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更新日 2023-02-02 | 作成日 2021-01-13

12月の特集

経営について

顧客拡大・売上アップの取り込み事例についてお話しをしましょう

事例その1
健康志向のコーヒー豆を開発し、ネット販売で売上を倍増させた話しをしましょう。従業員90名弱、資本金1,000万円の会社ですが、なぜネット通販に重きを置いたかと言うと、中間業者を通すとどうしてもコストが高くなり、しかも中々商品の良さが消費者に直に伝わらない事があるからです。

ネットであれば直接消費者に訴えるので、手応え感はあります。但し、情報が一方通行になる可能性があるので、不満がないかどうかのメール発信も意識しています。ここでこの会社は、商品開発をした認知症予防に効果のあるコーヒードリンクをネット通販し、昨今の健康志向ブームに乗り売上を伸ばしております。

事例その2
高くても売れる和菓子作りに挑戦した会社を紹介しましょう。従業員40名弱、資本金1,000万円の会社ですが、10年前に4代目の若社長に経営が移管されました。同じ事の繰り返しでは先がないと考え、素材と製法を徹底的にこだわり、いくつもの賞を獲得するようになりました。

特に草餅が評判を呼びました。ここで更に、と言う事で社名も一挙に解りやすいものにし、ロゴマークも新しく作り、店舗も和菓子屋とは思えない店構えにしました。これで旧態の状況から一変し、ブランド化も視野に入り、常設店の出店、デパートの催事への出店と拡大の方向へと進む事が出来ました。

ここで改めて、売上を上げる方法を考えてみます。以下の表を参考にしてください。
・売上アップのためにできることがないかをチェックしてみましょう。
 □商品等の品質をもっとアップできないか。
 □商品等をより差別化できないか。
 □商品等の販売方法を変えられないか。
 □商品等をブランド化できないか。
 □商品等を新たな地域や年代に販売できないか。
 □地域や顧客層など対象を限定できないか。
 □商品等の付加価値を高められないか。
 □商品等を高価格化できないか。
 □商品等をもっとコストダウンできないか。


税務について

経理担当者のための年末調整事務Q&Aについてお話しをしましょう

質問1、23年度年末調整の準備のためどんな書類が必要ですか?
答 え:以下のものが必要です
●扶養控除等(異動)申告書
※平成23年分については、年初または入社時に提出されているかどうかを確認します。また年内に扶養親族等の異動などがあった場合、その内容が反映されているかを確認します。
●保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書
●住宅借入金等特別控除申告書
添付書類
●生命保険料控除証明書(生命保険会社等発行)
●地震保険料控除証明書(損害保険会社等発行)
●国民年金保険料または国民年金基金の控除証明書
(厚生労働省または国民年金基金発行)
(その他)
①本年中途採用の人
●前職分の源泉徴収票(前勤務先事業所発行)
②住宅ローン控除の適用を受けている人(2年目以降)
●住宅借入金等特別控除証明書(税務署発行)
※既に年末調整で住宅ローン控除の適用を受けた方で、翌年以後も同一の給与の支払者の下で年末調整をする場合は省略できます。
●住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(金融機関発行)

質問2、税制改正で、16才未満の扶養親族が扶養控除の対象にならなくなったと聞いてますが記入に当って何か気をつけなければいけない事がありますか?
答 え:16才未満は、控除対象扶養親族欄には記載する事は出来ません。但し、住民税の欄は記入する必要があります。

質問3、年の中途で出生・死亡があった場合はどうなりますか?
答 え:仮に今年子供が生まれたなら、今年の扶養親族に入ります。但し、今年から「住民税に関する事項」欄のみの記入となります。仮に死亡したとすると、死亡した年で控除額を受けることができます。

質問4、扶養親族の要件として、同居が必要ですか?
答 え:結論を先に言えば、同居、別居で判断するのではなく、「生計を一にする」かどうかで判断します。尚、勤務、修学、療養費等の都合で別居していても、余暇に生活を共にするのが常であったり、生活費、学資金、療養費等の送金があれば、「生計を一つにする」に該当し、扶養親族となります。

質問5、従業員Aの母親がパート収入100万円、遺族年金70万円だけとした場合、母親は扶養となりますか?
答 え:遺族年金は非課税所得、給与は100万円から65万円を差し引き35万円となるので、基礎控除38万円以下となるので従業員Aの扶養になります。

質問6、個人事業者で青色事業専従者給与に関する届け出が出ており、妻と子に給料を払ってます。年末調整時の注意点はありますか。
答 え:他の従業員同様、年末調整の対象となります。もちろん、金額の多過によらずこの事業者の扶養にはなりませんので、念のため。

質問7、配偶者特別控除の注意点を教えてください。
答 え:配偶者の合計所得金額が38万超76万未満が適用となります。実際は配偶者特別控除申告書の「配偶者の合計所得金額(見積額)」の表を使って計算します。

質問8、親族の負担すべき国民年金を支払った場合、本人の控除の対象になりますか?
答 え:本人と生計を一にする親族分の国民年金を支払った場合、本人からその分を控除できます。その際、国民年金控除証明書を添付してもらいます。

質問9、生命保険料控除証明書の添付がない場合、控除できないですか?
答 え:そんな事はありません。来年の1月31日までに提出してもらってください。地震保険料控除も同様です。


金融について

なぜ、円高なの?!今さら人に聞けない事を説明しましょう

○日本の国力が増してきたわけでもないのに、なぜ円が強くなっているのか?それは2008年リーマンショック直後、世界同時不況となり先進各国が大規模な景気刺激策を実施したのは良いのだが、同時に大幅な財政赤字となってしまったのです。

それに加えて、ヨーロッパの財政危機、米国の同様の財政赤字、そしてダメ押しとして、ギリシャの国家財政破綻寸前と世界のあちこちで金融不安が充満し始め、消極法で株等の売却資金の一時的避難場所として、円が買われているにすぎないのです。

ではなぜ、円が買われるのか?!日本も国の借金が1,000兆円になんなんとしているにもかかわらずです。それは今のところ、日本の経常収支が黒字となっているからです。

なぜ黒字かといいますと、日本は輸入より輸出が多く、取り敢えず出金よりも入金が多い事に依るためです。しかし、円高により国内景気がこれ以上に冷え込みますと、経常収支が赤字になる事は自明の理であります。となると、後は何が待っているかになります。

既に、日本の中小企業はこの円高で売上減による倒産・破産が益々増加しています。1ドル76円よりも高くなりますと、後は致命的結果が待っています。これが早急に円高対策が叫ばれる所以です。もっとも、私が1人吠えても大勢に影響はありませんが…。尚に、この辺のところを表にしてみます。

11月の特集

経営について

過去10年の流れから今後の戦略を見てみましょう。

○ 日本経済の過去を10年間振り返ってみると、デフレ不況、安価な海外製品の輸入、内需縮小、生産拠点の海外移転、リーマンショック、東日本大震災、円高とこれでもか状態で次々と災難が降り掛かってきています。そんな時、過去の災難時にどういう事をしたのか、今一度振り返ってみる事が必要かと思います。
次の表を参考にしてください。



○ その際、どう行動したのか、その際の行動が今日の状況を適格に表現しています。
次の表を参考にしてください。



○ 将来の指針をしっかりと見据え、そして行動に移したかどうかが、今日の企業の有様を端的に表現する事になります。即ち借入金の推移も着実に返済されているかどうかの様子が見られ、例え仮に増加していたとしても設備投資の分であったりと企業の命運を長らえているきっかけ作りにはなっています。厳しき状況ながらも一つ一つ明確さが出、何をなすべきかが見えてくる事と思います。

○ ここでいくつかの事例を紹介しましょう。



税務について

平成23年度の扶養控除は今一つすっきりとしていないので改めてすっきりといたしましょう。

○ 所得税額を計算する時の注意点
所得税額を計算する時は所得控除として、いわゆる「人的控除」と雑損、医療費、寄付金等がありますが今回は「人的控除」に「的」を絞ります。

○ 以下に列挙しますと



上記説明を表にしますと、次のようになります。






法務について

これから海外取引が増えて行きますのでこれについてお話をしましょう。

○ これからは中小企業でも海外企業と取引をせねばならぬ時代となって来ました。何しろ商習慣の異なる国の人と商いをするので、いざとなれば会いに行く事も、また直談判もちょくちょく出来ない状況下に置かれています。そんな中でリスクを可能な限り少なくするポイントとして以下の3点を挙げます。



 やはり、基本的には性悪説で話さないと解らない、時には丁丁発止も必要となります。少々疲れますが・・・。

○ 海外企業と取引する際、契約書はもちろん大事である事は承知だとしても、いざとなれば契約書などふっとんでしまう場合もあります。だからと言って契約書をないがしろにするわけではありません。およそ日本では考えられない事も契約書には謳う必要があります。法的に争うとなるとやはり契約書であるので契約書作成の際には海外取引に強い弁護士さんにチェックを入れてもらうのがベストではありますが・・・。

○ さて、海外企業と売買契約書を結ぶ際の注意点として、以下の6点を申し述べます。

イ) 商品の仕様について
詳細を極めた明細書がある事が望ましいです。

ロ) 貿易条件 - 輸送費や保険料などを取り決める
輸送料等の取り決めをする事が大事です。例えば空なのか海なのか、また輸送中の商品の減少・破損等についての取り決めも必要です。

ハ) 代金支払い条項の件
鉄則は売りは先に金を貰う、そして後で品物を渡す。買いは先に品物を貰う、そして後で金を払う。要は金は払ったが品物が来ない、また売って商品は渡したが金が貰えないという事がしばしばあり、ここがいつも一番悩ましいところです。代金回収、商品引き渡しがポイントです。しっかりと契約書上に謳い込んで下さい。

ニ) 保証条項について
商品の保証について、どこまで保証するのか明確にしておく必要があります。

ホ) 準拠法について
争いが生じた時、準拠とする法律がどちらの国の法律を適用するのか明確にする必要があります。国によって白が黒になったり、黒が白になったりする事もありますので・・・。

ヘ) 紛争解決方法について
争いは誰もが望みませんが、不幸にして生じる場合が多々あります。解決手段として事前に裁判をするのか仲裁なのかをはっきりさせておく必要があります。前述の ホ)で話したように外国で裁判となると、およそ想像をしていない結果が生じる場合があるので要注意です。


