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更新日 2023-02-02 | 作成日 2021-01-13

12月の特集

期中における業績検討(管理)の重要性について

 期中の業績検討が必要な訳とは?

 目標を達成するためには、予算との差異が発生したときにいち早くその事に気づき、ずれた原因を究明しその後の行動に役立てることが大切です。自社の財務情報や経営状況を「見える化」し、正確に把握することにより、経営課題の発見、早期改善につながるのです。

では、なぜズレが生じてしまうのか?

 まずは、前年同月の実績、予算等を比較し、売上や固定費などに変化がないかをチェックしてみましょう。

≪チェックポイント≫
・主力、重点商品の売上は伸びているか?
・得意先の売上が減少していないか?
・値引きが増えていないか?
・人件費(残業代,パート代など)が増加していないか?
・広告費、交際費などの経費が増加していないか?    など


社内での業績チェックを外部の金融機関が行い、予定どおり資金が返済できるかチェックすることをモニタリングといいます。金融機関は、融資判断を的確に行うために融資先企業の経営状況を把握し、モニタリングを重視したいと考えています。


期中の業績検討によって、社長自らが書類や資料を把握し、対策を実行することによって、社長は自社の強みを語れるのです。また、このような体制の構築によって、金融機関や取引先への信頼性向上に繋がっていくのです。

業績を細分化してみよう

 業績検討をするためには部門別業績管理が有効です。うちの会社はこの商品で儲かっていると思っていても、数値で表してみると考えていたものと違っていることはよくあります。経営者が、知りたい・見たい単位で損益を明らかにすることで自社の問題点がより明確に把握できます。

 部門別業績管理の目的を要約してみますと、会社の業績を部門別にする事によって、業績の動向をつかみ、最小事業単位ごとの利益率やコスト等が把握でき、進出・撤退や、拡大・縮小などの早期の判断、または対応策が行えるようになります。


利益やコストが最小事業単位で明らかにされると、従業員にも売上増、適正コストの維持など利益の確保について責任感が生まれます。同時に、社内に競争意識も生まれ、活性化にもつながります。

≪最小事業単位の具体例≫
・担 当 者 別 … 営業担当者別、運転者別など   
・商 品 群 別 … 商品・サービスの種類別など
・顧 客 別  … 下請け製造業など
・支店・営業所別 … 小売業、飲食業、サービス業での店舗別  など

平成30年分の扶養控除等(異動)申告書の記載変更について

 控除対象配偶者から源泉控除対象配偶者へ変更になります

 平成30年分から従来のA控除対象配偶者について、名称がA源泉控除対象配偶者に変わるとともに、記載の対象者となる配偶者は、平成30年の納税者本人の所得の見積額が900万円以下で生計を一にする配偶者の所得の見積額が85万円以下と範囲が変わりました。

 障害者控除欄の配偶者についての記載も変わります
 対象者が配偶者の場合には、従来の控除対象配偶者から同一生計配偶者に変更され、所得者と生計を一にする配偶者(青色事業専従者等を除く)で、平成30年中の所得の見積額が38万円以下の人をいいます。


その他、記載上の注意点について

(1)「B控除対象扶養親族」欄について、老人扶養親族(昭和24年1月1日以前生まれ)に該当する人がいれば、同居老親等またはその他にチェックが付いているか確認してください。また、特定扶養親族(その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満)に該当する場合もチェックの有無を確認します。

(2)「平成30年中の所得の見積額」欄について源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族にパートやアルバイトによる収入がある場合記載しますが、あくまで「収入」ではなく「所得」の金額であることに注意が必要です。

 平成30年1月から毎月の源泉徴収の仕方が変わります

 これまでの源泉徴収事務では、「扶養控除等(異動)申告書」の控除対象配偶者について、毎月の徴収を行い配偶者特別控除については、年末調整時に一括対応していました。平成30年1月からは、配偶者が源泉控除対象配偶者に該当する場合については、毎月の徴収になります。それ以外は、従来どおり年末調整時に一括して行います。

【ご注意】改正は平成30年1月分以降からとなります。平成29年分の年末調整事務は従来どおりの事務となりますので、注意してください。

11月の特集

平成29年のパート収入と税金等について

配偶者控除とは?

 例えば、夫がサラリーマンで、妻のパートによる年収が103万円以下であれば、妻の収入に所得税は課税されず、夫は自身の所得から配偶者控除(38万円)を受けることができます。しかし、パートの収入が103万円(所得38万円)以下であっても、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金などの収入があると、所得が38万円を超えることがあるため、その他の収入にも注意してください。妻のパート収入が103万円を超えると、妻の収入に所得税が課税され、夫は配偶者控除を受けられなくなります。

妻のパートの収入が141万円未満で、夫の所得合計が1,000万円以下であるなど、一定の要件を満たせば、夫は配偶者特別控除を受けることができます。

社会保険の扶養の範囲について

 サラリーマンの妻の収入が130万円以上になると、夫の加入する社会保険(健康保険・厚生年金保険)の扶養家族(被扶養者)に該当しないため、妻本人が社会保険料を負担することになります。
事業承継には長期間の準備が必要です

まずは後継者をどうするのか?
 後継者が決まっていればその育成があり、もしも決まっていなければ第3者への譲渡など、将来を見据えた準備が必要です。社長が60歳を超えたなら、事業承継の準備に取り掛かりましょう。
 社長の子や親族への承継の場合、後続者を早期に決めることで準備期間が確保できるうえ、相続等によって株式等を後継者に移転することができます。また近年は、経営者に子供がいても、事業の将来性や安定性へのリスク懸念から、役員や従業員の中から後続者を選ぶ割合も増えています。この場合、課題だった資金力についても、種類株式、持株会社、従業員持ち株会の活用、親族外後継者にも事業承継税制が適用されるなど、より承継しやすい環境が整ってきています。

 親族や社内に後継者がいなければ、株式譲渡や事業譲渡によって社外へ引き継ぐ方法があります。この方法は、会社売却による社長のリタイヤ後の資金の確保だけでなく、従業員の雇用や取引先との関係の継続性を保てる可能性があります。

 事業承継の大きな課題は、企業価値を高め後継者にとって魅力的な状態にまで引き上げる事です。後継者候補にとっても人生の大きな選択ですから、会社の業績が低迷していて、事業に将来性を感じなければ引き継ぐ意思が固まりません。

 安定した経営を行うために社長は後継者との対話を通じて、経営理念、経験やノウハウ、取引先との関係等を引き継ぎます。後継者を次期経営者としての能力を身につけるには5~10年は必要とされます。

 円滑に引き継ぎを進めるため後継者とともに、株式の贈与や相続には税負担の問題があるため、後継者に資金力がないと株式等が分散し承継後の経営が不安定になるおそれがあります。税理士と相談し、税負担に配慮した方法を検討しましょう。

 知的資産とは、人材、技術、ブランド力、信用、組織力、経営理念など、貸借対照表上に表れないもので、企業の競争力の維持と事業の継続性のために、必ず承継しなければならない資産です。承継するにあたり、社長は自社の沿革や経営の強み・価値などをもう一度整理して後継者とともに、認識を共有化していくことになります。

