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更新日 2023-02-02 | 作成日 2021-01-13

12月の特集

消費税率10%に伴う賃貸借・請負契約等の注意点
 平成3110月から、消費税率10%へ引上げが予定されています。賃貸借、リース、請負などについては、331日までの契約であれば、施行日の101日以後の引渡し等であっても、8%の税率が適用される経過措置があります。

●事務所の賃貸借やリースは契約日に注意が必要です
131331日までの契約
事務所や店舗、倉庫、工場の賃貸借契約やリース契約などの資産の貸付けに係る一定の契約については、平成31331日までに契約し、930日までに貸付けを開始した場合には、101日の税率10%への引上げ以後であっても8%の税率が適用される経過措置があります。

(2)31年4月1日以後の契約
31年4月1日以後に契約し、9月30日までに貸付けを開始した場合は、9月30日までは8%の税率が適用されますが、10月1日以後は10%の税率が適用されます。

●自動更新は更新日に注意して下さい
家賃やリースの契約が自動更新の場合は、契約更新日に注意が必要です。313月31日までに契約が自動更新された場合は経過措置の対象となり、次の更新日まで8%の税率が適用されます。4月1日以後~9月30日までに自動更新された場合は経過措置の適用対象外となり、9月30日までは8%、10月1日以後は10%の税率が適用されます。

●工事や製造などの請負は契約日と引渡し日に注意です
建築工事などの請負契約による代金の消費税率は、31101日以後に引渡した場合は、原則として引渡し時の税率10%が適用されます。
経過措置として請負契約が331日までに行われた場合は、101日以後の引渡しであっても8%の税率が適用されます。

【対象となる請負契約の範囲】
・建築請負契約(住宅のリフォーム、修繕、改修工事)
・製造請負契約
・測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画
・ソフトウェアの開発
・その他(運送、印刷、広告、事務処理、市場調査)  など

● 追加工事などで金額が増加したとき
31331日までに請負契約をむすんだ場合でも、41日以後に工事などが追加されると、当初の契約金額を超えた分の金額については、10%の税率が適用されます。

●経過措置の適用を受けた事業者は、契約の相手に対し「消費税法経過措置の適用により消費税率が8%」である旨、契約書等に一文を加えておきましょう。

年末調整事務の注意点について

~配偶者控除等申告書の様式変更~

配偶者控除および配偶者特別控除の見直しによって、申告書の様式が変更され記載事項が変わるため、提出された申告書に記載もれや不備がないかよく確認しましょう

今年の年末調整の注意点
(1)様式変更により従来の「配偶者特別控除申告書」は廃止され、「配偶者控除等申告書」となり、記載事項についても配偶者控除等の控除額を求めることができるようになりました。「保険料控除申告書」の記載項目は特に変更なく、従来どおり保険等の種類、保険金等の受取人、支払った保険料の金額に注意しましょう。

(2) 納税者本人に、配偶者がいる場合の所得税の優遇として、配偶者の年収(所得)に応じて配偶者控除と配偶者特別控除があります。従来ならば、配偶者特別控除を受ける場合のみ配偶者特別控除申告書の提出が必要でしたが、今年からはどちらかを受ける場合は「配偶者控除等申告書」の提出が必要となるため、配偶者控除と保険料控除を受ける場合「扶養控除等(異動)申告書」と合わせると3枚になります。経理担当者は配偶者がいる従業員の「配偶者控除等申告書」の提出もれに注意しましょう。

(3)「配偶者控除等申告書」には、夫と妻の本年中(平成30年中)の所得の見積額の記載とともに、夫婦それぞれの所得の区分を判定し、自身が適用を受ける配偶者控除または配偶者特別控除の額を記載します。具体的には、給与所得の金額の計算方法をもとに、所得金額を計算し、申告書表面の判定欄に当てはめて記載します。

●扶養控除等(異動)申告書の確認による注意点
(1)「源泉控除対象配偶者」欄
記載される配偶者は、納税者本人と生計を一にする配偶者でその年中の所得の見込額が、納税者本人が900万円以下、配偶者が85万円以下の人になります。

(2)「控除対象扶養親族」欄

イ、特定扶養親族の対象者がいる場合
控除対象扶養親族欄には、16歳以上の扶養親族が記載され、そのうち19歳以上23歳未満の人についてはチェック(✓)を確認します。16歳未満の扶養親族については、申告書の最下欄にある「住民税に関する事項」欄の記載を確認します。

ロ、老人扶養親族の「同居老親等」の記載
老人扶養親族(満70歳以上)に該当する人がいる場合は、「同居老親等」または「その他」にチェック(✓)の有無を確認します。本人または配偶者の直系尊属(父母や祖父母など)で同居している人は「同居老親等」(控除額58万円)になります。それ以外の例えば、老人ホーム等に入居している場合は「その他」(控除額48万円)になります。

(3)「所得の見積額」欄
所得の見積額は、年初に見積もった所得額が記載されています。妻や子供のパート、アルバイトの所得の確定額では控除の対象からはずれてしまう可能性があります。この場合、税務署から源泉所得税の不足分の確認があり、不足分を納めることになりますので注意しましょう。

●配偶者控除等の控除枠拡大と所得制限について
例えば、夫婦共働きで妻がパート収入のみで年103万円(所得38万円)以下ですと、夫は配偶者控除(最高で38万円)を受けられ、妻も所得税が課税されません。妻の収入が年103万円を超えると、夫は配偶者控除を受けられなくなりますが、配偶者特別控除が受けられます。

●配偶者控除と配偶者特別控除について税制改正が行われ、控除額の拡大と所得制限が設けられました。

【配偶者控除】
所得制限によって、納税者本人(夫)の年収が1,120万円を超えると控除額が縮小し、1,220万円を超えてしまうと適用が受けられなくなりました。

【配偶者特別控除】
納税者の年収が1,120万円を超えると控除額が縮小されますが、妻の年収が150万円までは最高38万円の控除が受けられるとともに、さらに年収201万6千円未満まで控除枠が拡大されました。

●妻が夫の配偶者控除や自身の所得税の非課税範囲内の年収103万円を超えないように調整して働くことから「103万円の壁」といいますが、年収の壁には他にもいくつかあります。

100万円の壁>
妻の収入に住民税が課税される(自治体によっては、97万円または93万円から課税対象になるところがあります。
 
103万円の壁>
妻の収入に所得税が課税されます。

130万円の壁>
妻が社会保険に加入し、自分で保険料を支払う必要があります(一部は106万円の場合がある)。

150万円の壁>
150万円を超えると配偶者控除等の控除額(最高38万円)が減額されます。


11月の特集

自社株式の現状を確認してみましょう

 事業承継を進める前に、後継者の株式保有割合が今後の経営に影響を及ぼすことから、自社株式の現状を確認し、名義株が存在しているなど問題があれば、経営者が現役のうちに整理しておきましょう。

●国が中小企業の事業承継支援を推進している中、後継者を誰にするか、自社株式をどのように移転させるかなどを思案する経営者もいるでしょう。オーナー企業は、事業承継に取り組む前に株主名簿や法人税申告書の同族会社の判定に関する明細書などから、株主を確認してみましょう。

●経営者以外が自社株式の一部を保有しているなど、株式が分散していないか
① 事業に関係していない親族が保有
② 創業当初の従業員などが保有
③ 経営者の知人・友人が保有

●「名義株」とは、平成2年の商法改正以前は、株式会社を設立するには、7人以上の発起人が必要だったため、創業者が100%出資していたとしても、家族や親戚、友人や従業員に名前を借りて株主として登録されている株式のことです。

●名義株の存在の問題点は、相続税において財産の名義にかかわらず、実質的な所有者に課税されるため、経営者の相続財産とみなされてしまいます。また、自社株式の名義人から株主としての権利を主張され、配当金の支払いや株式の買取りを請求される可能性もあります。

●後継者へ引き継ぎを考えているなら、早めに名義株を整理しましょう。株主名簿で確認したり、名義株などの株主が確定できない場合には、設立時の発起人や相続時の相続財産の記録、配当金の支払いなど参考になるような資料をもとに調べます。

●事業承継の前に、自社株式を確認し名義株などきちんと整理しましょう。株式の譲渡には、相続税・贈与税・所得税などの課税問題が発生するため自社株式の評価も含め、会計事務所等に相談するとよいでしょう。

修繕費か資本的支出なのか?

