5月の特集
経営について
例えば、タコス店の従業員の給与をupしようと考えているとしよう。その際、upするのは良いが、その結果お店が赤字になっても意味がないので、逆にどれだけ売上が増えないとupできないか検討する必要があります。
- 例えば、upする前の決算書が以下の通りだとする
(千円)
売上 9,000
変動費 △2,700
限界利益 6,300 70.0%
固定費 △6,100
人件費 5,000
その他 1,100
経常利益 200
- upした後が以下とする
(千円)
売上 9,000
変動費 △2,700
限界利益 6,300 70.0%
固定費 △6,388
人件費 5,288
その他 1,100
経常利益 △88
そこで、損益がトントンになる損益分岐点なるものを引っ張り出してき、結局これだけの売上がなければ損してしまう数値を出してみる事にします。
売上が9,000千円では赤字になる事が解った。従って、upしたのであれば、あと売上を125.7千円増やさなければならない事になっている。と言うような具合でupする時も経営上の観点から見ていく必要があります。
法務について
- 「所有者不明土地」は
- ① 不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
- ② 所有者が判明しても、所在不明で連絡の取れない土地と定義しています。
- 即ち、相続が発生し、申告も完了しているにもかかわらず、相続登記をしない人がかなりの人数でいます。その事に拠って、売買も出来ず災害時の復興工事にも請求すべき所有者が不明であったり、隣家から苦情があっても受け皿が不明等、はなはだ支障をきたす事が多く発生しています。そこで、国としてもこれは放っておくわけにはいかないので、令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化される事になりました。制度の施行日又は相続により不動産を取得した事を具体的に認識した日のうち、遅いほうから3年以内に正当な理由なく登記しなかった場合は、10万円以下の過料が課せられます。施行日前に発生した分も同様に義務化されます。
- 新しい制度として「相続人申告登記」が創設されます。これは相続発生により、相続人である事を登記官に申し出る事で本人は申請義務を履行した事になります。
尚、申し出た事により相続人の氏名・住所は登記されますが、持分割合までは登記されません。
- 遺産分割が長期に渡り完了していない場合
令和5年4月1日より、相続開始から10年経過後に行う遺産分割については、原則として法定相続分又は指定相続分によって画一的に行う事とされました。
- 「相続土地国庫帰属制度」が開始します。
令和5年4月27日からこの制度はスタートしました。これは相続又は遺贈で取得した土地を国に引き取って貰う制度です。但し、以下の土地は引き取ってくれません。
① 通常の管理又は処分をするのに当たり、過分の費用とか労力を要する土地はアウトです
② そして10年分の土地管理費相当額を納付する必要があります
- 転居の際の住所変更登記も忘れずに
令和8年4月から住所を変更したら、変更日より2年以内で住所変更等の申請が必要です。怠った場合は、5万円以下の罰金が課せられます。施行前もしかりですが、この場合は施行日から2年以内の申請でokです。
消費税について
- 返還インボイスについて
値引き等があった場合、売り手・買い手の税率と税額の違いを一致させるため、原則として、値引きに関するインボイスを発行しなければなりませんが、令和5年度税制改正で税込金額が1万円未満の値引・返品・割戻し等の売上に係る対価の返還については返還インボイスを不要としました。
従って、例えば振込手(数料税込金額1万円未満)を売上値引き処理する場合は、返還インボイスの発行は不要となっています。これは時限立法でなく恒久的措置のため適用期限はありません。
- 又、売り手が負担する振込手数料は「支払手数料」として処理し、仮払消費税として算出する事になります。この場合、そもそも返還インボイスを発行する必要はありません。支払手数料として仮払消費税額算出のためには、インボイスを受取りと保存が本来だが、基準期間の課税売上高1憶以下又は特定期間における課税売上高5,000万円以下の課税事業者は、税込金額1万円未満の課税仕入れについて帳簿のみの保存で仮払消費税額を算定できます。対象期間は、令和5年10月1日~令和11年9月30日までとなっています。
