HOME | 今月の税務・経営通信2020

更新日 2023-02-02 | 作成日 2021-01-13

12月の特集

今年(令和2年度)の年末調整はややこしい?!

まず、用意する資料が前年に比し多い。従業員から提出を受ける年末調整関係の申告書は以下の通りです。

① 基礎控除申告書 
② 配偶者控除等申告書  兼用様式
③ 所得金額調整控除申告書 
④ 扶養控除等(異動)申告書
⑤ 保険料控除申告書
⑥ 住宅借入金等特別控除申告書

<①②③について>

1枚の用紙ですが、従業員によっては①だけとか、①の他に②か③のいずれかという人もいたりでまちまちです。

改めて①について

原則として、全員(但し、給料収入が2,000万円以下の人等)に記入願います。年末調整の際、給料収入金額が定まらない時は、収入金額の見込額を求めます。

~ 手順として ~

(1)1~11月までの給与明細書の課税支給額(賞与を含む)を合計する
(2)毎月の課税支給額をベースに、12月の給料・賞与の支給額を見積り、(1)で計算した課税支給額の合計に12月の給料・賞与の見積りをし、(1)で計算された課税支給額の合計に加算します。

改めて②について

納税者が条件に合えば、配偶者控除及び配偶者特別控除が受けられます。但し、納税者の合計所得額が1,000万円以下の場合となっています。配偶者自身の合計所得金額が133万円(収入に直すと201万5,999円)を超えると、この2つの控除は使えません。

改めて③について

給料の収入金額が850万円を超える人で、以下の要件のいずれかに該当する人が記入します。

㋑納税者本人が特別障害者
㋺同一生計配偶者が特別障害者
㋩扶養親族が特別障害者
㋥扶養親族が23歳未満(平成10年1月2日以後生まれ)

尚、この用紙(申告書)の要件本欄の該当する項目へは、必ずチェック(✓)をつけ、氏名、マイナンバー、所得の見積りを記載してもらうようにしてください。

④について

年の途中で扶養者の増減があるやもしれません。フォローしてください。特に所得の見積り、扶養の異動等について確認を要します。

⑤について

生命保険料・地震保険料に対応しています。

⑥について

いわゆる住宅ローンは控除ですが、この申告書を提出する事で控除できます。以下の資料も添付資料となります。

(1)年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書(税務署長が発行)
(2)住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(金融機関等が発行)

年末調整の電子化に備えよう!

書面での生命保険料控除証明書に代わり、電子でデータを取り込む方法です。
手間や計算ミスがなくなると言われていますが、当初は慣れるためにかなりの時間は必要と思われます。

支援策編


コロナ禍はまだ続いています。主な助成金の申請期限は以下の通りです。

申請期限


令和3年1月15日まで
①家賃支援給付金
②持続化給付金

令和3年1月31日まで
①令和3年度固定資産税等の減免措置

適用期間


令和2年12月31日まで
①雇用調整助成金の特例
令和3年2月1日までに納期限の到来する国税等
①納税猶予の特例     
②社会保険料の納付猶予の特例

条件は令和2年2月以降の任意の期間の売上が前年比の20%以上減少している事

利子補給の申請もれのないように!

政府系金融機関による特別融資における実質無利子・無担保融資において、利子補給を受けるには令和3年12月31日までに申請が必要です。

業務の効率化をめざして!


コロナ禍後、経済は元に戻らず売上が減少したままの企業が続出しています。経済は以前の7割と言われています。

そんな中での経営は誠に厳しいものがあります。売上の減少があればコストの減少もなければやっていけないのは自明の理です。

全ての行動を洗い出し、不要な動き、不要な出費が必ずあるはずです。それらをカットし、スリム化する必要があります。

労働時間も5時間かかるものを4時間にするとか、リモートを使うとかなど、とにもかくにもスリム化をはかり、少しでも付加価値を出すよう努力が必要です。

経営も具体的には、固定費と変動費に分けコストカットのロスをなくすようにしましょう。店舗展開しているところは思い切って縮小もありです。

11月の特集

コロナ禍中で借りた借入金に対して

・今回のコロナ禍でコロナ禍対策用に緊急融資を受け、一時お金がダブっている事が生じているかもしれません。でも、借入は借入以外の何でもありません。いつか返済していかなければなりません。

・まず借入金を整理し、明細を書き出すところから始めましょう。内容はどこから、何年の期間で、金利率は、毎月の返済額(金利元金等)保証人の有無、保証協会の有無、資金使途等です。

・今回コロナ禍でここ何年内での返済は始まらないとしても、いずれ返済が始まるので返済シミュレーションは作る必要があります。そのために諸経費の見直しが必要となりますので、この時点で経費を固定費と変動費に分け、削減できるものを見極める必要があります。

・売上は通常、減少しているので、急に売上が増える事がないので、順番として諸経費にメスを入れねばならない。経費を固定費・変動費に分けるとしても、コロナ禍でビジネスが変化したので、それに合わせた固定費・変動費別に削減可能分野を検討する必要があります。

103万円」「130万円」扶養内で働くための年収の壁を確認の要有り


・給料収入103万円は、皆様承知の所得税は非課税ですが、住民税の所得割は100万~103万以下ですと納税額が出ます。もっとも100万以下ですと、住民税の所得割も出ません。配偶者の給料収入が103万以下ですと、夫の方で配偶者控除(最高38万円)を受ける事は出来ます。但し、夫の給料収入が1,095万円を超えると控除額が減り、1,195万円を超えると適用なしとなります。

・配偶者の給料収入が103万円を超えると、夫は配偶者控除が使えないが、配偶者特別控除が使え、妻の給料収入150万までは最高38万円使えるが、150万円を超えると控除額が減少します。妻の給料収入が6万円になるとこの控除は使えません。

・社会保険(130万円)の壁
妻の給料収入が130万円以上になると、夫の会社の扶養に関系なく、夫の社会保険
からはずれ、妻独自で社会保険加入となります。妻の給料収入が130万未満でも従業員501人以上の企業、雇用期間1年以上の見込み、月額賃金8.8万以上等、一定の条件を満たす時は社会保険加入の必要性があります。

・もっとも、給与以外に所得があれば、いくら給与収入が103万円以下でも扶養からはずれる場合がありますので要注意です。

同じ土地でも価格が5つある?!