機械の修理や社屋や店舗のメンテナンス、ソフトウェアのバージョンアップなど、事業の
ために使用している減価償却資産を修理等に支出した費用の扱いを確認しておきましょう。

●機械や建物の修理等に支出した費用は固定資産の取得にあたるのか、修繕費として経費処理できるか、資本的支出として資産計上すべきかは判断に迷うところです。修繕費であれば、その事業年度の費用として計上され、資産の取得や資本的支出であれば、法定耐用年数にわたって減価償却費として費用計上します。

(1)取得…建物の増築など量的な増加をもたらす支出は「取得」となり、原則として取得価額10万円以上であれば、固定資産になります。

(2)修繕費…建物の外壁塗装、壁紙の張替工事、機械のメンテナンス、壊れた車両の修理等の内容が通常の維持管理・原状回復であれば、その費用の金額にかかわらず修繕費として経費にできます。

(3)資本的支出…修理等の内容が、新たな機能の付加や耐久性の強化により法定耐用年数がのびるなどその資産の価値を高めるものであれば資本的支出として固定資産に計上しなければなりません。

【修繕費と資本的支出の判定フロー】

上半期終了時の業績比較のポイント

 期末決算の折り返し点にあたり、下半期の経営活動を見直す意味でも重要です。半期の実績数値をもとに業績比較を行い、その要因を考えましょう。

●まずは、損益計算書の前年同期を比較し、売上や利益の増減とその要因を考え、さらに、損益計算書に計上された利益が貸借対照表において資産や負債などの勘定科目が増減しているかを確認し、その要因は何かを考えましょう。

●損益計算書の科目ごとに増減の内容を点検する

(1)売上の前年同期比較を行い、売上減少していれば得意先・製品別、担当者別にその要因を調べます。例えば、得意先が業績不振であった、低価格や性能・品質が向上した他者・海外製品が登場した、営業担当があまり訪問しない、値引きや値下げが増えたなど、具体的に調べることで、下半期に必要な対策を検討します。

(2)売上が増加していても、売上総利益や営業利益が減少している場合は、仕入や製品製造原価、外注加工費、接待交際費などの販売費および一般管理費の増減を確認します。仕入や製品製造原価の増加は仕入単価や外注単価の上昇など具体的な要因を調べます。販管費は接待交際費や広告費の増加に注意し、本当に必要な支出なのかをよく考えて、削減できるものは削減していきましょう。

(3)前期に比べ、売上総利益が低下している場合、在庫の数量が増加しているにもかかわらず、月末棚卸高に正しく計上されていない場合があります。在庫の数量が増えている場合、計画的に仕入れたものなのか、滞留在庫なのか、適正な在庫管理が徹底されているか再確認してみましょう。

●利益は貸借対照表のどこに反映されているのか

(1)利益の増加が現金預金に反映されていないのであれば、売掛金や棚卸資産が増加したのか、現金が固定資産の購入や借入金の返済に充てられたのかを確認します。損失が出ている場合には、どのように資金調達が行われたのか、短期借入金や支払手形の増加を確認します。

(2) 売上が伸びているときは、売掛金も増加しがちですので債権回収のサイクルを確認して下半期の資金調達について検討し、滞留売掛金を不良債権化させないためにも早めの対策が必要です。

(3) 積極的な設備投資や売上拡大を見込んでの在庫の増加などによって資金が不足するケースと、業績不振に伴って当期の損失部分を原因とする消極的な要因によって資金が不足するケースが考えられます。いずれにしても、経営改善計画をしっかり立てて抜本的な業務の見直しを行うとともに、必要であれば金融機関の協力を要請しましょう。

●事業年度の上半期を終えた時点の経営状況をもとに、納税額や資金繰りの見通しを立て、下半期に向けて経営上の問題点や改善点に対して適切な対策を検討し、実行することが必要です。


10月の特集

相続時の配偶者の権利が大幅に拡大されます!

40年ぶりとなる民法(相続法)の改正が成立しました(平成30713日公布)。改正では、高齢化の進展によって、相続開始時における配偶者の老後生活において経済的な安定に配慮し、その権利が拡大されることになります。

●これまでは、夫が所有する住居に夫婦で住んでいた場合、夫の死後は遺産分割によって、残された妻が自宅に住めなくなってしまう例がたびたびありました。改正では配偶者が自宅に住み続けることができるようになります(平成30年7月13日公布から2年以内に施行)。

●自宅を妻以外の者が相続する場合や、相続財産が自宅しかないために自宅を売って、その代金を相続人で分けるなど、このような事態を解消するため、相続開始時に夫婦で住んでいた夫所有の住居に終身または一定期間、妻が住み続けることができる「配偶者居住権」と「配偶者短期居住権」が創設されます。

■「配偶者居住権」とは

 遺産分割等の際、居住していた夫(被相続人)の所有建物を配偶者の取得した相続財産として評価されます。居住用不動産(土地・建物)が、配偶者居住権と負担付所有権に分離されるため、配偶者が自宅以外の財産を取得しやすくなります。

■「配偶者短期居住権」とは
 配偶者が、相続開始時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合、遺産分割が終了するまでの間、または相続開始時から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの間、引き続き無償でその建物を使用することができます。

●夫婦間の自宅の贈与等を保護する制度が創設されます。婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、夫が所有する住居を妻へ遺贈・贈与した場合、原則として遺産の先渡しを受けたものとして取り扱われるために、遺産分割の際に妻の取得財産が減り老後の生活保証が困難となるケースが多々ありました。改正により、遺産分割の際に遺産の先渡しを受けたという取り扱いがなくなり、妻は自宅以外の財産を取得しやすくなりました。

被災したとき・被災地を支援したときの税制上の支援

 近年、地震などの自然災害が増えています。会社や個人が被災した場合の復旧費用や、取引先の復旧支援や被災地への援助にかかった費用については、税制上の特例によって損金算入などが認められます。

●法人が被災したとき
(1)被災した商品、店舗、工事等の資産(たな卸資産、固定資産)の損害額は損金になります。被害を受けた店舗・事務所など建物の取り壊しや撤去のための費用も損金にすることができます。

(2)建物や機械などの復旧費用については、現状を回復するための費用や、二次災害を防ぐための補強工事、会社が借りている土地や機械装置等が被災したため、修理義務はないが復旧のために会社が補修した場合の費用などは修繕費として損金にすることができます。

(3)自然災害が都道府県の全部または一部の地域にわたり広範囲にわたった場合、国税庁長官が地域および期日を指定して、申告・納付等の期限の延長が行われます(申請手続きは不要)。

個人が被災したとき
(1)サラリーマンなど個人が、住宅や家財等の被災によって損害を受けた場合、
所得税の軽減をはかることができます。

■ 所得税法の雑損控除
 住宅・家財等の被害額の一部を雑損控除として所得金額から控除することができます。控除できる金額は下記の2つのうち金額が多いほうになります。
・差引損失額-総所得金額等×10
・差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円
    
■ 災害減免法による所得税の軽減免除
 住宅・家財の1/2以上が被害を受けたとき、その年の合計所得金額が1,000万円以下であれば、所得金額に応じて所得税の軽減または免除が受けられます。

