話しをしましょう
増税分の価格転嫁を確実に行いましょう
さて、消費税順繰りに消費税を上乗せする事によって、最終的には最終消費者が負担するようになっています。これを図式化しますと、図表1のようになります。
では、事業で価格転嫁が出来ない場合はどうなるか?消費税は取引が生じる都度、順送りで消費税を乗せていくのだが、力関係でそれが出来ない場合が現実に生じます。法律が厳しいので形だけは乗せるとしても実質売上の減少という場面は生じると考えられます。その際は原価の削減を試みて、何とか利益を確保との現象も生じると考えられます。どう事業が対応すればよいのか苦慮すると考えられます。ちなみに、価格転嫁できる場合と、できない場合のシミュレーションをしてみます。
今は5%の増税の時代と違い、少子高齢化が増々進み、経済状況は依然として厳しいものがあります。転嫁しなさいと言っても出来ない場合があります。拠って、如何に価格転嫁をスムーズに行うようにするか、以下の点に注意を払いましょう。下記にリストアップしてみます。
~消費税の価格転嫁に向けた対策チェックリスト~
①売上単価の維持、限界利益の確保、安易な値引きの禁止などを社内で徹底しましたか・・・□
②事前に得意先等と消費税について打ち合わせを行い、増税分のアップに理解を得るようにしたか・・・□
③転嫁しやすいように、「価格の表示に関する特別措置」により、消費税込みの総額表示だけでなく、本体・税額別記の表示とすることを検討しましたか・・・□
④営業担当者等に、平成26年4月1日以後の商品等の引渡し、サービスの提供等から消費税率の
引上げが予定されていることに伴う取引交渉や契約の仕方などを啓蒙していますか・・・□
⑤既存商品を改良するなどして新商品を開発し、増税分も折り込んだ新価格で販売する
といったことも検討しましたか・・・□
※尚、法律で転嫁拒否等の禁止をうたっています。参考までに個別列挙いたします
消費税の転嫁拒否等の行為を禁止
消費税転嫁対策特別措置法では、大規模小売事業者などに以下の行為が禁止されています。
(1)減額または買いたたき
例:商品等の価格から消費税率引き上げ分を減額する。など
(2)購入強制・役務の利用強制、不当な利益提供の強制
例:消費税率引き上げ分の上乗せを受け入れる代わりに、自社の指定する商品の購入を要請する。など
(3)税抜価格での交渉の拒否
例:本体価格と消費税額を別々に記載した見積書を提出したため、消費税込みの総額のみを記載した見積書を再提出させる。 など
(4)報復行為
転嫁拒否行為を公正取引委員会等に知らせたことで、取引数量の削減や取引停止など不利益な取扱をすること。
税務についてお話しましょう
特に配偶者控除、扶養控除を受けるための注意点について
配偶者控除を受けるには、パート収入が103万以下でなければならないという、巷にあふれた話ではあります。でも、超えたら全く控除がなくなってしまうと考えている人は以外と多いのです。パート収入が141万未満であれば、配偶者控除は使えないが配偶者特別控除はまだ使えます。夫の所得合計が1,000万以下であるなどの要件が必要ですが…。また、妻のパート収入が130万以上になると、夫の社会保険の扶養家族からもはずれてしまうので要注意です。
ここで1つ注意ですが、パート収入が103万以下でも、例えば、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金などがあれば、また話は違ってきますので…。
ちなみに、103万円を取り巻く状況を図式化してみます。
父母等を扶養控除の対象にする時は、公的年金収入に注意せねばなりません。年金は給与と違い、雑所得という所得に分類されます。すなわち、扶養控除が受けられる公的年金収入として以下の表となっています。
★給与と年金とが存在する場合の扶養控除関係は下記のようになります。
存外洩れてしまうのが、子供のパート収入です。これも妻のパート収入と同じ年収の103万以下ですと、扶養控除が受けられます。これもしっかりと管理しておきましょう。
経営について
今回は売上債権回転期間を短縮する事を目標にしましょう
これは要するに、売上げてから回収するまでに何日かかったかを調べる事にあります。これが長ければ回収が遅いと言え、早ければ回収が早いとなります。
★式を書いてみます。
〇これで回収状況がわかれば、次に遅い理由は何かを調べる必要があります。
その具体例として以下に列挙します。
参 考 売上債権回転期間が悪化する例
●請求漏れや回収遅れがあってもそのままになっている。
●回収条件や支払いの悪い得意先への売上の割合が増えている。
●当初の回収条件が守られていないにもかかわらず、そのままになっている。
●長期にわたって未回収の売掛金がある。
●大口取引先に、回収を強く言えない。 等々
※得意先別、部署別、営業担当者別にも回収状況を調べましょう。
いずれにせよ、売上だけ上げても回収率、回転期間が悪いのであれば、売上を上げてもあまり意味がなくなります。従って、毎期意識してこの回転期間を計算するようにしましょう。
11月の特集
消費税対応
税率アップ前に、まず社内で確認すべきこと
来年(平成26年)4月1日から消費税率が5%から8%に引き上げられる方向で、政府が最終的な調整を行っています。注意すべき増税に関する規定は以下の通りです。
この税率変更に伴って、実務的に準備しておくべき事をまとめました。
【確認①】請求書発行システムは新税率に対応可能ですか。
例えば、請求締め日が毎月20日の会社の場合、平成26年4月1日をまたぐ請求書では3月21日から3月31日までは5%、4月1日から4月20日までは8%となり、税率が「5%の取引」と「8%の取引」が混在することになります。請求書発行システムの組替が必要な場合も考えられるため、早めにメーカー等に確認しましょう。
*チェック項目*
□平成26年4月1日以後の新税率に対応可能か。
□「5%の取引」(経過措置によるものも含めて)「8%の取引」、「10%の取引」をそれぞれ分けて消費税を計算することが可能か。
【確認②】見積書等の消費税の記載はどうなっていますか。
見積書をパソコンで作成しており、金額を入力すれば消費税額が自動で計算されるような場合、発行時期等によっては新税率への変更が必要となるため、注意しましょう。
*チェック項目*
□パソコン等で見積書等を作成する場合、消費税の表示はどのようになっているか。
□あらかじめ印刷された見積書等のフォームを使用している場合、消費税はそのように表示されているのか。
【確認③】レジが新税率に対応できてますか。
POS(販売時点情報管理)レジでは、システム設定の変更が必要となります。また、スタンドアローン型のレジで税率変更の予約機能が無い場合もシステム変更等が必要となるため、レジメーカーに変更を依頼しましょう。
*チェック項目*
□平成26年4月1日(8%)と平成27年10月1日(10%)の2回にわたる消費税率の変更が簡単に行えるか。
□スタンドアローン型の場合、消費税率変更の予約機能はあるか。
□POSレジの場合、システム設定の変更は必要か。
□レジシートには、店名、所在地、電話番号等が印字されるようになっているか。
【確認④】価格表示の変更を検討していますか。
小売店などでは、販売価格が消費税込の総額表示が一般的になっていると思われます。今回の消費税の増税による価格変更を総額表示で記載した場合、値上げと受け取られかねません。消費税転嫁対策特別措置法では税抜価格を容認している(平成29年3月31日まで)ため、このまま総額表示とするか、税抜き価格表示に切り替えるか早めに検討しましょう。
経営について
貸借対照表(バランスシート)で会社の健康状態がわかる
貸借対照表(Balance Sheet : B/S)は会社の一定時点の財政状態を表し、それを見ることで会社の健康状態(健全な会社かどうか)がわかるものです。
図表1を参考にしてください。
図表1;貸借対照表は資金の調達と運用を表す