10月の特集


経営について

今回は少しでも業績アップにつながる行動事例についてお話しをしましょう。

○事例その1:
創業以来黒字を続けている企業についてお話しをしましょう。関西にあるお菓子の卸売屋さんですが、23才で起業しました。大企業に負けないようにするにはどうしたらよいかと考えあぐねた末、①として他人より早く仕事にとりかかり、②休日返上で働こうと決意しました。開店を朝5時としました。もちろん人通りもなくお客さんは来ませんが、周辺を掃除したりしているうちに早朝営業が評判となり、お客さんが来るようになりました。何せ、朝が早いので頭もスッキリしており、種々アイデアも浮かび、やがて売上も伸びていき、今や年商150億円程になりました。これも、商売を成功させる糸口になっていると思います。


〇事例その2:
仙台市にある、これも菓子卸業でありますが、経営理念は「お菓子と夢を運ぶ」を掲げましたが、同業他社との競争が激しく、小売業への転換を図り、仙台市内の繁華街に薄皮たい焼きの店「鯛きち」をオープンしました。研究の結果、表面がパリッとしたたい焼きを売り出したところ値段も手頃感があったせいか、売れ行き順調で現在3店舗を展開しています。これは正しく、思い切って業態(卸から小売へ)転換したのが功を奏した良き例です。


〇事例その3:
古くから地元で自動車販売と整備業を営む千葉県館山市にある会社ですが、メーカー系列のディーラーでないため苦戦を強いられていました。そこで知恵をしぼり、イメージ作戦を転回しました。即ち、受注1件ごとに感謝を込め社員全員で折った「折鶴」を顧客に渡し、折鶴1つにつき39円(サンキュー)を募金用に積立てました。また、車両購入、車検、12ヶ月点検を行う都度1件につき500円を募金し、これを地元の高校の無償奨学金や発展途上国の教育支援へとか、近隣の海岸清掃、もちつき大会などイベントを催し、その地域の知名度を高め、それを商売の上昇バネとしました。これなども、地域密着型で循環経済を地でいった方法です。


〇事例その4:
運送会社ですが、給与体系を水揚げを増やせば給料も上がる歩合制を採ったところ売上は増えるが、人件費も増え、しかも過剰労働となり逆に採算が悪くなってきてしまった。そこで発想を変え従業員とも話し合い、時間当りどれだけ能率、なおかつ効率もよく仕事をしたか(水揚げ高÷実稼動時間)にやり方を変えたところ、仕事もテキパキと進み効率よくなり、会社の収益性も良くなりました。これにプラスする事の奥方殿の協力も得る意味で幹部夫人懇談会を開催し、大いにコミュニケーションを図るようにしました。


税務について

知らないとかなり恐い思いをする消費税についてお話しをしましょう。

消費税の事業者免税点制度の見直しがなされます。財政困難な折り、少しでも税収を増やそうとの考えの下、既存のルールより厳しくなる措置です。法人の場合は、前々事業年度、個人事業者の場合は前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合は、当年度は課税事業者とならないが、今回このルールは変わらないとしても、下記の表をみてわかるとおり、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えると、その翌年度から課税事業者となります。



尚、この方法に代え、この特定期間中に支払われた支払明細書に記載されるべき給与等の金額に相当するものの合計額を使う事ができます。給与等に含まれるものは以下の通りです。

●給与等の額に含まれるもの
・役員報酬や従業員への給料、賞与
・パート、アルバイトの給与   など

*未払いの給与等は除かれます

※特定期間を改めて説明すると

①個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの期間

②法人のその事業年度の前事業年度(7か月以下の短期事業年度の場合を除く)

開始の日以後6か月間の期間

③前事業年度が短期事業年度の法人でその事業年度前1年間に開始した前々事業年度がある場合は、当該前々事業年度開始の日から6か月間(当該前々事業年度が6か月以下の場合を除く)

④当該前々事業年度が6か月以下の法人の場合は、その前々事業年度の期間   となります。                              

〇適用期間が、25年1月1日以後開始となっています。従って、3月決算法人は24年4月から9月までの上半期で、課税売上高が1,000万円を超えると、25年4月開始事業年度からスタートです。それと、基準期間が免税ですと、課税売上はいわゆる税込ですので要注意です。

〇仕入税額控除の95%ルールの見直しがされました。課税売上に対する税額は課税仕入であって初めて課税仕入の税額を差し引けるのであり、非課税売上に対する課税仕入は、いわゆる差し引ける対象とはなっていません。しかし今までは、事務処理も繁雑となり大変でしょうからという事で、課税、非課税売上の課税売上が占める割合が95%以上であれば、全て課税仕入が使えるようになっていました。しかし、真の理由は定かではありませんが、今回の改正で課税売上高が5億円超の事業者はいわゆる「95%ルール」が使えなくなりました。そして、課税仕入を課税用、非課税用、共通用にと、3つに区分する必要も出てきました。

〇この制度は、24年4月1日以降開始する課税期間からスタートなので、今のうちに準備しておく必要があります。

〇震災関連の消費税の処理例ですが、取引先や社員に災害見舞金を払った場合、消費税は不課税取引となり消費税は算出されません。また、寺社、学校、政治団体、日本赤十字社、共同募金等への現金寄付も同様に不課税取引となります。


労務について

労務トラブルを防ぐにはどうしたら良いかについてお話しをしましょう。

○事例:
小売業を営むA社は、報連相を重視し、従業員も多い事から、社内ネットで情報交換をしていたが、1人だけそれを怠り客とトラブルを起したので、ペナルティーを課そうとしたところ、従業員も言い分有りとなり、要は会社のペナルティーに従おうとしませんでした。就業規則はありませんでした。こんな時、就業規則があり、そこに服務規律と懲戒処分の規定があれば、それに基いて粛粛と事を進めていけばいいのであります。

例えば、
就業規則規定例
(服務規律)
第○○条 社員は、勤務にあたり次の事項を守らなければならない。
□.会社所定の方法により、必要な事項の報告および連絡を行うこと。

(譴責)
第△△条 社員が次のいずれかに該当するときは、譴責処分とする。
□.就業規則第○○条(服務規律)に定める服務規律に違反し、それにより会社が損失を被ったとき。

このように、就業前にその規定を読んでおいて貰い、また就業中でも目につくところにその規定を置き、いつでも読めるようにしてあれば、あらたなトラブルになる事は避けられます。

〇ですから、以下の事項を明確に就業規則に謳ってあれば、マイナス面だけを見るのではなく、会社と社員との間の信頼関係も強固なものになると言うものです。

就業規則
●残業を行うときは事前に上司の許可を得て行うこと
●会社は社員にどのような行動を求め、どのように評価するか
●会社の服務規律に従うこと
●服務規律に違反すると、懲戒処分を受ける場合があること   など




平成23年度税制改正の現状

今回、23年度の税制改正の中味がどうなったか判然としませんでしたが、やっと平成23年6月22日に国会を通り成立となりました。

● 平成23年度税制改正で成立した主な事項



―逆に、今回見送られた主な事項(平成23年6月30日現在)―

企業関係

・法人税率の引下げ(30%→25.5%)
・中小企業者等の軽減税率の引下げ(18%→15%)
・減価償却資産の定率法の償却率の引下げ(定額法の償却率<1/耐用年数>の250%→200%)
・青色欠損金の繰越期間の延長(7年→9年)など

個人所得関係

・給与等の収入金額が1,500万円超の場合の給与所得控除額は245万円が上限
・役員給与等に係る給与所得控除の見直し
・給与所得者の特定支出控除の範囲見直し
・勤続5年以下の役員等の退職金の課税方法の見直し
・成年扶養控除の対象を限定 など

相続贈与・消費税・その他

・相続税の課税ベース及び税率区分の見直し
・贈与税の税率の見直し
・環境税(地球温暖化対策税制)の課税強化
・更正の請求期間の延長(1年→5年)
・税務調査を文書で事前通知 など


①についての説明
中小法人の所得の内 … 年800万以下の金額 → 18%
            年800万超の金額  → 30%
                             となります。 

②についての説明  
青色申告書を提出する事業者が従業員を増やした場合、その増加人員に応じて法人税が減税となります
(所得税然り)。

【減税を受けるには?】
以下の要件を満たす必要があります。
・当期及び前期に離職者がいないこと
・事業年度中に従業員(雇用保険一般被保険者)が前事業年度末に比べて10%以上かつ2人以上
(中小企業者等の場合)増加したこと など

【減税額は?】
公共職業安定所に「雇用促進計画」を提出し、雇用が確認されれば、増やした従業員(雇用保険一般被保険者)
1人当たり20万円(中小企業者等の場合、法人税額の20%が限度)が法人税額から控除できます。


③についての説明
青色申告書を提出する中小企業者がエネルギー環境負荷低減推進設備等の取得をした場合、下記の特別償却又は
特別税額控除が出来ます。

●中小企業者等の場合
選択適用 → 取得価格の30%の特別償却
  ↓
取得価格の7%の特別税額控除
*当期の法人税額の20%が限度。
控除限度超過額は1年間の繰越し可能
*中小企業者等以外は「取得価額の30%の特別償却」のみ。

④についての説明 
仮決算による中間申告書の提出が出来なくなります。
イ.「前事業年度の確定法人税額×6/12*」の金額が、10万円以下である場合又はその金額がない場合
ロ.仮決算による中間申告書に記載すべき法人税額が「前事業年度の確定法人税額×6/12*」を超える場合
*前事業年度が12ヶ月に満たない場合は「前事業年度の確定法人税額÷前事業年度の月数×6」

⑤・⑥についての説明
・試験研究を行った場合の特別税額控除の特例
・中小企業等基盤強化税制
・医療用機器等の特別償却制度
・高齢者向け優良賃貸住宅の割増償却制度
・特定の資産の買換えの場合等の課税の特例

⑦についての説明
●上場株式等の配当・譲渡所得等の軽減税率
 ~平成25年12月31日         平成26年1月1日~
  10%              ⇒  20% 
(所得税7%、住民税3%)       (所得税15%、住民税5%)

※配当の軽減の対象とならない大口株主の保有割合は100分の3以上に引き下げられました。

⑧についての説明
計算式は以下の通りとなり、税額控除制度が導入されました。


⑨についての説明
イ、公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、その年金以外の所得金額が20万円以下の人は、確定申告の提出が不要になりました。[これは、23年度分以降から適用です]
ロ、公的年金等の係る源泉徴収税額の計算について、控除対象とされる人的控除の範囲に寡婦(寡夫)控除が加えられました。[適用時期は25年1月1日以後に支払われる分から適用です]