(2)災害が「特定非常災害」に指定された場合、相続税・贈与税の申告において特定土地等および特定株式等の評価額を特定非常災害発生直後の価格とすることができます。

(3)その他の特例として、住宅ローン減税の適用の特例や財形住宅・年金貯蓄の非課税措置の特例、住宅取得等資金の贈与税の特例措置に係る贈与税の特例
があります。

●法人が被災地や被災した取引先等を支援するためにかかった費用は税務上、損金にすることができます。例えば、被災して通常営業が出来なくなった取引先に贈った災害見舞金は、全額が損金になり消費税においては不課税取引となります。

●衣料品や食品メーカーが自社製品を救援物資として被災地へ贈った場合も全額を損金にすることができます。なお、無償での提供は消費税が非課税取引になります。

●個人で被災地に寄附した義援金は、被災された方の生活支援や再建のために直接お金が届けられるものですが、被災した自治体が行う復興対策に活用してもらいたい場合は、その自治体へ直接寄附するか、ふるさと納税を活用する方法があります。

●税務申告のために、寄附先の自治体等の受領書や募金団体の預かり証、銀行等の振込票の控などはきちんと保存しておきましょう。

残業について最低限のルールを確認しておきましょう

 平成306月に、労働基準法の改正をはじめとする「働き方改革関連法」が成立しました。改正として長時間労働の是正により残業について経営者が守らなければならないものなど、改正法の施行を前に知っておくべきことを再確認しておきましょう。

●労働基準法では、法定労働時間を「1日8時間・1週40時間」と定めていますが、多くの企業において残業を必要としているのが実情です。そのため、労働基準法第36条において、会社と従業員の間で時間外労働に関する協定「(通称)36協定」を結び、労働基準監督署へ届けることで、法定労働時間を超える残業と法定休日における休日労働を可能としています。しかし、この36協定の届出を提出せずに、残業をさせているケースが多いのが現状です。もし、届出をしていなければ、速やかに対処しましょう。


●業務の都合によって、臨時的に定められた限度時間を超えて残業させなければならない時には、「特別条項付きの36協定」を結ぶことで限度時間を超えて残業をさせることが認められています。

■臨時的と認められる例
・決算や予算策定業務
・ボーナス商戦等に伴う業務の繁忙
・納期のひっ迫
・クレームへの対応
・機械トラブルへの対応

■臨時的と認められない例
 ・使用者が必要と認めるとき
 ・業務の都合上必要な時
 ・業務上やむを得ないとき
 ・業務繁忙のとき、  など

●改正労働基準法では、36協定の締結によって、「18時間・140時間」の原則を超えて残業が可能となる時間の上限を、原則として「月45時間・年360時間」と法制化しました(中小企業は20204月施行)。

●「特別条項付きの36協定」を結んだ場合でも、上限が年720時間までとされ、下記の要件を満たす必要があります。

①複数月(2か月、3か月、4か月、5か月、6か月)の平均で、いずれにおいても80時間以内(休日労働を含む)である。

②1か月において月100時間未満(休日労働を含む)である。

③月45時間を超えることができるのは年6回を上限とする。

●改正法の施行を前に、以下の点を含め自社の36協定の内容を従業員と再確認し、正しく届出をしましょう。

①時間外または休日に労働させる必要のある具体的事由(臨時の受注、納期変更など)

②業務の種類(検査、機械組み立て)

③労働者数(パートタイマー等を含む)

④所定労働時間     ⑤特別条項  など


9月の特集

経営者マインドを維持するために経営計画を作成してみましょう

 経営計画とは、自社の経営方針を具体化し進むべき方向性を明らかにするものであり、たとえ計画通りにならなかったとしても、またそこから次の行動に生かせば良いのです。

●経営計画とは、企業が未来に向かってのビジョンや目標を達成するために作成するものです。経営には不安がつきものですが、最近、売れ行きが悪くなったとか前年同月などの過去のデータや同業他社と比較をしてしまうなど、常に先行きについての不安は尽きません。そこで、確たる目標(経営計画)があればそこへ向かって事業に取り組む意欲が湧いてくるのです。

●例えば、3年後ぐらいになりたい姿や実現したい目標を掲げてみるなど、思いを計画に表してみるだけで良いのです。具体的には、3年後には売上を今の2倍にする、5年後には事業の拡大や新事業展開を果たすなど経営者の方針を具現化し、自社の方向性を明らかにして社員と目的の共有化をはかり、その実現に向けて活動するために必要なものです。

●計画が思うように行かなかった場合、その原因を分析することも大事ですが、そこに時間をかけすぎるのではなく、今後の行動をどうするのかを考えます。経営計画は一つでなければいけないということはありません。例えば、経営改善など会社が生き残るために確保すべき利益を上げる計画もあります。金融機関に対して自社の将来性をディスクローズし融資などの支援を受ける信頼性を高めるために必要な計画です。

●正しい経営判断・業績との比較のためには、やはり正しい数値に基づいて策定されていなければなりません。日々の記帳と正しい月次決算データこそが、経営計画策定の基礎となります。


デジタル・ファーストで税務はどう変わるのか?
 国が進めるデジタル・ファーストとは、行政手続きを原則としてデジタルで完結させ、税務行政においてもデジタル化に向けた税制改正や仕組みづくりが進められております。

●国税庁は税務行政の将来像として、「納税者の利便性の向上(スムーズ・スピーディ)」と「課税・徴収の効率化・高度化(インテリジェント)」を柱に、情報システムの高度化、外部機関の協力を前提にデジタル化を進めるとしています。

●税法では、仕訳帳・元帳などの国税関係帳簿書類は紙での保存が原則です。入力したデータを紙に出力して初めて税法上の帳簿書類になりますが、電子帳簿保存法に基づき、所轄税務署長への申請・承認によって電子帳簿(電子データ)での保存が可能になっています。

●税制では、電子帳簿や電子申告を行えば、個人事業者の青色申告特別控除の控除額を10万円優遇するなど、デジタル化を後押ししています。また、帳簿だけでなく書類についてもデジタル化が進みそうです。取引先から受け取った請求書や自社で作成した請求書などの写しをスキャナやスマートフォンによって電子データにして保存することが認められています。

●年末調整事務では、従業員の生命保険料、地震保険料、住宅ローン控除の申告書の提出が必要ですが、これらも2020年10月1日以後に提出する保険料控除等申告書から手続きがデジタル化の導入予定です。よって従業員は控除証明書を電子データで受取り、オンラインによって正確に勤務先へ提出できるようになります。企業にとっても、控除証明関係の書類を確認・保管する事務負担の軽減になります。

●平成30年度税制改正では、大企業の電子申告等が義務化されたほか、サラリーマンなど一般の利用者が多い医療費控除やふるさと納税等の還付申告を対象にスマートフォン、タブレットでの申告が可能になります。

期中の役員給与を減額せざるを得ないときの注意とは!