パート・契約社員の無期雇用への転換とは

無期雇用は定年まで、有期雇用は一定期間

 有期労働契約とは、半年や1年など期間を区切った雇用契約をいい、無期労働契約とは、期間に定めがなく、就業規則などで定年が定められていれば定年までの雇用契約のことです。違いは雇用期間の定めの有無にあります。有期雇用の契約満了に伴う雇止めについては、1年以上継続したときや3回以上の更新があったときには、30日前に雇止めの予告を行う必要があります。

 無期雇用への転換とは、有期雇用の契約が通算5年を超えた場合、労働者から無期雇用への転換の申し込みがあったときには、期間の定めのない無期雇用に転換されるルールです。平成25年4月1日以後に開始した有期雇用契約の場合、最短で平成30年4月1日からの転換の申し込みが可能となります。この制度は、雇用主の都合で安易に解雇されるなどの労使間のトラブルが発生しやすいことから、有期雇用者が安心して働けるようにしたものです。無期雇用への転換の申し込みは、その時点で承諾したものとされるため、雇用主は拒否することはできません。

 有期雇用から無期雇用への転換は正社員にすること、または正社員と同じ待遇にすることではありません。例えば、契約期間を有期から無期へ転換するだけならば、賃金や労働時間など他の労働条件を変更する必要はありません。

 無期転換への本格化に向け、有期雇用者それぞれの初回契約日・契約期間・更新回数などの状況等を把握します。次に、無期雇用者用の就業規則や雇用契約書をしっかり整備しておきましょう。最後に重要なことは、口頭による申し込みはのちにトラブル発生等を招く恐れがありますので、必ず転換申込書など書類の提出を受けましょう。

10月の特集

早期経営改善計画とは

中小企業や小規模事業者の資金繰り管理や採算管理等の早期の経営改善計画を作成できる国の制度が平成29年5月29日より開始されました。この制度は、経営改善への意識を高め、税理士等の助言を受けながら基本的な内容の経営改善に取り組むことにより、平常時からどんな状況の変化にも対応できる会社づくりを支援します。

この制度は税理士等の認定支援機関の支援を受けて作成する簡易な経営改善計画(ビジネスモデル俯瞰図や資金実績・計画表・損益計画・アクションプランなど)のことです。従来の金融支援を前提とする経営改善計画とは異なり、簡潔な手続きで経営計画を作成することができます。

制度の内容は
(1)認定支援機関(税理士等)の助言を受けて簡易な手続きで計画を作成できます。
(2)早期経営改善計画を策定し、その計画について金融機関に提出した場合、作成費用の1/3を企業が負担し、残りの2/3は国が支援します。(上限20万円)
(3)早期経営改善計画策定後1年を経過した最初の決算時に、モニタリングが受けられます。    
(4)中小企業・小規模事業者は必要に応じて経営改善や事業再生の支援策の紹介を受けられます。

【早期経営改善計画作成のメリット】
・自社経営の見直しができ、経営課題の発見や分析ができます。
・資金繰りの把握ができる。
・事業計画等を金融機関に伝えることができる。

「早期経営改善計画書」の作成手順
①自社の現状を分析する(経営状態の把握、経営課題と改善策の検討など)
          ↓
②財務目標を立てる(資金実績・計画表、損益計画の作成)
    ↓
③アクションプランを作成する(経営課題を書き出し、具体的な行動計画を作成)
    ↓
④早期経営改善計画書を提出する
    ↓
⑤アフターフォロー(モニタリング)を行う

制度を活用して金融機関との繋がりを強化する
「早期経営改善計画策定支援事業」は社長が自社の現状を把握するきっかけになり、事業は順調なのか、社長自身が経営を今後どうしていきたいのかなど、今一度考える事が出来ます。また、この制度を活用して計画書を金融機関に提出したり、作成した計画を年度予算として活用し、社長が毎月予算と実績を比較・検討します。その結果を金融機関と一緒に確認したりして、より関係強化をはかる絶好の機会となります。

「ふるさと納税」に注目

平成27年度からふるさと納税の控除限度額が拡大されたことなどから、平成28年度のふるさと納税額、適用者数は大幅に拡大しました。特に確定申告が不要な「ワンストップ特例制度」が導入され、控除限度額も拡大された2年前から急増しています。

返礼品に関しては、今年の4月に総務省から「返礼品の調達価格を寄附額の3割以下に抑えること。家電製品・宝飾品など資産性の高いもの、商品券など換金性の高いものを返礼品にしないこと」を求める通達が出されたことで、自治体における返礼品競争はなくなりそうですが、税額控除のほかに返礼品が受けられるとあって、適用者数は今後も増えると見込まれています。

ふるさと納税とは、寄附金のうち2,000円を超える部分が、所得税や住民税から控除される制度ですが、その適用を受けるには確定申告をするか、確定申告が不要なワンストップ特例の利用を申請するかの2つの選択肢があります。ワンストップ特例を利用できるのは、次の2つの条件に当てはまる人です。

(1)寄付を行った年の所得について確定申告をする必要が無い人
(2)1年間のふるさと納税納付先自治体が5つまでの人
自営業者や年収2,000万円超の人、医療費控除を受ける人など、もともと確定申告が必要な人は特例を利用することができません。

※ワンストップ特例と確定申告の違いは税額控除の方法になりますが、原則として控除限度額は同じです。

特例の適用を受けるには、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」にマイナンバーを記載し、本人確認書類のコピーを添付して寄附先の自治体に提出する必要があります。申請書は、1回の寄附ごとに1通の提出が必要です。

クレジットカード加盟店に求めるセキュリティ対策

近年、サイバー攻撃によるカード情報の漏えいなど不正利用等が増加しています。その対策として昨年12月に割賦販売法が改正されました(平成30年6月施行)。クレジットカードを取り扱うすべての加盟店(販売業者)に、カード決済端末のIC対応化など、セキュリティ対策の強化が義務付けられます。

カード情報の漏えい対策として、クレジットカード表面に記載された「カード会員番号・有効期限・カード会員名」などのカード会員データを加盟店が持たないことなどが義務づけられます。また、その他のカード情報は保有すること自体が禁止されています。

クレジットカードの磁気ストライプに記録された情報は、スキミング(不正読み取り)や偽造カード作成が容易なため不正使用の温床にもなっています。これに対し、ICチップを搭載したICクレジットカードは、ICチップ内の暗号化した情報を読み取るため、磁気ストライプよりもセキュリティレベルが高くなっています。大手コンビニチェーンをはじめカード決済端末の多い流通業においてIC対応化が遅れており、まだまだ磁気ストライプが主流となっています。

改正法では、加盟店にクレジットカード決済端末のIC対応化が義務付けられ、今後、端末の追加や入れ替え、システム更新などが必要になります。

ネット通販では、カード番号と有効期限を送信することでカード決済が可能なため、不正に入手した他人のカード情報をもとに、本人になりすまして不正使用する被害が増加しています。改正法では、なりすまし被害の防止対策として、カード番号と有効期限に加え、パスワードやセキュリティコードなどの追加情報の入力によって本人確認を行う仕組みの導入などが義務付けられます。

クレジットカード決済をした顧客に加盟店が渡す「カード利用明細伝票」について、改正法では、紙に代えて電子メール等の方法で提供することが認められます。ただし、消費者がこれまで通り紙の伝票を希望する場合は、紙で渡す必要があります。