⑩についての説明
申告義務のある者の還付申告書は、その年の翌年1月1日(従前:翌年2月16日)から提出できます。

⑪についての説明

となりました。

⑫についての説明
直系尊属から住宅取得等資金を贈与された場合、先行してその敷地用の土地を取得するための資金も追加されました。

⑬についての説明
イ、次に掲げる特定期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者は事業者免税点制度がされなくなります。
  a.個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの期間
  b.法人のその事業年度の前事業年度(7ヵ月以下のものを除く)開始の日から6ヵ月間の期間
c.法人のその事業年度の前事業年度が7ヵ月以下の場合で、その事業年度の前々事業年度の開始の日から6ヵ月     間の期間

表にすると
●改正後の消費税免税点制度(例)



こうなります。

ロ、イの適用に当たり、イの課税売上高に代えて支払明細書に記すべき支払給与等の額を用いる事ができます。

⑭についての説明
その課税期間の課税売上高が5億円以下の事業者に限り適用される事になりました。


⑮についての説明
不動産の譲渡に関する契約書への印紙税の軽減税率の特例が25年3月31日まで延長されました。


9月の特集

出版物のお知らせ

今回勉強仲間達と協同執筆で書籍を発行しました。不動産・相続の税金本です、実務で知り得た貴重なノウハウが詰まっています。御一読をお勧めします。必要な方は差し上げますのでご連絡ください。



経営について

今回は売上を増やす方法を考えてみましょう。

○ ただでさえ不景気な時に、東日本大震災が直撃しました。経営者としてはなす術なしの状況かと思います。

○ しかし、行動しなければ存続そのものが危うくなります。ここに孤軍奮闘している会社の例を2、3記述します。

税務について

平成23年度税制改正案についてお話をしましょう。今回平成23年度の税制改正案がどこまで成立し、どこが成立していないのか境目がよく解らなくなっています。ここで改めて、はっきりさせたいと思います。今年6月22日に国会で成立した主な改正事項は以下の通りです。

○ まず、「法人税」関係で法人税の減税は先送りとなりましたが、中小企業の軽減税率18%はそのまま維持となります。

○ 同じく「法人税」関係で、一定の条件の下、仮決算による法人税の中間申告が出来なくなりました。要は中間申告で多くの税金を払っておき、本決算で還付となるケースの場合は、還付加算金が発生し、それを目当てにし、一種の資産運用をするのを未然に防ぐとの発想です。中小企業では、正直そんな会社あるのだろうかとの印象は拭えませんが今回制度として登場しました。一定の条件とは下記の①と②です。

○ 次に「所得税」ですが、認定NPO法人や一定の要件を満たす公益社団法人等に2,000円を超える寄付をした場合、一定の金額が所得税額から差し引かれます。(所得控除との選択適用可)



○ 続いて「消費税」です。消費税の免税事業者のうち下記の特定期間の課税売上高が1,000万円を超える者は免税点制度が適用されません。

特定期間とは



○ 最後に「相続税」ですが、住宅取得等資金贈与の非課税対象が拡大されました。
要は直系尊族から住宅取得に図れる資金贈与の中で住宅取得用の中に先行して土地等を取得した場合も含める事になりました。これは23年1月1日以後からの贈与から適用です。

尚、今回で先送りされた主な内容は以下の通りです。



そして、6月22日に成立した内容は以下の表の通りです




労務について

雇用を増やした企業を支援する税制と助成金についてお話をしましょう。

○ 今回の震災は日本経済に激震を与えやっと立ち上がりかけた経済の背中をダメ押しで奈落の底へそれこそ突き落されたようなものです。そんな中でも中小企業は活路を見出さなければなりません。多くの若者が今回の震災で職に就けずまたは失業し路頭に迷う状況となっています。こんな状況下法人税の方でも23年4月1日から26年3月31日までの間に開始する事業年度において、新たに雇用を増やした場合は減税できる措置を講じました。個人の場合は24年1月1日から26年12月31日までの各年にて雇用を増やした場合もOKです。

○ 具体的には法人、個人事業者とも従業員1人につき20万円(大企業は10万円)が法人税、所得税から減税となります(法人税、所得税とも20%が限度)。

○ 条件として次の適用条件が必要となります。



○ 尚、これを受けるには事前の届け出が必要となります

【ハローワークへの届出等のイメージ】



○ また、上記とは別物として被災者や若年層を雇用した場合に受給できる助成金として、(1)3年以内既卒者トライアル雇用奨励金制度があります。高校・大学等を卒業後は同じ会社で1年以上継続して正規雇用された経験のない人を雇う場合に支給されます。これはハローワークの紹介で正規雇用への移行を前提とした有期雇用(原則3か月)として採用し改めて正規雇用へ移行の手続きが必要です。

イ.事業者に支給される額として



ロ.改めて、正規雇用契約を締結する



○ (1)の他に(2)3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金なる制度が出来、卒業後3年以内でも新卒扱いで採用した企業に推奨金を払うものです。勿論ハローワーク紹介が前提となります。支給される額は1事業所当り100万円です。

○ (2)の他に(3)今回の震災による離職者や被災地域の求職者をハローワーク等の紹介で継続して1年以上雇用が見込まれる場合に奨励金が出ます。23年5月2日以降の雇い入れが前提です。

詳細は

【支給額(中小企業の場合)】(助成対象期間1年)

※短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が通常の労働者と比べて短く、かつ
30時間未満の人






8月の特集

経営について

今回は意思決定の早さが如何に大事かをお伝えしましょう。

○ 今回の東日本大震災では未曾有の被害に遭われた経営者が大勢いらっしゃると思います。そのような状況下事業再開に向け行動を起こすのは早いに越した事はなく、緊急対策本部を発生から30分で立ち上げた事業所があります。

○ まずトップは現状把握を速やかにし、指示命令系統を1本化する必要があります。その際ポイントとして要は2次災害を出さない、物作りの事業所では非常時でも不良品は出さないに尽きます。
  緊急時の際の意思決定のポイントとして



○ 自然災害でなくても、云わば経営者はいつも非常事態に置かれています。そんな中、より精度の高い情報に基づいた的確な判断が常に求められます。
平常時の際の意思決定のポイントとして

○ 更に的確、迅速な意思決定のためのチェックリストとして

があります。


労務について

原発事故による電力不足で勤務時間、生産体制の変更を考えている事業所があると思います。それについてお話をしましょう。

○ 7月~9月での電力消費を抑えるため、製造業では深夜、休日操業に取り組んでいる事業所があると思いますが、注意すべき事として、

イ)割増賃金が必要なケース
ロ)就業規則などの変更がある場合

等があります。

○ 例えば始業時間を2時間繰上げる場合は労働時間そのものは変わらないので割増賃金は不要です。

○ では、休憩時間の時間帯変更はどうか。
これについても割増賃金の問題は生じません。

○ 昼間から夜間への操業シフトはどうか。
これは深夜労働が伴うため。通常の労働時間の賃金の25%増しを払う必要があります。

○ 休日に勤務日を変更した場合はどうか。
振替休日を使えば差して問題はありませんが、出来れば同一の週内で行った方がよいでしょう。

○ いずれにせよ勤務形態の変更は会社、従業員にとって重要な事ですので、就業規則の変更が必要です。10人未満の会社でこの規則がない場合は「雇用契約書」を作り直す方がいいでしょう。とにかく従業員の同意は必要です。


税務について

資産の老朽化により廃棄処分する場合の注意点をお伝えしましょう。

○ 当局は廃棄と言っても実際は売買ではないかとの観点から厳しくチェックが入ります。従ってまずは証拠資料を保存する事です。

○ 機械等が仕様変更や老朽化した事により使えなくなった時、廃棄処分します。費用金額は廃棄直前簿価と撤去費用の両方を足したところで経費となります。

○ 勿論除去した証拠資料は残す必要があります。表にしてみますと



○ ただ処分するにしても処分費用が高額で出来ない場合があります。そういうケースの時は有(ゆう)姿(し)除却をするのも方法です。現物があっても除却してしまうので後で税務トラブルにならないよう注意すべきです。ポイントとしては次の表で説明します。



○ 更にこれを証明する方法として次の表を参考にしてください。



○ 営業用自動車を廃車する場合の注意点として、車を廃車するため、陸運支局で廃車にする手続きが必要です。この点をしっかりと確認しておかないと、当局は売買したのではないかとの疑いを持ちます。従って廃車証明書、廃車届出書などの資料保存が大事です。廃車、転売ではなく従業員に贈与した場合の取引を証明する贈与契約書が必要です。尚、この辺のところを確認する証拠資料の例として次に表を掲げます。




7月の特集

税務について

今回は4月27日に施行となった震災特例法についてお話をしましょう。

○被災した「法人」の税制上の支援についてですが、被災した棚卸資産、固定資産(建物等含む)の損害額(取り崩し費用、撤去費用、現状回復費用等含む)は全て経費となります。

○この現状回復費用の中には余震による2次災害を防ぐための予防工事(土砂崩れ防止用)も含みます。また、現状回復費用や予防工事以外で修繕費一式となっている場合、修繕費か資本的支出の区別が困難な場合は30%が費用となります。

○会社の欠損金の中で会社資産の災害による分は、その欠損金は7年間繰越せます。詳細は以下を参考にしてください。

「個人事業者」も法人と同様の措置が採られています。詳細は以下を参考にしてください。



○災害による棚卸資産、事業用資産の損失分は3年間繰越せます。 また、今回の東日本大震災の被災者への特例として、引ききれない損失は5年間繰越されます(但し、この特例は今回の災害によって棚卸資産や固定資産の10分の1以上が被害を受けた場合)。

○また、事業者ではなく「一般の納税者(個人)」でも被災した建物、家財等について、所得税の雑損控除もしくは災害減免法のいずれかを使え、所得税の全額ないしは一部を軽減出来ます。

イ.雑損控除による方法とは
住宅、家財等の被害額の一定額を所得から差し引くもので引ききれない時はその損失を3年間繰越せます。

雑損控除の計算式は次のとおりです(いずれか多いほうの金額です)。
●(差引損失額)-(総所得金額)×10%
●(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円


ロ.もう一つの災害減免法とは
災害額が住宅、家財の1/2以上に達しており、その年の所得額が1,000万円以下であれば、所得税の軽減ないし免除になります。
詳細は表をご覧になってください。







経営について

今回は従業員の雇用を守るための助成金の活用方法についてお話をしましょう。

今回の未曾有の災害で全国的に雇用の問題が浮上しています。会社としてはまず解雇をするのではなく、助成金の活用で何としても企業継続、雇用確保を維持したいものです。中小企業で雇用確保の助成金として「雇用調整助成金」が一般的です。