 事業年度開始から3か月以内に決定した役員給与を期中に減額すると、原則としてその一部、または全部が損金算入を認められません。しかし、著しく業績不振等から役員給与を減額せざるを得なくなった場合、要件を満たせば減額が認められます

●税務上の役員給与には定期的に支給する「定期同額給与」と夏・年末や決算月の賞与などの臨時的な給与で、あらかじめ税務署に支給時期と支給額を届け出た「事前確定届出給与」があります。

●期中に役員給与を減額して支給した場合、「定期同額給与」においては減額された金額が当初から支給されていたとみなされ、差額分は損金の額には算入されません。また、「事前確定届出給与」を減額した場合は、支給額の全額が損金の額に算入されません。

●定時株主総会等で役員給与を決定する際には、予測できなかった事由が発生したことによって役員給与を減額改定せざるを得ない場合は、減額前と減額後の役員給与について損金算入が認められます。

(1) 役員の職制上の地位や職務内容に重大な変更があった場合(臨時改定事由)
例えば、常勤から非常勤、社長、専務、常務など地位の変更、不祥事に
よる役員給与の減額、役員の入院加療等など。

(2) 経営の状況が著しく悪化した場合(業績悪化改定事由)
主要な販路の喪失や取引先の倒産、経営状況の著しい悪化から経営改善計画により、リストラを行わざるを得ない状況での減額など。

●上記のような場合でも認められるということではなく、本当にやむを得ない事情が存在するのかどうかが判断されることになるので、減額に至った経緯を説明できる資料や手続きに関する書類等(株主総会議事録、経営改善計画書など)を作成し、保存しておくことが必要です。

●役員の職位の変更・入院加療・経営状況の著しい悪化等の場合に、役員給与の額をそのままにしていくことは、減額しないことによる税務リスクが生じることもあります。そのため、会計事務所ともよく相談して経営改善計画の策定など迅速に進め、税務上の問題が生じないようにしておく必要もあります。


8月の特集

特例事業承継税制の適用について

 特例事業承継税制は、自社の非上場株式を先代経営者から後継者へ承継することによる相続税・贈与税が実質はなしとなる制度です。しかし、「先代経営者」「後継者」「会社」に一定の要件があり、現状で要件を満たしていない場合は、早めの対策が必要です。

特例税制を適用できる会社の要件

<先代経営者>
①会社の代表者であったこと
②被相続人と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有
③同族関係者の中で筆頭株主であったこと
④平成391231日までに株式を後継者に一括して贈与する

<特例経営承継受贈者(贈与)>
①会社の代表者であること
②20歳以上であり、かつ役員就任後3年を経過していること
③同族関係者と合わせて発行済議決権株式総数の過半数を保有し、その同族関係者の中に保有株式数の上位者がいないこと
④贈与の時から認定申請日まで引き続き、贈与により取得した会社の株式のすべてを保有していること

<特例経営承継相続人等(相続)>
①先代経営者の死亡の直前において役員であったこと
②相続開始の日の翌日から5か月を経過する日において代表権を有していること
③相続等により財産を取得した代表者であり、同族関係者と合わせてその過半数を保有し、その同族関係者の中に保有株式数の上位者がいないこと
④相続開始の時から認定申請日まで引き続き、相続等により取得した会社の株式のすべてを保有していること

資産管理会社は原則として特例事業承継税制の適用ができません

・資産管理会社(一定要件を満たすものを除く)や医療法人、社会福祉法人、風俗営業会社なども適用対象外になります。

・資産管理会社とは…有価証券、自ら使用していない不動産、現金・預金等の特定資産の保有割合が総資産の総額の70%以上の会社を資産保有型会社といい、これらの特定の資産から運用収入が総収入金額の75%以上の会社を資産運用型会社といいます。

資産管理会社のうち、次の要件をすべて満たせば資産管理会社に該当しないものとみなされ事業承継税制の適用を受けることができます。

13年以上、商品販売・貸付け(同族関係者に対する貸付けを除く)等を行っている。
2)後継者・生計を一にする親族以外の常時使用従業員が5人以上である。
3)常時使用従業員が勤務している事務所、店舗等を所有または賃借している。


月次決算データを共有して経営に役立てましょう

 月次決算で会社の業績をいち早く把握し、経営者と社員、金融機関、会計事務所とデータの共有化をはかりましょう

月次決算データは、社員が売上、変動費、限界利益、固定費、経常利益など正しい数値から自社の現状を知ることで、営業活動を振り返り次の行動に生かすことができます。

 また、金融機関へ提出することによって、信頼性が高まり円滑な資金調達の可能性につながります。

経営者の中には、おおよその月次の損益は掴んでいるからという人もいますが、差異が大きければ誤った経営判断をすることになります。正しい経営判断をするには、やはり月次決算の基本である、毎日の記帳と現金の残高合わせ、証憑書類の整理保存、発生主義による売上、仕入の計上が必要となります。

月次決算の早期化には、毎月の売上と仕入の金額を早く確定させるために、取引先に請求書の早期発行を依頼したり、納品書ベースで売上、仕入を計上します。また、販売・購買システムの導入なども検討してみましょう。

業種にもよりますが、月次の損益や経営者の経営判断に影響するような金額の大きいものや重要性の高いものについては、月割や概算額を計上して発生額を平準化し、損益への影響を回避することもできます。

賞与も、年間の見積額を月割計上すれば賞与支給月に費用負担を避けることができます。また、労働保険料や固定資産税、損害保険料など年払いや特定月に支払う経費のうち、月次の損益に大きく影響するものについては月割で計上します。


後でトラブルにならないためにも就業規則を作成しましょう

 中小企業では、労働法規の理解が不十分で就業規則が未整備、または労働条件を明示していないなどの例があります

パートタイマー等を含む従業員が常時10人未満の会社には、就業規則を作成する義務はありません。そのため、後でトラブルになるケースが少なくありません。1人でも従業員を雇用する場合は、労働時間や賃金、退職についての最低限の事項を定めなければなりません。その際、労働条件について雇用契約書を交わすか、労働条件通知書を交付する必要があります。

就業規則がないばっかりに、不良社員への対応ができないという事がよくあります。労働条件や会社のルールを明確にしておけば、従業員のルール違反の対応や処分を行うことができます。

就業規則によって、労働条件や給与、退職金、有給休暇などが明確にされていれば、従業員は安心して働くことができ、定着率向上や人材採用にも良い結果が得られます。


7月の特集

特例事業承継税制の活用を!

 後継者への引き継ぎを支援するために、平成30年度税制改正では、「特例事業承継税制」が10年間の期間限定の措置として創設されました。

 先代経営者が後継者に非上場株式等を贈与・相続した場合に、その納税の猶予を受けることができる従来の事業承継税制でしたが、新たに創設された特例事業承継税制では、要件を大幅に見直し不便さの解消を図り、大変利用しやすくなっています。

 特に、対象株式が発行済議決権株式総数の3分の2から上限撤廃と、猶予対象の評価割合が贈与:100%、相続:80%だったのに対し、評価割合が100%になりました。後継者が取得する自社株式への贈与税・相続税の負担が実質ゼロになりました。

 納税猶予を受けるための手続き

①「承継計画」を策定します。平成3041日から平成35331日までの5年間に、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて承継計画を作成し、都道府県への提出が必要になります。

②平成3011日以降の相続及び贈与が対象で、平成391231日までに相続・贈与を行います。

③適用要件を満たしていることの認定を受ける為、相続・贈与後に都道府県に承継計画を添付して申請します。

<申請期限>

●贈与税の納税猶予:贈与翌年の115日まで
●相続税の納税猶予:相続開始日後8カ月以内

④認定書の写しとともに、贈与税又は相続税の申告書を税務署に提出します。

⑤申告後についても、5年間は毎年都道府県への報告と税務署への届出など所定の手続きが必要になります。


知らないではすまされない保証と相続の注意点

 中小企業経営者は、融資その他の取引で保証(連帯保証)を行っているケースがあります。そのため、保証の事実を家族が確認できるようにしておきましょう

保証と事業承継・相続の問題

(1)相続では、被相続人が残したプラスの財産だけでなく、マイナスの財産と保証(連帯保証)も残された家族つまり相続人が承継します。そのため、相続した財産だけでなく、相続人が築いた財産さえも失ったケースが少なからずあります。被相続人が残した保証債務は、相続人にとって非常にリスクがあるものだと経営者は忘れてはなりません。

(2)もちろん相続では事業の承継者だけでなく、遺産分割協議書で債務や保証を承継する相続人を決めても、法定相続人に基づいてマイナス財産の承継が優先されるので注意が必要です。事業承継しない相続人が保証債務を免れるには、次のような法手続があります。