・土地には、①実勢価格②公示価格③基準地価④路線価⑤固定資産税評価額と5つあります。

① 実勢価格とは、正に取引価格そのものです。(売手買手の関係で相場とはなれる場合有り)

② 公示価格とは、国土交通省が標準地として選定した土地で1月1日現在の1㎡当たりの更地価格で毎年3月に公表されます。(不動産鑑定士が複数人で調べるので実勢価格に近似な土地の目安価格となる)

③ 基準地価とは、都道府県が選定した基準地の7月1日現在の1㎡当たりの更地
価格です。これは都市計画区域外も含まれるので、都市の郊外の土地価格もわかり、公示地価を補完する役割が有ります。また、公示地価と基準地価の調査時点が違うため地価の変化がわかります。

④ 路線価とは、1月1日現在の主要道路に面した宅地等の1㎡当たりの評価額で、毎年7月1日に公表されます。相続や贈与における宅地等の評価については、その年の1月1日時点の路線価が適用されます。路線価は、1年間の地価変動を考慮し、公示地価の8割程度に定められています。

⑤固定資産税評価額とは、固定資産税算定の基準となります。市区町村が公示地価や不動産鑑定評価額の7割を目安にしています。評価額は3年に1回見直し
されます。但し、評価替えのない年も宅地にかかる負担調整措置や新築住宅の
軽減措置の終了で、課税標準額が変われば税額upとなります。

・コロナ禍で、1月1日現在の調査時点評価が下がっている場合もあり、大幅な下落の所は路線価に減額修正を入れる措置を考えています。

10月の特集

昨今のコロナ禍における経営について


・コロナ禍は、経営に甚大な影響を与えている。資金的な点で見るに、通常、事業活動に必要な手元資金として、月の売上のヶ月分が必要だと言われています。

しかし、今回はすぐには業績が好転するわけではないので、直接的には主に人件費と家賃を補填する資金としてヶ月分ではなく、出来れば6ヶ月分程度が必要だと考えられます。

・資金手当てとして、コロナ禍向けの貸付制度が、現在、政府系・民間系の金融機関で融資の受付をしています。

もちろん、その際には直近の試算表、直近の売上高、そして前年同月の売上に関する資料も持参する事になります。有利な(保証料・金利なしも有り)条件で貸してくれますが、当り前ですが返済可能な借入をする事が大事です。

・そのため、ここに至り改めて経営環境の見直しをする必要があります。例えば、会社の仕組みが効率性を重視したものになっているのか、生産性の上がる労働環境になっているのかどうか、もっと検討すれば対社会に対し、売れる商品・サービスを提供しているのかどうか等、いわゆるコロナ禍における商品提供・サービス提供が社会のニーズに合致しているかどうかを十分に吟味する必要があります。

・対雇用政策に関しても働き方を抜本的に検討し、どれだけ従業員は事業所に対し、利益貢献できたかを評価の判断基準に置き、そのための働き方も柔軟に変え、労働時間(時短有り)、働く場所(テレワーク等)も変化有りとします。もちろん緊急措置として雇用調整助成金を使うとしても、それは一時(いっとき)の事なので、これに執着してはいけないと考えます。

・コロナ禍の経済環境は決してコロナ禍前の経済には戻りません。正に今、変革の時です。

・コロナ禍の経済環境は正に有事。となると、まずはしっかりと当事業所の現状認識が絶対条件。即ち、可能な限り早く当事業所の現状が把握できていれば早く手が打てるというもの。

・具体的には直近の試算表、それから導くところの資金繰り表、具体的には売掛金の入金状況、買掛金の支払い状況を素早く把握し、いつ資金ショートが発生するかを知る事が絶対必要。これが出来ていれば明日お金がないという事は避けられます。

・温暖化による異常気象は今後共頻発する事間違いなしです。大雨、台風、地震と何でも有りです。十分にデータ保管には細心の注意を払ってください。

・経理事務のペーパーレス化は急ぎましょう。令和2101日から電子帳簿保存法が改正され、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件が緩和されました。
 
例えば、キャッシュレス決済業者等が利用明細のデータをデータ改変できないクラウドサービス等にアップロードすれば、領収書の代わりとするとか、訂正・削除できないクラウドサービスで請求書データを受領した場合、クラウドサービスの運用を持って適切に取引情報が保存されているとの扱いになりました。

尚、国税関係帳簿書類の種類で帳簿と書類を電子保存する時はもちもん、所轄税務署等への申請が必要となります。電子取引の取引情報に関する電子保存は申請不要となっています。

配偶者居住権を活用しよう。そして税務上の注意点について


・被相続人所有の住居に夫と共に住んでいる配偶者へそこに住む権利を認めようという配偶者居住権が令和241日以降施行される事になりました。

従って、例えば夫の相続時に子がその住居(自宅)を相続しても配偶者はそこに配偶者居住権を設定することができるようになりました。

それらを踏まえ相続時、例えば相続財産に占める住居(自宅)の割合が高い時、配偶者が住居(自宅)を相続する事で生活資金が十分に得られないとか、別居している子が住居(自宅)の現金化を主張すると、配偶者が自宅に住む事が出来なくなる事が避けられるようになります。

即ち、他の相続人が不動産を相続するその不動産財産は、配偶者居住権とその物件そのものの所有権との2つの財産に分離される事になりました。

・見方によっては、相続で不動産を取得する際、配偶者居住権(税務上財産価値有りとなっている)だけ安く手に入れる事が出来るようになります。

・配偶者が取得した配偶者居住権は死亡時には消滅してしまうので、配偶者の相続税申告時には課税財産とはならないので、結果的に被相続人死亡時に不動産を取得した人は、配偶者居住権分の評価額だけ相続税が安くなります。

しかも、被相続人死亡時、配偶者居住権を取得した配偶者、その不動産を取得した他の相続人(条件有り)も小規模宅地等の特例が受けられ、かなり節税効果があると言えます。

但し将来、配偶者が配偶者居住権を放棄した場合は、母から子へと配偶者居住権に係る経済的利益の贈与があったと認定されますので注意の程を。


9月の特集

コロナ禍にやられない経営者魂とは?!


このコロナ禍により、お客が来ない・売れない等、要は売上が激減してしまう。そうすると途端に資金繰りが苦しくなる。で、ここで思わず我に返る。

これではやっていけない、どうすれば良いかと生き残りの方法を考える。そこで必ず今までとは違う形の需要があるはずだと考えつき、収入の得る方法を考えだす。

この時の中心をなす考えとして、今一度ビジネスの原点に立ち戻る事です。要はニーズを考え尽くす事に尽きる。次にビジネスというものは、必ず波がある。そして突然に引潮になる時がくる。そんな時に備え資金の備蓄は必ず必要である。

では、どのくらい必要か?多くある事にやぶさかではないがそう簡単にはいかない。3ヶ月間全く収入がなくても、3ヶ月間の支出に耐える資金とよく言われるが、3ヶ月では短すぎる。半年から1年はと言われるが現実は無理である。

要は3ヶ月ぐらいで立ち上がらねばならぬ。その間に借りるとか、収入の道を探しださねばならぬ。いずれにせよ、社会の中での事業体(会社)であるため、社会とのかかわりを改めて見直し、生き残る道を考えなければなりません。

中小企業の資金繰り対策!