○これは、会社が景気、産業構造の変化その他の理由になり企業活動の縮小に伴い従業員を休ませたり、教育訓練をした場合に払った賃金の8割を支給すると云うものです。そして、解雇を伴わない場合は更に助成金が9割に上がります。

○では手続きはどうすれば良いのでしょう。フローをご覧になってください。

○では、Step 1の中身はどうなのでしょう。以下を参考にしてください。

計画が出来たら「休業等実施計画届」をハローワーク、労働事務監督局へ休業の実施日の前日までに提出してください。尚、今回の被災企業向けの特例措置は以下のとおりです。

○次にStep2はStep1を踏まえ実行してください。休業の場合、変更があれば速やかに「休業等実施計画変更届」を提出してください。

○最後にStep3ですが、計画通り物事が進みましたらいよいよ申請です。賃金締め切り期間の末日から2カ月以内に「(休業等)支給申請書」にて申請します。受給金額は休業手当または賃金に相当する額として厚生大臣が定めた方法により算定した額の8割です。但し、上限は1人1日当たり7,505円が限度です。因みに必要な添付書類は次の通りです。




金融について

今回の震災で直接的・間接的に被害にあった中小企業の金融支援策についてお話をしましょう。

○今回の震災に直接・間接的に被害を受けた中小企業向けの特別融資枠が設定されました。平成23年5月16日からスタートしています。詳細は次の図をご覧ください。

○今回の震災で事業所が全壊又は流失した中小企業者、原発事故の警戒区域等内の中小企業等においては利息なしとする「特別利子補給制度」が創設されました。

○無担保・無保証が「売り」のマル経融資に今日の特別枠として直接・間接的に被害を受けた小規模事業者に対し、借入枠の拡大(別枠1,000万円追加)と金利引下げ措置(1.2%引下げ)が実施されます。
まとめますと、限度額は通常枠と別枠1,000万、金利は1.05%(23年4月末現在)。

詳細は次の表をご覧ください。

○また、中小企業が金融機関から融資を受ける際の保証協会による保証についても保証限度額が大幅拡充となりました。スタートは23年5月16日より、詳細は以下をご覧ください。

○借入金の返済猶予に関しても金融庁は柔軟に対応するよう金融機関に指示しており、返済猶予の条件変更なども同じ扱いになっています。また、各種関連手続きも簡素化され、なるべく被災企業等の実情に応じて対応しています。


6月の特集

労務について

今回は大震災で事業所の崩壊により操業停止に追い込まれ、従業員を休ませる場合の休業手当についてお話しをしましょう。

○被災し、操業が出来ない場合
イ.事業の外部要因で発生した事故である事
ロ.経営者として最大限の注意を払っても避ける事が出来ない事故である事
今回の地震、津波は人間の予知せざる天地の為せる業で工場等が全壊した時の休業は原則として休業手当を払う必要はありません。しかしながら、自宅待機の際は従業員とよく話し合い「中小企業緊急雇用安定助成金」等の公的支援策を受けるよう心掛けてください。

○停電などで操業出来ない場合
このケースの場合は原則休業手当を支払う必要はありませんが、そうであっても企業として業務を遂行する関係上休日出勤をしたり電気を必要としない作業をして何とかやり繰りしている企業も見受けられます。

○取引先が被災した事により御社が操業停止に追い込まれた場合
原則御社が被災したわけではないので、本来的には休業手当を払う必要があります。しかしながら、取引先への依存度合い、他の代替手段の程度等困難さの度合いによっては払う必要のないケースも出てきます。要は個別事情がどうかによります。

○今回の大震災の風評被害により仕事がなくなった場合
今現在問題となっている風評被害により売上が激減し、それにより従業員を休ませた場合は休業手当を払わなければなりません。しかしながら、売上は減ったにもかかわらず休業手当は支払わなければいけないのでは事業所の命運は尽きてしまいます。そこは有給休暇でやり繰りするとか、ワーキングシェアをするとかで何とか凌がなければなりません。

○震災時の「中小企業緊急雇用安定助成金」利用について
経済上の理由により事業活動が縮小した場合は「中小企業緊急雇用安定助成金」(雇用調整助成金)を利用できます。

利用出来る例として、
①交通手段の途絶により、従業員が出勤出来ない、原材料の入手や製品の搬出ができない、来客がない等のため事業活動が縮小した場合

②事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や部品の調達が困難なため早期の修復が不可能であり生産量が減少した場合

③避難指示など法令上の制限が解除された後においても、風評被害により観光客が減少したり、農産物の売上が減少した場合

④計画停電の実施を受けて、事業活動が縮小した場合
●詳細は、厚生労働省HP
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/dl/110411_qa.pdf

因みに「休業手当」は使う側の理由で従業員を休ませた場合は、平均賃金の約60%を払う必要があります。



会計について

今回はいわゆる値引きがどれだけ事業所の損益に影響を与えるか吟味しましょう。

○東日本大震災後の日本経済縮小傾向は止まるところを知りません。個性と特性とニッチで勝負している中小企業としては、直接的現象として同業他社との比較で値引攻勢に晒され、遂には抗し切れず、飲まざるを得ない時もしばしばです。

○実際は値引に応じざるを得ないとしても、本当に値引をしても採算が取れているのかどうか吟味する必要があります。

○ここで簡単な仕組みを考えてみます。まずは経費を大きく2つに分ける事です。1つ目は売上に直接連動する経費(売上の増加と共に増え、売上の減少と共に減る経費 ⇒ 変動費)、2つ目は売上の増減に関係なく支出する経費(固定費)です。

○具体的な例を出してみます



ここでは結局何個売れば、そして、売上金額が最低何円であれば損益トントンとなるかを表現しています。これは、資金の流れを一旦無視し、単に損益のみで計算していますので、ちょっと実感とはズレますが。

○ここで仮に商品等の値段を10%値引(値下げ)するとしましょう。



のようになります。
表を見れば解ると思いますが、要は売る個数を値下げする前と比較し約3,000個程度(金額にして450万円程)多く売らないと損益トントンにはならないのです。これは驚くべき事です。生半可な気持ちで値引を受けてはいけないのです。しかしながら、そうは言っても顧客を失う恐怖感は相当なものがあります。従って他の件(資金面、他への顧客の影響等)も考慮し、慎重なる対応が望まれます。

尚、これら2つの表で使われている用語の説明をしますと、次のようになります。



税務について

事業所が被災した取引先等に対し支援する場合の税務についてお話しをしましょう。

○事業所が得意先・仕入先への御見舞金を贈る場合
通常は、交際費となりますが、震災等で被災した取引先等に対しては、災害発生時から事業再開するための復旧期間内であれば、税務上損金(交際費、寄附金ではなく)となります。災害見舞金を贈る際は内容が解るよう、支出目的・取引先・金額等を稟議書や取締役会議事録に残しておきましょう。

被災した取引先への支援の例として、
①災害見舞い金等を贈る
②事業用資産を供与する
③売掛金等を免除する
④低利や無利息で融資する
⑤復旧支援のために従業員を派遣する
⑥救護物資として自社製品等を贈る

○自社の従業員やその親族の場合
一定の基準で御見舞金を払った場合は全て福利厚生費となります。これは同等の事情にある専属下請先の従業員やその親族等に対しても同様です。また、自社の属する同業団体へ拠出する分担金も同様の扱いとなります。

○事業用資産を贈った場合
自社製品・他からの購入品共に事業用資産の供与も損金算入可です。取引先でそれを事業用として使う事を前提にしているので、取引先の従業員個人であれば交際費になってしまいますので注意が必要です。
※先方が小売業者等に対しても同様の扱いをします。

○売掛金を免除した場合
取引先が災害を受けた事で、先方への売掛債権を放棄した場合、それは貸倒損失ないしは交際費とはならず、通常の損金となります。また、契約で決められたリース料、貸付利息、割賦代金等につき従前の取引条件を変更したり、災害後新たに発生した取引についても従前通りでなくても損金算入可としました。
尚、取引先等には得意先、仕入先、下請工場、特約店、代理店、そして、商社を通じた取引先も含みます(直接納入先と値段交渉している場合)

○低利や無利息融資の場合
被災した取引先の復旧支援の目的であれば受け取るべき利息と実際との差分は損金算入可となります。但し、正常な取引条件のものに限ります。

○人員の派遣・物資の送付をした場合
被災した取引先へ復旧の手助けのために人を派遣した場合もその経費は損金算入可です。また食品メーカー等が自社製品を救援物資として送った場合も損金算入可です。

尚ここでちょっと小休止して「正しい決算書とは?」に触れましょう。
金融機関、税務署に信頼される決算書とは主に下記のとおりとなっています。
イ.社内で適時正確な記帳をしている事
ロ.その帳簿を翌月には会計事務所にて内容等をチェックし適切な経理・税務改善アドバイスを受けている事
ハ.毎月の試算表がいわゆる月次決算となっている事
ニ.税理士の署名した書面添付資料がある事




5月の特集

労務について

今回は就業規則の重要性についてお話しをしましょう。

○就業規則は会社の業務に関わる規則やルールを書面化したものです。内容は、会社の賃金、労務時間、休日、休暇、服務規律などです。

大まかには



となります

○就業規則の3大要素となるものがあります
  ①会社の基準の明確化
  ②会社の社員との信頼関係の構築
  ③法令による作成義務

○では、それぞれについて確認していきます

①について、就業規則は会社という組織の中でいわゆる従業員が業務をするので、その業務をする時のルール決めをしようというものです。即ち、労働時間(始業、終業)、定年、賃金、休暇、服務、交通費、出張旅費などについてです。これにより全社員に知らしめる事によって、ムリ・ムラ・ムダを無くし、業務の効率化を図ろうと言うものです。

②について、例えば社長の気分で給料を上げたり、下げたり、慶弔見舞金でも同じ事をやってしまうと、従業員達に不平不満が溜まりスムーズな業務が出来なくなります。そうであってはいけないので規則を作るのです。但し、会社と社員間で合意した部分について仮に余りにも授業員よりであったとすると、直しが効かなくなる恐れがありますので注意が必要です。

③について、従業員が常時10人以上(社員のみならず、パート、アルバイト含む)の場合は就業規則を作成して、行政官庁に届け出る必要があります。違反した場合は、30万円以下の罰金です。

 それと、出来合いの就業規則用紙を使う場合、実状に合わない形や従業員有利で記載されている場合があるので要注意です。この就業規則は極めて会社にとって重要なものなので、あくまでも自社の実状(もちろん脱法行為の意味ではなく)に合うように作成する必要があります。

 最後に、従業員が10人未満でも就業規則は作成すべきです。何故ならば、これを作成する事により会社・従業員間のメリハリがつきかえって従業員のモチベーションが上がる場合がありますので検討の余地はあります。