●相続放棄 … 一切の遺産相続をせず、すべてを放棄する。相続を知ったときから3か月以内に行うこと。

●限定承認 … プラス財産とマイナス財産を調査し、プラス財産が上回る場合にその限度で相続する制度。

保証人ために、2020年4月施行の改正民法(債権法)では保証の制限や情報提供義務など保証人を保護する規定が新設されています。

(1)安易に保証人になることを防止するために、経営者ではない個人が、事業のための借入(主債務)の保証人になる場合は、その保証契約締結の日前1か月以内に作成された公正証書において、「自分は保証債務を履行する意思がある」と表示しなければ、その保証債務の効力は生じません。(保証の制限)

(2)主債務者が法人の場合で、借り入れる法人の理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる物が保証人になる場合には公正証書の作成は不要です(保証の制限なし)。中小企業では、家族、親族、友人が取締役になっていることが多くありますが、これらの場合も公正証書の作成は不要です。
  

下記の人も公正証書の作成は不要になります

イ、会社組織で総株主の議決権の過半数を持っている人

ロ、主債務者が個人の場合で、借主の共同事業者や借主の事業に現に従事している配偶者
※主債務者とは、仕事も財産も全く別である個人についてだけ、公正証書の作成が必要になります。

保証人が個人の場合の情報提供義務

(1)主債務者は、保証人になろうとする人に自己の財産や収支の状況を伝えなければなりません。

(2)主債務者が返済できなくなったとき、債権者は2か月以内に保証人に通知する必要があります。通知がないと、通知までに生じた遅延損害金を保証人に請求できません。

保証人から請求があったとき債務者は次の情報を提供しなければなりません

① 主債務の元本や利息等の不履行の有無
② 各債務の残額
③ 弁済期到来分の額 等


毎日の正しい記帳から信頼される決算書を作りましょう

 会社の業績をいち早くつかみ経営に生かすためには、やはり月次決算が不可欠です。日々の正しい記帳と現金管理、証憑書類の整理保存からはじめてみましょう。

取引の記録を残しましょう

 毎日のお金や取引の流れをありのままに仕訳し、会計帳簿を作成することは、会計の記録をしっかり残すという事です。その上で訂正記入があれば見え消しを行い、記載内容の履歴が確認できる帳簿こそが信頼できる決算書と言えます。

正しく計算された月次決算資料や決算書は的確な経理判断の基礎になります。適正な税務申告書を作成するため正しく収支・損益を計算しましょう。

現金は預金と異なり、通帳など入出金を証明するものがないため、日々行う記帳こそが入出金を証明するものになります。業務終了後に現金の残高合わせをすれば、経費の支払いもれや記帳もれ等が発見できるようになります。

記帳は、領収書や請求書、納品書などの証憑書類の記載内容をもとに行います。証憑書類を受け取ったら、まず記載内容に不備がないか確認します。次に取引発生順に番号を付けたりして証憑書類の内容をもとに記帳し、証憑書類はきちんと整理保存して必要な書類などが速やかに取り出せる状態にしておきましょう。

現金管理と証憑書類の整理保存が正しくできるようになれば、次は発生主義による記帳を行いましょう。発生主義とは、商品の出荷、納品、入庫など物が動いた時に出荷表あるいは納品書などをもとに計上する、すなわち記帳することです。これらが正しくできるようになれば、業績をいち早く把握し経営に生かす事ができます。


  

6月の特集

役員給与の決め方と税務上の注意

税務上、損金として認められる役員給与を改定できるのは、年に一度、事業年度開始から3カ月以内です。

役員給与の決め方

オーナー企業である中小企業の場合、経営者自身が自分の役員給与を決めることになります。決め方の基本としては、前年度の実績、当期の利益計画や業績の見込み等、経営の現状をしっかりと把握し、1年以内に返済する借入元本額を含めたキャッシュ・フローを確認した上で役員給与を検討しましょう。

損金算入が認められる役員給与

(1)定期同額給与
1カ月以下の一定期間ごとに同額で支給する給与です。役員ごとに給与の月額を定め、期首から3カ月以内に増額改定された定期給与の場合、改定前と改定後の支給額がそれぞれ同額であれば、定期同額給与とみなされます。

(2)事前確定届出給与
支給時期と支給額があらかじめ定められており、その内容に関する届出を所轄税務署長に提出し、届出どおり確実に支給します。注意しなければならないのは、届出た支給時期と支給額が実際に違うとなると、その事業年度 内の支給額が損金として認められなくなることです。

損金算入が認められない役員給与の改定

定期同額給与は、事業年度開始後3カ月以内の改定であっても期首に遡っての改定や、特別な事情のない期中改定などは支給額の一部が損金算入を認められません。
また、事前確定届出給与は、実際の支給時期と支給額が事前に届出た内容と完全に一致していなければ損金算入が認められないため、注意が必要です。

※株主総会や取締役会において役員給与を決定したら、その議事録や支給決定通知書など
の書類を必ず作成しましょう。議事録は、税務上の証拠資料だけではなく事業年度ごとに役員が意思をもって役員給与の額を決定したなど、とても重要な記録になります。 


経営者なら知っておくべき労働保険の基礎知識

労働保険(労災保険・雇用保険)の年度更新(61日~710日まで)の時期がきました。事業主は、パートタイマー、アルバイトを含む労働者を1人でも雇用すれば、業種・規模に関係なく労災保険の適用事業者となり、保険料を納付しなければなりません。

労災保険とは

正しくは、労働者災害補償保険といいます。業務中や通勤途中における従業員のけ
がや病気、障害、死亡などの労働災害に対して従業員やその家族に必要な保険給付を
行う制度です。

労災と事業主の責任

労災事故が発生した場合、労働者に対して労災保険による給付が行われることで、事業主は労働基準法上の補償責任を免れますが、労災によって休業する場合13日目の休業補償について労災保険からの給付が行われないため、平均賃金の60%を事業主が労働者に支払う必要があります。

通勤災害の判定基準

仕事中や通勤途中のけが等は、労災保険からの給付になるため従業員自身が労災
保険か健康保険のどちらかを選択して利用することはできません。通勤災害でよく問題になるのが、通勤途中にどこかに立ち寄った場合などです。労災が認められるのは原則として、住居と就業場所との往復で合理的な経路と方法による場合です。また、通勤とは関係のない目的のために合理的な経路を逸れた場合は通勤中と認められません。しかし、道路工事や日用品の購入、病院での診察等、例外となる行為も通勤中と認められ、労災の対象となります。

雇用保険とは

従業員が退職などで失業したときに、新たな勤務先が見つかるまでの一定期間、失業給付が受けられる制度です。雇用保険には事業主を対象にした雇用調整助成金やキャリアアップ助成金など多くあります。


土地・家屋の固定資産税の決め方

固定資産税を納める人は毎年1月1日現在の土地、家屋の所有者として、登記簿または
固定資産課税台帳に登録されている人です。

固定資産税の対象となる土地(田畑、宅地、牧場、山林など)、家屋(住家、店舗、工場など)の評価額は3年ごとに見直しが行われます。土地は、公示価格や都道府県地価調査価格、不動産鑑定士による評価を参考に評価額が決まります。

家屋の評価は、評価の対象となった家屋と全く同一のものを評価の時点において、その場所に新築することとした場合に必要とされる建築費に築年数に応じた損耗を考慮した減価率を乗じて評価するため、家屋が古くなっても建築費の上昇が減価率を上回ると評価額が上がることになります。ただし、評価替えによる評価額が評価前の評価額を上回る場合は、税負担を考慮して評価前の評価額が据え置かれるため、古い家屋の固定資産税が必ずしも評価替え年度ごとに下がることにはならないのです。

住宅用地には、専用住宅用地(家屋のすべてが居住用)と、併用住宅用地(家屋の一部が居住用)のふたつがあり、専用住宅の敷地の用に供されている土地で、その上に存在する家屋の総床面積の10倍までの土地と、併用住宅の敷地の用に供されている土地のうち、その面積に一定の率を乗じて得た面積までが特例措置の適用範囲になります。