- 又、売り手が負担する振込手数料について、会計上「支払手数料」として消費税法上では、売上に係る対価の返還等として処理する事は可能です。この振込手数料相当額が税込金額1万円未満であれば、返還インボイスは不要です。
4月の特集
ペーパーレス化の時代に
- 取引で発生した請求書、領収書のやり取りの件で、現在は紙で請求書が来、その紙で来た請求書等を紙で保存しています。これからは、令和6年1月1日から電子取引で来たものは電子にて保存してくださいとなりました。以前も同様の決め事をしたが、コロナ禍等により日延べとなっておりました。ただ、何の取引が電子取引に当たるのか、納税者は解りません。電子取引とは以下のものを指します。
<電子取引>に該当するものの例
- 電子メール(本文・添付ファイル)で送受信している取引
- 専用のシステム(Webページやソフトウェア)を利用した取引
- Webページやスマホアプリ等で支払額を確認している公共料金等
- インターネット通販を利用した備品や消耗品の購入
- 電子決済サービスで支払った立替代金等の精算
- 従業員がインターネットで支払った経費(出張旅費等)の精算
事務の合理化と考えれば良いのでしょう。ただ、以前もやると言って日延べしたので、又もう一回準備とは少々間が抜けた感じはします。一度やると言ったものが日延べされる事は、やる気に少々水をさす感じはします。
- では、紙で来たものは電子で保存する場合、紙をスキャンして紙を電子化して保存するのです。この保存の仕方も以前はやたらと面倒でありましたが、その後、大夫簡素化されてきてます。要は、保存の仕方も時系列的に、そして検索可能である事が条件となっています。(売上金額以下であれば検索不要となってますが)
- スキャナ保存のメリットは、① 紙の証憑も簡単にデータ保存できる ② いつでもスマホ等でデータ保存できる ③ 仕訳が簡単に入力可 ④ ファイリングや場所を取らない等が挙げられます。
- いわゆる、データが電子保存される事により
・勤怠管理データの読み込みで給与計算をする。
・そのデータを会計システムに読み込み、給与・社会保険料の自動仕訳をする。
・給与関係で、源泉所得税や住民税のデータ連動で支払もスムーズになる。
等が挙げられます
- その意味で自計化へと更に進んでいき、会社自らがそのデータの読み込みをし、意思決定の迅速化が図れます。いきなりここまでいかなくてもデータの電子化でこの流れの中に入って行きやすくはなります。
インボイスの件
- 具体的にインボイスの保存についてですが、まず何をインボイスとするかです。請求書であれば請求書が保存となります。では、クレジットカード会社が発行する「請求明細書」は当の事業者(店舗等)が発行したものではないため、現行の消費税法では請求書に該当しなく、従ってインボイスとは成り得ません。逆に、買い物をした店舗等が適格請求書発行事業者になっていれば、店舗等が発行する「御利用明細」「御利用控」にインボイスに必要な記載事項が記載されている限り、インボイスとしてOKであり、これを保存してください。
- 令和5年10月1日以前の段階では、仮にクレジット会社の利用明細書であっても、少額(3万円未満)の取引の場合は帳簿のみの記載でよかったので今までは問題にならなかった。が、令和5年10月1日以降は3万円未満の請求書不要の特例は廃止となったので、今後(令和5年10月1日以降)は必ずお店が発行する利用明細書、利用控を保存し、保管してください。
- 今回のインボイス制度では、自動販売機・自動サービス機からの商品購入等は帳簿のみの保存でOKですが、コインパーキングは対象となっていません。必ず簡易インボイスを貰ってください。
- 更に、インボイスの保存の省略可を取り入れ、基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者は1万円未満の課税仕入はインボイスの保存がなくても帳簿のみで仕入税額控除が使えます。但し、この特例は令和5年10月1日~令和11年9月30日までの期間となっています。従って、令和11年10月1日以降はまた元に戻ります。
- では、この特例の1万円未満の話しは税抜か税込かですが、税込で判断となります。この1万円の判断は、1回の取引金額の合計が1万円未満なので、取引の個別でみて1万円未満でもこれはアウトです。要は、1枚の請求書単位で見、その請求書の中に何点かの取引があっても、その取引ごとに見るのではなく、あくまでも請求書ごとに1枚でどうかとなっています。