実際に、自分の企業が健全な経営を行えているのか否かの判断は、黒字企業と比較することで行えます。黒字企業との比較は22万3000社の中小企業を分析した「TKC経営指標(BAST)」の数値を参考にするといいでしょう。黒字企業との比較は、図表2を参考しにしてください。
図表2;黒字企業のバランスシートと比較してみる
この場合、①固定資産の比率が高いこと、②短期的な支払予定である流動資産(50%)が、短期的に回収される予定の流動資産(40%)を上回っており、資金繰りが厳しい状態であること、の2点がわかります。
税務について
事業承継税制の適用条件が緩和され使いやすくなりました
中小企業が事業承継を行う際に、経営権を安定させるため、後継者が先代経営者から贈与や相続で自社株式を取得する場合、相続税・贈与税の負担が重く、事業承継の大きな障害となっていました。その税負担を軽減するために平成21年に事業承継税制が設けられましたが、その利用条件が厳しかったため利用件数は500件程度にとどまっています。そこで、条件を緩和する改正が行われました。
そもそも、事業承継税制とは何でしょうか。
中小企業の事業承継を税制の面から支える制度です。後継者へ経営権を集中させるために、後継者が先代経営者から贈与や相続で取得する会社の発行済み株式総数の3分の2以下までの株式(承継株式)に対する贈与税や相続税の納税を猶予(先送り)・免除するものです。
具体的なケースにあてはめてみると以下のようになります。
【case】生前贈与で株式の承継を行う場合
※但し、猶予されている途中で以下のようなことがおこった場合、納税猶予は打ち切られ、納税猶予された税額の全額と利子税を納付しなければならなくなります。
①納税猶予されている期間のうち、申告期限から5年の間に、一部でも承継株式を譲渡したり、後継者が代表権を失った場合。
②申告期限から5年間の間、相続、贈与時の従業員数の8割の雇用を維持できなくなった場合。など
改正された内容は図表2を参考にしてください。
図表2;改正された主な適用条件
※事業承継税制を利用する前に、経済産業大臣の「事前確認」を受ける必要がありましたが、今年4月1日からこの「事前確認」が廃止され手続が簡素化しています。
10月の特集
税務について
今回は青色事業専従者給与についてお話しをしましょう
家族へ支払った給与が必要経費となる時はどういう時でしょう
イ、青色事業専従者給与(家族へ支払った給与分)に支払った分であること
ロ、青色事業専従者給与に関する届出書を所轄税務署に提出していること(注1)
ハ、届出書の範囲内の給与である事
ニ、実際の働きに見合った額である事 であります。
(注1)3月15日までに提出すれば、その年から適用となり、額・専従者の変更がある時のみ届出が必要です。
では、だれが専従者給与者となれるのでしょう
イ、青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族である事
ロ、年齢が15歳以上である事(その年の12月31日現在)(注2)
ハ、原則として、年間6ヶ月を超えて、青色申告者の事業に専念している事
(注2)15歳以上であっても高校や大学その他専修学校などの学生や生徒は原則なれませんが、事業に従事する事が妨げられない時は、学生又は生徒の期間も専ら従事する期間に含まれます。
他に仕事を持っていては青色事業専従者になれないのか、ですが事業に専念している期間が、年間6ヶ月を超えていれば青色事業専従者となれます。また、他に職業があると専従者にはなれないが、他の職業で働いている時間が短かければ、認められる場合があります。
青色事業専従者給与を支払っていても、配偶者控除等は受けられるのか、ですが両方は不可ですので、専従者であれば、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除等は適用できません。
青色事業専従者は、勤務実態の有無が大事です。実態の把握ができる出勤簿やタイムカード、業務日誌、週報などは必ず残しておいてください。
次に金額の妥当性ですが、実際に働いた期間・時間・仕事内容に対し、給与額が高いとなると、高い分は否認されます。同様の仕事で他の人にはいくら払っているのか目安となるが、他人では困難の伴う深夜、早朝、祭日、休日出勤に対応をしてくれたのでその分の評価はどうするか問題はあります。
給与の未払いは原則必要経費とはなりません。また、払った事にしてその分借入れとしている場合も、実際には金が動いていないので必要経費とはなりません。事例として以下に述べます。
~事例①~ 専従者が他の仕事(ピアノ調律師)を行っていた
事業主Aは、夫が年間6か月を超えて自分の事業に携わっていたことから、青色事業専従者として給与を支払っていた。しかし、事業以外に夫がピアノ調律師として、年間240日以上業務していたことから、「他に職業がある」として青色事業専従者給与が認められなかった。(昭和62年12月25日国税不服審判所裁決)
~事例②~ 妻の給与が同程度の従業員よりも高額だった
事業主Bは、妻を青色事業専従者として給与を支払っていた。「その労務の性質については、他の使用人と比べて大きく異なるものではなく、また、その労務の提供の程度については、従事時間が最も長い使用人の約1.21倍程度であったものと認められることから、妻の労務の提供の程度を考慮し、他の使用人が支払いを受ける給与の状況に基づき計算した金額と、類似同業者の青色事業専従者が支払いを受ける給与の状況に基づき計算した金額の、いずれか高い金額を適正給与額とするのが相当である」として、それを上回る金額については必要経費として認められなかった。(平成21年6月3日国税不服審判所裁決)
経営について
今回は資金繰り(キャッシュ・フロー)についてお話しをしましょう
まず、資金の流れを観た場合、本業の商売できちんと収支がとれているかどうかが大事である。会計の言葉を使ってみると、営業キャッシュ・フローできちんと収支でプラスが出ているかどうかです。
すなわち、本業からの資金流入分として、現金売上、売掛金回収等、資金流出分は、買掛金支払、人件費・経費の支払等がある。
次のステップで、将来に対する投資等で固定資産や有価証券等の売却・購入での資金収支があり、最後に資金の借入による収支で資金の流れを観ていく事になる。大きく3つの流れに分けるのである。それを表にしてみると以下の通りになります。
ここで大事な事は、損益で儲かっていてもお金の流れ如何によっては、利益が計上されていてもお金がないという現象は当然におきます。また、逆も真なりである。従って、常に資金の流れ(3つに大きく分ける)に注視し、いわゆる黒字倒産にならないよう、気をつける必要があります。
詳細は表を参考にしてください。
相続税・贈与税について
孫などへの教育資金の贈与が1,500万円まで非課税となります
平成25年度の税制改正で、子・孫へ教育資金の一括贈与額1,500万が非課税として認められました。既に大手信託銀行では、4月施行から2か月半で1,000億円を超えたとの事です。
この制度は祖父母が孫に学校の授業料などの教育資金贈与(金融機関にて資金口座開設等が必要)で、一定の条件の下、孫など1人につき1,500万円までの贈与が非課税となります。但し、27年12月31日までとなっている。尚、贈与を受けた孫等が30歳に達するまでに、贈与者が死亡した場合、相続税開始3年以内の分は相続財算に加算はされません。しかし、30歳で口座終了となり、残があれば贈与税がかかるので念のため注意の事。ここで、一定の条件とは以下の通りです。
【図表1】一定の要件
①贈与者は子・孫の直系尊属(両親、祖父母、曾祖父母など)に限ります。
②金融機関に孫などの名義の教育資金口座を開設する等の手続が必要です。
③孫などは30歳未満であること。
④金融機関を経由して「教育資金非課税申告書」を税務署に提出します。
では、教育資金の具体的なものは何か、ですが塾などの習い事の費用も対象となります。但し、領収書等により確認できる費用が対象となっています。
複数の金融機関への預けはどうでしょうか?