土地や家屋の状況に変更があった場合、市区町村に固定資産税の住宅用地等申告書により申告する必要があります。登記簿の家屋の種類についても、店舗や事務所など事業の用途から、居宅に変更した場合には、種類変更の登記をしましょう。未申告や未登記のために、住宅用地の特例措置を受けていない例があります。

未登記の土地、家屋については市町村が調査を行い、所有者と判断した人に納税通知書を送付し、固定資産税を徴収しています。そのため、未登記にもかかわらず、納税通知書が届くため、登記してあるものと誤解している例があります。


    

5月の特集

中小企業経営を応援する補助金制度

補助金の申請は要件が厳しく、手続きが面倒など敬遠されていますが、以前と比べて手続きの簡略化が図られています。ぜひ、マッチする制度があれば、早めに申請しましょう。

補助金の申請から受給までの流れ

①情報収集 … 自身の事業が補助対象になるか、補助金の割合や上限額など事業に合った補助金を探します。

②申  請 … 募集要項・申請書は中小企業庁が開設する、支援ポータルサイト等からダウンロードし、必要事項等を記入し、申請書を事務局に提出します。

③採  択 … 申請した事業について審査が行われ、結果が通知されます。補助金の交付事業者に採択されれば、必要な経費等を交付申請書に記載して事務局に提出します。補助金は後払いとなります。

④事業の実施 … 交付された内容で事業を開始します。事業の途中で実施状況について事務局のチェックを受けます。交付時の計画を勝手に変更することはできません。補助金の対象となる経費については、領収書や証拠書類などはすべて保管しておきます。

⑤補助金の交付 … 実施した事業の内容やかかった経費を報告し、実施内容の確認を受け補助金を受けられる金額が確定し、補助金を受け取ることができます。

⑥証拠書類の保管 … 補助金の対象となった領収書や証拠書類は、補助事業終了後5年間は保管しておく必要があります。経済産業省所轄の補助金の多くには、この間に一定以上の収益が認められた場合は、補助金の額を上限として国に返還を求められる場合があります。

「IT導入補助金」とは
中小企業者等が、業務効率アップや新たな顧客獲得などを目指してITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する場合に、その費用が補助されます。

「事業承継補助金」とは

中小企業が事業承継をきっかけとして、経営革新や事業転換など新しい取り組みを行う場合に、設備投資・販路拡大・既存事業の廃止等に必要な経費の2/3が補助されます。


個人住民税の特別徴収について

個人住民税は、前年の所得に課税され当年6月から翌年5月までの間にその年の1月1日の住所地の市町村に納付します。会社では、従業員の毎月の給料から納付額を天引きして、翌月10日までに市町村に納めます。

「決定通知書」の見方について

~所得欄~
住民税は、前年の所得に対して課税されるため、平成30年度の決定通知書の「所得」欄には、平成29年の給与収入、給与所得の金額が記載されています。

~所得控除欄~
平成29年分の年末調整手続きの際に申告した所得控除がそのまま反映されます。生命保険料控除について、住民税で控除額の再計算をするため、支払った金額を源泉徴収票に記載する。

~税額欄(所得割額)~
所得に対して一律10%の税率(都道府県4%・市町村6%)が課税されます。

~税額欄(均等割額)~
現在の標準税率5,000円(都道府県:1,500円、市町村:3,500円)となっています。

~税額欄(税額控除額)
ふるさと納税を含む寄附金税額控除、調整控除、配当控除、住宅借入金特別(住宅ローン)控除など

~税額欄(特別徴収税額)~
所得割と均等割を合計したもので、これが住民税額(特別徴収税額)です。

~納付額~
毎月の納付額を同額にするため、割り切れない部分が初回の6月分に割り当てられ、6月分の納付額が高くなっています。
 

有給休暇について

有休は従業員が雇入れ日から6か月以上継続して勤務し、その間の出勤率が8割以上あれば、最低10日の日数を与えなければならないとされています。以後は、1年ごとに有休付与日数が増えていきます。

産休・育休・介護休業を取得した場合の有休の付与について

有休付与の要件である、全労働日の8割以上出勤した日数の算定にあたっては、以下の期間は出勤したものとして取扱います。
・産前産後の休業期間
・育児介護休業法に規定する育児休業や介護休業を取得した期間
・業務上のけがや病気で休んでいる期間

同じ時季に多くの従業員が休み、代替要員の配置が難しいなど事業の正常な運営が妨げられる場合は、時季の変更を求めることができます。ただし、日常的に業務が忙しいことや慢性的に人手が足りないというだけの理由では、時季変更権は行使できないと考えられます。

有休のうち、5日を超える分については、あらかじめ有休の取得日を割り振る「計画的付与制度」があります。

計画的付与制度とは

①一斉付与方式 … 全従業員に一斉に有休を与える。
②交替制付与方式 … 班・グループ別に交替で有休を与える。
③個人別付与方式 … 個人別に夏季、年末年始、ゴールデンウイークのほか、 
誕生日、結婚記念日など従業員の個人的な記念日などをあらかじめ指定して有休を与える。

※計画的付与制度の導入にあたっては、就業規則への規定と労使協定の締結が必要にな
ります。なお、労使協定は、労働基準監督署へ届け出る必要はありません


4月の特集

経営について

自社の特徴や概要をわかりやすく伝えるための「ビジネスモデル俯瞰図」の作成

 中小企業においても、金融機関等の外部の人に自社の概要や特徴を説明する機会が増えています。その場合に「ビジネスモデル俯瞰図」を作成すると相手に伝わりやすく、また、作成過程において自社の強みや課題が見えてきます。

 「ビジネスモデル俯瞰図」とは、自社の事業内容や商品・サービスの流れ、販売先や仕入先の割合などを図式にしたものです。様々な事業がある中で、自社がどのような事業内容でどのような仕入先や販売先と関わりがあるかを口頭や文章で説明しても、なかなか相手に伝わりません。そこで「ビジネスモデル俯瞰図」として図式化することで、自社の事業内容等を一目で相手に伝えることが出来ます。

ビジネスモデル俯瞰図の作成例


 図表1の例では、仕入先・販売先ごとの取引高、商品の流れ等が一目でわかります。
 また、ビジネスモデル俯瞰図の作成過程において、自社のビジネスの全体を俯瞰することにより現状の強みや課題が浮かび上がるため、今後の経営計画や改善策をたてやすくなるのもビジネスモデル俯瞰図作成のメリットです。


労務について

出産・育児による従業員の退職を防ぐ、働きやすい職場づくり

 従業員規模の小さい企業では、人材確保が難しい状況において、従業員の出産・育児による従業員の退職は痛手になります。
 出産・育児の法制度の整備が進んでいるこの機会に社内規定を整備しましょう。

 出産・育児に関する法制度は以下の通りです。

(1)産前・産後の休業についての法制度

①産前は6週間・産後は8週間の休業
 産前休業は出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から取得でき、産後休業は出産の翌日から8週間は就業することができない。
②育児休業(最長2年まで延長可能)
 原則は子どもが1歳の誕生日の前日までとなっていますが、一定の条件を満たせば子どもが1歳6か月に到達する日まで延長が可能です。また、平成29年10月の法改正により、一定の条件を満たせば子どもが2歳に到達する日まで延長が可能です。