・家賃支援給付金について
売上が激減し、人件費はもちろん家賃も払えなくなっている。それに対する給付金が用意されている。対象となる期間は令和2年5月から12月までの売上の減少に対応している。

<具体的には>
・1ヶ月の売上が前年同月比50%以上の減少がある。
・あるいは、連続して3ヶ月の売上の合計が前年同月比30%以上の減少がある事となっています。
・給付金は申請時の直近1ヶ月における月家賃を基にして計算した額の6倍が一括支給される事になっている。但し、法人600万円、個人事業者は300万円が上限です。

<条件として>
・令和2年3月31日時点で有効な賃貸借契約がある。
・申請日より直前3ヶ月間は家賃の支払いがなければならない。

但し、家賃の貸主と借主が実質的に同じ人や、貸主借主が配偶者または一親等以内も対象にはなりません。

・申請期間は、令和2年7月14日から令和3年1月15日までとなっています。
 家賃支援金の貰える金額は法人で月額75万円以下、個人事業者は支払家賃の2/3。75万円超は、50万円+支払家賃の75万円を超えた分の1/3。但し、上限は100万円(月額)。個人は37万5千円以下は支払家賃の2/3までで、37万5千円超ですと、25万円+支払家賃の37万5千円を超える分の1/3。但し、上限は50万円(月額)となっています。

・雇用調整助成金の拡充 ~4月1日にさかのぼってOK~

①助成額の上限を引き上げ
1人1日8,330円→15,000円

②解雇をしない中小企業の助成金→拡大
原則9/10→一律10/10とする

・新型コロナ対応休業支援金・給付金 ~従業員に直接支給~
①令和2年4月1日から9月30日までに休業させられ、会社から一銭も貰っていない人用に、本人直接に給付される制度が出来ました。(雇用保険の被保険者以外のパート・アルバイト等を含む)

②支給額は休業前の1日当たり平均賃金の80%日額の上限11,000円×休業実績となっています。

・持続化給付金について
給与所得であるフリーランスも対象となります。

・資本性劣後ローンの活用
日本政策金融公庫が民間金融機関が資本とみなす事のできる長期間元本返済不要の資本性劣後ローンを供給します。

新しいポイント還元制度~マイナポイント始まる


・マイナンバーカードの利用普及のため、今年10月から年末調整の電子化に利用されます。例えば、控除証明書がデータで取り込めます。また、来年3月以降はマイナンバーカードが健康保険証としても利用できるようになります。

・マイナンバーカードを買い物で使えば、チャージ額または購入額の25%(上限5,000円)がポイントとしてたまります。

・マイナンバーカードは有効期限があります。今年はマイナンバーカードが開始されてから5年目なので、交付開始直後に取得した人は有効期限の確認が必要です。そして取得時から電子証明書が無効のものもあるので注意してください。


8月の特集

家賃支援給付金を貰おう!


コロナ禍で営業自粛や休業要請により、売上高激減の中小企業者はかなりの数発生していると思います。特に固定費の負担に悲鳴をあげており、家賃の支払いに四苦八苦している事業者はたくさんおります。

●そんな事業者をターゲットにした支援給付金があります。条件はいずれか一方を満たせばOKです。
①1ヶ月の売上が前年同月比で50%以上減少している事
②連続する3ヶ月の売上が前年同期比で30%以上の減少である事

●対象期間は、令和2年5月~12月までとなっています。ちなみに、持続化給付金は令和2年1月~12月までです。対象期間が少々違っていますので要注意です。

●給付額はといいますと法人の場合、月75万円までの場合は2/3の上限の50万円まで、75万円を超える部分において1/3の上限50万円までとなります。

例えば、月額家賃225万円であれば支給額は
225万円-75万円=1,500,000×1/3=500,000円

結局、75万円相当分に対して75万円×2/3=50万円+150万円×1/3=50万円で合計100万円が支給され、かける事の6ヶ月分で600万円貰える事になります。

●個人の場合は、月額家賃が37万5,000円までの部分に対し2/3の上限25万円(①)、37万5,000円を超える部分に対しては1/3で上限25万円(②)となり、月額上限額は①+②=50万円となり、6ヶ月分の300万円が貰える事になります。

●この給付金は、家賃の支払猶予や支払済であっても受給できます。又、持続化給付金を貰っていたり緊急融資を受けていてもOKです。

●一方、不動産オーナー側も、減額や支払猶予には柔軟に対応するよう国土交通省から要請されています。減額の場合は、本来の家賃額との差は寄附金にはならず、収入の減少となり、旧税率の8%適用分もそのまま8%でOKです。ただ、支払猶予の場合は差額未収入となりますが、国税、地方税、社会保険料の納付、固定資産税、都市計画税の減免措置を適用する場合の「収入が概ね20%以上の減少」などの要件における収入金額の計算にあたっては、支払猶予中の家賃は収入の減少として扱います。

新規・つなぎ融資、借換えの際の注意点


●民間の金融機関も、実質無利子・無担保融資が拡大しており、融資上限が4,000万円に引き上げられ、個人事業者で売上5%減なら、保証料ゼロ、金利ゼロ、小・中規模事業者は売上5%減で、保証料1/2、売上15%減なら保証料0、金利0です。
また、措置期間最大5年、担保なし、保証人は一定の条件の下なしです。

●いずれにせよ、金融機関へ相談する前に次の事を確認しておく必要があります。まずは、どれだけ、どのようにお金が足りないか現状把握をする事です。
次に、何に、どのように、いつ、お金が必要なのか、要は運転資金なのか、借入返済資金なのか、はたまたコロナ後の業績回復用投資資金なのかなど。

●そして最後に今後の売上の見通しから、返済期間等将来の返済を考慮した借入金額でなければならない。借りるだけ借りても返済出来なければ、結局は債務倒れとなってしまいます。そのためには、月次決算、経営計画、資金繰り表の3点セットを絶対に作成しなければなりません。

さて、助成金や給付金には税金がかかるのかどうか?