9月の特集

中小企業会計の共通ルールで決算書を作成しましょう

決算書の利用が主に金融機関や税務署に限られる中小企業では、上場企業向けのような会計基準は必要なく、税法による会計処理にも配慮した共通の会計ルールとして、中小会計要領が作成されました。中小企業向けになっており、経営者や経理担当者にもわかりやすくなっております。

例えば、毎年業績の都合などで規則性のない会計処理で決算書を作成した場合と、共通のルールに基づいて作成したものを比較してみますと、法人税法上、固定資産の減価償却費を計上するかは任意なので、黒字の時だけ減価償却をするといった決算書ではどうでしょうか?これでは、過去の決算書と比較しても意味のないものになります。

中小会計要領では、一般的に耐用年数にわたって、毎期に減価償却を行うとしていますから、過去数値との比較による経営判断がより的確になります。また、自社の財務状況が金融機関等への報告や説明する際も、決算書が中小会計要領という共通のルールで作成されていれば、客観的な企業評価を行うことができ、決算書の信頼性が高まります。

決算書が共通のルールに準拠して作成されていれば、時系列比較や他社比較などが、より精度の高い数値で比較分析できるため、自社の特徴や課題、問題点が見えてきます。これは会計によって「経営の見える化」ができるようになり、経営判断がより的確になります。

「法定相続情報証明制度」が始まりました!

法定相続情報証明制度とは、相続手続で相続関係を証明するために、戸籍関係書類の束を登記所や金融機関にその都度提出する必要があり、預金口座が複数ある場合はその手続が大変でした。そこで法務局から交付される「認証文付き法定相続情報一覧図の写し」を登記所や金融機関等に提出することで、相続手続の負担軽減を図る制度です。

これは、法定相続人が誰かを登記官が証明した書類ということになります。ただし、相続に関する基本的なものにだけ対応し、遺産分割協議や相続放棄等があった場合は、遺産分割協議書等の書類の提出が必要なのでご注意ください。

本制度は、遺産に不動産がなく銀行預金だけの場合でも利用できますが、預金等の払戻しについての利用は金融機関によりますので問い合わせをしてください。

「認証文付き法定相続情報一覧図の写し」を取得するには、相続人を代表して相続手続する人が法務局へ申出を行いますが、税理士や司法書士等に申出の代理を依頼することもできます。申出には、戸籍謄本などの必要書類の他、故人(被相続人)及び戸籍から判明する法定相続人を一覧できる「法定相続情報一覧図」を作成し提出します。登記官は内容を確認し、認証文付きの「一覧図の写し」を交付します。これは、無料で必要な通数の交付を受けられます。

※深刻化する「所有者不明問題」
  相続登記とは、不動産の所有者が亡くなったときに、その不動産の登記名義を亡くなっ
 た人(被相続人)から、相続人へ名義変更する手続きです。ところが、相続登記が未了の
まま放置されたことで所有者を把握できない「所有者不明土地」などが増加しています。相続登記は、法律上の期限がないため放置していても罰則はありませんが、相続登記さ
れずに長年放置されたままになると、子や孫の代になって相続権を持つ人がどんどん増
えて、売買などができない「塩漬け」状態になる可能性があります。

社内不正の起こりにくい仕組みをつくろう

社内不正は、会社内部の問題だけにとどまらず、取引先や金融機関からの信用も失い、大きな損害を被ります。事務の不正やミスを防止するために、記帳を2人以上の担当者にしたり、現金等の出納・保管・記帳の業務とその管理を区別したりして、内部牽制機能を働かせましょう。
(1)業務を1人の従業員が兼務していると、日常業務に対して、他者によるチェックがはいりにくくなります。
(2)不正を未然に防止する仕組みや、社内の金銭・物品類の取扱ルールが明確になっていない会社の場合、不正やミスに気づきにくいことがあります。
(3)オーナー企業では、私的費用と会社の経費の支払いが混同される例がよくあります。公私混同は、会社の金銭・物品への取扱いに対する従業員の意識をルーズにさせる一因になりやすいといわれています。

社内で発生する不正の多くは、会社の金銭・物品の横領や着服など「使い込み」によるものです。このような不正がおこらぬように社内体制に内部牽制によるチェック機能を働かせ防止していきましょう。
(1)事務処理や業務を1人の従業員にすべて任せず、複数の担当者を配置するか、上司や社長が必ず確認するようにしましょう。
(2)担当者の複数配置や、定期的に業務を交代させることが難しい場合は、金銭や物品、売上や仕入などの取扱ルールを決めて、定期的もしくは臨時のチェックを行います。
(3)予算制度や月次決算は、会社の業績管理のために行うものですが、予算と実績との差異分析など前期や前月の比較から、異常な数値が見つかれば、その原因を調べることで、不正等の発見につながることがあります。

最後に、不正の事例と具体的な対策を紹介します!

ケース1:経理担当者が、切手や収入印紙等を必要以上に購入し、金券ショップで換金していた
【対策】・購入と管理を同一人物が行わないようにする。
    ・金券類の購入枚数や使用目的を受払簿に記入する。

ケース2:商品管理者が在庫品の横流しをしていた
【対策】・実地棚卸には、経理部門の責任者か社長が必ず立会う。
    ・倉庫管理者から不良品や破損、毀損等が報告された在庫は、経理責任者や社長が確認する。

ケース3:営業社員が個人的な飲食代などを交際費として会社に請求していた
【対策】・交際費や交通費の支出は事前申請とする。
    ・交際費等の仮払い精算は、1週間以内など短期間で行うようにする。


8月の特集

“ローカルベンチマーク”ってご存知ですか?

金融庁が、金融機関に対して融資先企業の健康診断ツールを使って、経営状態を把握し、積極的に対話する事で早期に課題を発見し、具体的な支援につなげようというものです。

これまでの担保や保証に依存した融資から、企業の事業性評価に基づく融資や経営改善、生産性の向上へ繋げるための支援の取り組みを期待します。

現状の把握と問題点を洗い出す為、財務情報(6つの指標)①売上持続性、②収益性、③生産性、④健全性、⑤効率性、⑥安全性、の改善をはかる。   

問題点を改善し今後の方向性を導き出す為、非財務情報(4つの着目)①経営者への着目、②事業への着目、③企業を取り巻く環境・関係者への着目、④内部管理体制への着目、と今後の方向性を導き出します。 

※上記のデータをもとに、経営者と金融機関が企業の経営力の評価と経営改善に向けた話し合いがスムーズに行う事ができるのです。

IT等を活用した新サービスの開発が税額控除の適用になりました!
研究開発税制とは、物作りや技術の改良・考案・発明等のための試験研究費(人件費や経費など)がある場合に、その事業年度の法人税額から試験研究費の額に税額控除割合を乗じて計算した金額を控除できる制度です。

平成29年度税制改正の注目すべき点は、人工知能やビッグデータ等の活用に代表されるいわゆる「第4次産業革命」に対応した新サービスの開発にかかった試験研究費が適用対象に加わったことです。

主なサービス開発とは、ドローンを使った自然災害予測や、ウエアラブル端末によるヘルスケア、農作物や土壌データ、気象データに関するデータを分析し、情報を配信、人工衛星等による画像や気象、生態系のデータを分析し、自然現象等の発生を予測するサービスなど…。

残業時間と残業代について正しく理解していますか?
労働基準法では、法定労働時間として、1週間につき40時間、1日につき8時間までを上限としています。法定労働時間の範囲内で、1日7時間など会社が決めた労働時間が所定労働時間となります。

所定労働時間が終了した時刻から、法定労働時間の時刻までの残業は法定内残業になります。法定外残業とは、労働時間が法定労働時間の1日8時間、1週間40時間を超えることをいいます。

残業代の計算方法は、法定労働時間を超えた残業は、時給単価に25%以上の割増賃金を支払います。法定内残業分の残業代については、就業規則や労働契約等において定めがなければ、割増なしの「時給単価」で計算します。深夜22時から翌朝5時までの時間帯に残業して労働した場合は、時給単価に50%以上の割増賃金を支払う必要があります。

※割増賃金の計算は、原則として毎日の時間外労働を1分単位で正確に計上するのが正しい労働時間管理といえます。労働時間の端数計算は四捨五入ではなく常に切り捨てで計算することは認められていません。


7月の特集

利益向上のための4つのシミュレーションを考える!