1人の孫などが持つ事ができる口座等は1つだけとなっています。
教育資金の追加や中途解約は?
1,500万円の枠内であれば、27年12月末までは追加OKです。
尚、祖父母が教育資金を途中で中途解約する事は出来ません。
一括贈与の手続きと教育資金の払出しの流れはどうなっている?
表5で見てもらうとして、領収書には支払日、金額、適用(支払内容)支払者(宛名)支払先氏名(名称)と住所(所在地)を明
記せねばなりません。又、習い事も内容(例:何の払いで何月分)を明記する必要があります。
9月の特集
税務について
消費税率の引き上げに伴う経過措置②~資産の貸付け等~についてお話しをしましょう
事務所やビル、建物の賃貸借契約はどうなるのか?
~資産の貸付け(賃貸借契約・リース契約等)についての経過措置~
すなわち、事務所やビル等、建物の賃貸借契約やリース契約については、25年9月30日までに契約し、かつ26年3月31日以前から引き続き契約をしていれば、26年4月1日以降でも5%の税率のままでOKです。25年10月1日以後の契約であると、25年3月31日までは5%、同年の4月1日以降であると8%の課税となるので、リース料等を支払う事業者は、仕入れ税額控除の際は注意が必要です。図を参照してください。
では、26年4月1日をまたがる通勤定期券や4月1日以後に乗車・搭乗するチケットはどうなるのか?
鉄道・バス・航空券等のチケット、映画・演劇等の入場料は利用が26年4月1日以降であっても、3月31日までに支払っていれば5%となります。図を参照してください。
電気・ガス料金等、計算期間に従って請求されるものは、どうなる?
電気、ガス、水道、電話等の料金は、月単位ではなく、会社が定めた計算期間によって利用者に請求されるこれらのものは、26年4月30日までに料金の確定するものは、26年4月1日以降の分も含めて5%でOKです。図を参照してください。
財務経営力を高めよう
俗に言う、損して得をするではないが、タイミングを見つけて、不良債権・不良在庫を少しでも早く処理し、不明の数字のまま残しておかないようにする事が大事です。これによって、少しでも資金繰りが改善されれば、これはこれで良しとすべきです。
【参考】過剰在庫・不良在庫のデメリット
過剰在庫や不良在庫が、経営に与える影響は、主に次のようなものです。
①陳腐化・品質劣化により商品価値が低下する。
②保管場所、保管費用(賃貸料、保険料、光熱費、資産税等)が必要になる。
③倉庫の維持やたな卸作業が増えるなど、在庫管理の費用がかかる。
④売れ残れば、値引販売せざるをえない。
等々
相続税・贈与税の改正について説明をしましょう
平成27年1月1日からの相続から、相続税の改正が適用となります。まず、何が変わったかですが、基礎控除額が大幅に変わりました。
図表1を見てください
これによって、相続税を納めなければならない人が確実に増えます。
では、両親と子供2人の4人家族はどうでしょう?
仮に相続財産(課税される財産)が、6,000万円だとどうか、まずは図表2をみてくだい
さて、今回の改正でどのくらい納税者が増えるだろう?
全国平均でいくと4%程度から6%程度までに増えるだろうと想定しています。特に、相続税の課税割合は全国平均4.1%に対し、①東京6.9%②名古屋5.9%③大阪4.5%と課税割合は多くなっています。
今回勉強仲間達と共同執筆で書籍を発行しました。相続税増税についての本となっております。実務で知り得た貴重なノウハウが詰まっています。ぜひ、御一読をお勧めします。必要な方は差し上げますのでご連絡ください。
8月の特集
税務について
消費税率引き上げに伴う経過措置について ~請負契約編~
工事や製造などの請負契約の経過措置についてお話しをしましょう
請負契約において、消費税率の引き上げに伴い、平成26年4月1日以降の引渡しは原則8%の税率が適用となります。但し、施行日の半年前となる指定日、25年10月1日の前日までに契約した場合は、5%の税率が適用される経過措置があります。よって契約日には特に注意しましょう。
対象となる請負契約の範囲は次の通りです
●対象となる請負契約の範囲
・工事の請負に係る契約
・製造の請負の係る契約
・測量、地質調査、映画の製作、ソフトウェアの開発、その他(修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、検査・検定等の事務処理、市場調査)の請負に係る契約(※)
※①仕事の性質上、完成に長期間を要するものであること、かつ、
②仕事の目的物の引渡しが一括して行われることとされているもの、または目的物の引渡しを要しない請負の場合は、約した役務の全部の完了が一括して行われるもの。
③上記①、②の要件を満たし、その内容について相手方の注文があること。
(注)なお、月極の警備保障、メンテナンスや清掃などの契約は、役務の全部の完了が一括して行われないため、経過措置の適用はありません。
新税率(8%)の適用と経過措置
①原則は引渡し時の税率が適用となります。よって引渡しが26年4月1日以降であれば8%の税率が適用となります。但し、25年9月30日までの契約は引渡しが26年4月1日以降であっても、5%の税率が適用となります。
②25年9月30日までの契約であっても、10月1日以降の追加工事がある場合、その追加分は8%の税率が適用となります。
③経過措置の適用を受ける場合は、契約の相手方に5%適用の旨を書面にして通知してください。
また、小規模の工事において、26年3月末完成が4月1日以降に伸びた場合は、8%の適用となってしまいます。よって契約書上に引渡しが26年4月1日以降となる場合は8%になりますと一文付け加えておくと宜しかろうと思います。
下請業者への請負契約の締結が25年10月1日でも26年3月31日以前であれば5%だが、4月1日以降であれば8%です。
では、マンション購入はどうか?分譲マンションの購入は、請負ではないため経過措置はありません。しかし、建物の内装・外装・設備等で注文工事がある時はOKです。尚、この件は契約書等に明記しておくとよいでしょう。
表に経過措置の関係図を記載しておきます。
経営について