●課税の主なものとして
雇用調整助成金、持続化給付金、東京都感染拡大防止協力金は課税となります。 

但し、消費税は課税なしです。

非課税となる主なものは
雇用保険の失業等給付、生活保護の保護金品、児童手当、国民1人につき10万円給付される「特別定額給付金」は非課税です。

●事業者にとって気をつけたい事は、課税となる助成金・給付金の売上計上時期は、入金時ではなく、支給決定通知書が到着した時となります。従って、決算期をまたぐ場合、未収入金となる場合があります。
 

7月の特集

納税猶予の特例を利用して手元資金の流出を防ぎましょう


●新型コロナウイルスは、数多くの事業者の収入に甚大なる影響を与え、経営が成り立たなくなっている事業者が出現しています。そんな中、特例措置として法人税、消費税、所得税など、ほぼ全ての国税を対象に無担保・延滞税なしで、1年間納税を猶予することが出来るようになりました。

●条件として、①コロナの影響で令和2年以降の任意の期間(1ヶ月以上)で、事業による収入が前年同期に対し、概ね20%以上減少している事。②一時の納税を行うことに困難をきたしている事。

●法人では収入(売上)、個人では(事業売上、給与収入、不動産賃貸収入等)をいうが、事業所得者(フリーランス含む)。確定申告での納税をする給与所得者(パート・アルバイト含む)。白色申告者も含みます。

●令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限の来るもので、既に納期限が経過しても、利用可です。

●では申請方法はというと、特例の利用は令和2年6月30日または、納期限のいずれか遅い日までに税務署へ申請となります。申請時には、[納税の猶予申請書㊕]の他、売上帳、現金出納帳、預金通帳のコピーも添付となります。

●消費税は、前年の納付額をベースにして予定納税がくるので、これを使えば一時期の資金流出を防げます。しかしこの制度は、あくまでも税の免除ではなく延納なので、確定時期には納付となるので十分に注意しましょう。

雇用調整助成金について


●コロナの影響で4月1日から9月30日まで全業種を対象に営業自粛等で売上が減少し、事業活動の縮小が余儀なくされ、一時的に休業等の雇用調整(労使協定に基づく)を行った場合、休業手当や賃金の一部が助成される制度です。売上の減少要件は、1ヵ月5%以上の減少で解雇を行わない時、助成金は9/10まで出ます。一定の事業者は助成率を10/10と予定されています。また、営業自粛や短縮営業や勤務シフトごとの休業にも適用されます。

●では、助成金はいつ頃支給されるかとなりますと、申請後約1ヶ月ぐらいを目安にしてください。尚、詳細なる申請チェックリストが厚生労働省HPに掲載されているので最新情報を確認してください。

●特例措置法の実施期間は令和2年4月1日から9月30日までとなっています。延長されるかも知れませんので、改めて最新の厚生労働省HPを御覧になってください。

持続化給付金について


●コロナの影響で、前年同月比で50%以上売上が減少していれば、法人で最大200万円、個人で最大100万円が支給されます。

●具体的計算方法は以下の通りです
前年の総売上(事業収入)-(前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)となっています。

尚、2020年1月から12月までのうち、前年同月比50%以上減の月との比較となっています。従って、例に2020年6月分100万、2019年6月分300万であれば条件がクリアされます。

※詳細につきましては、経済産業省HPの解説動画を是非御覧になってください。

6月の特集

コロナ騒動下における資金繰りについて

●緊急事態宣言が発動され、外出は控えなさい。人との接触は減らしなさい。との事でビジネスには甚大な影響を与えています。

●企業経営者にとっては、極めて困難な時期となっています。そんな中、最先に来るのがいわゆる資金繰りです。支払の源泉となる売上入金が劇的に減少するので、全ての支払いを一度に払う事は出来ません。

そこで、支払いの優先順位を決めて、どうしても払わなければならないものから払っていくしかありません。何を優先順位としていくかですが、下の順番で優先順位をつければよろしいと思います。

1.支払手形の期日払い …不渡りになると、銀行から取引停止処分の扱いを受け、事実上倒産となり、会社そのものが存続困難となり会社経営はストップしてしまいます。万が一、不渡りになる可能性がありましたら、早い段階で取引先銀行に連絡を入れてください。

2.従業員の給料 …働き手への給料の遅配・未払いが続くと、労働意欲は急激に減退するのは当然として、労働基準法違反となり、雇用調整助成金も受給要件から外れてしまいます。

3.仕入代金の支払い …売り物の元になるものなので、支払方法の変更等でもって対処したりで、弾力的な運用を心がける必要がありまです。

  1. 家賃・水道光熱費・保険料などの毎月の支払経費 …大家さん・保険屋さんに交渉して家賃の支払延期とか、減額をお願いしたり、また保険については、一時止めるとか減額したりの交渉をする必要があります。
  2. 税金・社会保険料 …当局側で種々の納税猶予があったりと融通が効きます。また同様に社会保険料も対応していますので、年金事務所に問い合わせてください。
  3. 借入金の利息・元本返済 …銀行と交渉し、返済期間の延長、元金の支払延長等、融通が効きますので対応してみてください。


種々、優先順位をつけて支払方法等を検討しましたが、会社(事業)で、お金のない時はないので、その時には個人の預貯金をあてにするしかないと思われます。

●更に、倒産防止共済とか、小規模企業共済と生命保険を利用し、ここから資金を引き出す事も考えられます。どうしてもとなれば、カードローンもありますが、金利が高いのが難点です。公的な機関で、コロナ対策用資金貸出しを行っていますので、大いに利用すべきです。いずれにせよ、資金は会社(事業)の血液みたいなものなので、種々の方法で輸血をし、要は死に体にならないよう、手を尽くさなければなりません。

●コロナ対策用助成金について
 雇用に関する助成金制度である。雇用調整助成金があります。申請するのに大変に手間がかかり、複雑で提出資料が多すぎる等非常に速効性に欠けますが、申請しないよりはましと思いますのでチャレンジしてみてください。また、持続化給付金もあります。
 
 個人最高100万円、法人最高200万円です。現在、応募者殺到でいつ給付金を手にする事が出来るのか解りませんが、これもチャレンジしてみてください。家賃保証の件も出ています。いずれにせよ、国のやる事は、はっきり言って遅いが、ないよりはましと思います。(2.5.14現在)

コロナ騒動下における役員給与の途中減額について

●御存じの通り、役員給与は年の途中で減額してはいけないとなっていますが、このコロナ騒動は法律立案者は、おそらく想定していなかったと思います。拠って、この騒動は正に想定外なので途中減額あって然るべきと考えます。なぜなら、何しろ売上金額が突然に減少したり、なくなったりするのですから。外国人観光客相手のホテル・旅館は壊滅的打撃を受けています。同様に人の集まる業種も同様です。イベント屋、居酒屋、クラブ、レストラン等々…

5月の特集

経営者保証のない融資を目ざして!