金融について
- 経営者の金融保証について
金融機関が中小企業にお金を貸す場合、よく経営者から個人保証を取っています。これが事業継承時、思い切った事業展開の際、又は早期の事業再生を阻害する要因ともなっています。これを打開すべく政府としても「経営者保証に関するガイドラインの浸透・定着を図るべし取引方針」を作成し、金融機関にこの方針を衆知徹底させ、具体的にはどの部分か十分でないため、保証契約が必要となるかとか。どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるかの詳細なる検討を求めています。
- 即ち、個人保証を取らなくても良いように会社側に対し ① 法人と経営者との関係の明確な区分・分離を促す ② 財務基盤の強化を促す ③ 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性の確保を促す等々を求めていく事になります。これらを強く求める事で個人保証を取らない方向でいこうとの考えです。
3月の特集
インボイスについて
- インボイスを発行するには、適格請求書発行事業者として登録が必要になります。登録をする事で登録番号を国から貰い、そして国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」にその登録番号が掲載されます。
- では、登録はいつまでかですが、令和5年度の税制改正で令和5年9月30日まで可能となりました。
- 免税事業者が適格請求書発行事業者として登録すると、課税事業者となります。仮に、令和5年10月1日~令和11年9月30日の間ですと、登録希望日(提出日から15日以後の日)から課税事業者となる経過措置があります。令和5年10月1日以前ですと効力は令和5年10月1日から発生します。尚、この措置の適用を受けると「消費税課税事業者選択届出書」は不要となります。
- 令和5年の税制改正で、免税事業者で適格請求書発行事業者となった場合、課税売上が1,000万円達していなくても課税となるが、今回の税制改正で売上税額(仮受消費税額)の2割を納付すればよい事となりました。この計算方法は何も届出は不要となりました。この法律は時限立法で、令和5年10月1日~令和8年9月30日まで適用可となりました。但し、簡易課税との比較で検討する必要があります。
経営について
- まず、経費を大きく変動費と固定費に分けます。では、何を基準に変動費と固定費に分けるかですが、「売上高」に応じてとなります。売上に直接連動しているものが変動費で、「売上-変動費=限界利益」となります。一方、固定費は売上に連動せず、一定額支出される経費です。従って、この限界利益額で固定費をまかなう事になります。そして、この限界利益額内で固定費をまかなう事になるので、この率と絶対金額が重要な意味を持ちます。
ちなみに、表で表現すると以下になります。
売上高 1,000円
変動費 400円
限界利益 600円
固定費 480円
経常利益 120円
この状況で、売上の件で変動費にどれだけ付加価値を出させるような変動費にするかに尽きます。
労務について
- 令和5年4月1日より、中小企業も月60時間超の時間外労働に対しては割増賃金率が25%から50%となります。
- 言葉の定義からいきます
労働時間に対して改めて言葉の意味を確かめましょう
- 所定労働時間とは
会社が決める労働時間で通常は9時~17時までとなっています
- 休憩とは
所定労働時間が6時間超ですと45分以上、8時間を超えると1時間以上となっています
- 法定内残業とは
所定労働時間を超え、法定労働時間(18時)までの残業を言う。残業代は払うが割増は不要です
- 法定外残業とは
法定労働時間を超える残業を言う。18時以降の分が該当します。これには、割増が必要です
- 令和5年4月1日より変更事項
令和5年4月1日から中小企業の割増賃金率が25%から50%にと引上げに
なります。
- 法定休日の労働時間は月60時間の算定には含まず、賃金は35%割増です。いずれにせよ、労働の効率を尊重する事が大事です。
- 変形労働時間での対応
イ.1年単位の場合
1ヶ月を超え、1年以内の一定期間を平均し、1週間あたりの労働時間が40時間以内の範囲において、特定の日または週に1日8時間又は1週40時間を超え、一定の限度で労働させる事が可能です。
ロ.1ヶ月単位の場合