会計の活用による経営力強化が国の中小企業支援策の基本となっています
平成24年8月に中小企業経営力強化支援法が施行され、売上不振、資金繰りの手助けを財務会計の専門家がし、事業計画の策定をして、解決していく事が示されています。
今までのいわゆる経理は税務申告用であったが、そうではなく正に経営に役立つ会計資料でなくてはならない。いわゆる会計の活用を通し、経営力の向上を図るものではなくてはならない。従って、月次決算の出来る体制作りが急務となります。そのため、会計事務所等はそれらを踏まえ、月次決算の延長線に経営計画策定等に力を入れ、中小企業の財政的基盤の強化に何役もお役に立たなければならない。
いわゆる「経営力強化支援法」によって、金融機関等は中小企業に財政的基盤および経営力を強化させる強力な力添えをする必要があります。
以下に具体的な説明をします。
【図表1】「経営革新等支援機関(認定経営支援機関)関連の主な経営支援策
商業・サービス業・農林水産業活性化税制
店舗改装・器具備品等の税務上の優遇
経営革新等支援機関(認定経営支援機関)から中小企業者(青色申告書提出法人等)が、経営改善に関する指導及び助言を受け、店舗の改修等に伴う器具備品(1台または1基が30万円以上)及び、建物付属設備(60万円以上)を取得して、事業の用に供した場合は、取得価格の30%の特別償却、または取得価格の7%の税額控除のどちらかを選択適用できる。適用期限は、平成25年4月1日~平成27年3月31日まで。
・新しい商品を販売するための陳列棚の購入、レジスターの入れ替え、店の看板や外装リニューアル等の費用等が対象となる。
経営改善計画策定支援事業 経営改善計画の策定費用を補助
経営革新等支援機関(認定経営支援機関)が金融機関と連携して、企業の経営改善計画の策定を支援し、計画の実行支援(3年間のモニタリング)まで実施すると、費用の2/3(上限200万円)を国が負担する。
・都道府県の中小企業再生支援協議会にある「経営改善支援センター」で申し込み受付
ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発支援補助金
試作品の製作経費を補助
製造業を対象に、試作品製作に係る原材料費、機械装置費、人件費等の経費に使える補助金が、最大で、1,500万円の事業に1,000万円の補助(補助率2/3)。経営革新等支援機関(認定経営支援機関)によって、事業計画の実現性等が確認されていることが要件となる。全国各地の中小企業団体中央会が窓口。公募時期に注意。第3次募集は6月の予定。
資金繰り(キャッシュフロー)の件
いわゆる黒字倒産ってどうして生じるのであろうか。それは要するに黒字と言ってもお金の伴わない、いわゆる損益だけで見ており、資金の収支をまったく度外視しているものだからです。いくら数字がよくても、資金の回収がなければどうにもなりません。ではどうしたらよいか?要は、資金の伴う売上を多くし入金の範囲内で支払いをする、という事に尽きます。例えば、売掛金が2ヶ月後にしか回収ならないが、買掛仕入代金の払いは1ヶ月後とすると常識的には資金ショートしてきます。相手よりの入金時期を確認し、入金期間を支払期間よりも先にしてもらえば、資金ショートにはなりません。
ちなみに、図表1と図表2を見てください
6月の特集
税務について
給料を増やしたり、雇用者が増えれば、それだけ法人税が安くなる制度についてお話しをしましょう
いわゆる所得拡大促進税制と言われ、青色申告法人(または個人事業者)が国内の従業員に支給する給与等(注1)に対し、一定の条件の下その支給額を5%以上増加させると、増加した額の10%相当額の法人税額(または所得税額)を控除できるとします。但し、中小企業者は法人税の20%が限度となっています。これは法人住民税額も減税となります。適用時期は平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度からとなっています。尚、雇用拡大促進税制との選択適用となっています。
(注1)国内の従業員の給与が対象であって、役員及びその役員の親族等の給与は対象にはなりません。また、給与は、損金の額に算入されたものに限ります。
前文で説明した雇用拡大促進税制の件ですが、今回内容が拡大し増加した雇用者数1人当り、減税額が20万円から40万円へと引き上げられました。そして、中小企業者等は当期の法人税額の20%が限度となっています。中小企業者等以外は10%です。要件は下記の通りです。また、参考例も列挙してあります。
【要 件】
①青色申告者で雇用保険適用事業所である
②前期・当期に事業主都合による離職者がいない
③従業員を10%以上かつ2人以上増加させる
(前期末と当期末の比較)
※中小企業者等以外は5人以上
④ハローワークへ雇用促進計画を提出し、達成状況の確認を受ける
⑤適用年度における給与等の支給額が比較給与等支給額(注)以上である
(注)前事業年度の給与等支給額 +(前事業年度の給与等支給額 × 雇用増加割合 × 30%)
雇用促進税制
経営について
帳簿上は利益が出ているのになぜお金がない?!にお答えしましょう
経営者の皆様は一度、二度ならずとも、経理を観て貰っている会計事務所から「社長×××利益が出ていますよ。よって税金が××ですよ」と言われた事があると思います。そこで社長曰く、「利益が出てると言っても金がないじゃないか」と…。
さて、答えはそんなに難しい事ではありません。要は、利益というのは金のあるなしで判断するのではなく、売上げたと判断されるものであれば、別に金が入金とならなくても売上となるのです。経費も同じ事で別に金の支払いがなくても購入して事業用に供していれば、資産計上されるものを除き売上から差引く経費となるのです。従って、損益そのものとお金の動きがピッタリ一致していれば、お金の有高=利益となるが、現実はそんな事はほぼ皆無です。よって、利益が出ていても逆にお金がマイナスになっている事もあるのです。そのよい例が、借入金の元金を返済した時です。借入金の元金の返済はもちろん費用とはならず、単にお金の流出として考えるからです。
労務について
労働基準監督署の調査ってどんなもの?!