(2)産前・産後、育児休業中の社会保険料の免除や給付

①社会保険料の免除
 産前・産後、育児休業中の社会保険料は、事業主の申出により全額免除されます。

②出産手当金の受給
 出産日以前42日から出産日翌日以降56日の期間中に給与の支払がない場合に、休業1日につき、標準報酬日額の2/3が支給されます。

③出産育児一時金の支給
 被保険者又は被扶養者が妊娠4か月(85日)以上で出産した場合に、一児につき42万円が支給されます。

④育児休業給付の支給
 雇用保険の被保険者で育児休業中、一定の要件を満たせば支給されます。

⑤標準報酬の養育特例
 養育期間中の標準報酬月額が、養育開始月の前月の標準報酬月額を下回る場合、従前の標準報酬月額に基づく年金額を受給できます。

⑥子の扶養加入
 出生した子を社会保険の扶養に入れることができます。


税務・労務について

新入社員の入社や従業員の扶養家族の異動に伴う税務・社会保険の手続

 4月は、新入社員が入社したり、従業員の扶養家族に入学・卒業・就職などの異動があり、税務や社会保険の手続きが多くなります。新入社員の入社や従業員の扶養家族に異動があった場合の手続きは以下の通りです。

(1)従業員の扶養家族に異動があった場合
 従業員の扶養家族に異動があった場合には、その都度「扶養控除等(異動)申告書等」を提出してもらいます。

(2)新入社員の入社
 新入社員の入社時に提出を受ける主な書類は以下の通りです。
①履歴書
②被扶養者の情報
③扶養控除等(異動)申告書(マイナンバーの取得)
④源泉徴収票
⑤雇用保険被保険者証(前職がある場合)
⑥年金手帳

 また、新入社員が入社すると社会保険・雇用保険の手続も必要になります。

イ)健康保険・厚生年金保険の手続
 入社日(資格取得日)から5日以内に、管轄の年金事務所(健康保険組合、厚生年金基金)に、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出します。被扶養者がいる場合は届出書類が異なります。

ロ)雇用保険の手続
 入社日(資格取得日)の属する月の翌月10日までに管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。


3月の特集

経営者保証のない融資の事、ご存知ですか?

 経営者の起業等や意欲を阻害する経営者の個人保証(経営者保証)を求めない融資拡大を目指して、一定の経営状況であれば経営者保証を求めない「経営者保証に関するガイドライン」が運用されています。

 借入のある中小企業経営者の多くは個人保証を提供しています。この個人保証ですが、新事業展開や設備投資、また事業継承を進める際、経営者の意欲を阻害することが問題になっていました。

 そこで、「経営者保証に関するガイドライン」を策定し、平成26年2月から運用されています。これに沿った融資は政府系金融機関(金融庁、全国銀行協会など)が先行し、民間金融機関にもひろがりつつあります。

 ガイドラインでは、一定の経営状況(会社と経営者の一体性の解消や財務基盤の強化、積極的な情報開示など)であれば金融機関は個人保証なしで融資を受けることや既存の保証契約の解除などを検討することになっています。

 そこで「一定の経営状況」とは?
(1)会社と経営者の資産・経理を明確にすることです。 経営者は公私の区別をつけ、会社と個人の資産が明確に分けられているかです。例えば、資金のやりとり(役員報酬、経営者への貸付け等)を適切な範囲とすることや、経営者の個人的な支出を会社の経費にしないことです。

(2)借金返済が可能と判断できることです。 経営改善に取り組み、債務の返済能力を向上させ信用力を強化します。業績が不安定でも、内部留保が確保されていることや、好業績が続いており借入金の返済が可能であることです。

(3)金融機関等へ適時適切な情報開示等をすることです。 信頼性のある決算書を作成し、必要に応じて税理士等の外部専門家による検証を受け、金融機関に年一回の決算書だけではなく、定期的に試算表や資金繰り表なども開示・説明をすることです。
会社と役員の資産・経理をしっかりと区分しましょう

 中小企業では、会社と役員との間で資金・不動産の貸し借りをしているケースがよくあります。役員の個人的な支出は税務では外部との取引と同様に明確に区分します。

 会社と役員との間での金銭や不動産の貸し借りについて税務調査では、役員の公私混同はないか、利息や家賃は適正か契約書等はあるのか、チェックされます。

 金銭の貸し借りについては、株主総会などの承認決議を得て議事録を残すとともに、「金銭消費貸借契約書」をかわしましょう。特に役員への貸し付けの場合、契約書において、借入金額、利息、返済条件などや利息額の参考書類等も保存します。

 住宅や事務所など不動産の貸し借りについては「不動産賃貸借契約書」や株主総会などの議事録を残すことはもちろん、その対価(家賃)についても注意しましょう。

 金融機関も融資するにあたり経営者のこんな所をみています!

(1)事業規模に比べて役員の経費が多くないか
(2)事業に関係のない資産(高級車や美術品等)が多くないか
(3)役員への仮払金や貸付金が多くないか

 など※役員の個人的な支出に充てるなら、借入金の返済や、内部留保とすることで会社の財務基 盤の強化に努めるべきだと金融機関は考えます。


 最後に、役員の公私混同は会社を弱体化させてしまう要因の一つです。社内全体のモラルの低下や、社内不正の招きやすい状況を作りだしてしまう恐れがあるのです。また、資金繰りが苦しい会社ほど役員の公私混同が多い傾向にあるのです。つまり、業績は悪くもないのに、役員の私的流用が資金繰りの悪化を招いてしまうのです。


日頃から、売掛金管理と回収を適切に行いましょう

(1)得意先との間で、請求の締め日や支払期日、送料をどちらの負担にするかなどの取り決めが共有できているのかを再確認しましょう。得意先の回収条件はすべて同じとは限りません。翌月末入金や翌々月末入金など回収条件が曖昧で得意先との間に認識のズレが生じてしまうと、回収遅れの原因となってしまします。

(2)売掛金はきちんと得意先別に管理し、未入金や一部しか入金されていない場合には、営業担当者に報告し、いつ、どのように回収するのかを報告してもらうようにしましょう。

(3)売上計上の誤りや請求書の発行など、自社の対応こそが回収の遅れの原因になっていることがあります。営業担当と経理担当が密に連絡をとれる体制を整え、返品・値引き等、すぐに修正が行えるようにしましょう。

(4)売掛金などの債権は時効があります。時効によって債権を消滅することを防ぐには「時効の中断」という方法をとります。時効前に改めて代金を請求し、得意先に債務を承認してもらいます。債務者が任意に債務を承認しない場合に、訴訟等の法的手続きが必要です。時効満了の直前で訴訟の提起が間に合わないときには、配達証明付きの内容証明郵便で支払いを請求すれば、配達された日から6か月間は時効が完成しません。

(5)通常の方法で回収が難しければ、専門家と相談し、支払督促や少額訴訟などの法的手続きも検討します。

 支払督促(申立人側の申立てのみに基づいて、簡易裁判所の書記官が相手方に支払いを命じる略式の手続きです)・書類審査のみで行われる簡易な手続き・証拠の提出や裁判所に出向く必要がない・通常の訴訟費用の半額

 少額訴訟(60万円以下の請求に限って利用できる制度です)・訴状の作成などの手続きが簡単で、弁護士に依頼する必要がない・費用が少額・原則として審理は1回(即日に判決)


2月の特集

成り行き経営をやめる!

「成り行き経営」で赤字を続けていけば、会社を維持・発展させることは困難です。

 現在、中小企業の約7割が赤字であると言われています。赤字経営が続いていても、「法人税を納めなくてすむ」や、「資産の含み益を前提に赤字であっても借入れが可能だった」ことから、黒字にする必要性を強く感じない経営者もいるようです。

 かつては経済が右肩上がりで、物価や不動産価格が上昇していた時代も、今の日本経済は低成長が続き、少子高齢化を迎えています。これからは、経営の黒字化を積み重ね、会社の経営基盤を安定させなければ、会社の存続自体が難しくなってしまいます。

 計画もなく赤字経営のままですと、次のような事態が予想されます ・資金不足になり、赤字を理由に金融機関から融資がうけられなくなる ・借入金返済や設備投資ができなくなる ・社員に満足な給料が出せず、人材確保が難しくなる   など

 では、成り行き経営から脱却するためにはどうしたらよいか。まずは、将来を予測し、どれだけの売上や利益が必要かを把握します。次に、それに基づいて経営計画を立てて、その実現に努力する「計画経営」の成果が黒字となり、それを積み重ねることで、自己資本の充実が図れるのです。

身の丈にあった借入れとは?