1ヶ月単位以内の一定期間を平均し、1週間あたりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、特定の日または週に法定労働時間を超えて労働してもらう。
ハ.1週間単位の非定型的変形労働時間制
1週間単位で毎日の労働時間を弾力的に定める。
二.フレックスタイム制
3ヶ月以内の一定期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業および終業の時刻を選択する制度です。
いずれにせよ、この変形パターンの場合、就業規則の改定、労働基準監督署への届出がとなります。会社の状況に応じて対応するようにしてください。
2月の特集
経営について
- 飲食店のラーメン屋さんを例に取ってみると、例えば、売れ筋商品として、野菜タップリタンメンがあったとする。この商品の分として個別に原価計算をしてみると、存外儲けが出ていない場合があったりする。要は、売れ筋商品と思いせっせと客に出していたとしても、一向に儲けが出ていない事がある。要は、単品別に原価計算をどのくらい荒利が出ているか調べる必要がある。そこで、初めて店としての儲けがどのくらいあるかがわかる。又、調べる事によって存外、利幅のある商品があるかもしれない。そこに力を注ぎ店全体の儲けを増やす事を考える必要があります。
消費税について
- インボイス制度下、買手は一定事項が記載された帳簿とインボイス発行登録者が発行したインボイスが保存されていなければ仕入税額控除が適用されません。即ち、買手側からすると、次の件について確認の必要があります。
①どの資料(請求書、領収書、納品書塘)をインボイスとしているか
②インボイス発行事業者として登録されているかどうか
③登録番号が本当に当局に登録されているかどうか
④インボイスの受取方法(紙又は電子)を検討したか
⑤受取ったインボイスの仕訳計上の方法と時期を確定させたか
⑥受取ったインボイスの保存方法を決めてあるか
等があります。
- ちなみに、簡易課税を選択している場合は、課税売上だけで消費税計算をするので、強いてインボイスの保存は要求されていません。拠って、帳簿や書類の保存方法に変更はありません。
- 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるケース
売手側からインボイスの交付が困難な取引があります。以下の場合、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められています。
①3万円未満の公共交通機関(鉄道、バス、船舶)の運賃
②3万円未満の自動販売機での購入
③郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る)
④従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当等に係る課税仕入れ
⑤簡易インボイスの記載事項(取引年月日を除く)を満たす入場券等が、使用の際に回収される取引
⑥古物営業、質屋、宅地建物取引を営む事業者が適格請求書発行事業者でない
者から、古物、質物または建物を当該事業者の棚卸資産として取得する取引
⑦適格請求書発行事業者でない者から再生資源または再生部品を棚卸資産と
して購入する取引
- 現行の「3万円未満の課税仕入れ」規定は廃止となる。尚、事務負担軽減措置として基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者は6年間、1万円未満の課税仕入は帳簿のみの保存でOKとの5年度税制改正がありました。
- 家賃については毎回請求書を発行しているわけではないので、賃貸借契約書がその代わりとなっている。即ち、請求書にインボイスとなる事項を記入し、そして通帳や銀行の振込金受取書の保有を義務づける事で仕入税額控除は使えます。
税金について
個人確定申告に備えて
- 毎度ですが、又確定申告シーズンが到来しました。今回、個人事業主が特に注意したい事として以下があります。即ち、補助金や協力金などは収入に計上しなければならないものがあります。
以下の通りです
- 収入に計上する補助金など
・緊急事態措置・まん延防止等重点措置に伴う月次支援金
・小規模事業者持続化補助金
・事業復活支援金
・事業再構築補助金
・雇用調整助成金
・IT導入補助金
・ものづくり補助金
・感染拡大防止協力金
・全国旅行支援(県民割なども同様)・イベント割などに伴う給付金 など