まず何を調べるかだが、要は労働者擁護の観点からみて、事業所が労働基準法上、不当・不正な扱いをしていないかどうかを調べ、そして是正すべき事は是正して貰うよう行政指導をします。
では調査に入るきっかけはどういうステップを踏むのでしょう。いわゆる任意で行う定期監督と通報(垂れ込み・密告?!)で行う申告監督があります。
・定期監督…一般に無作為で調べますが、ただ長時間労働の多い、小売・サービス業・頻繁に労働災害の起きる建設業、就業規則や36協定の届出のない企業が狙われやすい。
・申告監督…従業員や退職者からの法令違反の通報が多い。
事前に連絡はあるのだろうか?やはり、予告なしにある日突然、調査官が来る場合があります。
上記の場合、原則拒否はできません。しかし、社長・担当者不在の場合は日程変更も可能です。
調査の時、どんな資料をみせればよいか?下記にまとめてみました。
●臨検監督で提出を求められる帳簿書類等
①就業規則、賃金規程、その他の規程類
②労働者名簿
③賃金台帳
④労働条件通知書
⑤時間外・休日労働協定(36協定)等の労使協定書
⑥タイムカード、出勤簿
⑦安全衛生関連の書類
⑧健康診断記録 など
では、調査官はどこをみるのでしょう
賃金や残業代が正しく支払われているかどうか調べます。ここで法令違反はないか、あれば是正勧告され是正勧告書が交付されます。それに基づいて是正報告書を提出する事になります。
監督官の指摘に納得がいかないとなれば、帳簿書類等を根拠に論理的に説明する必要があります。決してけんか腰で対応してはいけません。返って事態を悪くし、まして是正勧告に従わず無視したり、いつわりの報告をするなど悪質と判断されれば、最悪書類送検される場合があります。
日頃の心がまえとして、基本的帳簿書類等は完備しておく事です。
では、調査の流れを表にします。
5月の特集
税務について
今回は交際費についてお話しをしましょう
25年度税制改正で、年800万円までは交際費として全額損金が可能となりました。今までは、年600万円のうち1割は必要経費にならず、かつ600万円を超えた分は全額損金不算入でした。
言わば、経済の活性化を交際費という消費の面から推していこうとの考えです。これがどう効を奏するか解りませんが、今までとは違う効果(経済の活性化)を期待したいものです。
もちろん、経営者の個人消費のつけ込みは論外である事は当然の理です。
下記に表にして表現してみます。ちなみに、期間は平成25年4月1日から同年26年3月31日の間に開始する事業年度となっています。期間があまりにも短く、ちょっと?!との印象もありますが…
【表1】税制改正:中小企業の交際費を800万円まで全額を損金(経費)にできる中小企業(資本金1億円以下)が支出する交際費は、これまで600万円までの定額控除限度額と損金不算入措置(600万円までの金額の10%が損金にならない)がありましたが、今回の改正によって800万円までは全額損金となります。
適用:平成25年4月1日から同26年3月31日の間に開始する事業年度に適用されます。
さて、交際費のよくある誤りやすいケースとして
ケースその1:1人1回5,000円以内の飲食であれば、交際費とならないが、例えば1円でもオーバーしていれば全額交際費となります。税込み処理なら税込みで、税抜きなら税抜きとなります。
ケースその2:ゴルフコンペはプレー代、昼食、表彰式、交通費と一連で交際費となります。よって、別々に経費をみる事はありませんので念のため。これはよく調査で指摘される個所です。
ケースその3:展示会への招待費用は、接待を目的とせず、取引遂行上、必要なものとなっています。通常の範囲内であれば販促費でよいでしょう。
経営について
利益UPを考えてみましょう
さて、数的には結構売れているショートケーキが存外儲かっていなかったり、シュークリームはあまり売れてはいないが儲かっていたりと、やはりふたを開けてみないとわからない事もあります。
では、これに対する対策として、あまり儲かっていないショートケーキに何か付加価値をつけて売値を上げてみたりとか、原材料の見直しをやって、結果的に利幅を増やすよう努力目標を設定してみましょう。これも、経理(数字)を精度よく処理しているからと考えられます。
今までは、売上・売上原価と直タイアップしたものに注意を払っていましたが、それだけで商売が出来るわけでもありません。作業場が必要で人件費、水道光熱費、家賃と売上高に関係なくかかる経費があります。従って、注意深くコスト削減の出来るものを丹念に見つけだし、即実行する事が大事です。これらの積み上げで黒字経営を目指していきましょう。
☆では、ケーキ屋さんの売上UP作戦をみていきましょう。
労務について
労働者名簿・賃金台帳・出勤簿を整備しましょう
3種の神器ならぬ労務の場合、法定の3帳簿と言われるものがあり、①労働者名簿②賃金台帳③出勤簿がこれに該当します。
まず労働者名簿ですが、図表1の内容で、労働者の基本情報を記述するものです。
★その他の必要書類
イ、労働条件通知書(雇用契約書)について
法定3帳簿には入っていませんが、これも重要な資料で労働条件通知書(雇用契約書)というものです。労働時間、賃金等労働条件の書かれたものです。2通作成し、1通は会社で保存します。
ロ、就業規則について
常時10人以上の従業員(パート・アルバイト含む)を雇っている会社は就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出る必要があります。改定があればそのつど届け出します。
○では、労働基準監督署や税務署はどこをチェックするの?!
【労働基準監督署の調査ポイント】
・労働者名簿、賃金台帳のチェック
・就業規則
・労働条件の明示
・賃金支払い
・労働時間、休憩、休日
・時間外・休日労働の割増賃金
・安全衛生の管理
・健康診断の実施
【税務署の調査ポイント】
・法定3帳簿のチェック
・勤務実態の有無
勤務実態に合った給料の支払いがなされているかどうか。特に、税務調査の人件費に関するワンポイントアドバイスとして、家族従業員に対しては誠に厳しいチェックが入りますので、当たり前ですが他人と全く同じように裏付け資料を残す必要があります。次に、架空人件費の有無の調べもあります。労働保険、社会保険の加入状況も当然チェックの範囲に入っていますので念のため…
◆ちなみに、賃金台帳の記載事項と様式例を表示します
表2 賃金台帳の記載事項と様式例
記載事項
記載事項は法令で定められています。
①労働者の氏名
②性別
③賃金計算期間
④労働日数
⑤労働時間数
⑥時間外労働、休日労働、深夜労働があった場合は、それぞれの時間数
⑦基本給や手当など賃金の種類ごとの額
⑧賃金の一部を控除する場合は、その控除額
※賃金台帳は、最後に記入した日から3年間保存しなければなりません。
25年税制改正のポイント
1.法人税関係
イ、中小企業の交際費は800万円まで、全額損金算入となる
適用:平成25年4月1日から同26年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。
●定額控除限度額の引き上げ
改正前 600万円 → 改正後 800万円
●定額控除限度額までの損金不算入措置廃止
定額控除限度額までの金額の10%損金不算入 → ×(廃止)
ロ、従業員数を増加させた場合の、減税限度額を40万円に拡大する。いわゆる雇用促進税制である。
従業員数を増加させた場合、その増加人数に応じて法人税額から控除できる。
雇用促進税制については以下の如く引き上げられた。
適用:平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。