(1)固定費を3%削減する
まずは、経費の見直しを行い無駄な経費を減らしていきましょう。

(2)販売数量を3%増やす
年間の販売数量を増やし、営業利益を増加させましょう。

(3)売上原価(変動費)を3%削減する
売上原価の削減は仕入先との交渉になるので、支払方法を現金払いにするなどの工夫をしてみましょう。

(4)販売単価を3%上げる
販売単価を上げることが最も営業利益を増加させる事ができます。

※まず重要なことは、販売単価をいかに維持するかです。すぐに値引き等を考えるのではなく、経営計画を立てる上で重要な事は、自社の商品やサービスの付加価値を高め、設定した販売価格でお客様に購入して頂けるようにする事です。また、販売数量を増やすよりも、商品やサービスの粗利益を増やす計画を立てて、実践したほうが多くの営業利益を生み出す事となります。

契約書の印紙税は注意が必要!

文書の表題等に「~契約書」とつかなければ印紙は不要か?
印紙を貼る必要があるかは文書の表題や名称で判断するのではなく、文書の記載内容が契約の成立等を証明するかで判断します。例えば、合意書や覚書などもそれが相手との契約の成立や変更を証明する紙の文書であれば、印紙税法上の契約書になります。申込書・注文書・依頼書などは契約書に該当しないため、印紙は不要ですが、注文に対する注文請書になると、双方が契約を合意した文書となるため印紙が必要になります。

契約書を2通以上作成した場合、すべてに印紙を貼る必要がありますか?
ひとつの契約において、契約書を2通以上作成することがあります。印紙税は文書課税ですから、作成したすべての契約書に印紙を貼る必要があります。

契約書のコピーにも印紙は必要か?
契約書のコピーは、正本等の単なる複写にすぎませんので、印紙を貼る必要はありません。契約書を1通作成し、一方が原本を所持し、もう一方は控えとしてコピーを所持するのであれば、原本のみに印紙を貼付すればOKです。

契約書をPDFなど電磁的記録として電子メールで送信する場合、印紙は必要か?
印紙税は文書課税ですから、電子メールやFAXなどの電子データで送付される電子的契約書に対しては課税されません。紙の契約書に記名押印だけして電子メール等で送信する場合、原本を相手に交付しなければ印紙を貼る必要はありません。ただし、契約内容の改ざんなどのトラブルが起きないよう注意が必要です。現在は電子化が進んでおり、定款や手形などの電子文書には印紙税はかかりません。

印紙を貼っていない契約書の契約内容は、法律的に有効なのか?
印紙が貼ってなかったり、消印がなくても契約書自体は有効です。印紙はあくまでも税金の問題であって、文書の効力には関係ありません。だからといって、故意に貼らないことは許されません。

※契約書等への印紙の貼り忘れを税務調査で指摘されると、印紙税額の3倍または1.1倍の過怠鋭が課せられます。過怠税は損金算入できないうえ、契約金額によっては税額が高額になるため、注意が必要です。

<ここがポイント>
本来納付すべき金額以上の収入印紙を貼ってしまったり、課税文書ではないものに印紙を貼ってしまったなど、貼り間違えた印紙を剥がして再利用することは違法になります。この場合は、印紙を貼った状態のままの文書を税務署に持参すれば、還付の手続きをする事ができます。その際、印鑑と法人は代表者印が必要です。

知っていますか?子育て・介護と仕事の両立を支援する助成金
介護のために仕事を辞める介護離職者は年間10万人を超え、団塊の世代が70歳代になりさらに増加傾向にあります。さらに家族の介護を周囲に隠している「隠れ介護者」は、全国に1,300万人いるとされ、やがて介護離職してしまう可能性が高いと言われています。その一方で、出産や育児のために離職する女性も多く、仕事を続ける意思はあったが、家庭との両立が難しいとの理由で離職をしてしまうケースも多いようです。

経営者は、子育て・介護を従業員個人の問題にするのではなく、これからの経営の課題として、子育て・介護の休業制度や離職者が職場復帰できる体制の見直しが必要とされます。その際、助成金を活用するとよいでしょう。従業員が仕事と子育て・介護を両立できる取組等を行った事業主に対して、両立支援等助成金が支給されます。この助成金は、子育て・介護それぞれの支援への取組ごとにコースがあります。

(1)介護離職防止支援コース
従業員が仕事と介護が両立できるように職場環境を整え、介護休業の取得・職場復帰、または働きながら介護ができる勤務制限制度(介護制度)を利用しやすくした事業主に支給されます。

(2)出生時両立支援コース
男性が育児休業を取得しやすい職場づくりを行い、男性に一定期間の連続した育児休業を取得させた事業主に支給されます。

(3)育児休業等支援コース
①育児取得時・職場復帰時
「育休復帰支援プラン」を作成し、プランに沿って従業員に育児休業を取得させ、職場復帰をさせた事業主に支給されます。
②代替要員確保時
育児休業を取得した従業員の代替要員を確保し、休業取得者を原職等に復帰させた事業主に支給されます。

(4)再雇用者評価処遇コース
妊娠・出産、育児または介護を理由として退職した者が、就業が可能になったときに復職でき、適切に評価され、配置、処遇される再雇用制度を導入し、希望する者を採用した事業主に支給します。

※これらの助成金を受給するにあたっての申請は、従業員の実態把握や、介護・育休復帰支援などのプラン作成、法令の要件を満たした社内制度の見直し等と、それに基づく就業規則の改定などの要件を満たす必要があります。なお、申請受付は企業がすべての取組を実施してから2か月以内となっています。申請期限を1日でも過ぎると受給できません。支給要領や支給申請の手引きは厚生労働省HPに掲載されています。ただし、年度の途中でも予算枠を超えた場合等は、新規受付が停止されることがあります。助成金を受けるには雇用保険に加入している事が大前提です。また、就業規則や労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、雇用契約書、労働条件通知書などを整備・保管しておきましょう。


6月の特集

税務について

設備投資減税が拡大されます ~中小企業経営強化税制の創設~

生産等に係るすべての器具備品・建物附属設備が対象
新税制では、税優遇の対象設備として、「生産性向上設備(A類型)」と「収益力強化設備(B類型)」が設けられました。特に収益力強化設備(B類型)については、生産性向上や販売開始日の要件がなく、さらに対象設備が生産等に係るすべての器具備品・建物附属設備にまで拡大され、より多くの業種で利用できるようになりました。