- 災害による損失は雑損控除を利用してください。必要な書類として以下のものが必要です。
【 必要な書類の例 】
・被害を受けた資産の価額がわかるもの(売買契約書や領収書など)
・災害関連の支出額がわかるもの
・被害を受けた資産について支払われた保険金などの金額がわかるもの
・り災証明者
- ふるさと納税、医療費も今や定番になっていますが、ふるさと納税は寄附金の受領証、医療費は「医療費控除の明細書」の添付が必要となっています。医療費の領収書は納税者側にて5年間保存です。
- 給与所得者は、給与収入2,000万円以下なら個人確定申告不要です。しかし、以下の収入があった場合は確定申告が必要です。
< 給与・退職金以外の収入がある >
給与・退職金以外の収入について、必要経費などを差し引いた後の所得金額合計が20万円を超える場合、確定申告が必要です。
- 給与・退職金以外の収入の例・副業収入
・土地や建物の売却による収入
・競馬や競輪による収入
・保険の一時金や満期返戻金
- 副業収入について令和4年から改正されています。即ち、フリマアプリ・ネットオークション、食品デリバリー等小規模業務に係る雑所得です。これらは申告の要有です。(但し、給与所得が差引所得20万円以下であれば申告不要です。
- それから、取引書類の保存義務化について以下の事が義務づけられました。
1月の特集
経営理念について
稲盛和夫に学ぶ
- 企業存続、発展のためには、製品、設備、技術力、資金力といった、いわゆる「目に見える資源」が重要です。しかし、「目に見えない資源」もあります。何故かと言うと、結局、最終的に人が物事をするので、別の要素、情熱、考え方、能力とか言うものが物を言います。即ち、例えば技量が同じスポーツマンの場合、強く勝ちに執着している方が最後には勝者になる確率が高くなります。これと同じ事が経営についても言えます。稲盛和夫氏曰く、人生で成功する方程式として「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」と言っています。「熱意」は物事を成そうとする情熱や努力する心を表し、「能力」は才能・知能・健康を表します。最後に「考え方」です。前向きに物を考えるか、消極的になるか、この辺の兼ね合いで最後のpushに違いが出てきます。言わば、この3つの入り組み具合で、結果が随分と違ってきます。この3つを土台にして具現化すべき「コスト意識」や「経営感覚」「現場主義」「顧客志向」があって初めて企業は強くなる事ができます。
- ここで、経営理念についてですが、要はこうしたい、あーしたいと決めて、これを1つの心棒にすると、現場では実際に迷った時にこれが支えとなり、軌道修正ができるというものです。現場の人にとっては具体的に「判断の尺度」となり「行動の原理原則」にもなったりします。正に、目に見えないですが、かなり企業経営にとって重要なものとなります。
インボイスと電子取引への対応について
- 令和5年10月に向けて、今からやるべき事として、以下の3つが挙げられます
イ.適格請求書発行事業者の登録申請
ロ.自社発行の請求書等のインボイス対応
ハ.取引先からのインボイスへの対応
イ.について
登録申請は令和5年3月31日までですが、令和5年度の税制改正で理由付けなしで令和5年3月31日以降も可で9月30日までとなりました。
〔注〕免税事業者が「適格請求書発行事業者」として登録しますと、課税売上高が1,000万以下になっても納税をしなければならなくなっていますので、慎重なる対応が求められます。
ロ.について
どの書類を「インボイス」とするか決めておきます。また、取引金額の表示方法もどんな形にするか決め、そして取引先にはどの書類が「インボイス」となったか伝えておいた方が良いです。最後に保存方法もしっかりと決めてください。
ハ.について
正に、仮払消費税が算出されるかどうかの重要な事柄です。即ち、まず相手が課税事業者かどうかの確認をし、次にどの書類が「インボイス」となるか、それと事前に様式の確認とかが必要となります。何しろ、6つの事項が記入されていなければならないので、不足分は直ちに是正の依頼をする必要があります。そして、仕訳の起こし方とかタイミングも決めなければなりません。最後に保存方法です。いずれにせよ、事前にやる事がかなりあります。