会計について

今回は資金繰りの疑問についてお答えしましょう。

○よく売上は上がっていて、利益は出ているのにお金がない、だが、税金は払わなければな
らない、どうなっているのだろうと思う経営者が大半だと思います。

○ここで、売上が計上され、利益が計上されたとしても、それは実際には必ずしもお金が伴わなくても売上が計上され利益が計上されるのです。クエスチョンと思うかも知れませんが、要は会計とは必ずしも「現金」だけの売上を「売上」と観るのではなく「掛」で売ったものも「売上」と観るからです。経費も同じ事で必ずしも「出金」を伴うものだけが経費ではなく、「掛」で支払う場合もあるのです。

○要は入出金の伴う損益だけではなく、入出金の伴わない損益もあるので、結果的にお金が無くても税金が発生することはあるのです。

因みに、お金と利益の関係を具体的に述べると



○ではお金と利益は一致する事はあるのでしょうか?
→ 確かにあります、現金商売で無借金経営の時です。
図にしますと



しかし、実際は現金の伴う損益のみではないケースが圧倒的で、売掛・買掛は当たり前です。設例2の条件ですと、1ヶ月目は次の表のようになります。これを見ると売上代金は未回収なので、経費支出だけ資金が足りなくなっています。



2ヶ月目になると、損益上利益は出ていますが、同じく売上が未回収なので相変わらず資金は前月の仕入代金と今月の経費支出のみが足りなくなってきています。



3ヶ月目になると、やっと売上代金の回収があったので、単月で資金がプラスになってきました。表をご覧ください。



このように、会計上の損益と資金の動きとは全く別物である事を強く認識してください。

○尚、資金と利益が合わない事を前提として、資金繰り改善の検討ポイントを列挙します




税務について

今回は相続税を負担する人の範囲が増える事についてお話しをしましょう。

○いわゆる人の死を起因として相続が発生します。即ち相続財産はいくらか?法定相続人はだれか?税金はどのくらいなのか?です。バブル期に投資不動産価格が高騰し、それに合わせ負担調整の面で基礎控除額の引き上げが行われてきましたが、今回はここを見直しし、以前の基礎控除額の6掛としました。これによって、相続税対象者の拡大化がなされ、一部の金持ちのだけのものからいわゆる相続税の大衆化がなされようとしています。

○相続税の改正は平成23年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する財産から適用となります。
では、具体的にどうかというと、

改正前の基礎控除額は
5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人数

改正後の基礎控除額は
3,000万円 +  600万円 × 法定相続人数

となります。

 また、小規模宅地等の課税の特例見直し(居住等を継続しない場合の50%減額の廃止がある)がなされ、重税感は否めない状況となっています。

○今まで死亡保険金の計算式は、500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額 でありました。今回も基本的には計算式に変わりはありません。しかし法定相続人の範囲が厳格化されました。即ち「未成年者、障害者、相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた人」に限定される事になりました。

○相続人の税率区分の見直しがされました



○未成年者控除及び障害者控除の引き上げがなされました。



○さてでは相続税が課せられるか否かの吟味ですが、まず死亡により法定相続人の確認、遺言書の有無、遺言の中身、金額の確認をして遺産総額(相続時精算課税制度を選択した場合はこの金額も含む)を決定し、遺言書があればそれで、なければ法定相続人同士の話し合いで分配額を決めます。

 相続税額については、確定した遺産総額から葬式代を差し引き、非課税となる財産、借入金を差し引いて遺産額を出し相続開始前3年以内の贈与財産を加えて正味の遺産額を計算します。それから基礎控除を差し引きます。

 この場合、基礎控除以内なら相続税なしで、以上なら相続税がかかります。
 相続の流れを表にすると



○今回基礎控除が引き下げられるので事例のようなケースだと、今回から相続税がかかってしまいます。



 従って、事前の準備(納税額、分配の問題、事業継承、円満分配、小規模宅地等の特例の適用有無等)が是非とも必要となります。さもなくば、重税の世界へまっしぐらです。



4月の特集

経営について

今回は売上の中味をチェックしてみましょう

○まず、対前年売上高比率をみてみましょう。この比率は文字通り売上の増減を見るものです。即ち
   ・増減は一時的なものか
   ・同業他社はどうか
   ・前年同月と比してどうか

○売上が上向きの場合、増加している理由は何か。偶発的、一時的なのかどうか。要は伸びた原因をさぐるべきです。逆に低下している場合、まず中味を吟味し、本当に低下した理由は何かを吟味すべきです。

○要は中味が重要なので、ある物が急に売れたり新商品が売れてみたりと思わぬ出来事も早めにわかれば、次の一手が打てると言うものです。変化の兆しの一例を表にしてみます。
□これまで取引がなかった新規顧客や業種などから問い合わせや引き合いが増えてきた。
□国内の取引先は海外へシフトしてしまったが、反対に海外からの引き合いがある。
□見積りの依頼や商品の問い合わせなどが増えてきた。
□新規顧客は伸び悩んでいるが、リピーターなど固定客への売上が回復しつつある。
□1件当たりの取扱量、取引金額が増えてきた。
□顧客層のうち、若い世代が増えてきた。
□顧客単価は回復していないが、顧客数は回復してきている。
□新商品の売れ行きは芳しくないが、昔からの定番商品の人気が根強く売上は落ちていない。
□インターネット通販など新しい販売方法での売上が伸びてきている。
□低価格商品よりもワンランク上の価格帯の商品が売れ始めている。
□機能性・付加価値の高い商品の売上が伸びている。
□個人向けの商品は回復していないが、法人向けが売れ始めた。


労務について

今回はトラブルを避けるために雇用契約書を交わしましょう

○労働条件の書面での明示が、まずトラブルを避ける第一歩と認識しよう。
 具体的には以下のケースのトラブルが多いです
   ・給与の額が、口頭で言われた内容と違う
   ・給与に前渡しの残業代が含まれているのを知らなかった
   ・試用期間について聞かされていなかった
・試用期間中と試用期間後の賃金が違う
   ・配置転換があると聞かされていなかった
   ・雇用期間が有期(雇用期間に定めがある)とは知らなかった

○よくトラブルの原因として、聞いていた話しと実際が違うという事です。これは書面がない事によるトラブルが大半です。即ち、労働基準法上では、社員を雇う時は「労働条件通知書」「雇入通知書」そして雇用契約書を取り交わしておく事が必要とされております。

○では、①「労働条件通知書」と②「雇用契約書」とはどう違うのでしょうか。

①は会社が社員に対して一方的に通知するものですが、②の方は会社と社員の双方がそれぞれ署名するもので、相方の権利義務関係が明確化されるものです。その意味ではトラブルの糸口は少なくなる事になります。

○では、この雇用契約書には何を明示すればよろしいのでしょうか。
まず雇用期間です。通常、正社員の場合は、契約期間は定めませんが定める場合は契約期間の更新の有無も明らかにします。次に勤務地、業務内容に変更がある場合はあらかじめ明示し、変更の場合有りとしておいてください。

3番目に始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇などは特定させてください。

4番目に賃金ですが、賃金については特にトラブルが多いので、賃金の計算方法、支払方法、賃金の締め切り、支払時期、手当、そして残業代の前払いがあればそのように明示し、賃金から控除する社会保険料、雇用保険料もわかるように明示してください。もちろん賃金は地域別・産業別最低賃金を下まわってはいけません。

5番目に定年制の有無、退職金の有無、解雇事由の具体的記載をします。
最後に試用期間の有無をはっきりさせ、試用期間中とその後の賃金が異なるのであれば、それも明示してください。


税務について

今回は役員給与を減額する際の注意事項についてお話しをしましょう

○まず、減額しても損金にならないケースがある事を承知してもらいましょう。即ち、単に資金繰りが厳しいとか、計画に達しなかったというだけだは減額が認められません。期の途中で認められない減額をした場合は減額した金額が基本の給与額とみなされ、
減額前-減額後金額=差額 が損金ではなくなります。

●一部が損金として認められない場合


※減額改定が認められない場合、減額以後も毎月同額の定期給与を支給していても、減額改定前の定期給与額のうち減額後の定期給与額を超える部分の金額が損金として認められません。

では、認められる場合はどうかと言いますと
   ①財務諸表の数値が相当程度悪化した。
   ②倒産の危機に瀕している。
   ③経営悪化により、株主、債権者、取引先等との関係上、役員給与を減額しなけ
ればならなくなった。

(例)
●取引銀行との間で、借入金返済の延長や条件緩和をするために、役員給与を減額しなければならなくなった。

●業績や財務状況、資金繰りが悪化したことから、取引先等からの信用を維持・確保するために、役員給与の減額を盛り込んだ経営改善計画を策定した。

■全額が損金として認められる場合


▼減額改定
定額同額給与として全額が損金として認められる
※ただし、減額以後も毎月同額の定期給与を支給していなければなりません。

○要は、減額理由をより具体的、客観的に説明する必要があるので議事録ももちろん必要です。ここで減額するのは良しとしても根本の業績悪化原因を追求し、業績改善へ大きく前進させる必要がある事は言うまでもありません。

○ではここで、23年4月1日から適用される主な税制改正をもう一度おさらいをしましょう。

○法人実効税率の引下げ
国税・地方税の法人実効税率が5%引き下げられます。(法人税基本税率を30%から25.5%へと引下げる)具体的適用は23年4月1日以降開始する事業年度からスタート。

○中小法人の軽減税率の引下げ
中小法人の所得金額の800万円以下の部分に適用される税率が18%から15%に引下げとなります。具体的適用は23年4月1日~26年3月31日までの間に開始される事業年度から適用となります。例えば6月決算の場合ですと図のようになります。



6月            
決算法人

○減価償却制度の縮減
 減価償却資産の定率法の償却率が、定額法の償却率の2.5倍から2.0倍に縮小されます。具体的適用は23年4月1日以後に取得した減価償却資産について適用されます。

(経過措置)                                                   
①定率法を採用している法人が、平成23年4月1日時点において、事業年度の途中にある(事業年度が4月1日をまたぐ)場合には、その事業年度の終了までに取得した減価償却資産については、改正前の償却率によって償却することができます。

②平成23年1月1日以後に終了する事業年度の申告期限までに届出をすれば、改正後の償却率に変更した場合でも、当初の耐用年数で償却することができます。

○青色欠損金の控除期間が9年に延長
 青色申告法人は欠損金を今まで7年間繰り越せたのだが、これからは9年と延長されれました。(中小法人等以外は控除範囲に制限有り)これは、20年4月1日以後に終了した事業年度に生じた欠損金額に適用されます。