【図表2】増加雇用者数1人当たりの税額控除限度額
改正前 20万円 → 改正後 40万円
ハ、給与を増加させた場合の減税制度(所得拡大促進税制)を創設
青色申告書を提出する法人が、国内従業員に給与を支給する場合、給与等の支給額を一定以上増加させた場合、その増加額の10%を税額控除できます。(所得税同様、地方税は中小企業等について同様)
【要件】
・給与等支給総額が基準事業年度(注1)より5%以上増加している事。
(注1)基準事業年度とは、平成25年4月1日以後開始する各事業年度のうち、最も古い事業年度の直前の事業年度をいう。
・給与等支払総額及び平均給与等支給額が前事業年度を下回らないこと。
【減税額】税額控除額=給与等支給増加額×10%
※但し、当期法人税額の20%(中小企業者等以外は10%)を限度とする。そして、上記ロとの選択適用となる。
適用:平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。
ニ、商業・サービス業等投資減税制度の創設(認定経営革新等支援機関の支援で税額控除等)
青色申告の中小企業等で、認定経営革新等支援機関等から経営改善を受けて行う店舗改修等に伴って、器具備品及び建物附属設備を取得して商業、サービス業用等を営んだ場合は、特別償却又は税額控除ができる
(所得税も同様)
適用:平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に適用できる。
ホ、設備投資促進税制の創設
青色申告法人が、国内事業用生産等設備の投資額を前年比10%増をし、その投資額が当期の償却費を超える場合、その生産等設備のうち機械装置について、特別償却か、あるいは税額控除ができます。
適用:平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度において取得等した事業用生産等設備に適用されます。
ヘ、中小企業技術基盤強化税制の税額控除額引き上げ
中小企業者が支出した試験研究費に対し12%の税額控除を行う制度が現存している。
これを当期の法人税額の30%(現行20%)まで引き上げられます。
適用:平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。
【図表6】
<改正前> <改正後>
当期の法人税額の → 当期の法人税額の
20% 30%
ト、事業承継税制の要件緩和等抜本見直し
非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、今まで非常に使いでが悪かったので、大幅に改善する。
適用:平成27年1月1日以後の相続・遺贈または贈与から適用する。
2.個人所得税関係
イ、所得税の最高税率の引き上げ
今までの税率構造に加え、課税所得4,000万円超について45%の税率が課せられます。
適用:平成27年分以後の所得税について適用となります。
ロ、住宅ローンの減税の延長と控除額の拡充
消費税引き上げに伴い、住宅ローン減税の延長と拡充が図られます。
①適用期限の延長
改正前 平成25年12月31日まで
↓ 4年延長
改正後 平成29年12月31日まで
②控除額の拡充
第1段階 所得税の控除額の拡充→図表2の通り
第2段階 第1段階で控除しきれない部分を個人住民税から控除する。
また、控除限度額を所得税の課税総所得金額等の7%(最高13.65万円)までに拡充
第3段階 第1、第2段階で控除しきれなければ、給付措置をとる
3.相続税・贈与関係
イ、相続税の基礎控除の引き上げ及び税率構造の見直し
基礎控除が図表1のように現行の6割となる。今後は課税となるケースが多々出てくる。
【図表1】相続税の基礎控除の引き下げ
改正前 5,000万円+1,000万円×法定相続人数
(定額控除)
↓
改正後 3,000万円+600万円×法定相続人数
(定額控除)
ロ、税率も最高税率55%となる。それと共に、税率区分も6段階から8段階へと変更
ハ、小規模宅地等の特例適用の拡充
特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積が次のように拡大となる
※同時に特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用宅地及び特定居住用宅地である場合は、それぞれの適用対象面積まで適用可能となります。
【図表3】
<改正前> <改正後>
240㎡までの部分 → 330㎡までの部分
ニ、贈与税の税率構造の見直し
相続時精算課税の対象とならない贈与財産にかかる贈与税率が、最高55%となり、税率区分も8段階となります。
ホ、相続時精算課税制度の適用要件見直し
贈与者の年齢要件を65歳から60歳へと引き下げ、受贈者の範囲も20歳以上の孫が追加となります。
適用:イ、ロ、ハ、ニとも平成27年1月1日以後の相続・遺贈・贈与から適用となります。
ヘ、直系尊属(祖父母等)から子・孫への教育資金1,500万円一括贈与が非課税となる。
子・孫(30歳未満に限る)の教育資金に充てるためにその直系尊属が金銭等を出し、金融機関等に信託等した場合は受贈者1人につき1,500万円まで非課税となります。
適用:平成25年4月1日から27年12月31日までの間に拠出するものに適用されます。
その他:印紙税について
●金銭または有価証券の受取書に係る印紙税が、記載金額5万円未満(今までは3万円未満)まで、課されないことになります。
適用:平成26年4月1日以後に作成される受取書から適用となります。
●不動産譲渡契約書等の印紙税も同様に引き下げられます。現在の不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の特例税率について、適用期限が平成30年3月31日まで5年延長となりました。
適用:平成26年4月1日以後に作成される文書に係る税率が引き下げられます。
【総論】
今回の25年度税制改正についてポイントのみを列挙しましたが、この税制改正の大きな流れとして、何とかして日本経済を哀態の淵から引っ張り出そうとの意気込みが感じられるが、急遽応急手当をしてる感は拭い切れない。莫大な国の借金をどうするのかの問題もあるが、まずはとにもかくにも景気浮揚を最優先にしたのであろうと考えられます。そして目の前に迫った選挙の事も念頭にあるのだろうと推測もできます。これで少しでも景気が上向く事を希望しています。
4月の特集
税務について
今回は会社と社長との不動産の貸し借りについてお話しをしていきましょう
社長が会社所有の不動産を借りて社宅にする場合があります。この場合、社長と会社とは別存在なので、改めて契約書や議事録を作成する必要があります。ここで税務上の問題ですが、税務の規則にクリアすれば問題はありませんが、これからずれると課税上の問題が生じます。ここで、いわゆる税務上の適正家賃と実際に支払う家賃に差が出ますと、その差額は社長本人への給与となり所得税が課せられます。これを図にしてみますと…
今度は逆に社長が会社に事務所を貸す場合ですが、これも同じく契約書を取り交わし、かつ議事録を作成しておく必要があります。先程、会社所有の不動産を社長が使う場合は、適正家賃が厳格に適用されますが、これはその扱いをしなくてよく、原則税務上の問題はありません。但し、社長に支払う家賃が時価よりも高すぎると、その高すぎる部分は社長の給与となります。
これを図にしてみますと…
以上をまとめるとこのようになります
経営について
財務経営力をつけましょう