●中小企業の融資には、経営者個人による保証が付き物です。これが新事業展開、事業承継、事業再建の足かせになっている事もまた事実です。これなしで融資できる方向でいきましょう。というのが、例の「経営者保証に関するガイドライン」で、既に平成26年2月からスタートしています。まだまだ利用は全融資に占める割合は低率(21.4%)ではありますが、序々に進んでいます。

●このガイドラインは、以下の3点となっています
(イ)会社と経営者の関係を明確に区分・分離する。
(ロ)財務基盤を強化する。
(ハ)財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等によって経営の透明性を図る。

 上記3点ですが、会社としては当り前の事を求めています。特に会社の資産と収益力のみで借入金の返済能力有りの状況を判断する事が重要なポイントと思われます。
 また、この資料の信憑性を増すため、外部の専門家(税理士等)の力を必要としています。

●いずれにせよ、3つの条件をクリアする事が大事ですが、この3条件全てクリアしていなくても、要は、返済可能な条件(将来条件を満たす)が整っていれば、保証なしでもあり得ます。

月次決算とはこれ如何に⁈

●要は毎月決算をする事です。では何が解るか?日々会社は経済活動をしており、刻々と変化しています。その状況を数字として把え、会社の変化をいち早く把える事を主眼とします。

●月次決算していれば、変化を数字で把え、適時その変化に対して適切に手を打っていける素地があると見てくれます。

●金融機関としては、日々刻々として動いている様が見えている月次決算をしているような会社は機敏な動きの出来る会社で、しかも継続的に事業活動が出来ており、資金の継続的返済にも耐えられる会社ではないかと見てくれます。

●では、実際の月次決算ではどこを気をつけて経理処理するのか。まずは、正確に期間計算をする事。在庫も毎月残を出す。費用については保守主義の原則に基づき計上する(将来発生するであろう)経済事象を当年度に引き戻して計上する。例えば、役員退職金引当金とか、年払い分費用も月単位にて数字を落とし込む事です。

新民法について

●まずは、売掛債権の消滅時効について旧民法では、債権の消滅時効を10年とし、短期消滅時効として職業別に製造業・小売業などの売掛債権を2年、宿泊料・飲食代金は1年、建築請負工事代金は3年でしたが、新民法は全て廃止、併せて商法における商行為の時効5年もなしにし、消滅時効を統一して、いずれか早いほうが経過した時に請求する権利を時効により消滅する事にしました。

●債権者が権利を行使する事が出来る事を知った時(主観的起算点)から5年。債権者が権利を行使する事が出来る時(客観的起算点)から10年。一般取引では、当事者同士は、契約内容を知っているので、主観的起算点である5年が使われる。従って、少なくとも5年間は請求に関する記録を保管する必要があります。

●5年で時効が来る事が決定したので、自社の売掛債権の管理回収はこの期間を念頭において管理をしましょう。いずれにせよ、「売掛金年齢調べ」は欠かせない作業となります。何せ、以前の2年から5年に延びたわけですから…

●売掛金の完成猶予・更新について
 日頃、売掛金管理をしている時、やがて5年の期間が満了してしまう場合、これを遅らせる方法があります。これを時効の完成猶予・更新と言います。

㋑ では、どうするか。金銭の貸主が返済しない借主に対し訴えの提起をする

㋺ 催告の方法あり。これは裁判外で債務者に対し履行をせまって内容証明で催告書を送付する方法です。送付日から6ヶ月は時効の完成が伸びます。

㋩ 承認について、これは時効の利益を受ける当事者が時効によって、権利を喪失する者に対し、その権利が存在する事を知っている旨を表示する事を言う。権利の承認があった時は、時効が更新され、その時から新たに時効期間が進んでいきます。

●協議を行う旨の合意による時効の完成猶予について
 「協議を行う旨の合意による時効の完成猶予」は当事者間にて権利についての協議を行う旨の合意がなされた場合には、時効の完成が猶予されます。

〈期間として〉

① 合意時から1年経過時
② 合意において1年未満の協議期間を定めた場合はその期間の経過時

※ 新民法のスタートは、令和2年4月1日からとなります。従って、施行日前の事業は原則として旧民法適用です。それ以外は新民法が適用となります。

4月の特集

経営計画を目指す道標(みちしるべ)としよう

●事業経営を進める上で、従業員に対して如何にモチベーションを高めるか、そのために経営計画をたてます。しかし、それが精神論だけに偏っていると、社員の活動にバラつきがでることがあります。社長の経営方針を話すだけではなく、具体的な数字を出して現場感覚で伝えるようにしましょう。

●従業員は会社の発展を願わない人はいません。ただ、会社がどこに行こうとしてるのかを明確に伝えないと烏合の衆になりかねません。拠って、あくまでも具体的でなければなりません。

●経営環境の変化が激しく経営計画を作っても無駄だ。と思っていませんか?数字の話をしていきますと、実際に年間の人件費と借入金の返済額はわかるわけですので、その金額を上まわる売上をあげましょうとの提示が必要です。

●自社の年間の売上をどのくらいの利益を出せばよいかを個別商品別に落とし込んでいく必要があります。

●売上高の構成比の高い順に分けて、どの商品を今後重点的に力を入れるべきか、また年間の売上金額が決まればそれに対応する経費をその経費別に個別に金額を算定しましょう。

●いずれにせよ、同業他社との競争は避けられません。ただ、自分の会社はこうやるんだとの明確な意識を持つことは極めて大事です。

能率向上と最新の設備に投資する税制

 令和2年度税制改正では、地域経済の活性化や課題解決の一助として「ローカル5G」へのインフラ整備などの投資減税が設けられました。

地方創生に期待されるローカル5G
 超高速・大容量・多数同時接続、超低遅延などの性能をもつ5G(第5世代移動通信システム)を、安全・信頼・安定性のあるインフラとして早期に集中的に整備するため、5G設備への投資について特別償却(取得価格の30%)または税額控除(取得価格の15%)ができる税制が創設されました。