○最後に相続税のお話しをしましょう
(基礎控除の引下げ)
 ●現 行  5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
 ●改正後  3,000万円+600万円×法定相続人の数

○また、税率が最高55%となります。
 適用時期は23年4月1日以後の相続または遺贈から適用となります。



23年度の税制改正について

まず、企業関係から

1.法人税率の引下げ ≪減税≫
国税・地方税を合わせた法人実効税率が5%下がり、40.69%から35.64%になります。
法人税の基本税率が30%から25.5%に下げられます。
適用は平成23年4月1日以後開始する事業年度からスタートです。

法人税(国税)の税率


(注)
・中小法人には、一般社団法人等及び人格のない社団等を含みます。
・「従前」欄のカッコ内は、租税特別措置法により平成21年4月1日から同23年3月31日までの間に終了する事業年度に適用されています。
・「改正後」欄のカッコ内は、租税特別措置法により平成23年4月1日から同26年3月31日までの間に開始する事業年度に適用されます。
・中小法人、公益法人等、協同組合等及び特定の医療法人の平成23年4月1日前に開始し、かつ同日以後に終了する事業年度については、経過措置として従前の租税特別措置による税率が適用されます。

2.中小法人は所得の年800万円以下の分は、軽減税率が15%(従前は18%)に引き下げられ本則税率は19%(従前22%)になります。

3.減価償却制度の縮減 ≪増税≫
平成23年4月1日以後に取得する減価償却資産の定率法の償却率は定額法の償却率の200%(従250%)となります。所得税も同じです。

4.青色欠損金の繰越控除制度・貸倒引当金制度の見直し
①青色欠損金の繰越期間が9年(従前7年)に延長となります。但し、欠損金の生じた事業年度の帳簿の保存が必要です。尚、適用時期は平成20年4月1日以後に終了した事業年度に生じた欠損金額です。

② 中小法人等以外の法人では、青色欠損金の繰越控除制度は繰越控除前の所得の8割までしか使えません。また、貸倒引当金も適用法人は銀行等に限られる事になります。但し、中小法人等(資本金等の額が1億円以下の普通法人)については従前通り使え、貸倒引当金も同様となります。

5.寄附金の損金算入限度額の引下げ ≪増税≫
一般の寄附金の損金算入限度額計算では、資本金等の2.5/1,000相当と所得金額の2.5/100相当分の合計の1/4(従前1/2)となります。

6.雇用促進税制の創設 ≪減税≫
平成23年4月1日から同26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、従業員を増やした企業に対し、その増加人数に応じて法人税が減税される制度です。雇用保険被保険者が前事業年度末に比べて10%以上かつ5人以上(中小企業者等は2人以上)増加していないとダメです。即ち、公共職業安定所に雇用促進計画を提出し、雇用が確認できれば、増加人数1人に対し20万円(上限額は法人税額の10%、但し中小企業者等は20%)が法人税から控除できます。法人住民税も同じです。

7.租税特別措置の廃止・縮減等
[廃止されるもの(適用期限の到来により)]
①試験研究を行なった場合の法人税額の特別控除の特例(所得税についても同様)
*「総額型」の税額控除限度額は30%から20%となり、研究開発税制は縮減されます。
②中小企業等基盤強化税制(所得税についても同様)
  *中小企業者等の教育訓練費に係る特別税額控除なども廃止になります。
③地震防災対策用資産の特別償却制度(所得税についても同様)

[延長・拡充等されるもの]
①医療用機器等の特別償却制度
一定の見直しが行われ、その適用期限が2年延長されます(所得税についても同様)。
②高齢者向け優良賃貸住宅の割増償却制度
  必要な法律改正を前提に、割増償却の要件の見直しが行われるほか、割増償却率を28%(耐用年数が35年以上であるものについては40%)とされ、その適用期限が2年延長されます(所得税についても同様)。
③特定の資産の買換えの場合等の課税の特例
買換資産の対象区域等の見直しが行われ、その適用期限が3年延長されます(所得税についても同様)

個人所得関係
1.給与所得控除分の見直し
給与所得控除の上限を設定され、給与等の収入額が1,500万円を超える場合の給与所得控除が、上限245万円となりました。特に、給与所得が役員等の場合は給与収入が2,000万円を超える場合、図の通りとなります。



適用時期は平成24年分以後の所得税及び25年分以後の個人住民税となります。

2.役員等の退職金の課税方法の見直し≪増税≫
法人役員等(役員等として勤続年数が5年以下の人に限る)が受ける退職金には退職所得控除額も控除後の所得に対し1/2もしません。尚、24年1月1日以降の所得から摘要となります。

3.成年扶養控除の対象を限定≪増税≫
今までは、23歳から69歳までの成年扶養親族がいれば一律控除できましたが、これからはそうはいかなくなります。即ち、以下の条件をクリアした場合のみ成年扶養親族控除が使える事になります。

イ.特定成年扶養親族である事、(65歳以上70歳未満、心身の障害等の事情を抱える一定の人、勤労学生控除の対象となる学校等の学生、生徒等)

ロ.イ以外の成年扶養親族である事。即ち、所得者のその年の合計所得金額が400万円以下である時の成年扶養親族に限る事になります。尚、これは平成24年以後の所得税及び平成25年度以降の住民税から適用となります。

4.上場株式等の配当・譲渡所得等の軽減税率延長について
現在続いている上場株式等の配当・譲渡所得に係る10%(所得税7%、住民税の3%)の適用期限が2年延長され、結局20%の本則に戻るのは平成26年1月からとなります。

5.租税特別措置の縮減・延長等縮減・延長等されるもの
イ.既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除等の見直し
ロ.電子申告に対する所得税額の特別控除延長

税額控除額【限度額】


6.その他
イ.年金所得者の申告手続きの簡素化
公的年金等の収入が400万円以下で、かつその年金以外の所得が20万以下の場合は申告不要となります。尚、平成23年分以後からの適用となります。
ロ.公的年金等に係る源泉徴収税額の計算は、人的控除の分として寡婦(寡夫)控除が追加となります。こちらは24年以降から適用です。
ハ.個人確定申告書の提出期限が翌年の2月16日~3月15日から、翌年の1月1日からと変わります。こちらは23年以降の所得税から適用となります。


相続税の見直しについて

(1)相続税の基礎控除額の引下げと税率区分の見直しについて
イ.相続税の基礎控除の引下げ数字にしてみますと、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)となります

ロ.死亡保険金に係る非課税限度額の縮小
法定相続人の条件が厳しくなり、この法定相続人の範囲を未成年者、障害者又は相続開始直前にて被相続人と生計を一にしていた者に限られます。非課税限度額=500万円×法定相続人の数 

ハ.未成年者控除及び障害者控除の引上げ

≪未成年者控除≫
今までは、20歳までの1年につき6万円これからは、20歳までの1年につき10万円

≪障害者控除≫
今までは、85歳までの1年につき6万円これからは、85歳までの1年につき10万円これらは、23年4月1日以後の相続又は遺贈で取得する財産に係る相続税から適用となります。

ニ.相続税の課税ベースと税率区分



(2)相続時精算課税制度の見直し

イ.受贈者の範囲に20歳以上である孫が入ります。

ロ.贈与者の年齢が60歳以上(今までは65歳以上)に引き下げられます。

ハ.相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率区分の見直し      

●20歳以上の人が直系尊属(父母・祖父母等)から贈与を受けた
財産の係る贈与税


●上記以外の贈与財産に係る贈与税


これらは、原則として23年1月1日以後の贈与より適用となります。

ニ.住宅取得等資金贈与の非課税措置の拡充
父母、祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合の、贈与税の非課税措置の適用対象となる住宅取得等資金の中に、住宅の新築に先立つ土地の取得用の資金も追加となります。これは、23年1月1日以降の分より適用となります。

消費税の免税事業者の要件見直し

(1)免税事業者の要件が変わりました。
イ.個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの課税売上高が1,000万円を超えている場合は免税業者になれません。

ロ.法人のその事業年度の前事業年度(7ヶ月以下のものを除く)開始の日から6ヶ月間の課税売上高が1,000万円を超えている場合は免税業者となれません。

ハ.ロのケースで、事業年度が7ヶ月以下の場合、その事業年度の前1年内に開始した前々事業年度があるときは、その前々事業年度開始の日から6ヶ月間の課税売上高が、1,000万円を超えている場合も免税事業者とはなれません。

ニ.イのケースで課税売上に代えて、所得税法に規定する給与等の支払額を使用する事も可です。

ホ.イに該当する場合は、その旨の届出書を出す必要があります。

(2)課税売上高が95%以上の場合の仕入税額控除の見直し課税売上高95%以上の場合に、課税仕入100%使用できる制度は、今度からその課税期間の課税売上高が5億円以下の事業者に限る事になりました。これは、24年4月1日以降に開始する課税期間からとなります。

納税環境整備

(1)更正の請求期間(今まで1年)が5年に延長
今まで、納めすぎた税金を戻すには1年前でなければならなかったが、今度は5年に延長されました。その代わり課税庁も税金を増やせる期間が5年に延長となりました。

(2)いつわりの内容の税金戻しは、処罰規定(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が設けられました。

(3)税務調査の文書にての事前通知
調査の事前連絡として、調査の開始日時・場所、調査目的、調査対象となる帳簿書類等を事前に納税者本人、調書提出者及びその代理人に連絡します。

(4)調査終了の時は、調査結果を説明し、それらを簡潔に記載した文書を交付し、「その時点で更正・決定等をすべきと認められない」との主旨の文書を交付されます。




3月の特集

経営について

今回は消費者の不便・不満解消がヒットにつながる事についてお話しをしましょう

不満その1-納豆のたれで手や食卓が汚れる
 だれもが経験した事があると思いますが、市販の納豆を食べる時、タレで手が汚れ、嫌な思いは一度ならずとも経験しています。これを一挙に解決したのが㈱ミツカン製のパック入納豆「金のつぶ あらっ便利!」です。タレをゼリー状にした事で手が汚れないようにしました。これで発売して2ヶ月で6000万食の売上げとなりました。グーですね。

不満その2-味噌を溶くのが面倒
 味噌は溶くという作業がありますが、これが以外と面倒です。これを一挙に解決したのがマルコメ㈱の「液みそ」です。これだと今まで2分の手間が10秒になり、しかも味のムラもないという事で、発売以来20ヶ月で500万本売れました。これもグーですね。