またケーキ屋さんのケースですが、要は商品別に損益を弾くとして、売上の絶対数量を上げていければ黒字となるのか、そうでないのか、はたまた単に売上の絶対数量を追うのではなく、各商品別の利幅分に注目し、そこを意識して売上増に励むかで大きく結果が違って出てくる。今回はそこのところの意識を強く求められている。
労務について
社員の入社・退社の実務について触れましょう
○入社の時に会社側としてやるべき事をしておかないと、後で当の本人に迷惑がかかり、とんでもない事になりますので十分に注意してください。
まず、入社時に提出してもらう書類・確認事項は以下の通りです
この図表1を失念しないためにも、就業規則で謳っておく必要があります
雇用保険、健康保険・厚生年金保険も同様です。
では、社員が退社する時はどうか。
雇用保険、健康保険・厚生年金の資格喪失手続きが必要となります
3月の特集
労務について
5年を超えると無期雇用に転換とは如何なる事かについて述べましょう
○今年の4月から労働法改正で「5年を超えて雇用したパート社員等は、有期雇用から無期雇用に転換するとの意味とは別にパートを正社員にしなければならない事ではありません。これを表にしてみますと以下の通りです。
<1年の雇用契約を繰り返し更新しているパートAさんの例>
○有期雇用を繰り返し更新し、通算で5年を超えているパートが無期雇用に変えて欲しいとの申し出があった場合は、応答しなければなりません。尚、申し出のあった時点で無期雇用契約は成立となります。
○では、無期雇用に転換となった時は、労働条件や賃金はどうなるかといいますと、それらは全く変える必要はありません。それと、今年の4月1日以降、新たに契約更新した後、5年を超えたところでとなるのでそれ以前の勤務年数は関係ありません。尚、有期雇用をする際は、文書にて以下の表の事柄を明示するようにしてください。
【有期雇用契約の明示事項】
①雇用契約の期間
②就業場所、従事する業務内容
③始業・終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇、
配置転換について
④賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締め切り、
支払いの時期について
⑤更新の有無、更新の基準(注1)
⑥昇給、賞与、退職金の有無
⑦退職について 等
(注1)契約更新の有無、更新の基準は書面で交付
労働基準法施行規則が改正され、平成25年4月から有期雇用契約を結ぶ際、雇用期間とともに、①契約更新の有無、②更新の基準、を書面によって明示することが義務づけられます。
<契約期間及び更新の基準の明示義務>
税務について
今回は復興特別法人税の実務上の注意点について述べます
○3月決算法人は、25年3月期から適用となります。表にしてみますと、
<3月末決算法人の例>
<計算方法>
○税率は、通常の法人税額に対し、一律10%の税率をかけて計算します。尚、赤字申告だったり欠損金の繰越控除だったりで、法人税額が出ない場合はもちろん復興特別法人税額も出ません。申告書としては、通常の申告書とは別に、復興税用の申告書が必要となっています。もちろん、申告期限の延長をしている場合は、復興税用の申告書も延長出来ます。
○企業の受取った預貯金の利子等に係る復興特別所得税も、いつも通り還付を受ける事は出来ます。もちろん、法人税額の納付のない時も戻還付となります。
○これは技術的な話しになりますが、通常の法人税額が出ないからと言って復興税用の申告書を出さないと、後で万がいち調査で追加納税となった場合、復興税用分に無申告加算税(15%または20%)が課せられてしまいます。従って、期限内には提出しておきましょう。もっとも、追加徴税となった場合、過少申告加算税(10%または15%)は課されてしまいますが。上記を表にしてみます
<復興特別所得税額の還付>
経営について
さて、損益分岐点って何だろうか?についてお話しをしましょう
○要するに、どれだけ売上(現金売上だけではない)を計上すれば費用(現金支払費用だけではない)が、まかなえるかの境目を教えてくれる表です。極端なケースとして、売上は未収ばかりで費用は払いばかりですと、損益トントンと言っても、事業体としては全くやっていけない事は自明の理ですが、この表のポイントは費用を売上に変動する分と、固定費とに分ける事がまず先決です。
これを表にしてみます
表1を参考にこの表をみてみますと、ケーキを1ヶ月何個売れば儲けが出るのかわかります。もっとも、ケーキもある一定量以上になると設備拡充、人件費増で対応していかなければなりませんので、そう簡単にはいきませんが一通りの目安にはなります。
○最後に、ちょっと専門的ですが、図式化してみます。この図も御自分の事業所を経営していく際に、こんな見方をしてもらうと経営のひとつのヒントにはなると思います。
2月の特集
労務について
今年の4月から施行される改正労働契約法についてお話しをしましょう
今回の改正のポイントは従業員(パート・契約社員等を含む)の雇用の安定・待遇改善、紛争の未然の防止などを目的にしています。
即ち
①有期雇用から無期雇用への転換
②雇止めの規制強化(「雇止め法理」の法定化)
③不合理な労働条件の禁止 、の3つとなります。
この3点を表にしてみますと以下の通りです
①については、つまりパート社員や派遣社員をあらかじめ半年や1年などの雇用期間を決めて雇う有期雇用に対し、常に雇用する無期雇用にすることで、より安定した雇用形態にしようと言うものです。例えば、有期雇用を繰り返すことで5年経過したパート社員から、無期にしてくれと申し出があったら断れないという事です。
②については、有期雇用を繰り返しており、結果的に無期と変わらない場合があります。この場合、引き続き雇用出来る状況であれば、雇用を止める事は出来ない事になります。従って、雇用契約を定めた雇用契約を結んでいる場合、その雇用期間を満了する前に、雇用を更新しないと労働者に伝える必要があります。
③については、職務内容・責任の程度が正社員とまったく同じであるにもかかわらず、パート社員だからと言うだけで、待遇に差をつけてはならないという事です。例えば、正社員には出している定期代をパートには出さないとか、食堂の利用など安全管理の面で差をつける事をしてはならないのです。もちろんパートの出勤状況に応じて交通費を支給するのには支障ありません。
尚に、①について図で表してみると以下のようになります。
税務について
今回は保険金などの一時所得の洩れに注意しましょう
今年もまた、確定申告の時期が来ました。家賃収入・資産運用などの収入のある人は、申告漏れに注意したいところです。よく洩れるケースとして、生命保険の満期金などが挙げられます。これは、一時的な所得として所得税では、一時所得として定義されます。
この式で計算した後、一時所得の1/2が課税所得となり、他の所得と合算して税額を求めます。
【生命保険の満期保険金の課税所得の計算例】
満期保険金の金額 :500万円
払い込んだ保険料の累計 :430万円
課税所得:(500万円-430万円-50万円)×1/2=10万円
この生命保険金の受取は契約形態により、課税される税目が異なりますので要注意です。
課税当局は支払調書が保険会社から回ってくるので、解らないだろうと意図的に申告を洩らしても、そうは問屋が許しません。洩れなく、申告をしましょう。
尚、申告が必要なもの、そうではないものを記述します。
【所得税の確定申告が必要なもの】
・生命保険の一時金
・損害保険の満期返戻金
・懸賞や福引などの賞金品、当せん金品
・競馬の馬券や競輪の車券の払戻金
・借家人が収入する立退き料
・ストックオプション契約により株式を取得する権利を行使した場合など
【所得税の確定申告の必要がないもの】