●5Gというと、携帯電話事業者による基地局などの全国的なインフラ整備をイメージしますが、この税制では、地域の企業や自治体等の様々な主体が自らの建物や敷地内でスポット的に柔軟にネットワークを構築し、利用可能とする新しい仕組みであり、地域の産業やニーズに応じて限定的なエリアで行う「ローカル5G」への設備投資も対象としています。

●特に、ローカル5Gのインフラ構築は、人手不足や高齢化、地域経済の低迷などの課題解決の一つとして期待されています。

① 小売店の活用例…多数同時接続を活かして店舗と倉庫が直結したリアルタイムな在庫管理や電子決済が進むことで、人手不足に対応できる。

② 農業の活用例 …農業従事者の高齢化が進む中、情報収集のための農業用センサー、給餌ロボット、散水、薬剤散布ドローンなどを活用して、自宅から自動で畜産・農作業管理ができる。

③ 建設業の活用例…ドローンを活用した高精度な測量や遠隔地からの作業指示、建機の遠隔操作・自動操縦によって、建設現場の仕事のやり方が変わ
る。

④ 製造業の活用例…遠隔からの機械制御や高精細カメラによって品質確認・作業監視、AIによるデータ収集など、スマート工場化を進めることで人手不足でも生産性向上が図れる。

●中小企業者等の少額減価償却資産の即時償却の延長
 30万円未満の減価償却資産を取得した際に、合計300万円まで全額を損金算入(即時償却)できる措置が、対象法人の要件のうち常時使用する従業員数が1,000人以下から500人以下に引き下げられ、2年間延長されます。

●設備投資に対する減税措置は、昨年、一昨年の税制改正においても創設・拡充・延長され、現在も継続されているものがあります。

(1)経営力向上計画に基づく設備投資減税 ―中小企業経営強化税制―
 経営向上計画に基づく設備投資について、即時償却または税額控除(取得価格
の10%)が受けられます。(令和3年3月31日まで)。

(2)機械装置等への投資減税 ―中小企業投資促進税制―
 青色申告の中小企業等が一定の機械装置等を取得し、事業に使用した場合に、特別償却(取得価格の30%)または税額控除(取得価格の7%)が受けられます
(令和3年3月31日まで)。

<対象となる設備>
・機械及び装置(160万円以上)
・測定工具及び検査工具(120万円以上、1台30万円以上かつ複数合計120万円以上)
・一定のソフトウェア(一つ70万円以上、又は事業年度中に事業の用に供したソフトウエアの合計額が70万円以上)
・普通貨物自動車(総重量3.5トン以上)
・内航船舶(取得価格の75%相当額が対象)

残業には「36協定」が必要です!


●仕事の都合などで、従業員に法定労働時間を超えて労働させる、あるいは法定休日に労働させるには、従業員との間で、労働基準法第36条に基づく協定を結び、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。

●「36協定」を締結していますか?
 労働基準法では、法定労働時間(1日8時間・1週40時間以内)と法定休日(1週間に1回又は4週で4日以上)と定めています。残業をさせる場合は、会社と従業員との間で、「36協定」を締結し、労働基準監督署へ届け出ることで、限度時間の範囲内で、時間外労働や休日労働が認められます。

 つまり「36協定」の届出のない場合は、残業させること自体が法令違反となります。但し、例えば、1日の労働時間を7時間としている場合に、残業を1時間させるときは、法定労働時間内での残業となるため、「36協定」の締結は必要ありません。

●残業時間の上限に注意が必要で、「月45時間・年360時間」を超える残業が必要な場合は、例えば、突発的な仕様変更や製品・機械トラブルへの対応など業務量の大幅な増加等に伴い、残業が必要な場合に限って「特別条項付きの36協定」を締結すれば、月45時間・年360時間を超えても残業をさせることが可能です。但し、限度時間を超えて残業する必要がある場合、出来る限り具体的な内容を定めなければなりません。

 また、残業できる時間も「時間外労働時間が年720時間以下」「時間外労働と休日労働時間の合計が1か月100時間未満、2~6か月間の月平均が80時間以下」「月45時間を超えることができるのは年6回まで」など上限があります。

●月や年間を通して繁忙期や閑散期があったり、曜日や季節によって仕事量が異なるなどは、労働時間を弾力化し業務の繁閑に応じた時間配分によって、時間外労働を短縮させる制度があります。

① フレックスタイム制…1か月以内の一定の期間の総労働時間を定め、その範囲内で労働者が始業及び就業の時刻を決定することができる制度。

② 変形労働時間制…一定の期間(1か月や1年単位)を平均し、1日及び1週間当たりの法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

 例えば、「1年単位の変形労働時間制」の場合、休日を含めて労働時間を考えるため、忙しくない時期は終業時刻を早めたり、休日を増やすなどして忙しい月に振り分けます。この変形労働時間制を導入するには、就業規則を改定するとともに、従業員との間で協定を締結し、労働基準監督署への届出が必要です。

●残業時間の上限規制に対応した「36協定」の締結・届出を行った場合、次の段階として、36協定に定めた内容を守る必要があり、経営者は労働時間を適正に把握しなければなりません。残業代などを計算する際には、単に1日何時間働いたかではなく、労働日ごとに始業や終業の時刻を管理しなければなりません。

3月の特集

決算日までに取引内容を明らかにしておかなければならない事


●令和元年10月1日から消費税率が8%→10%になり、同時に軽減税率8%も導入されたが、この辺のところを仕訳一本一本区分けせねばなりません。

●売上値引、貸倒損失等、期間をまたぐ取引が発生した場合、令和元年9月30日以前に元の取引が発生しているのであれば、10月1日以降生じたこの取引は9月30日以前の税率が適用になりますのでお忘れなく。よく調査では指摘されるところです。

●経費についても、発生時期と支払時期がズレているものも発生時期の税率を丹念に見るようにしましょう。特に、8%、軽減8%、10%と入り混じる場合、結果的に納税額に影響を与えるので要注意です。

●今回、軽減税率8%導入に伴い、課税仕入等の区分が困難な中小企業に対し、特例として期の途中でも簡易課税の制度を受けたいとの事であれば、その期中に届出を提出すれば、その期から適用との特例が出来ました。但し、令和元年10月1日~令和2年9月30日までの日に属する期間が対象です。