不満その3-パソコンが重く、使わない機能が多すぎ
 今のパソコンは、これでもか状態の機能がたくさん有り、便利ではあるが出先で「ただ文字だけを使いたい」という人にとってありがた迷惑です。ただ文字だけ使いたい人用に作成したのがデジタルメモ「ポメラ」㈱キングジムです。他の機能は全くなし。重さも約370gで、大きさは手の平サイズ、起動は2秒、単4電池2本で約20時間と、お徳感満載で2009年の販売計画年間3万台を上回る10万台を売っています。

不満その4-洗濯の時間と水がもったいない
 衣料用洗剤に対する不満はとにかく洗剤が重い、2回すすぎ洗いは面倒、水がもったいない、これら全てをクリアしたのが花王㈱の「アタックNeo」です。要はコンパクト、節水、節電、時短をクリアしたものです。発売1ヶ月で1000万本の驚異的売上となりました。これもグーですね。

不満その5-ラーメンと一緒に頼んだ餃子が遅い
 我等、日本人のラーメン好きはちょっと度がはずれているぐらい好きです。ラーメンと一緒によく餃子も頼みます。お腹が空いている時の特に餃子の遅さはイライラが募りおいしいものでもまずくなってしまいます。それらを一挙に解決したのが私もよく利用する日高屋の「早出し餃子」です。焼き時間6分が1分半、ラーメンのゆで時間も1分半、早くていいですね。これで、イライラ解消で餃子の売上は10%増になりました。これもグーですね。

不満その6-畳替えは店を休まなければならない
 店の畳張り替えをする時、一時店を休まなければなりませんでした。これが店のイライラの原因でしたが、兵庫県にある畳店TTNコーポレーションは、何と24時間で畳張り替え商売を始めたところ、一挙に売上が4倍となりました。これはベリーグーですね。

 要はどこに不満があり、それを如何にビジネスにつなげるかの経営センスかと思います。回りを見まわしてみましょう。そしてチャレンジしてみましょう。


税務について

今回は実地たな卸を円滑に行うポイントについてお話しをしましょう

 決算日の在庫調べは重要な意味を持っています。帳簿上の在庫数量値と実有高との確認をし、正確に調べる必要があります。というのは、在庫は売れ残った商品を表現しております。この作業をする事によって、売上に対する原価を正確に算出する事が出来、依って売上総利益も同時に算出される事になります。

 在庫と言っていますが、中味は色々なものがあります。表を参照してください

■たな卸資産の例

商 品…販売目的で他社から仕入れ、加工せずそのまま販売するもの
製 品…販売目的で自社で製造したもの
半製品…製造途中で完成前のものであるが、そのままでも販売できるもの
仕掛品…製造途中で完成前のもので、そのままでは販売できないもの
原材料…製品を作るための原料や材料で、外部から仕入れて、まだ製造工程で加工されていないもの
貯蔵品…販売目的ではなく、社内で使用するための切手(通信費)、印紙(租税公課)、消耗品費など、購入時にいったん費用として計上したが、期末までに使用されずに残ったもの

 ここで見おとしやすいものとして、半製品や仕掛品があります。これらについても、特によく見落される部分として、仕掛品の原価にはそれまでにかかった製造経費も含まれる事です。例えば外注費、工場消耗品、電気代、人件費等です。よく調査で指摘されます。尚、いわゆるたな卸資産の評価方法ですが、個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法、最終仕入原価法と種々あります。評価方法の届け出が必要ですが、届け出ない場合は最終仕入原価法です。ちょっと専門的になってしまいますが、解らない事は当会計事務所に聞いてください。

 決算日の実地たな卸はもちろん必要ですが、出来れば3ヶ月に1回は実行したいものです。そうすれば、商品(在庫)が良品かどうか、不良品があるかどうか、滞留分があるかどうかが速やかに解り、かなりスムーズに損益が把握できます。当然、在庫管理も精度が増し、経営、営業に対して使える数字を提供できます。実地たな卸の時は社長が絶対に立合うべきです。在庫の現状を観て速やかに経営に対する手が打てます。例えば不良在庫は見切り処分するとか。

 在庫調べをして最も重要な事は、帳簿と実在庫数が合わない時です。合わない例として表を参考にしてください。

在庫数が帳簿と合わない原因の例

・商品管理の責任者がいない。
・商品等の入出庫の時点で台帳等への記入等が行われていない。
・きちんと現物を確認せずに記帳等をしている。
・返品等を仕入れと間違えている。
・倉庫内が整理整頓されていないため、どこに何があるかがわかりにくい。

 要は、在庫調べをする事は整理整頓をする事です。それにより何が足りないのか、不良品はあるのかどうか、破損したものはないか、必要なものがあるのかどうか、など様々な事が解ります。これらの事が掌握できて初めて経営が成り立つのです。


会計について

今回は決算における確認事項を列挙します

 まず、決算とは何か?!要は自分のビジネスがどうなっているのか数字で表現しようというものです。即ちまず財産関係、債務関係を表わす表を作り、そして次にどれだけ儲かったかを表わす表を作り、自分のビジネスの将来に対する指針作りとなる表を作成する事に尽きます。

 では、決算のための確認事項チェックリスト表を作成しましょう。まずは最小限の必要なものを列挙します

現金・預金
□決算期末日の現金残高を金種別に把握し、帳簿残高と一致するかどうかを確認したか。
□現金の実際残高と帳簿残高に差異があるときは、その原因を究明したか。
□決算時に銀行から入手した「残高証明書」と普通預金、当座預金の帳簿残高が一致しているかどうかを確認したか。
□定期預金等の受取利息の計上や利息にかかる源泉所得税等の処理のモレがないかを確認したか。

売上債権・仕入債務
□割引手形や裏書手形のうち期日が到来したものがないかを確認したか。
□売掛金・買掛金・未払金等の残高を確認したか。
□締め後の売掛金、買掛金の残高の計上モレがないかを確認したか。
□売掛債権の中に、貸倒れや回収見込みがないもの(不良債権)がないかを確認したか。
□不良債権について、不渡りとなった手形、債権者集会の通知書や議事録、決議通知書、宛先不明で戻ってきた請求書の送付時の封筒など、事実関係がわかる書類を保管しているか。

借入金・貸付金等
□銀行借入金の残高証明書を入手したか。
□社長、従業員、関連会社等への貸付金について、適正な利息が計上されているか。

たな卸資産
□決算期末日に実地たな卸を行い、商品、製品、仕掛品、原材料、貯蔵品等の在庫数を調べたか。
□倉庫業者、仕入先などに預けている商品や未着品、期末の戻り品などの、たな卸資産への計上の見落としがないかを確認したか。
□たな卸資産の中に、他社から預かっている商品等が含まれていないかどうかを確認したか。
□実地たな卸の際、記入したたな卸表やメモ等の原票を保存しているか。
□仕入時にかかった、運賃や運送費、運送保険料、関税などについて、たな卸資産への計上モレや、誤って販売費及び一般管理費に含めていないかどうかを確認したか。
□半製品、仕掛品などの評価には、原材料だけでなく製造経費も含んでいるか。
□不良在庫や陳腐化した商品、デッドストック(死蔵品)、店ざらし品などはないか。
□店ざらし品などを廃棄処分した際の写真や処分業者の領収書等など、処分した証拠を残しているか。

その他の資産・負債
□仮払金、預り金等に精算・返済できるものがないかを確認し、できるものについて精算等を行ったか。
□仮払金、前渡金、個人貸付金、仮受金、個人借入金、預り金等の相手先名称、住所、金額を把握しているか。
□前払費用、前受収益の計上モレや計算期間の誤りがないかを確認したか。
□前払費用と前払金・前渡金は正しく分けて処理されているかを確認したか。
□源泉所得税、社会保険料等について各項目ごとに残高を確認したか。

固定資産
□固定資産(機械、車両、備品等)について、現物と固定資産台帳とを確認したか。
□固定資産とすべきものを経費としていないかを確認したか。
□少額減価償却資産として処理できる取得費用が1つ30万円未満の資産がある場合、損金算入の特例の適用を検討したか。
□固定資産の価値や性能・耐久性を向上させる修理・改良など固定資産に計上しなければならない費用が、通常の維持・管理のための費用である修繕費にされていないかを確認したか。

売上・仕入
□請求書締切後、決算期末日までの売上や仕入の計上モレはないかを確認したか。
□売上、仕入の返品、値引き、割戻しの処理に誤りがないかを確認したか。
□売上の中に、本来は雑収入とすべきものが含まれていないかを確認したか。


2月の特集

経営について

事業所に活気を取り戻す事について考えましょう

 景気が悪くなると事務所の雰囲気も沈滞化し、活気がなくなります。これが続くと生産性の低下と更に悪化の一途を辿ります。具体的には以下の事柄が生じてないでしょうか

□①社内で挨拶の声が小さくなった気がする。
□②電話や来客への応対が悪くなっている。
□③単純ミスや仕事のやり直しが多くなっている。
□④顧客からのクレームが増えている。
□⑤社員にコスト意識がない。
□⑥社内のルールが守られていない。
□⑦報告・連絡・相談がうまくできていない。
□⑧社内の掃除や整理整頓ができていない。
□⑨会議で意見が出ない。
□⑩危機意識が感じられない。

 では、打開策として何をしたらよいのでしょう。以下に列挙してみるに

イ、業務改善の仕組み作り
ロ、各社員の能力に応じた仕事の配分
ハ、公平な評価に基づく報酬体系
ニ、経営情報の公開 
ホ、経営計画の策定による目標の明確化 
ヘ、その他種々のインセンティブ策 等となります。

 実際は困難なものがありますので、まずは社員間のコミュニケーション不足を解消する事から始めては如何でしょうか。

 例えば、朝礼なども通り一遍のものではなく、各社員の自慢話しなどをするのも一考でしょう。また、何か社員間で業界の勉強会とか自分の担当部署の業務内容について簡略化して説明をする会を開催するとか、それこそ限られた予算ですが、何か催し物を企画するとかです。

 また、上司が積極的に部下に声をかけ仕事の状況等を尋ねる、あるいは励ます事をする、なども一案です。


税務について

今回は売上計上の「期ズレ」についてお話しをしましょう

 売上はいつ計上するべきかですが、例えば3月末決算法人で請求書の締め日が20日の場合、残りの21日から末日までの分を翌期の売上にしてしまうケースがあります。この分はあくまでも今期の売上として記入すべきものです。