・親族などからの贈与によって受け取った金品や不動産(別途、贈与税の確定申告が必要)
・病気やけがで入院したことにより受け取った入院給付金や所得補償保険金
・地震や火災、事故などにより資産に生じた損害に基因して収入した損害保険金
・香典や見舞金
・出産育児一時金
・宝くじの当せん金など
最後に所得税の申告準備書類チェックリストを掲示しますのでチェックリストとして使ってください。
経営について
今回は財務経営力を高めるべく変動費・固定費について説明をしましょう
例えば、ケーキを作るとしましょう。ケーキを作る時は、生クリーム、スポンジ、イチゴなど材料がかかってきます。そして、それらを加工する人の手、それを売る人、それを売る場所、光熱費等、いわゆる経費がかかってきます。
仮に、1日50個ケーキが売れたとすれば、その分だけ材料がかかります。人件費もかかります。しかし、売上が増えたからと言って材料と同じように増えるわけでもありません。その点は、家賃、光熱費も同じと言えます。その辺のところを表で解りやすく説明します。
御覧の通りとなっています。
専門的に説明しますと、このようになります。
ここで解る事は、利益を出すにはどうすればよいのか、が見えてきます。売れるものをいくつ作れば、どのくらいの利益が出るのか。人手、入れ物、光熱費はどこまでが許容量としてあるか、の算段が出来るわけです。
現実は、中々不確定要素が多く、絵に書いた餅のようにはいきませんが、少なくとも経営のヒントになり、改善の糸口にはなると思います。
1月の特集
経営について
今回は、帳簿の歴史についてお話しをしましょう
現代の簿記の基礎は、13世紀末から14世紀初頭のイタリアで築かれたと言われています。しかし、いわゆる帳簿づけはかなり昔の古代文明から行われていたと言われています。
まずは、商売で損をしないために、帳簿をつける事から始まったと言われています。紀元前4000年頃の古代エジプトから、もう既に帳簿はあったと言われています。
当時は貨幣制度がなかったため、貨幣の代わりとなる金、銀、銅、油、穀物がその代用をなしていました。いわゆる物資の数量誤りを正すべく出入りがわかるよう、帳簿をつけたという事です。
紀元前3500年頃のバビロニアの地も商業が盛んでした。
ここでも商売上のトラブル(金の貸し借り、商品の代金支払い等にからむ)を防ぐため、大いに帳簿が使われ始めています。
特に、いわゆる会計技術が発達し始めたのは古代ローマと言われています。貴族は富を持っていたが、自ら投資・貸付けはしてはいけない事になっていたので、使用人を雇い、彼らに財産を預けて事業をやらせて財を殖やしていました。そこで、どうなっているのか貴族も心配なので帳簿をつけさせ、それで中味を把握していました。使用人も帳簿をつける事によって、信用と評価を得る事が出来たのです。
中世に入っていよいよ数学者ルカ・パチオリの登場となりました。現代の複式簿記を考え出した人物です。これにより取引状況が飛躍的に数値化される事になり、より一層明確になってまいりました。
数学者ルカ・パチオリは1494年に数学書「スンマ」の中で簿記を紹介しております。1492年コロンブスが新大陸を発見した事により、その後のヨーロッパの発展を帳簿の世界から支えていたと言っても過言ではない業績を残しました。彼は、日々の記帳は商売の原則との考えを持っていました。
一方、日本ではどうかといいますと、16世紀末秀吉が天下統一を果たした際、いわゆる官僚派で、算術に長けた石田三成等を高く評価していたと言われています。帳簿の重要性を秀吉は十分に承知していたといわれています。
さて、江戸時代になって平和な時代が到来し、ますます商いが盛んになり、帳簿の重要性も増してきました。当時の商人の心構えとして、家屋敷が焼け落ちても帳簿だけは死守したと言われています。即ち、帳簿を油紙に包んで井戸に放り込んだとも言われています。
会計について
今回は現金管理と証憑書類の整理・保存についてお話しをしましょう
現金管理は経理の基本といわれており、またこれが出来なければ、全ての管理もおろそかになっていると言われる程、重要なものです。
要は、毎日帳簿残高と実現金在高を合わせる事に尽きます。しかしこれが、中々出来なく、つい後まわしになるのが現実です。しかし、これが出来ていないと経理システムは、いわゆるザル状態と同じ状況となり、無理、無駄、ロスの始まりとなり、経営の実態が出来なくなり思わぬ損害が生じ最悪の場合、倒産も免れないと言われています。
そこで、毎日の積み重ねになるのですが、毎日残高確認のため、金種表を作る事が大事となります。いわゆる、1万円札、5千円札、1千円札…等、細かに金種を記入していくのです。
これをやっていれば、帳簿残高と実在高が合わない事にすぐ気がつき、原因を追求する事が出来るのです。
≪合わない例として≫
≪具体的には≫
①現金出納帳の残高と実際残高が一致していない場合は、原因を解明します。
②一致しない原因が不明な場合は、一時的に未決算勘定などを使用して実際の有り高に一致させます。
③後日、あらためて原因を解明し、解明しきれないものは、社長決裁や社内規定などに従い処理(現金過不足など)します。
証憑書類の整理保存も極めて大事です。取引事実を証明する資料であり、第3者に対する対抗要件を十分に備えているものです。きちんと整理整頓してあれば、課税当局が来社した場合でも、速やかに見せられ、余計なストレスも感じる事はありません。対税上も然りですが、当事業所にとっての重要性ははるかに大きく、問題発見等自社のためにもなる事です。
では、証憑書類の整理保存の法的要請はいかがなものであろうか!
尚、流れを一覧にして下記に表します
税務について
今回は償却資産(固定資産税)の申告漏れに注意しましょう
いわゆる償却資産税は何に対してかかる税金なのでしょう。会社や個人事業者が事業のために使う機械、車両運搬具(自動車税の対象となるものを除く)、器具備品、構築物が該当します。
では具体的にいきますと、その年の1月1日現在、事業で使われている所有資産です。これらには改良費なども含まれます(注1)。
(注1)10万円未満の少額な減価償却資産など地方税法上の「少額資産」にあたるものや自動車税等の対象となる自動車、無形のソフトウエアなどは該当しません。
※解りやすく、業種別の主な償却資産の例を挙げます
よく申告漏れとなる資産には次のものがあります
・減価償却が終了した資産や、遊休・未稼働の資産で、事業に使用できる状態にあるもの
・エアコン、変電設備、屋外照明設備、屋外給排水配管等の建物に付属した設備
・アスファルト舗装路面、外構、フェンス、緑化施設等の構築物
・取得価格30万円未満の資産で、租税特別措置法第28条の2、第67条の5の規定(中小企業特例)によって全額損金算入したもの
・決算日以後、1月1日までの間に新たに取得した資産
・減価償却資産にかかる改良費 等々
実際に使われているものなのかが対象となるので、処分・廃棄したものがあれば、その分を届け出ない限り課税の対象となります。よって、処分等をした場合は以下の如く、書類を保存しておいてください。
さて、申告はいつまでにするかと申しますと、毎年1月31日までその事業者が資産の所有する市区町村ごとに「償却資産の申告書」を提出します。東京23区は各都税事務所へ従って、異なる市区町村に営業所、倉庫、工場などを所有している場合は、各々の市区町村に提出します。納付通知書はだいたい6月上旬頃、郵送にて事業者に送られてきます。
税率免税点は、まず税率は1.4%(原則)。そして、免税点は課税標準額が150万円未満であれば、税金はかかりません。尚、市区町村間で移動があったら速やかに申告書に記入してください。後で問い合わせがあった時に説明が出来ます。