【収益力強化設備(B類型)の対象設備】
・機械・装置(160万円以上)
・工具(30万円以上)
・器具備品(30万円以上)
・建物附属設備(60万円以上)
・ソフトウエア(70万円以上)

税優遇を受けるには経営力向上計画が必要
税優遇の措置については、従来の上乗せ措置と同様に、取得価額の即時償却か10%税額控除のいずれかを選択することになります(当期の法人税額の20%を上限/限度超過額について1年間の繰越が可能)。この制度は、4月1日以後の設備の取得からの利用が可能ですが、青色申告書を提出する中小企業者等が、中小企業等経営強化法の「経営力向上計画」を策定し、事業分野ごとの大臣の認定を受ける必要があります。

収益力強化設備の取得手続きの流れ
① 設備投資によって年平均の投資利益率が5%以上見込まれる投資計画を作成
              ↓
② 投資計画について、税理士または公認会計士の事前確認を受けます
              ↓
③ 事前確認を受けた投資計画について、さらに経済産業局の確認を受けます
              ↓
④ ③の確認を受けた設備について「経営力向上計画」に記載して、計画の認定を受けます
              ↓
⑤ 設備を取得します。一定の場合は申請前の取得も認められます  

生産性向上設備(A類型)を取得して税優遇の適用を受けるには、設備メーカーを通じて「工業会等による証明書」を取得し、経営力向上計画の認定が必要になります。

【生産性向上設備(A類型)の対象設備】  
対象設備                        販売開始 
・機械・装置(160万円以上)             10年以内
・測定工具・検査工具                   5年以内
(電気、電子を利用するものを含む)(30万円以上)
・器具備品(30万円以上)                6年以内
・建物附属設備(60万円以上)             14年以内
・ソフトウエア                      5年以内
(情報を収集・分析・指示する機能(70万円以上)

中小企業経営強化税制の対象となる設備は、事業の用に直接供される設備が対象です(中古品は除く)。事務用の器具備品や本店、寄宿舎等に係る建物附属設備等は対象外になります。平成29年4月1日から平成31年3月31日までの設備の取得・供用に適用されます。


会計について

決算後に注意すること

金融機関へ決算報告を行います
融資を受けている金融機関に決算報告を行う際には、中小会計要領に準拠した決算であることを説明してください。決算報告には、事業計画書も持参しましょう。決算報告書には、現在までの経営成績や財政状態が表示されているので、金融機関を含む利害関係者は事業計画書からも経営の見通しや将来の資金需要などを確認したいと考えています。

決算年度の帳簿や書類の保存について
法人税法では、帳簿書類の保存期間は7年となっております。ただし、青色申告法人が、欠損金の繰越控除の適用を受けるには9年間の保存になります。また、商法・会社法では10年間保存しなければなりません。会社法によって、定款、株主名簿などは永久保存、株主総会や取締役会の議事録は10年間保存しなければならないとされていますので、それぞれ専用の保存用ファイルなどを用意して、表に保存期間等を明記しておくとよいでしょう。

法人税の納付は、事業年度の決算日の翌日から2か月以内に確定税額を納付してください。納付期限日が土・日・祝日の場合はその翌日になります。申告書を期限内に提出しても、納付税額を納付期限までに納税しないと延滞税が課せられます。延滞税は損金不算入となることから税金の滞納は避けなければなりません。納税資金が手許にないときは、金融機関に短期融資を受けたり、共済や保険契約などの契約者貸付が可能であれば利用するなどして、資金手当ての方法を検討してください。


労務について

なぜ、長時間労働が発生するのか

まずは、業務量を把握することから始めてみましょう。繁忙期と閑散期がある場合には変形労働時間制を採用し、繁忙期には労働時間を長く設定し、閑散期には労働時間を短く設定したり、休日を増やすなどの柔軟な働き方を採用する事によって、長時間労働を抑制することも可能です。

会社全体が残業ありきみたいな雰囲気ではありませんか?そのような意識があると、早く帰りたいのに帰りにくい風土が生まれてしまいます。残業の事前届出・許可制などのルールを作り、本当に必要が残業かどうかを管理者が確認する等で残業の見直しを計りましょう。

社員一人ひとりが仕事の進め方に対し、量・質を標準化し、納期・優先度を踏まえたスケジュール管理をしていくことが重要です。さらに従来のような仕事の進め方ではなく、残業時間の抑制のため業務のシステム化、外注化、業務・部署の統廃合、人員配置の見直しなども必要です。

最後に、長時間労働の要因は上記で述べた複数の問題が絡み合っており、どれか一つを改善すればすべて解決できるとは限りません。残業時間抑制のみに焦点をあててしまうと、かえってサービス残業や持ち帰り残業が増え、根本的な解決に繋がりません。まずは、要因を分析して、その改善に向けて経営者と社員がよく話し合って、社内体制や社員一人ひとりについての改善点を明確にしていく必要があります。


5月の特集

会計について

決算の確定と株主総会の開催についてお話しをします

確定した決算とは?
法人税法では、「確定した決算に基づき申告書を提出しなければならない」と規定され、取締役会・株主総会において承認されて“確定した決算”となり、法人税の申告調整を行って課税所得を計算し、納税額を計算します。

株主総会で決議するものとは?
株主総会では、決算の承認の他に剰余金の配当や役員の改選がある時など決議が必要になります。取締役や監査役の任期については、定款と商業登記簿謄本で役員の任期満了を確認して、改選決議を失念しないように注意しましょう。また、会社の登記事項に変更があった場合は、株主総会の日から2週間以内に変更登記を法務局に申請しなければなりません。

役員に対する給与について
定期同額給与の改定や事前確定届出給与についても、株主総会や取締役会の決議が必要です。決議された議事内容は、税務調査時にも確認されますので議事録署名人(取締役)が署名押印した議事録はきちんと保管しておいてください。 


税務について

マイホームを購入・新築、リフォームするときの税制の特例

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除) ~税金を還付できる制度~
一定の要件のもと毎年の住宅ローン残高の一定額を所得税から控除でき、控除しきれない場合は住民税からも一部が控除されます。

■住宅ローン控除の適用要件
・控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下
・住宅(マンションの場合は専有部分)の床面積が50㎡以上で、その1/2が自分の居住用であること
・店舗や事務所との併用住宅の場合は、店舗や事務所部分を含めた面積     等々        

耐震・省エネリフォーム減税の特例
住宅ローンを利用して、バリアフリー・省エネ改修工事をした場合にも、住宅ローン残高の一定額を所得税から控除することができます。
※平成29年税制改正において、特定の増改築等に係る住宅ローン控除の特例が追加されました。
①適用対象に特定の省エネ改修工事と併せて行う一定の耐久性向上工事が加わりました。
②特定の省エネ改修工事と併せて行う一定の耐久性向上改修工事の費用に相当する住宅ローンが、税額控除率2%の対象となる住宅ローンの範囲に加わりました。

■ 住宅ローンで改修工事を行なった場合、所得税から最大12万5,000円が5年間控除されます。

住宅取得資金の贈与を受ける場合の非課税制度
マイホームを購入する子供や孫のために、親や祖父母が資金を援助する場合、一定の金額までは贈与税が非課税になります。

(1)住宅取得等資金の贈与特例[最大で1,200万円まで非課税]
父母や祖父母などの直系尊属から、一定の要件を満たす住宅の購入・新築・増改築などの資金の贈与を受けた場合、住宅用家屋の区分や契約の締結期間、消費税率などに応じて、一定の限度額まで贈与税が非課税とされる特例です。