尚みに、商品・製品等を販売したときの流れを表にしてみます。

■商品・製品等を販売したときの流れ図

 ①受注            
       ↓
 ②倉庫・工場からの出荷    
       ↓
 ③発送            
       ↓
 ④相手方に到着        
       ↓
 ⑤倉庫・工場への入荷、据え付け
       ↓
 ⑥検収            
       ↓
 ⑦代金の請求(請求書の発行) 
       ↓
 ⑧代金の受領(入金)     

 この締後~末日までの分の売上は、期をまたがって処理しなければなりません。これを経理では「期ズレ」と称します。よく税務調査で指摘を受けます。

 今回のテーマの売上計上日はいつかの件ですが、請求書を発行したり売上代金を回収したりした日ではありません。税法では、商品を先方に引渡した日が、サービスなどの役務は役務提供の完了した日が、売上計上の日となります。従って、商品を引き渡していないのに金を貰った場合、これはまだ売上とは言えず前受金という負債科目で経理処理する事になります。要は、商品引渡の義務を負っている事を意味します。

 では、引渡しと一口に言っても種々のものがあります。

■商品等の「引き渡し」があった日 
出 荷 基 準
…相手の注文に応じて商品等を出荷した日(倉庫・工場から出荷した日、船積みした日、トラックに積み込んだ日など)を基準とします。一般に多くの企業が採用する基準です。

検 収 基 準
…相手の検収日に売上を計上します。ソフト開発会社や工業用機械の製造などのように、発注元が納品された製品を検収し、依頼通りにできあがっていることを確認して、はじめて引き渡しになる場合に採用します。

使用収益開始基準
…土地・建物等の不動産販売などで、相手先において使用可能になった時点で、売上を計上します。

検 針 日 基 準
…ガス、電気、水道等の販売などにおいて、検針によって販売数量を確認した日に売上を計上します。

 以上4つ程並べましたが、取引の状況に応じ適時1つを選び、これを毎期継続する事が必要です。


 建設請負は契約に基づいて完成物を引き渡す時、その工事の全部を引き渡した日をもって税務上売上計上日とします。但し、請負の仕方によって1つの工事の中でも、その完成の都度引き渡しするなどしあった場合は、その都度売上に計上する事は可能です。

■請負契約による「物の引き渡し」があった日

 請負による物の引き渡し 

        原則              事前の特約あり
         ↓                  ↓
       完成基準             部分完成基準 
   目的物の全部を引き渡した日      完成部分を引き渡した日

 もちろん、売上を証明する注文書、出庫伝票、納品書控、請求書控、検収書、物品受領
書、発送運賃請求書、工事台帳、工事完了報告書、物件引渡書、工事進行表、得意先元
帳等の保存が必要である事は言うまでもありません。
まず、23年1月から15才以下の子供たちは扶養控除がはずされます。これによって逆に
所得税が増税となります。尚みに、参考例を以下に表示します。


労務について

今回は残業代込みの給与(定額残業代)を支給する際の問題点についてお話しをしましょう

 残業代については、それこそ昨今増加の一途をたどっているものです。要は、残業代を洩れなく支給する。如何に残業時間そのものを減らすかに尽きます。これの当面の打開策の1つとして、定額残業代(残業代込みの給与)を支給するという方法です。

 これは残業をしたか否かにかかわらず、残業代を一定額支払うという方法です。しかしこれも万能薬ではなく、実際の残業代の方が多く定額分を超えている分があれば、それはそれとして支払わなければなりません。しかも、残業代が法定の額をどれだけ時間的にオーバーしたかを克明に調べておく必要もあります。これは年俸制であっても同じ事です。

 そしてこの定額残業代制度に、もしチャレンジするのであれば、就業規則や賃金規定も見直しし、社員にも周知させる必要があります。何故ここまでするのかというと、この制度は社員に対し「不利益変更」に該当するからであります。

 この定額残業制度を導入しており、新たに社員を採用する場合は、この社員に対しては「雇用契約書」や「労働条件通知書」の中に、定額残業代に当たる残業時間とその支給金額を明記する必要があります。これをしないと法的な面では不備となり、強いては経営上のリスクを負う事になります。
すなわち、以下のように記入する事になります。

(例)基 本 給  20万円
固定残業手当 2万5千円(残業20時間分) と言うように。


1月の特集

経営について

今回はピンチをチャンスに変え、売上UPを図ったケースについてお話しをしましょう

事例その1
 町の本屋さんの話しです。この業界もごたぶんに洩れず不況真盛りであり、しかも活字離れ、コンビニ出店による顧客離れとさんざんでありますが、北海道にある本屋さんは名作なのに売れない文庫本を逆手に取り「なぜだ?!売れない文庫フェア」を開催し、「売れない」事を「売り」にしました。これが、逆にメディアに取り上げられたりで、人気を呼び大いに本が売れました。逆転発想の典型パターンです。

事例その2
 次のケースは車の修理屋さんの話しです。あたり前ですが、車を修理する事を売りにしています。しかし、ちょっとした修理、例えば車にキズがついたとか、ちょっと車体がへこんだ程度では修理に来ません。ここにターゲットをしぼり、解りやすい料金体系、修理内容を明記して、「修理まではちょっと」層を取り込みました。これが新しい顧客層の発掘(はっくつ)となりました。

事例その3
 新幹線は今や東へ西へと伸びています。在来線もしくは私鉄はその煽りを受け、経営は困難さを増しています。以前の話しですが、東海道新幹線が出現した時、大阪方面では近鉄が一大決心をし、大阪、名古屋、京都まで新幹線がお客を運んでくるので、そのお客を取り込み、奈良や伊勢志摩へそのお客を運ぶ事を考え、これが見事に開花しました。これも、逆転発想の典型です。

事例その4
 持ち帰りチェーンのオリジン弁当は逆転発想し、敢えてライバルであるコンビニの近くに店を出す事にしました。即ちコンビニの市場調査済みの地域に出店してもビジネスになると判断。同じ弁当でもコンビニと差別化を図り見事当りました。


税務について

今回は所得税の改正により来年の源泉税の取り方に注意しましょう

まず、23年1月から15才以下の子供たちは扶養控除がはずされます。これによって逆に
所得税が増税となります。尚みに、参考例を以下に表示します。

(表)所得税、個人住民税の増加額
●夫がサラリーマンで、妻が専業主婦、小学生1人、中学生1人の例


※個人住民税は、平成24年度から
※毎月の源泉所得税等の増加分は、12か月で割った数値を目安としてください。
出典:大和総研及び第一生命経済研究所試算より(読売新聞)

今回の改正から、源泉徴収税額表の「扶養親族等の数」に注意を払ってください。例えば、子供2人がいる場合は、2人のところを見るのではなく0の個所を見る事になります。

さて、いよいよ来年2月16日から3月15日まで、確定申告提出期間となっています。

申告の必要な人は下記の通りです

所得税の確定申告が必要となる主な人

①個人事業者
②不動産の賃貸収入がある人(不動産オーナー)
③同族会社の役員で、その会社から給与のほかに貸付金の利子や工場・店舗等の賃貸料収入がある人
④土地、建物、ゴルフ会員権を売却した人
⑤会社の役員などで、2か所以上の会社から給与をもらっている人
⑥医療費控除を受ける人
⑦雑損控除を受ける人や、災害減免法の適用を受けている人
⑧平成22年中にマイホームの取得等や一定の増改築をして、住宅ローン控除を受ける人
⑨年の途中で退職し、その後、就職していない人
⑩老齢年金を受けている人(申告の必要のない方もいます)
⑪配当所得がある人
⑫生命保険の満期金がある人

尚、同時に確定申告に必要なチェックリストを掲載しますので参考にしてください

必要書類チェックリスト

  準備ができた書類には「○」を入れます。
□①前年度(平成21年度)の確定申告書の控え
□②前々年度(平成20年度)の消費税確定申告書
□③地代・家賃等の収入台帳
□④不動産の使用料等の支払調書
□⑤源泉徴収票(給与、年金、退職金等)
□⑥配当支払調書
□⑦不動産・株式等の譲渡関係書類
□⑧国民健康保険料、国民年金保険料の支払証明書
□⑨社会保険料(国民・介護・長期医療など)の支払額がわかるもの
□⑩小規模企業共済等掛金控除証明書
□⑪生命保険料控除証明書
□⑫地震保険料控除証明書
  (または長期損害保険料の控除証明書)
□⑬医療費の領収書
□⑭寄附金(ふるさと納税を含む)の領収書等
□⑮住宅ローン控除等を受ける場合
 ・住民票の写し
 ・登記簿謄本(または抄本、登記事項証明書)
 ・売買契約書、請負契約書の写し
 ・住宅ローンの年末残高証明書


会計について

今回は現金管理についてお話しをしましょう

 事業を始めて、管理が最後になるのは現金管理です。ここではポイントを5つ掲載します

ポイントその1
 まず、社長と会社のお金を区別してください。会社の金は会社の金。自分(社長)の金ではない事をしっかりと認識しましょう。

ポイントその2
 現金管理責任者を決め、その人にまかせる事です。この責任者は社長以外の人でなければなりません。身内の場合が多いと思いますが、きちんとルールに基づいてやる事が、精度の高い現金管理に繋がります。

ポイントその3
 現金での支払いは、少額な経費の支払いや、1回当りの支払金額を限定した支払いにし、出納管理をしてください。例えば、1件当りの支払限度額(例えば5,000円)以上のものは、請求書の発行を求め、振込みとするとかです。いわゆる小口現金管理は常に残高が3万とか5万とかのように上限を決め、現金の不要な動きを封じる事です。

ポイントその4
 社内精算のルールを明確にし、支払いは領収書・請求書のもとで行う事です。社内での小口経費精算は週1回など精算日を決めてまとめて行ってください。また、領収書のもらえない慶弔金は「支払証明書」を利用する事です。

ポイントその5
 日々の現金有高を常に確認してください。毎日やはり現金はいじるのです。それの付随業務として、必ず金種表をつけましょう。その金種表と帳簿残高と合わせる事を日課にしてください。差額が出た場合は必ずその差異を調べ、速やかに結果を帳簿に反映してください。これはとても大事な事です。

 尚、小売業や飲食店の場合、レジの現金とそれ以外の現金とを厳密に区分してください。レジ現金はあくまでレジ用なので、ここから経費の支払いには当てないでください。レジ締後は毎日、翌日預金へ預け、釣り銭は釣り銭として毎日同額を残すようにしてください。レジ以外の現金は金庫にて管理し、不足分は預金から充当してください。可能な限りレジとそれ以外の現金は混同させないようにし、どうしてもという時は、必ず入出金伝票を切り後づけできるようにしてください。最後の管理は現金。現金の管理が出来れば、完全です。これで事業所が繁栄する基礎固めが出来た事になります。