●いわゆる資産の部に対する確認事項
 売掛・在庫等残の確認は、即課税所得に影響を与えるので、極めて大事です。まず、売掛金については、不良債権、貸倒が発生している場合があります。この辺りの中味を確認し、貸倒損失としての税法の条件を満たしているものがあれば、速やかに期末処理すべきです。
 また、在庫についても死蔵品、売れ残り、陳腐化等、商品価値のないものは税法の条件と突合しながら、適切な処理が望まれます。減価償却が伴う固定資産取得に関しても、押し込みで決算期末に計上している場合があるが、あくまでも事業の用に供した日から減価償却計算開始となるので、ただ物があるだけでは償却費計算は出来ません。
 中小企業は仮払金や立替金が日常的に多く発生します。特に、決算月末残として残っている場合、あくまでも内容つぶしをしっかりしておかないと最悪社長給与でしょう、と当局がとんでもない言いがかり⁈を言ってくる場合があります。

いよいよ令和2年4月1日から不動産賃貸契約のルールが変更となります。


●不動産賃貸契約終了時の原状回復費用について、今までどちら(借主・貸主)が、負担するか明確な規定がなかった事によるトラブルが発生していました。今後は、原状回復費用について、一義的には借主に責任があるとしても、通常の使用によって生じた通常損耗や経年変化については、借主に責任はないと明文化しました。但し、両者間で合意すれば通常損耗についても借り手が責任を負うと言う「補修特約」が認められました。

●敷金は原則返還する事を改めて確認する
貸主は契約終了時、借主に返還せねばならないが、
①借り手の未払家賃 ②損害賠償金 ③原状回復費用(補修特約の有無・内容で額変更)の3条件がある時は、この分を差し引いて返還となります。

●賃貸時に保証人を設定しますが、今まで極度額(天井知らず)がないに等しい状況だったのを改め、書面にて明確に限度額を定める事になりました。拠って、これからは限度額の定めのないものは無効。主債務者の死亡、保証人の破産・死亡等があった場合は、個人根保証契約における主債務の元本は確定し、その後に発生する主債務は保証の対象とはなりません。

●駐車場、資材置き場などの賃貸借期間は現行の20年から最長50年となります。いわゆる「建物の所有を目的としない土地の賃貸借」については、存続期間として、20年から50年となりました。借地借家法に適用される「建物の所有を目的とする土地の賃貸借」については、従来通り上限はありません。

●新民法は令和2年4月1日からスタートするとして、この日の前の契約書は従来通り、この日以後は新民法が適用となります。施行日後でも両者合意の下であれば新契約した分も新民法適用可です。保証人を設ける場合、これはこれで賃貸借契約書とは別の契約となるため、それぞれについて新民法の適用を考える必要があります。

労働時間・休日は労基法に対応しないといけない

令和2年4月1日から、中小企業も改正労働基準法の残業の上限規制が適用されます。

●法定労働時間と所定労働時間
 まず、法定労働時間とは「1日8時間、かつ1週40時間」となっています。休憩時間として1日の労働時間が6時間超ですと、休憩時間は45分以上、1日の労働時間が8時間超ですと、休み時間は1時間以上となっています。法定休日とは「1週間に1日又は4週を通して4日以上を与える」となっています。週休2日制は、いずれか1日が法定休日となります。

●残業時間とは
 労働時間が1日7時間の会社が、仮に8時間働かせた場合の1時間は法定内時間外労働(残業)となり、さらに9時間だとした場合、この1時間は法定外時間外労働(残業)となり、一定の割増賃金が必要です。1日ではなく1週でも同じ発想で、1週40時間を超える分は、法定外時間外労働となります。いずれにせよ、残業をさせる時は「36協定」の締結・労働基準監督署への届出が必要です。

●変形労働時間制について
 上記のようなルールになじまない業種もあります。1日や1週の単位ではく、月ないしは年を単位とした労働時間を想定するのもあります。月や年単位で法定労働時間の範囲内であれば、1日ないしは1週単位で8時間(日)ないしは、40時間(1週)を超えても時間外労働にはならないという制度もあります。

※ いずれにせよ、これをきっかけに従業員と話し合って、自分の会社としての労働環境改革をしてみてはいかがでしょうか?

2月の特集

社長の想いを経営方針に落とし込む

 社長が経営計画を立てることは、社長自身の強い動機付けとなり、また従業員が業務を行う上での道標となります。

●生きた経営計画とは?
 経営者の中には、計画よりも売上が大事とか、経営計画を作成してもその通りにはいかないという考え方も少なくないと思います。生きた計画として活用されるためには、社長の想い(経営理念)を実現するための経営ビジョンや具体的な方針などをまとめ、更にそれを数値目標に落とし込み、経営計画に盛り込んでいかなければなりません。

まずは、プランを書き出し明文化しましょう
(1)基本方針
・自社の経営理念を実現するための対象(地域、業界、顧客層)は何か?   
・その対象に自社が提供する価値は何なのか?
・新しいチャレンジはあるのか?
   
(2)商品・サービス
・新たな商品の販売予定はあるか?
・価格政策を検討しているか?
・既存商品の改良、新色などの新たな導入予定はあるか?

(3)得意先・顧客
・得意先への営業強化で、より多く買ってもらえる見通しがあるか?
・新商品によって新規顧客を開拓する予定はあるか?
・優良販売先はあるか?

(4) 販売促進
・広告・チラシなどの広報活動の予定はあるか?
・受注予定の案件はあるのか?
・新規開拓のための営業予定はあるのか?

(5) 新商品・新事業開発
・開発・進行中の新商品、企画はあるのか?
・新商品・新事業の販路は決めているのか?

(6) 内部体制
・新規採用、働き方、休み方改善の予定はあるか?
・人材教育・育成の予定はあるか?
・新型設備やAI・IT機器の導入予定はあるのか?

 など、具体的な考えと戦略が明文化すれば、それを数値目標化することによって、粗利益はいくら必要かがわかり、数値計画として落とし込んでいくのです。

中小企業の融資環境が変わる!