【消費税の引上げ延期に伴う適用期間の延長】
消費税率10%が適用される場合、8%が適用される場合等の非課税枠の適用期限なども延長されます。

(2)相続時精算課税の特例
相続時精算課税の住宅取得等資金贈与の特例があり、贈与者の年齢制限はありません。具体的には、贈与時に、贈与財産の課税価格の年間合計額から特別控除額(累計で限度額2,500万円)を控除したあとの金額に対して、一律20%の税率を乗じて贈与税を納め、贈与者が亡くなった時に、相続財産にその贈与財産を(贈与時の価額)を加えて相続税額を計算し、すでに支払った贈与税額を控除します。この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、この選択をした年分以降全てこの制度が適用となります。尚、(1)の制度と併用することができます。

【消費税の引上げ延期に伴う適用期間の延長】
この特例は、平成33年12月31日まで延長されています。


労務について

社員の60歳以降の働き方を考える

60歳を迎えた社員に対して、経営者は社員と次の3つを選択します。
①引き続き正社員として、これまで通りの労働時間でフルに働いてもらう     
②労働時間を調整(時間短縮)して働いてもらう
③退職する(新たな人材確保が必要)
  
※60歳以降の雇用に関しては、一般的に継続雇用制度(勤務延長、再雇用)を導入している企業が多くなっています。

(1)勤務延長
定年を60歳にしたまま、定年に達した労働者を退職させることなく引き続き雇用する制度です。

(2)再雇用
定年に達した労働者を一度退職させた後、再び雇用する制度です。再雇用にあたって、労働条件を見直すことができるため、この制度を導入する企業が多いようです。

給与・年金・雇用保険の給付等を考慮しながら、今後の働き方を検討する必要があります。
【60歳以降の年金と雇用保険の給付による収入確保の手段】
①在職老齢年金(厚生年金)
働きながら支給される厚生年金のことです。年齢と性別によって、支給開始年齢が異なります。また、給与の額によって年金の全額または一部がカットされます。

②高年齢雇用継続給付(雇用保険)
60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満に下がると、雇用保険から「高年齢雇用継続給付」が支給されます。


4月の特集

会計について

今回は決算日の前後にやるべきことについてお話をします

①まず、税務届出の有無と売掛債権、たな卸資産、固定資産を確認します。税務届出のうち、特に注意したいのが消費税です。提出期限が決算日という届出もあるので事前に確認しておきましょう。たな卸資産や固定資産は廃棄や売却を確認できるように、写真や処分業者の領収書等の証拠資料をきちんと保存しておいてください。

②資産・負債科目の金額を確実に確定します。貸借対照表に計上した金額を決算日現在の残高証明書と照らし合わせて確認したり、得意先に残高確認をするのも良いでしょう。こうして資産・負債をしっかりと確定させ信頼性のある決算書を作成しましょう。


経営について  

平成29年5月30日から全ての事業者に個人情報保護法が全面適用されます

①そもそも個人情報とは、氏名、生年月日等ある特定の人物だとわかるものです。個人情報保護法において守るべき事が5つあります。

(1)取得について
個人情報を取得するときは、何に使うのか利用目的を具体的に決めておきます。例えば、アフターサービス、新商品、サービス等のお知らせなどです。取得の際はあらかじめ本人につたえるか、ホームページや店頭などで公表する必要があります。

(2)利用について
例えば、商品配送のために取得した顧客の住所を使って、ダイレクトメールなどの宣伝には使えません。既に取得した個人情報を違う目的で利用する際は、あらかじめ本人の同意が必要です。
  
(3)保管について
パソコンにて個人情報を管理する場合などは、ウイルス対策ソフトを入れるなどの対策が必要です。また、書類などの場合は施錠できる場所に保管してください。

(4)他人への提供について
個人情報を第三者に渡す時は、事前に本人の同意が必要です。ただし、事前の同意がなくても第三者への提供には該当しないものは、確定申告書の作成など法令に基づく場合、災害など人命に関わる場合で本人から同意を得るのが困難な場合、商品配送のため、配送業者に住所等を渡すなどです。

(5)開示について
本人から自分の個人情報の開示や訂正・削除等を求められた場合は、それに応じる必要があります。

 以上、個人情報保護法では個人情報を漏えいしてしまった場合、企業の信用低下による取引等への影響、民事上の損害賠償請求リスク、お詫び状などの事故対応費用の発生など経営に多大な影響を与えてしまいますので、適切な管理をして顧客からの信用を守りましょう。


税務について

領収書等の印紙税についてお話ししていきます

受取金額が5万円以上の領収書だと記載金額に応じた収入印紙を貼る必要があります。い
くつかのケースを説明していきましょう

①仮の領収書にも印紙は必要か?
仮領収書であっても金銭の受取事実を証明するものですので、5万円以上であれば印紙が必要になります。

②再発行した領収書にも印紙は必要か?
再発行した領収書でも印紙を貼る必要があります。印紙税は文書に課税され、一つの取引に課税文書が数通作成されれば、それぞれに印紙が必要です。

③レシートによる領収書について
レジから発行されるレシートについても、5万円以上であれば売上代金の受取事実を証明する金銭の受取書に該当するため印紙が必要です。

④領収書と明細書を発行する場合は?
それぞれが金銭の受取事実を証明する書類となるため、5万円以上だと両方に印紙が必要になってしまいます。

⑤Web上で発行する領収書は?
印紙税とは紙の文書に課税されるため、Web上で電子発行された領収書には印紙税はかかりません。

⑥金銭以外で代金の決済をした領収書の場合は?
商品券や電子マネーで商品代金の支払いを受けた場合は、金銭または有価証券の受取書に該当するため印紙が必要です。クレジットカード決済は、信用取引売買となるため印紙は不要ですが、カード払いと領収書に明記しましょう。

⑦会社側が従業員に金銭を貸し付けた場合の従業員が作成する受取書に印紙は必要か?
従業員は給与所得者であり、印紙税法上の営業者とはならないため受取書は営業に関しないものとして印紙は不要です。

※最後に、収入印紙を購入する際の消費税は購入先によって消費税の処理が異なります。郵便局やコンビニエンスストアで購入した場合の消費税は非課税ですが、それ以外の金券ショップなどで購入した場合は課税仕入れになります。


3月の特集

会計について

たな卸資産の決算手続きについてお話しをしましょう

①まずは、実地たな卸を行い財産を確定し、売上に対応した売上原価を確定します。商品受払帳の帳簿残高が実際に保有してあるか、またその実在性を確認します。商品受払帳を省略している会社は、期末に限らず定期的に実地たな卸を行い、在庫管理を徹底させましょう。

②税務調査では期ズレに注意が必要です。税務調査の現場では、期末たな卸は重要確認事項となっています。期ズレがないか「仕入→在庫→売上」の流れを決算期末日前後の取引を中心に調査されます。また、社内の実地たな卸のほかに、運送会社や外注先への預け在庫の有無なども調査されます。

③金融機関が決算書のたな卸資産をどのような視点で見るかというと、資産性のない不良品やデットストックが含まれていないか、赤字をカバーするために在庫の水増しが行われていないかなどが検討され、在庫の中に資産性がないものがあれば金融機関内部で実態修正を行って繰越利益金を減額修正した上で企業評価します。