 運転資金の調達や借入金の返済額を考え、自社の身の丈にあった借入れをしましょう。

 資金不足が起きるのは、営業活動に必要な運転資金や設備資金の借入返済額のバランスがとれていないからです。例えば資金に余裕がなくなる要因には次のような場合が考えられます。

(1)売上が増加しているとき

 事業拡大や、季節変動に伴う売上の増加の際には、買掛金残高や在庫も増加しますが、一般的にはそれ以上に売掛金が増加するため、必要な運転資金が増加します。

(2)在庫が増加しているとき

 在庫が増えると資金化までのサイクルが長くなるため、その期間の資金が必要になります。在庫管理をおろそかにすると、在庫は増加傾向になるため注意が必要です。

(3)回収や支払い方法に変更があったとき

 得意先からの入金が遅くなったり、反対に仕入先への支払いが早くなったりすることで、支払いから入金までの期間が長くなります。この期間が長くなると、それだけ資金が必要になります。

※運転資金は、売上規模がほぼ一定であれば、常に一定額が確保されていなければなりません。また、売上拡大や在庫増加は、それだけ必要な運転資金も増加しますので、経営計画を作成する際には注意は必要です。

所得税の確定申告のもれに注意!

 会社員は、基本的には年末調整をすれば確定申告をする必要はありませんが、満期保険金の受取りや医療費控除などがある場合は、確定申告が必要になります。

一時所得の申告もれに注意です。例えば、自分が保険料を負担していた生命保険や損害保険について、満期保険金や一時金、解約返戻金を受け取ったときには、一時所得として、申告が必要な場合があります。

※保険の満期日の通知を受けたが、保険金の受取りがその翌年となる場合は、受取日ではなく満期日の属する年分の一時所得となるので申告時期に注意が必要です。

 ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」とは、確定申告が不要な会社員等がふるさと納税を行った場合、寄附した自治体ごとに申請書を提出すれば確定申告をしなくても寄附金控除を受けられる制度です。

 ワンストップ特例制度を申請していたにも関わらず、医療費控除を受けるために確定申告をする場合には、ワンストップ特例制度が自動的に無効となるため、ふるさと納税の寄附金控除の記載がなければ控除を受けることができなくなります。※確定申告において、寄附金控除をする際には、「寄附金受領証明書」が必要になります。

 医療費控除額の計算式

 医療費控除額=その年中に支払った医療費の総額-保険金等による補てん金額-10万円

※計算の際、次のような「保険金等による補てん金額」の控除もれが見受けられますので注意してください。

・高額療養費・高額介護療養費・生命・損害保険会社からの給付金・出産育児一時金  など

 最近は、会社員や主婦が外国為替証拠金取引(FX)で利益を上げている例も増えています。これらの利益から取引手数料等の必要経費を差し引いた残りが雑所得として扱われます。給与所得者は雑所得などの給与所得以外の所得が20万円以下であれば申告せずに済みますが、医療費控除などのために確定申告をする場合には、たとえ20万円以下であっても申告が必要です。

 寡婦控除・寡夫控除の申告もれ

 寡婦または寡夫とは、納税者本人が原則としてその年の12月31日時点で、夫または妻と死別した人、夫または妻の生死が不明な一定の人、離婚後、結婚していない人で、扶養親族がいるなど一定の条件を満たす人です。該当すれば27万円(特定の寡婦は35万円)の所得控除が受けられます。

 贈与税の申告も忘れずに

 1年間に本人が受けた贈与金額が合計で110万円を超えると、贈与税の申告が必要になります。例えば、祖父から100万円、父親から100万円の贈与を受けた場合には、合計で200万円の贈与を受けたことになり申告が必要になります。

1月の特集

崇高な理念が企業を育てます

 経営理念を仕事に活かし元気な企業にしていきましょう。

 経営理念は、会社の存在意義や大きな経営目標を示す道標です。多くの企業は自らの経営の基本的目標を示す経営理念を文章化しています。崇高な理念を掲げる事により、自分の仕事を通じて社会や人に貢献することに喜びを感じるものです。

 経営理念は社員の身近な存在でなければなりません。例えば、朝礼などで経営理念を唱えてみたり、年度方針であったり、個人の目標を掲げるなど、社内に浸透させ、経営に活かしていきましょう。

 経営理念は抽象的な表現が多いため、具体的に行動指針や行動目標を作ると、社員は行動しやすくなります。まずは“大きな声であいさつをしましょう。”などから、初めてみてはいかがでしょうか。

平成30年1月から配偶者控除等が見直されます

 配偶者控除等の改正は、納税者本人と配偶者それぞれの所得によって異なります。

 配偶者控除には、性別の規定はありませんが、仮に夫婦共働きで妻のパート収入が年103万円以下であれば、夫は最高38万円の配偶者控除を受けることができますが、改正によって夫に所得制限が設けられました。

 改正の大きなポイントは、納税者本人が最高38万円の控除を受ける配偶者の収入が年150万円以下にまで拡大されたことです。配偶者控除には「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の2種類があり、150万円以下に拡大されたのは配偶者特別控除のほうになります。

 配偶者の収入の所得税の課税に関しては、従来通り給与収入のみの場合、収入が年103万円を超えると他に所得控除がなければ所得税が課税されます。この点においては、150万円以下まで所得税が課税されないと誤解をされている場合が多いので注意して下さい。

 配偶者特別控除にも配偶者控除と同様の所得制限が設けられ、控除対象となる妻の収入が年201万円まで拡大されました。

 最高38万円の控除を適用できる妻の収入の上限が年150万円に引き上げられましたが、単純に世帯手取額が増えるとは限りません。例えば、社会保険には130万円の壁があり、妻自身が社会保険料を負担することになると妻の給与収入が増加しても一定額までは世帯の手取額が減少するという逆転現象が生じてしまいます。

 ここで、金額別に【年収の壁】についてまとめてみます

・100万円の壁……住民税
・103万円の壁……所得税
・106万円の壁……大企業の社会保険
・130万円の壁……社会保険
・150万円の壁……拡大した配偶者特別控除    など

業績の改善策について考えてみましょう

 赤字経営が続くと資金繰りの悪化を招き、金融機関や取引先からの信用も低下します。

 日本の中小企業で、赤字経営にもかかわらずやっていけるのは、金融機関から融資をうけられているか、社長の個人資産をつぎ込んでいるからではありませんか。赤字が続けば、金融機関も融資に応じてくれなくなり、やがて社長の個人資産も底をついてしまうでしょう。

 会社に支払能力がなくなると会社は潰れてしまいます。借入金の返済や事業資金は利益によって生み出されます。黒字化を図り、納税後の残りを内部留保して自己資金を蓄積しましょう。また、会社の経営基盤を安定させられるように業績改善に取り組みましょう。

 限界利益率は、売価を上げる事で改善されますが、売価を上げるのは難しいでしょう。

 例えば、無料になっているサービスの有料化や、値引き率を減らしてみたり、顧客の見直しなども検討してみたらいかがでしょう。

 商品・材料の仕入単価、外注加工費など、購入単価の引き下げや、単価の安いものへの切り替え、品質や機能の見直しなども検討します。また、価格・品質・納期の観点から、仕入先や仕入方法の見直しが必要かもしれません。

 固定費を削減するといっても、費用を削ったり、切りつめたりとなるとやがて無理が生じてきて長続きできません。そこで、大事に使う、無駄をやめるという事に社員全員で気持ちを切り替えて続けていけば、自然と使用料が減ってきたりします。

 売上アップについては、新たな販売ルートの開拓、新たな市場への進出、自社の商品・サービスについても、発想や視点を変えた開発など、自社の強みや特徴をもっと活かしたりすることで可能性も広がります。