- 電子取引の電子保存の完全対応について次の事を決めました。令和4年1月1日施行の改正電子帳簿保存法は、要するに「電子取引は電子にての保存」と義務付けました。但し、令和5年12月31日まで猶予期間がありますが、令和6年1月1日から再スタートとなります。電子取引とは、取引先から電子メールにての請求書も該当します。大手ショッピングサイトから消耗品の領収書をダウンロードしてもこれも電子取引になります。令和6年1月1日からは電子取引は電子保存をしなさいとなり、そうでない場合(紙にての保存)は法人税法上や所得税法上の証拠書類として見なくなります。重大事項です。
- 電子取引の洗い出し
上記の如くかなり厳しい扱いになります。では、改めて電子取引とはどんなものでしょうか
<以下に表現します>
- 電子メールでの請求書や領収書の送受信
- ショッピングサイトでの物品購入
- インターネットでの公共料金の請求内容の確認
- 電子決済サービスの利用
- 従業員がネットで購入した旅費(航空券等)の立替払い
- 電子請求書や電子領収書の受領
- 取引情報の複合機での電磁的受領 等々
- 電子取引データの保存要件について
以下の如くで専用のソフトを利用するのも一案です。
- やりとりが実在していること(真実性)
- 必要な期間保存されていること(保存期間)
- 保存後も探しやすいこと(検索性)
- 見やすいこと(可視性)
この4つがクリアされてなければなりません。
補助金の話し
個別列挙するに、6つの補助金等があります。
1.事業再構築補助金
申請期間 令和5年1月13日
危機に強い事業への再構築の取り込みを行う場合の補助金。
2.IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)
申請期間 令和5年1月19日(予定)
インボイス制度対応のデジタル化に役立つ会計ソフトやパソコン購入費用の一部を補助する。
3.IT導入補助金(セキュリティ対策推進枠)
申請期間 令和5年2月16日
独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービス利用料の1/2補助とする。
4.小規模事業者持続化補助金
申請期間 令和5年2月下旬(予定)
中小企業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓や生産性の向上に必要となる費用の一部を支援する。通常枠50万円、インボイス枠100万円、賃金引上げ枠・卒業枠・創業枠・後援者支援枠200万円で、補助金率はその2/3。
5.業務改善助成金
申請期間 令和5年1月31日
事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30万円以内で、かつ従業員数が100人以下の事業所で
① 賃金引上げ計画を策定する
② 引き上げ後の賃金を実際に支払う
③ 生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成・教育訓練を実施し費用を払う
④ 解雇、賃金引き下げをしない事、を条件にして設備投資にかかる費用を助成する。
6.雇用調整助成金
令和4年12月から令和5年3月までの助成内容で、コロナ禍での特例が終了するが、厳しい業績下の事業主には一定の経過措置がある。
- 本年に向けて
昨年のウクライナ戦争開始により、物価高に悩まされ、コロナ禍も未だ終焉せず、混沌とした状態で年が明けました。経済にとってはマイナス要因のみが満ち溢れており、特に中小企業者にとっては困難な時代となっております。しかし、物は考えようでこのような状況下であるが故、否このような状況だからこそ、
ある意味、物事がはっきりしてきたが故に、それこそ何が足りない、何が不足している、何が必要と、よりクリアになったわけですので、そこに焦点を合わせてビジネスをしていく事が肝要であろうと思います。
少子高齢化は益々顕著になり、一昔前は正月ですと通りに子供たちがベーゴマ、メンコ、竹馬、羽子板と正月の風物詩が眼前に広がっていたものですが、今はそれもなし。見渡せば、高齢者の散歩集団が闊歩している状況に様変わりしました。でも、事業者としてこの光景をみると、また違ったものに見えます。
いわゆる、シルバー産業の花盛りの素地が一杯あると言う事です。しかも、ディテールに対応していけば、種々ビジネスチャンスはあると確信しています。要は、世の役立つ事は何かと見据えていく事が大事と思います。そして、世の中に役立つ事は何かをきちんと把握する事に尽きると思います。新しい年を迎え、心の持ちようが大事だと痛感しています。