■実地たな卸の方法について
(1)原票に、実施した年月日・商品の所在場所・実施者名・数量などを記入し、たな卸表に転記後も原票は破棄せず保存しておきましょう。

(2)採用している評価法により単価を入れ、金額を計算し、計算者氏名や合計表を添付します。

(3)会社以外に預け在庫がある場合、保管証明書などにより計上もれがないように注意します。

(4)仕入に計上された未着商品がある場合、たな卸の計上もれがないよう注意してください。

(5)期末日近くに仕入れた商品については、売上計上がないものは期末たな卸商品に計上があるか、翌期すぐに売上げたものが前期末のたな卸商品に計上されているかなど、在庫の流れからも確認します。


経営について

決算書・税務申告書の信頼性を高めて、安心できる経営をしましょう

【ポイント1】
日々の記帳を正しく行い、毎日の積み重ねが信頼性のある決算書になります。自社で正しい記帳と現金・預金の残高合わせを行い、証憑書類などもきちんと整理・保存をしましょう。

【ポイント2】
月次決算を行い、会計事務所の巡回監査による指導を受けることで年次決算業務もスムーズになり、消費税を含めた納税予測が立てやすくなります。

※信頼性の高い決算書とは、税務調査の不安を軽減するだけでなく、経営者が現状の実績を正確に捉える事ができ、尚且つ金融機関から融資を受ける際に必ず決算書の提出を求められる為、信用力が高ければ高いほど信頼関係の醸成につながります。さらに、税理士による税務申告への書面添付が行われると、税務当局からの評価も高まるでしょう。


労務について

長時間労働を防ぐ働き方について

労働基準法では、労働時間は原則として1日8時間・週40時間となっております。しかしながら季節により業務の繁忙期がある場合には、なかなか原則が馴染まないといえます。このような事態を踏まえ働き方の一例として、労働時間を1日単位ではなく、月や年を単位として平均で週40時間以内に収めることで、設定した労働時間内であれば1日8時間・週40時間を超えても時間外労働にならない変形労働時間制があります。

変形労働時間制には1か月単位などもありますが、ここでは1年単位の変形労働時間制を活用するポイントとして、忙しくない時期は思い切って休日を増やし、終業時間を早くするなどして無駄な労働時間を減らします。上手に活用することで、無駄な残業を削減することができます。これまでのように、仕事の繁閑に関係なく労働時間や休日の設定をしていては、そのメリットはあまりありません。

1年単位の変形労働時間制を採用するには、就業規則の改定のほか、労使協定を締結し労働基準監督署への届出が必要になります。会社によっては、「ノー残業デー」などを設け、社内に浸透させる工夫をしているところもあります。このような制度を上手く活用して、残業代の抑制や長時間労働の改善をはかりましょう。


2月の特集

会計について

決算までに仮払金勘定を精算しましょう

仮払金や立替金は一時的に使用するもの
 仮払金は、金銭を支出したが、支出目的や支出金額が確定していないときに、一時的に使用する勘定科目です。仮払金とよく似た勘定科目に立替金がありますが、これは金銭を会社が一時的に立て替えるときに使用し、確定した金額で計上し、金銭によって必ず回収しなければならない債権です。

仮払金や立替金の残高は決算書には残さない

これらの科目は、1週間など清算期限などを設けたりして未精算のままにせず、貸借対照表の資産の部に残高が計上されないように努めましょう。

仮払金が計上された決算書を税務署や金融機関はどうみるか
 結果として仮払金や立替金が決算書に計上されたら、国税当局(税務署)は決算書より正しい所得計算がなされ、納税額が正しく計算されているかという視点から決算書を確認します。また金融機関は、融資した資金がその目的通りに利用されているか、粉飾はされていないか、という視点から決算書を確認しています。

税務当局は給与、貸付金の可能性を疑います
 仮払金が常態し、残高が増加しているようであれば、その支出が役員や従業員の給与や貸付金ではないかを確認されます。仮払金が給与や貸付金と判断されると、、臨時的な給与であると源泉所得税の徴収漏れが指摘されます。また役員の場合には、事前確定届出給与の規定に抵触する恐れもでてきてしまいます。貸付金と判断されると受取利息の計上もれが指摘されます。

金融機関は資産性の有無を疑います
 融資した資金を回収できるのかという視点から、資産性の有無や使途不明な支出がないかをチェックし、不自然に多額の仮払金の残高がある場合はその資産性の有無が検討されるでしょう。さらに赤字決算を避けるために、そのまま仮払金として処理されているような場合は、資産価値のないものとして資産から減額して実態修正をします。また、仮払金などの仮勘定がない会社は経理業務品質が高く、決算書の信頼性が高いことの証に繋がります。


税務について

配偶者控除の見直しについてお話しをしましょう

まだ国会で審議中ですが、税制改正案によると配偶者の年収要件を150万円に拡大するという事です。配偶者の収入が給与収入のみの場合、年収150万円(現在は103万円)までは納税者本人は配偶者控除額38万円がうけられる。

配偶者の年収要件を拡大する代わりに納税者本人の年収制限が設けられる。納税者本人の合計取得金額が900万円(給与の年収が1,120万円)を超えると控除額が徐々に縮小し合計所得金額1,000万円(給与の年収1,220万円)超で配偶者控除が受けられなくなります。

納税者本人と配偶者の年収が高額になればなるほど、配偶者控除額及び配偶者特別控除額が少なくなっていくので注意は必要です。さらに、配偶者のパート収入が130万円以上になると、納税者本人が加入する社会保険の扶養家族から外れ、配偶者自身が第1号被保険者として社会保険料を支払うことになります。

この配偶者控除の見直しは、国会で可決・成立すれば、平成30年分から実施されることになります。平成29年分からではありませんので注意して下さい。


配偶者控除の見直しを受けて労務管理の見直しを行い、職場環境を良いものにしましょう。
例としては
①配偶者手当の所得制限を含め、手当全般の見直し
②パート従業員の勤務時間を含めた働き方
③全従業員の残業を含めた働き方

現在の配偶者控除は、納税者本人に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合、一定の金額(38万円)を本人の所得から控除できるというものです。なお、控除対象配偶者は以下の4つの要件をすべて満たす人と規定されています。

(1)民法の規定による配偶者であること
※役所に婚姻届を提出している配偶者であること(内縁関係は対象外)

(2)納税者本人と生計を一にしていること
※納税者本人と同じ生計のもとで配偶者が暮らしている必要があります

(3)配偶者のその年1年間の合計所得金額が38万円以下であること
 ※収入がパートなどの給与のみの場合は、給与収入が103万円以下という事になります。平成29年度税制改正案では、この「103万円」が拡大されます。

(4)青色申告者である納税者本人から事業専従者の配偶者に1度も給与を支払っていないこと、または白色申告者である納税者本人の事業専従者ではないこと


労務について

週40時間制の基本と働き方とは

法定労働時間と所定労働時間について
①法定労働時間とは
労働基準法で定められた労働時間の上限であり、原則として1週間につき40時間、1日につき8時間です。

②所定労働時間とは
法定労働時間の範囲内で、会社が就業規則等で自由に定めることができます。具体的に、休憩時間を除く始業時間から終業時間をいいます。例えば、9時から17時まで働き、休憩が1時間の場合には、1日の所定労働時間は7時間になります。休憩時間は、1日の労働時間に応じて労働時間の途中に原則として一斉に与える必要があります。