 金融検査マニュアルの廃止で、中小企業の融資環境がこれまでの企業格付け重視から、個々の企業の事業内容や将来性重視へと変わることが期待されています。

これまで金融機関は融資判断において企業格付けを重視してきましたが、バブル崩壊により、多額の不良債権を抱え、いわゆる金融危機が起こりました。対策として金融庁は金融検査マニュアルをもとに、融資先の決算書の数値による企業格付けを重視した検査を行いました。その結果、金融機関の融資姿勢が企業格付けを重視するようになったわけです。

●金融機関が企業格付けを重視した結果、融資先企業の事業内容よりも、担保や保証が必要以上に重視されることになり、事業の将来性よりも、バランスシートの健全性が重視されるようになり、地域に必要な企業の再生支援や将来性のある事業への融資が難しくなってしまいました。

●金融機関が融資先企業との対話よりも、格付けなどに集中してしまい、企業の育成・発展を通じて地域経済の活性化に貢献するといった本来の金融機関の役割が弱くなってしまいました。そのため、その要因となった金融検査マニュアルを廃止し、これまでの融資姿勢を改めることになりました。

●金融検査マニュアルの廃止によって、担保や保証に重視、将来性よりも健全性を重視、また格付けなどに注力した融資から、事業内容や将来性を評価した事業性評価融資や担保・保証にとらわれない融資に取り組むことで、特に運転資金などの短期継続融資の増加が期待されています。

●今後、中小企業が融資を受ける際、金融機関に対してどのような説明が必要かというと、返済原資の将来キャッシュフローと、それを生み出すための計画が中期経営計画になりますので、なぜ返済できるのかを説明することになります。経営計画の策定にあたり、決算書が重要になります。融資後に金融機関が企業の業績をチェックするものでもあります。その情報開示には、会計事務所の支援が欠かせません。

●ようするに、日頃から社長自身が金融機関と対話し、自社の財政状態、事業内容の現状と課題、今後の経営の方向性などを正しく伝えることが必要です。具体的には、毎年決算書を提出することはもちろん、毎月試算表を提出しましょう。そのためには、月次決算体制を整える必要があります。

所得税確定申告の注意点

 個人事業者や、会社経営者、サラリーマンなど給与所得者であっても確定申告が必要な場合があります。事業収益や会社からの給与等のほかに、収入として申告すべきものがありますので、申告漏れに注意しましょう。

社長をはじめ役員が会社から支給される給与が年間2,000万円以下の場合は、年末調整を行えば、基本的には確定申告をする必要はありません。しかし同族会社の役員がその同族会社から給与の他に、例えば会社に賃貸している不動産の賃貸料や会社に貸し付けている金銭の利息収入分は確定申告が必要になります。

●生命保険会社等から満期保険金や解約返戻金などを受け取った場合は、一時所得として確定申告が必要な場合があります。生命保険の契約者(保険料負担者)と満期保険金の受取人が同一人でない場合は、贈与税として申告が必要になります。

●上場株式等の譲渡や配当による収益は次のような場合、確定申告が必要です。
・源泉徴収なしの特定口座における譲渡による収益が20万円超である。
・譲渡損失を翌年に繰り越す。
・配当と上場株式等の譲渡損失を通算する。
・配当控除を受ける。

●FX取引や仮想通貨の取引による損益は、確定申告が必要な場合があります。所得金額は、取引業者が交付する年間取引報告書等を基に計算します。

●不動産や金などの資産を売却した場合にも原則として確定申告が必要です。マイホームを売却して3,000万円の特別控除の特例や譲渡損失を他の所得と通算する特例などを受ける場合には、確定申告が必要になりますので注意しましょう。

●自家消費とは、事業のために仕入れまたは製造した商材等を自身の生活のために消費することです。販売用資産などの自家消費は、現金等の収入を伴いませんが、仕入金額(製造原価)と売値の70%のいずれか高い金額を収入に計上する必要があります。

●アパートを賃貸し入居者の退去時に、部屋の原状回復費用と、預かっていた敷金を相殺した場合は、原状回復費用は「修繕費等」、相殺した敷金は「収入」として計上することになります。

●個人事業者が、消費税の経理処理について税抜経理を採用している場合に発生した益税もその発生した年の収入に計上しなければなりません。

1月の特集

経営理念が会社の生死を分かつ⁈

 会社の存在理由と内容を公けにするだけで、会社の浮沈にかかわる事があります。
 
 例えとして、白アリ防除の会社が「白アリ防除」する会社ですよと公けにしていたが、逆にそれしか出来ない会社とのイメージを世間に与えてしまっていた。世代代わりを機会に、経営理念として「住環境や社会インフラの維持・整備」に変え、同時に会社の名称も今風に変えたところ、会社の業績も上向いてきました。

 もう一つ例を出すと、いわゆる産廃屋さんですが、ゴミ屋さん等汚いイメージがつきまとい、場合によっては地域住民から「町から出ていけ!」との逆風が吹く事もあります。

 そんな中、思い切ってリサイクル事業資源再生事業ですよと経営理念を変え公けに明らかにし、そしてそれを実行していったところ、近隣住民からも受け入れられ、売上も増えていきました。同じような事をやっているのだが、事業の視点を明確にしたところ、上記の通りになりました。これこそ経営理念が会社を再生飛躍させた良き例です。

小さな会社で如何に稼ぐか!

 小さな会社は圧倒的にないないづくしの状態です。即ち、資金はない、人はいない、技術もそれなり、もちろん組織もネームバリューもないとなっています。こんな状況でビジネスをするわけです。まずは、当会社の持ち味は何かを見極める事です。そこに全エネルギーをかける事です。

〈具体的には〉
●粗利を生みだす仕事に、より多くの人材を投入する事
●理など社内で行う仕事は徹底して合理化し、作業量を減らす
●役員数を減らし、同様に組織の階層を少なくする

 そして、社長は圧倒的に働かなければならない。即ち、(仕事)時間×質=勝つ力の源 となる。この社長の仕事とは、戦略を練る事です。即ち、商品・地域・営業戦略の事を指します。要は、どこに何を投入すれば稼げるかを考える事が主な仕事なのです。

令和2年から所得税の仕組みが変わります

 令和2年分の所得税から、給与所得控除や基礎控除の控除額の見直しが行われます。そして10月から年末調整手続きが電子化されます

1、給与所得控除、基礎控除の見直しがされ、年収850万円超は税負担が増えます。

●給与所得で自動的に計算される必要経費(給与所得控除分)が10万円引き下げられます。また、給与収入850万円からその上限額(給与所得控除分)が195万円で頭打ちです。即ち給与収入850万円以上は差し引く経費は一律195万円になるという事です。

●基礎控除38万円も、10万円引き上げられますが、合計所得2,400万円を超えると段階的に減少し、2,500万円超になると、基礎控除は0になってしまいます。

●給与収入850万円を超えても障害者や扶養親族がいる人は、新たに所得金額調整控除が設けられ、税負担の緩和が採られています。

2、年末調整時の生命保険料控除証明書の用意の仕方

●今までは、本人が生命保険料控除申告書に記入してだったが、従業員から会社への流れが電子となります。

●データの取り方として、保険会社のHPから取得するか「マイナポータル」(政府が運営するオンラインサービス)で証明書を貰うかのいずれかになります。