法定内残業と法定外残業について

所定労働時間を超えて法定労働時間内まで働いた場合は「法定内残業」となり、法定労働時間を超えて働いた場合は「法定外残業」となります。この場合は、一定割合以上の割増賃金を支給しなければなりません。


変形労働時間制の活用について
1日8時間、1週間40時間といっても、業種や業態によっては1か月や季節によって繁忙期と閑散期が異なり、月の後半に仕事が集中したり、法定労働時間を超えて従業員が働くような場合、会社は残業代の支払いが発生します。このように自社の特徴にあわせ、1週間、1か月、1年という単位で、1週間あたりの平均労働時間が週間40時間以内であれば、1日または1週間の労働時間の上限を超えることが認められる変形労働時間制があります。

①1か月単位の変形労働時間制の活用
例えば、月の前半は閑散期にため週40時間に収まるが、後半の2週間については繁忙期となって週45時間に及ぶような企業の場合、月の後半に合計で10時間の残業が発生し、会社は残業代を支払う必要があります。このような場合、1か月単位の変形労働時間を採用して、月後半の2週間の所定労働時間を週45時間とし、その他の週の労働時間を短くすることで、1週間の平均労働時間を40時間以内にするという対応も可能です。この場合、週40時間を超える10時間については残業代の支払いは発生しません。

②その他の変形労働時間制
1年単位の変形労働時間制などもありますが、これは閑散期の休日を増やして繁忙期の休日を減らすなど、平均で週40時間内に収めようというものです。

パート従業員の活用も検討する
税制改正によって、平成30年から控除対象配偶者の年収上限が103万円から150万円に引き上げられます。これによって、パートの労働時間を増やして、その分正社員の残業時間を減らすなどの方法も考えられます。


1月の特集

経営について

今回は自分(自社)の強みの発見についてお話しをしましょう

AI(人工知能)化等によって将来、人手が不要になる業種もあると予想される中、自社ならではの強みは何か?また、強みに磨きをかけることが求められてきます。しかし、自社特有の技術力が安価な機械の開発によって一夜にして強みではなくなってしまう事も珍しくない変化の早いこのご時世には、常に自社の強みを見直していくことが求められます。要はセールスポイントは何かを探せねばなりません。

ある元プロ野球選手の例を出しますが、中学生野球では名を知られた選手でしたが、ある高校に特待生として入学した頃、大きな挫折がおとずれました。全国から集まった野球の英才は体も大きく、打っても投げても全く自分の力が通用しない事を実感しました。そこで、今の自分の強みは何かを冷静に考えました。自己分析の結果、「自分には努力を重ねるという才能がある」という答えが導き出されました。たとえ、一流の強みはなくても、複数の準一流を磨いて総合力を上げるという結論が達しました。その後、メキメキと上達し、甲子園で優勝。さらに、プロの世界でも大活躍しました。

【自社の強み発見シート】
① お客様が買ってくださる理由は何か
② ①の理由の中に我が社の長所と思えるものはないか(商品力、サービス力、技術力、販売力、価格力、顧客対応力等)
③ ②の中で改善すれば、もっと喜んでもらえるものはないか
④ ①~③を参考に、自社の総合力として積み上げられないか  等、書き出してみましょう。


税務について

平成28年分の法定調書からマイナンバーの記載が必要です

平成28年分の法定調書(支払調書や源泉徴収票など)と市区町村へ提出する給与支払報告書は、1月31日(火)までに作成・提出しなければなりません。また今回の提出より、マイナンバーの記載が必要となります。

給与支払いに関係する支払調書は、「給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)」と「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」があります。これらの平成28年分の法定調書についてのマイナンバーに関する注意点は以下のとおりです。

① 源泉徴収票等へのマイナンバー記載には猶予期間はない
マイナンバー等の記載が3年間猶予されている法定調書として、「配当、剰余金の分配、金銭の分配及び基金利息の支払調書」などがあります。しかし、「給与所得の源泉徴収票」や「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」などについては、平成28年分からマイナンバーの記載が必要です。

② 給与支払報告書は平成28年分からマイナンバーを記載しなければならない
平成28年中に給与等を支給したすべての受給者の平成29年1月1日に居住する市区町村へマイナンバーが記載された給与支払報告書を提出します。

③ 中途退職者の源泉徴収票にもマイナンバーの記載が必要となる
平成28年の中途で退職した人についても平成29年1月31日までに給与支払報告書を提出することになります。ただし、支払金額が30万円以下の場合は提出を省略することができます。また、中途退職の従業員の源泉徴収票についてもマイナンバー等の記載が必要になります。特に短期雇用で、すでに退職したパート・アルバイトからの取得漏れには注意してください。 

④ 受給者に交付する源泉徴収票へのマイナンバーの記載は不要となる
受給者本人に交付する給与所得の源泉徴収票にはマイナンバー等は記載しないので注意してください。

主に「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」や「不動産の使用料等の支払調書」などの平成28年分の法定調書のマイナンバー記載の注意点は以下のとおりです。

① 外部の報酬や不動産の使用料等は、支払先からマイナンバー等の提供を受ける
例えば、セミナーの講演料を支払ったり、個人に家賃を支払ったりした場合、支払先からマイナンバーの提供を求め、その利用目的を伝えなければなりません。

② マイナンバー等の提供を受ける際は本人確認が必要です
本人確認として、「番号確認」と「身元確認」を行います。原則的には以下のような書類で行います。

(1)マイナンバーカードの提示による確認
※番号確認と身元確認ができます。

(2)通知カード+運転免許証、健康保険の被保険者証などの提示による確認
※通知カードで番号確認し、運転免許証などで身元確認をします。写真表示のない身分証明書等の身元確認は、2種類以上の身分証明書等が必要です。

報酬等の支払先からマイナンバーの提供を拒否されてしまった場合、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であると説明し、それでも提供を受けられなかった時には、提供を求めた経緯などを社内に記録・保存するなどして経緯を明確にしておく必要があります。主に、マイナンバーの提供を求めた日、法律上の義務であると伝えた日、説明した人、拒否された日、拒否した人などです。


会計について

決算の基本について学んでいきましょう

実地たな卸や残高証明書はなぜ必要なのか?
 まず、会社の財政状態をしっかり把握して経営に役立てるため、貸借対照表を作成します。正確な会計帳簿を作成する為、帳簿に計上されている資産や負債は実在しているか、金額は正しいか、を確認し確定する決算手続きが重要です。

流動資産(負債)と固定資産(負債)はどう分類するか?
 分類には1年基準が適用され、期首から1年以内に現金化される、または1年以内に支払期限が到来する資産・負債は流動資産・流動負債となり、1年を超えるものは固定資産・固定負債に分類する基準です。
※営業活動から生じる資産と負債は、保有期間の長短にかかわらず、すべて流動資産と流動負債にする営業循環基準を適用します。

前払費用などを貸借対照表に計上する意味は?
 前払費用は必ずしも換価できる財産とは言えません。貸借対照表には財産の表示以外に、もう1つ役割があります。それは会計期間と会計期間をつなぐ橋渡し機能の2つがあるのです。決算において前払費用や未払費用などは、適正な期間損益計算を行うにあたって翌期以降の収益や費用とするために貸借対照表に計上されます。